青瓜不動 の商品レビュー
今回もそれぞれの物語の中で悲惨で辛くなるものがあり人間の残酷さが浮き彫りになる。そんな中たまに挟まれる、おちかの出産と赤ちゃんの様子がいい塩梅に心を和ませてくれたし、富次郎の心の揺れ動く様が今回は大事なことだった気がする。だんだん人形ができるまでの過程は悲しすぎるけど、強く逞しく...
今回もそれぞれの物語の中で悲惨で辛くなるものがあり人間の残酷さが浮き彫りになる。そんな中たまに挟まれる、おちかの出産と赤ちゃんの様子がいい塩梅に心を和ませてくれたし、富次郎の心の揺れ動く様が今回は大事なことだった気がする。だんだん人形ができるまでの過程は悲しすぎるけど、強く逞しく守ってくれる姿に感動した。悪代官の憎々しさよ。人間と百足の恐ろしさに恐怖、ハラハラしたり、筆に慄いたり、狭間村の子育てに優しさを感じたりと今作もとても心に残る物語たち。大好きな宮部さんの大好きな作品を誕生日に読み終えた嬉しさ。
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4編からなる百物語今回も見応えがありました。 いつの間にか自分は聞き手の富次郎になり泣いて怒っての繰り返し。いまもそう変わってない理不尽なことが多いけどこうやって真っ直ぐな人たちが戦ってくれ てた。真っ直ぐって大事だ
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9作目。おちかは無事に出産し、伊一郎はますます跡取りにふさわしくしっかりキリっと長男としての役割を果たすなかで、次男坊という気楽さにこのままのんびりとしてもいられない、と富次郎が気持ちを切り替えようとしながらも揺らぐ様子が健気な一冊でした。百物語の方は、4話のうち語り手本人の体験...
9作目。おちかは無事に出産し、伊一郎はますます跡取りにふさわしくしっかりキリっと長男としての役割を果たすなかで、次男坊という気楽さにこのままのんびりとしてもいられない、と富次郎が気持ちを切り替えようとしながらも揺らぐ様子が健気な一冊でした。百物語の方は、4話のうち語り手本人の体験なのはひとつきりで、あとの3話は祖父の時代の話だったり、自分ではなく近い人に起こった話だったりするせいか、恐ろしいながらも「お話」を聞いているような感じの距離感で読み進みました。やはりこの世のものならぬ妖しい商人の存在と黒白の間の聞き役との因縁があるような雰囲気が暗に示される話もあり、区切りの10巻目ではいろいろな潮目が変わるのかもしれない、とどきどきしながら楽しみにしながら、刊行を待とうと思います。
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よく考えたら、8を読んでなかったけど、あまり支障は無さそう…! 表題『青瓜不動』 前の聞き手、おちかの出産に際して、おいねと「うりんぼ」様が三島屋を訪ねてくる。 「うりんぼ」さまとは? 途中ちょっと胸糞悪い展開もあるけど、まぁ最後は良かった。 江戸時代の人間関係ってほんとうにさっぱりしすぎるくらいに冷たいところがある。一方で庵主さまみたくきちんと偲べる人もいる。 「だんだん人形」 こちらも胸糞悪い系。 だけど、語り口がいいので嫌な気にならない。 四度目を使い切ってしまった、ってのが気にはなるけど。 「自在の筆」 タイトル通り、よくある系の話? 赤い靴みたいな。 この骨董屋って黒武御神火殿のときのかな。 あの話は怖かった! 「針雨の里」 哀しくも温かい話。 不死だけど、紙の強度で生きていくって怖すぎる。 いい話だけど、うっすら怖いな。 今回はあまり怖さはなかったかな。 また読み直してみたい。
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図書館で予約していたのがやっと回ってきたが、何と1年以上かかってしまった…お陰でおちかのおめでたからの臨月以外すっからかんに忘れてしまっていた。伊一郎の事とか古道具屋さんのこととか。諦めて文庫本でも揃えようかな。 今回は表題作でおちかの出産に富次郎が間接的に一役買ったが、これは...
