推し、燃ゆ の商品レビュー
最近の推し活って完全に承認欲求と化しているな…と思っていたところに読めた 「生きがい」と「執着」のバランスってむずかしい〜
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サッと読みやすく心情風景も分かりやすかった。 コロナ禍でいとも容易く壊れる規律と現代において、縋るものとその立ち位置を背骨と比喩し表したのは感嘆した。「背骨」って言葉は何にも変え難い唯一の表現を保っていたと勝手に感じていただけに。
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ストーリーに関して、私にはあまり響くものはなかったけれど、表現が秀逸だなと思った。背骨と綿棒を重ねるところとか。 そしてラストの、感情をぶつける物として片付けやすい綿棒を使ったところで、理性の効いた、感情をどうにも振りきれない主人公の宙ぶらりんな思考を感じた。
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「何かしらの苦行、みたいに自分自身が背骨に集約されていく。余計なものが削ぎ落とされて、背骨だけになってく。」 自分の確固たる芯で背骨である推しが消え、かつそれでも生きていける自分に絶望すると同時にそれを受け入れるラストが切なくて綺麗だった。あと序盤のプールの描写など肉体の生々しさ?の表現が好き
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展開が面白くて、一瞬で読んでしまった〜〜 「現代の推し文化は、この社会の寄る方のなさを表している」という解説が興味深かったです。
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まさに芥川賞らしい作品。他人から見るとどうでもよいことを極めて文学的に表現する。登場人物にとっては、それを人生の重要な一部分として十二分に考察、熟成させ「決して誰も死なずに」話は決着。まさに芥川賞らしい。誰か死んだ芥川賞も過去にあったっけか?
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誰かを「推す」ことで自分を保つ。 ここまで全身全霊で推せる何かを持っていることはすごいと思う。 もしかしたら彼女からしたら、何もかもうまくいかない現実からの逃避なのかもしれないけど。 できないことも推しが絡むとできるようになるは、ちょっとわかる気がするな。
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実生活でうまくいかない部分を埋め合わせるように「推し活」に没頭する精神科通いの女子高生が、「推しの炎上」をきっかけにじわじわと退路を絶たれていく系。あっさりとした文体でスルスル読める地獄。 普段本を読まない人でも読みやすいと思う。 細かい描写がなくて、たまに脈絡もないところが女...
実生活でうまくいかない部分を埋め合わせるように「推し活」に没頭する精神科通いの女子高生が、「推しの炎上」をきっかけにじわじわと退路を絶たれていく系。あっさりとした文体でスルスル読める地獄。 普段本を読まない人でも読みやすいと思う。 細かい描写がなくて、たまに脈絡もないところが女子高生のブログを読んでる感があって、エグ味がすごい。 令和の作品だな〜〜〜!!
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「推し」という、昨今巷で何かにつけて耳にするようになったあまりにも身近な言葉が入った題と、これまた駅でよく見かけるような格好をした女の子の絵が描かれた色鮮やかな装丁で、完全にポップなイメージを先入観として持っていた。が、蓋を開けてみれば結構キツい、というか私にはだいぶ暗い話に思え...
「推し」という、昨今巷で何かにつけて耳にするようになったあまりにも身近な言葉が入った題と、これまた駅でよく見かけるような格好をした女の子の絵が描かれた色鮮やかな装丁で、完全にポップなイメージを先入観として持っていた。が、蓋を開けてみれば結構キツい、というか私にはだいぶ暗い話に思えた。(ラストには光はあるけど) みんなの「普通」や「当たり前」をこなせなず、いわゆる「レール」からはドロップアウトしかけている発達障害気味の主人公。ままならない日常を何とかやり過ごすためには「推し」が必要で、彼女にとって「推し」はまさに「背骨」であり、人生の重たさを背負ってくれるもの。生の駆動力になるもの。 主人公が現実で抱える問題が垣間見えるたび、彼女が「推し活」に逃避し、どんどん「背骨だけになっていく」のも正直無理はないような気はした。ただ同時に、もう取り返しのつかないところにいくギリギリのラインをふらついていることもわかるから、何とかその一線を越えないでくれと終盤はもはや祈っていた。 最終的に「推し」とともにこれまでいた環境からそれぞれ踏み出していく…という前向きなラストだと受け取ったけど、彼女は本当に大丈夫だろうか。薄っすらと不安で胸がヒュッとなるような読後感は『こちらあみ子』とも似ていた。勝手な先入観に騙されてしまった点でも似ていた。宇佐見さんの他の小説も気になっている。
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アイドルのオタクである自分にとって、非常に共感できる点が多くありました。作品全体は暗く、重厚な印象を与えるものの、その中に物語の深みに引き込まれる力を感じました。「推す」という行為の本質について、再考を促される内容でした。
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