1,800円以上の注文で送料無料

しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人 の商品レビュー

3.5

35件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/07/04

ミステリーを愛して止まないのに小バカにした感じが最高 #しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人 ■きっと読みたくなるレビュー またやってくれましたね、さすがは早坂吝先生。 いつも変態的なミステリーをありがとうございます。 ミステリーを愛してやまない癖に、小バカにした感じが...

ミステリーを愛して止まないのに小バカにした感じが最高 #しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人 ■きっと読みたくなるレビュー またやってくれましたね、さすがは早坂吝先生。 いつも変態的なミステリーをありがとうございます。 ミステリーを愛してやまない癖に、小バカにした感じが最高なんすよね。いい塩梅で読者をおちょくってくるですよ。こんな作家先生、唯一無二だと思うんだよなぁ。 読みやすく楽しい作品なのでたくさんの人に読んで欲しいですが、正直ミステリー初心者には本作の渋みが分からないかもしれません。 どんな小説なんだと思われるかもしれませんが、しっかりとした本格ミステリーです。迷宮牢というトンデモ館をはじめ、癖のある魅力的な登場人物ばかりだし、実はプロットも出来が超イイ。謎解きも伏線も二重三重によく練られているし、なかなかの読み応えです。 タイトルがまず奇妙なんですが、内容もその通りでびっくり。どんだけやりたい放題のミステリーにするんだって感じで、作者が一番楽しんでるに違いない。 本作、いろいろ推しどころありますが、まずはキャラクターも癖がスゴイ。特にお気に入りは汚野ですね。癇に障る言動と人生舐め切った態度が憎々しいのよ。正直やり過ぎで、人によっては合わないんでしょうが、これがイイんですよ。やり切ってくれるところが素晴らしい。 そしてメイントリックも癖スゴで、まぁ一筋縄ではいきません。入り組んだ奥深い仕掛けで、もはや宗教とか思想のレベルで騙しへの思いが強すぎ。真面目なのか冗談なのか判別不明。でもカラっとしていて、読み終わった後は晴れやかな気分にさせてくれるんです。 世の中には社会へのアンチテーゼやカタルシスが深い重厚感たっぷりの作品はいっぱいあります。本作も重厚感はありますが、ベクトルの向きが全く違う面白さなんですよね。 ■ぜっさん推しポイント 褒めてるのか貶しているのか…といったレビューでしたが、なかなかの力作です。 一見ライトに書かれたミステリーのようにも読めますが、構成がめっちゃ上手で、導入から最後まで一気読めてしまう。トリックもシンプルながらも挑戦的なことをやってるし、かなり精魂こめて書かれたんでしょう。 今年のミステリーの中でも爪痕を残す作品だと思うので、ミステリー好きは絶対読みましょう!

Posted byブクログ

2023/06/25

多少のご都合主義的な部分はあるものの、メインと思われる迷路の館『迷宮牢』の趣向はロジックに欠かせない要素になっていますし、作中作、叙述トリックなどを絡めて単なる一発ネタに終止させないところは好印象。幾重にも仕掛けられた騙しに翻弄されました。

Posted byブクログ

2023/06/12

この世の中で実際に起こっている一方的で理不尽な暴力と、フィクションの世界でしかお目にかかれない不遜で全能な名探偵。 迷宮牢は迷路館というよりは暗鬼館を連想した。 アイデアの一つがマニア過ぎて惚れ惚れ。それで有栖川なの...。笑 この、ある種の内輪ネタがそれまでのシリアスな展開と...

この世の中で実際に起こっている一方的で理不尽な暴力と、フィクションの世界でしかお目にかかれない不遜で全能な名探偵。 迷宮牢は迷路館というよりは暗鬼館を連想した。 アイデアの一つがマニア過ぎて惚れ惚れ。それで有栖川なの...。笑 この、ある種の内輪ネタがそれまでのシリアスな展開とのギャップでくらう。 長いこと根に持ってる某ミステリ(?)の内輪ネタをみんなに披露してる感じが嫌だったので、これとの違いはなんだろうと思ったり。深度?? あとこういう形の名探偵の◯が◯むことすら許されづらい部分もあって一番しんどいのでは...。

Posted byブクログ

2023/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ミステリーというジャンルは、殺人事件が発生するものが圧倒的多数である。ろくでもない人間が、ろくでもない理由で人を殺す。殺人という行為をあまりにも軽く描くきらいはあるし、少なくとも「良書」とは言えないよなあ。  と、『殺人犯 対 殺人鬼』の感想に書いたのだが、早坂吝はまたまたろくでもない作品を世に送り出した。冒頭の殺人事件から胸糞が悪いし、下劣な犯人像が腹立たしい。早坂作品と承知していなければ、壁に投げつけただろう。  場面は飛び、迷路牢で目覚めた女名探偵を含む7人。ゲームマスター曰く、6つの未解決事件の犯人が集められたという。殺し合って生き残った1人だけを開放するというのだが、誰一人自身の犯行を認めない。もちろん女名探偵も。  さらっと書いているが、6つの未解決事件の内容が酷い。中には現実の事件を彷彿とさせるものもある。ゲーム的な設定といい、ふざけすぎだ。クローズド・サークルのお約束として、集められた面々がどんどん死んでいくのだが、展開が雑すぎる。6人+1の人物描写は薄っぺらいし、序盤は早坂吝の意図が読めない。  残り人数が少なくなり、いよいよ解決編という段階に至っても、益々雑になっていくではないか。根拠としては弱すぎる。迷路牢の平面図を確認するのも面倒になってくる。そんな聞いてねえ情報を唐突に出しても、辻褄合わせになっていない。  ところが、この雑さは、構成上計算された雑さであることが、最後の最後に明らかになる。本作は、いつもの早坂吝らしいふざけた作風ながら、緻密さも持ち合わせていたのだった。帯によれば、有栖川有栖氏さえも騙されたのだ。  というか、犯人が実はそんな症状だったなんて、わかるわけないだろうがっ! あまりにご都合主義すぎる。だが、ご都合主義を楽しむのが早坂流ミステリーなのだ。本作はまさに、曲者作家・早坂吝の神髄が詰まった作品と言えるだろう。  正直、賞賛するのが癪な早坂吝に敬意を表し、星5つを捧げよう。

Posted byブクログ

2023/05/09

「あれだけ警戒しながら読んだのに完全に騙された。まさか、そうくるとは。」ーー有栖川有栖   女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマスターは「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」と言うが、ここ...

「あれだけ警戒しながら読んだのに完全に騙された。まさか、そうくるとは。」ーー有栖川有栖   女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマスターは「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」と言うが、ここにいるのは七人の男女。全員が「自分は潔白だ」と言い張るなか、一人また一人と殺害されてゆく。生きてここを出られるのは誰なのか? そしてゲームマスターの目的は?

Posted byブクログ