SNSの哲学 の商品レビュー
SNSを、ひとつ、承認欲求の問題として考えています。 自分が何者か知りたい、自分とは、を断言できる確信を得たい、そんな側面が、SNSにはある、と。 とくに、そこで有害にもなってくる3点として、 依存、不安、疎外。 依存は、自分が満たされるために、外部の行為に依存しているという...
SNSを、ひとつ、承認欲求の問題として考えています。 自分が何者か知りたい、自分とは、を断言できる確信を得たい、そんな側面が、SNSにはある、と。 とくに、そこで有害にもなってくる3点として、 依存、不安、疎外。 依存は、自分が満たされるために、外部の行為に依存しているということ。SNSでいいねをもらったり、注目を得たりすることは、フォロワーや他者の選択によるので、自分ではどうしようもない。けれど気にさせるのがSNS。 不安は、絶え間ない、終わりのない、欲求であること。そう、SNSを続ける限り、投稿をし続ける限り、満たされることはない。毎回、気になるし、期待を抱えて使用する。 疎外は、自分を作ることで、本来との自分との乖離を感じること。これは本当に難しいことですね。とくに成長過程の若者絵の影響は、現の自分とのバランスの保ち方、きっと難しいはず。 そのほかの論点もいろいろありました。 特に個人的に興味深かったのは、 時間。そう、時間は人間が、とりとめもないものを理論化したものだった。実際は複雑でつかみどころないものなのだということを完全に普段忘れている。SNSは、過去に自分が言ったことも今の自分と同一視されることがあり、時間の概念自体に介入する部分も多く、使い方次第で大ごとにもなるので注意が必要ですよね。 言葉も、理論。ヴィトゲンシュタインの言語ゲームのお話も紹介されていましたが、 他者とのトラブルも、自分の悩みも、適切な言葉を使えていないことから。 SNSの世界では言葉だけでなく加増賀や動画がどんどん出てきたのも、言葉での表現の難しさ、わずらわしさがあるのかもしれませんが、 とにかく物事はほぼ適切には、思った通りには、伝わらない、と思っておいたほうがいいですね。 ビー玉の小宇宙、それがそれぞれの人生… 美しい表現でした。
Posted by
SNSとは何か、ヘーゲルやハイデカー、アーレントを持ち出し、深く考察する。 何気なく使っているInstagram やX の裏に潜む意味がわかる気がする。
Posted by
SNSを5つの側面(承認欲求、時間、言葉 アルゴリズム、連帯)から哲学的に考える。 アルゴリズムは、偶然性を排除する。 アルゴリズムの外側は、賭けと責任が伴うが、 偶然性の出会い、新しい体験をもたらす。 SNSを否定するのではなく、SNSのもつ性質 から、主体的に哲学にも興味...
SNSを5つの側面(承認欲求、時間、言葉 アルゴリズム、連帯)から哲学的に考える。 アルゴリズムは、偶然性を排除する。 アルゴリズムの外側は、賭けと責任が伴うが、 偶然性の出会い、新しい体験をもたらす。 SNSを否定するのではなく、SNSのもつ性質 から、主体的に哲学にも興味を持たせてくれる 一冊で面白かった。
Posted by
SNSの側面からみた哲学。 一見して難しそうに感じるが、内容はわかりやすく、読みやすい文章なのでスルスル読了できた。 SNSを通じた承認欲求、時間の概念、炎上するつぶやき、アルゴリズムなどを哲学的に思索する。 改めて考えたことのない内容だったので、面白かった! ただ、説明はあるに...
SNSの側面からみた哲学。 一見して難しそうに感じるが、内容はわかりやすく、読みやすい文章なのでスルスル読了できた。 SNSを通じた承認欲求、時間の概念、炎上するつぶやき、アルゴリズムなどを哲学的に思索する。 改めて考えたことのない内容だったので、面白かった! ただ、説明はあるにせよ哲学用語が多く、そこが小難しく感じる人もいるかもしれない。 自分の中で噛み砕きながら読むことをおすすめしたい。
Posted by
SNSに疲れることがよくあるので(今もそう)、参考になった。 SNS疲れは承認欲求によるもので、不安、無理をすること、他律性が原因。キラキラした投稿でいいね!をもらって、その瞬間は満たされたとしても、また他の人の投稿がすぐ目に入って、「自分は魅力的な人間じゃない…」と落ち込む。 ...