図書館で予約していたのがやっと回ってきたが、何と1年以上かかってしまった…お陰でおちかのおめでたからの臨月以外すっからかんに忘れてしまっていた。伊一郎の事とか古道具屋さんのこととか。諦めて文庫本でも揃えようかな。 今回は表題作でおちかの出産に富次郎が間接的に一役買ったが、これは本当に出産に関わる全ての男性にやって欲しいとつくづく思った。前半の胸糞展開にムカムカしたところでこの『うりんぼ様』の活躍!世の中の男性、育休だの何だのの前に富次郎と同じ事をやってみたらいい。これくらい身体張ってくれてちょうどいいと思う。 『針雨の里』はまた怨念やら人を取り込むやらおどろおどろしいのを想像したが、とてもいい話だった。 お坊ちゃん育ちの富次郎が次回どう一皮剥けるのかが楽しみ。
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このシリーズも9作目かー。今作はそこまで怖い話はなくてほっとする。 「青瓜不動」・・・おちかの出産が近い。富次郎は青瓜不動、「うりんぼ様」が力を貸してくださるとのことで由来を聞く。そして出産の時、富次郎は黒白の間で、人面の大百足からうりんぼたちを助けるのであった。 「だんだん人形」・・・悪政に苦しむ人々。エピソードは残酷であったが、これは長年苦しめられてきた人々をまとめたものだ、という富次郎の解釈があった。悪政者が罰せられないオチにも納得がいった。 「自在の筆」・・・富次郎、ついに絵を描くことをやめる? 「針雨の里」・・・紙でできた人形、「風舞さん」。かれらは人の心を持つ化身となって、里を作るようになった。そして身よりのない子が成長するまで、一緒に働くようになった。しかし、山の大噴火によって、里はなくなってしまう。最後の最後まで里人は子供達を守りながら消えていくのであった。 印象に残ったのは針雨。途中まではよくわからない里の風習にひやひやしたけど、風舞さんたちが優しくて思いやりがあってつらかった。ただ、長年人として暮らしていけたのは幸せともいえる。 富次郎はゆらゆらしていた。絵をやめるかどうか迷いに迷って、結局捨てることができなかった。次作では振り切って聞き手になるのだろうか。
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切ない気持ちになる…。 ものごとを悪くとらず、面白がり、楽しんで世渡りするからこそ、大らかに人助けができる。 最近の自分は余裕がない気がするなぁと、少し反省。
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三島屋シリーズも第九弾ですか…そして、おちかちゃんが無事おっかさんになりましたよ!小梅ちゃんという名前がちょっと意外でしたが…いやぁめでたい\(^^)/ 『青瓜不動』ときいておどろな話かと思いきや愛称が『うりんぼ様』でかわいかったし、『だんだん人形』も代官の悪行は読んでてつらいけ...
三島屋シリーズも第九弾ですか…そして、おちかちゃんが無事おっかさんになりましたよ!小梅ちゃんという名前がちょっと意外でしたが…いやぁめでたい\(^^)/ 『青瓜不動』ときいておどろな話かと思いきや愛称が『うりんぼ様』でかわいかったし、『だんだん人形』も代官の悪行は読んでてつらいけど土人形のお出ましは感動的。『自在の筆』で絵をやめようと富治郎が思ったのも当然だし、『針雨の里』の話を聞いてまた描きたいと涙したのも無理からぬことで…いやほんとに良いお話でした。
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三島屋第9作。 ・富次郎の絵描き願望について思ったこと 紹介文に「ある決心をする」ってあったからさ、やっと決着するのかと思ってたらできてないじゃん!な「好きな絵を描いて暮らしていけたらいいなあ」問題。 ずーっと富次郎の中でわだかまってるコレに共感できずにいる。いつまでもうじうじしとらんでとりあえずやってみればいいのにって。せっかく業種的にも経済的にも人間関係的にも恵まれたそこそこ裕福でデザインが認められやすい袋物屋の次男坊なのに。 好きな絵「だけ」描いて暮らせるほどにはなれなくても、身内や今までの知己を頼れば絵を使ってもらえる機会はありそうだし、副業的にやっていけそうな気もするのになーと。富次郎の絵が商業向きか否かは分からんが、性格的に癖がなくて聞き上手で仕事がしやすそうなのもプラスだし。そこから「絵を売り物にするのはやっぱ何か違うや~」と思ったらそれはその時また考えたらいいことだし。うまくいかなくてもやってみれば気が済む部分はあろうし。 頭をはたいて「Why Not !?」って言ってやりたいんですが、本人的には一歩踏み出す何かが足りないのかね~っていうか百物語完結間際まで彼のうじうじにお付き合いせんといかんの?と思うと正直面倒だな、と思ってしまう。できたら彼にはチャレンジを始めて百物語は他の人にチェンジしてほしいんですが、流石に聞き手を変えるっていう手法はそうそう使えないだろうしな~~~。
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三島屋の変わり百物語の9冊目。 小旦那の富次郎に代わってからどうなることかと思っていたが、今回の話は好きだった。特に針雨の里が良かった。さすが宮部みゆき、不思議で少し悲しくて、少し怖くて、ほっこり温かいお話でした。
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