青春をクビになって の商品レビュー
第一章から第五章に挟み込まれた間章。この間章の存在で、朝彦と小柳の行動を平行させ物語は進む。古事記への情熱、夢、青春そしてポスドクとしての矜持を捨てられなかった小柳の人生に遣り切れない読後感。
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【青春をクビになって】 またまた額賀澪さんの作品。 主人公の瀬川朝彦は、大学時代だけでなく、そのまま院、そして非常勤講師をしながら古事記を研究し続ける35歳のポスドク。こんな呼び方があることも知りませんでした。 20代の頃、誰もが自分の将来を疑うことなく突き進んだはず。 朝彦も...
【青春をクビになって】 またまた額賀澪さんの作品。 主人公の瀬川朝彦は、大学時代だけでなく、そのまま院、そして非常勤講師をしながら古事記を研究し続ける35歳のポスドク。こんな呼び方があることも知りませんでした。 20代の頃、誰もが自分の将来を疑うことなく突き進んだはず。 朝彦もそんな一人でした。 でも現実は厳しい。 非常勤講師であるがために、収入や生活は安定とは程遠いもの。そしてとうとう雇い止め…。 そして気がついたら35歳。 いや、まだ自分はまだ出来る、でもこのままでいいのか、ひょっとしたら手遅れなのか?と自問自答する朝彦。 そんなところから物語は始まります。 登場人物ですが、大学時代に一緒に研究をした仲間で、今は違う道を選び「レンタルフレンド」を派遣する会社を立ち上げてその経営者としてそこそこ成功している栗山さん。 そして10歳ほど先輩で古事記の研究をし続ける小柳さん。 その小柳さんの面倒を見続ける大学教授の貫地谷先生。 それぞれの立場から物語が描かれていて、最後まで一気に読んでしまえる、そして泣ける、そんな物語です。 色々な生き方があるんだなぁ。 そして、それぞれの場所で喜びや辛さがあるんだなぁ。 就職氷河期に遭遇したら自分自身はどうだったんだろうなぁ。 私は今でも夢を持って日々の仕事をしていますが、それ自体が幸せなことなんだなと思わされました。 など考えさせられる著書でした。
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「好き」を道標に生きてきた。暗闇を進む灯だった。この光のせいで生きていけないのだと気づいた。これを大事に抱えている限り、暗闇を歩き続けなければならない。消す日が来た。明かりを消して、この真っ暗闇を出ていく日が来た。『何かを抱えて、代わりに何かを捨てて生きていくかって選択は、下した直後はしんどいはずだが、でも、何かを諦めても、意外と別の幸せは転がってるんだと思う。』 あー泣かされた。背中を優しく押してもらえた。瀬川朝彦。彼を面談したキャリアアドバイザーって誰かな?(ニヤリ)『未来が見えないですよ』 切り開け、未来。覚悟を決めて足を踏み出した瀬川朝彦にエール!
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瀬川は、35歳のポスト・ドクター。 古事記の研究に明け暮れ、非常勤講師として大学間を渡り歩いてきたが、雇い止めに遭い先の見通しが立たないでいた。 そんな折、ゼミ時代の小柳先輩が、研究室に住み着いてると噂されていた矢先、大学の貴重な古事記全三巻を持ったまま行方不明になった。 アパー...
瀬川は、35歳のポスト・ドクター。 古事記の研究に明け暮れ、非常勤講師として大学間を渡り歩いてきたが、雇い止めに遭い先の見通しが立たないでいた。 そんな折、ゼミ時代の小柳先輩が、研究室に住み着いてると噂されていた矢先、大学の貴重な古事記全三巻を持ったまま行方不明になった。 アパートは家賃滞納で追い出されたようで、トランクルームを借りていて、そこで寝起きしていた痕跡もあった。 行方不明になる前に緊急連絡先を瀬川の携帯に変更して、レンタル料が未納だった。 小柳の姿が未来の自分のようで、不安は募る。 大学時代からの友人の栗山は、ポスドクから抜け出て起業している。 彼の会社に登録し、レンタルフレンドをしながら将来を考えようとしている最中に小柳が…。 彼は最後まで研究者であり、研究者としての自分を終わらせるために比婆山に登った。 古事記は、きっと瀬川が取りに来るだろうとわかっていたのだろうか…。 研究に携わる者でさえ、講師だけではやっていけず契約という限られた期間の内容であることに今の社会の在り方に何故?という疑問しかない。 何歳までなら夢をみていいのか⁇と問うているようでなんとも辛い。 こういう時代だから…と言えばいいわけではないだろうが、他にことばは見つからない。
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博士に進もうか考えてる自分にとって、とても考えさせられる内容だった。 高学歴になるにつれて、社会で生きていくのが難しくなってしまうなんて、明日を生きる不安を抱えながら生活するなんて、思いもしなかった。 「自分がしたいこと」と「現実」。これらに上手く折り合いをつけていかないといけな...
博士に進もうか考えてる自分にとって、とても考えさせられる内容だった。 高学歴になるにつれて、社会で生きていくのが難しくなってしまうなんて、明日を生きる不安を抱えながら生活するなんて、思いもしなかった。 「自分がしたいこと」と「現実」。これらに上手く折り合いをつけていかないといけないと思った。
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爽やか青春モノが多い額賀澪さんが、社会問題化している大学非常勤講師について書いたことが気になり選書。 中高生時代は夢を追い続けながら心身共に成長できるけど、大人になってくると現実を見据えないといけない。 夢を追い続けることへの辞め時って、重要なのかな。ちょっと切ない。 諦め...
爽やか青春モノが多い額賀澪さんが、社会問題化している大学非常勤講師について書いたことが気になり選書。 中高生時代は夢を追い続けながら心身共に成長できるけど、大人になってくると現実を見据えないといけない。 夢を追い続けることへの辞め時って、重要なのかな。ちょっと切ない。 諦めないで欲しいけど、諦めなきゃいけない。 世の中、好きを仕事にしている人がどれくらいいるのだろう。
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瀬川は35歳、無給のポスドク。古事記の研究をしたくてお金を払ってまで大学に居させて貰っている。そして大学の講師の契約も打ち切られた。同期は研究を捨ててレンタルフレンドの会社を経営していて… 院を卒業しても職がないってのは何となく聞いてはいましたが、好きな事を突き詰めた結果、奨学金返済といつ切られるか判らない講師の仕事だけってのが世知辛いです… そして、研究を止めるタイミングを逃した先輩ポスドクの末路が本当に切なかったです。 友人のレンタルフレンドの仕事を通して模索する瀬川の結末が、良い方向へ向かってくれると信じています。
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自分のやりたいこと、学びたいことをやって、幸せになる人はどれ程いるのだろうか? お金よりもやりがい、生きがい、なんて言うけれど、実際に未来に希望がもてないほどに余裕が無くなってしまう人はどれ程いるのだろうか? どんな状況になっても優しくなりたい。 心には刺さりますが、世知辛いな...
自分のやりたいこと、学びたいことをやって、幸せになる人はどれ程いるのだろうか? お金よりもやりがい、生きがい、なんて言うけれど、実際に未来に希望がもてないほどに余裕が無くなってしまう人はどれ程いるのだろうか? どんな状況になっても優しくなりたい。 心には刺さりますが、世知辛いなと感じてしまいます。
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ポスドクの現状。雇い止め、研究を続けられない。 気づいた時には就職もできない。 厳しい話しでしたが、好きな作家さんの作品ということもあり読みやすかったです。
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