SNSに疲れることがよくあるので(今もそう)、参考になった。 SNS疲れは承認欲求によるもので、不安、無理をすること、他律性が原因。キラキラした投稿でいいね!をもらって、その瞬間は満たされたとしても、また他の人の投稿がすぐ目に入って、「自分は魅力的な人間じゃない…」と落ち込む。 自分の承認欲求を満たしてくれる人は、逆に自分もその人の承認欲求を満たす道具に成り下がっている。ヘーゲルの相互承認(役に立つかは関係なくわたしはあなたと関わっていきたい)の実現を目指すことが必要なのだとわかった。
Posted by
アルゴリズムは自分にとって新しいものは与えないということが知れてよかった Twitterは本音であるように見える(見えるだけでそうとは限らない)
Posted by
「〇〇について考えなくてはならない」というとき、その言葉が前提として孕んでいる強制力。たしかにあるなあと思った。 「考えたい」と「考えなくてはならない」は異なり前者のスタンスで物事に向き合えたら、それは現代人にとってとても豊かな態度なんではと想像したりした。 表紙は子供向け本み...
「〇〇について考えなくてはならない」というとき、その言葉が前提として孕んでいる強制力。たしかにあるなあと思った。 「考えたい」と「考えなくてはならない」は異なり前者のスタンスで物事に向き合えたら、それは現代人にとってとても豊かな態度なんではと想像したりした。 表紙は子供向け本みたいな雰囲気だけれど、大人向けの書き口だった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ついSNSを見てしまうのをやめたくて読んだ。 とても読みやすかった。偶然性を許容していきたい。 65 つぶやきは本音が表れてるように感じるから見たくなる 90 アルゴリズムによって表示されるニュースは、単にたくさんの人が見ているから。重要なニュースが漏れている可能性もある 93,97ハズレを選ぶ可能性は低くなっても、全く新しいものではない。賭けと責任を排除する 102 偶然に起こる、予測できないことはこの世にある。 105 明日の自分も新しいもの。昨日までの自分が好んだものを好まないこともある。
Posted by
#SNSの哲学 #戸谷洋志 #創元社 #読了 #YA 難しい部分もあったが興味深い。「『考えたい』という気持ちを大切にしてほしい」を言い換えると「『考えなければならない』という圧力から、自由になってほしい」と語られる。何事もそうかも。自分も他者も自由にして、そこから生まれるものを...
#SNSの哲学 #戸谷洋志 #創元社 #読了 #YA 難しい部分もあったが興味深い。「『考えたい』という気持ちを大切にしてほしい」を言い換えると「『考えなければならない』という圧力から、自由になってほしい」と語られる。何事もそうかも。自分も他者も自由にして、そこから生まれるものを大切にしたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
他者から承認されようとすることは、「他者から承認されるような自分」になろうとすることで、必然的に頑張ることを強要されてしまう。 SNSで他者から承認を得ようとすると、 ①私の生きやすさが他者に依存する ②絶え間ない承認を求めることで、常に不安を喚起する ③承認を求めるほど自分自身を見失う(疎外) ことにつながる。 SNSネイティブにとって、人間関係の開始はインスタの相互フォローなどを指し、リアルとSNS上の関係性の区別はできない。 自律性は他者に頼らないでいられることで、他律性は他者に頼らないではいられないことである。一般的に自律ばかり求められるが、アイデンティティの形成には他律(他者)も必要で、かつ自立は他律の中からしか生まれない。 ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」によると、問題に直面した時、「問題が難しい」のではなく、「問題を考えるために適した言葉を使えていない」だけ。この考えによると、相手のルールや文脈が読めないSNSは、ベリーハードな言語ゲームである。 アルゴリズムは偶然性を排除し、それはすなわち「賭け」(はずれ)と選択による「責任」の排除である。
Posted by