テムズとともに の商品レビュー
天皇陛下がまだ浩宮様だった頃にオックスフォード大学へ留学された2年間の記録である。 オックスフォードに日帰り旅行に行く予定があったので、日本人が書いたオックスフォードに関する本がないかなぁと探していて発見。 印象的なのはやはり、常に上品。陛下が留学された1983年は43年も前の...
天皇陛下がまだ浩宮様だった頃にオックスフォード大学へ留学された2年間の記録である。 オックスフォードに日帰り旅行に行く予定があったので、日本人が書いたオックスフォードに関する本がないかなぁと探していて発見。 印象的なのはやはり、常に上品。陛下が留学された1983年は43年も前の話で、インターネットもなければ携帯電話やポケットベルなどの通信機器などはなく、(ワープロすら存在していなさそう?)その時期に海外へ行かれた方というのは本当にご苦労されたことだろうと思う。 それなのに、陛下は泣き言一つおっしゃられていない!(強いていうならば、学食で少量でお願いします、というのを忘れて茹で過ぎの野菜がメインと同等の量になってしまいうんざりした、くらいだった気がする。) なのに私ときたら、イギリスは天気が悪いだ、ご飯がまずいだ、人が無愛想だって文句ばかり言っている。陛下はイギリスの良いところをたくさん見つけられて、積極的にイギリスを知ろうと努力されていたように見える。ご友人とパブやパーティに出かけられたり、ボートレースやテニスをされたり、または音楽会もされていた。もちろん陛下が多彩であるからそういった機会に恵まれたのであろうと察するけれど、私は特に何もしてない。恥ずかしい。毎日毎日イギリス人を目の敵にして早く日本に帰ることばかりを考えている私。もっと早く読みたかったな。 陛下が何事にも寛容で、常に謙虚な姿勢で対応したり解釈されていることに頭が下がる。それが故に、たくさんのご友人や先生方に出会い、親交を深められたと思う。 そしてオックスフォードだけでなく、イギリスの歴史、そしてタイトルにもあるテムズ川についても非常に勉強になり、オックスフォードに行くのが待ち遠しい。きっと43年前とは何もかもが変わってしまっているのかもしれないが、ここに陛下がいらっしゃったんだと思ったら格段に見えるものが変わってくるような気がする。 陛下から見たイギリス人の章で、 石と木の違いと関連してもう一ついえることは、日本とイギリスにおける「プライベート」ということに関する考え方の相違である。この点は現代の住宅事情に負うところも多いであろうが、私は、イギリスの人々がプライベートな時間、生活、空間をひじょうに大切にするように思う。彼らと話をしていても、ある部分までは自分のことについて話すが、あるところから先は他人の踏み込めない領域があるように感じる。カントリー・ハウスなどでも、プライベートと書かれた標識があると、たとえ柵も何もなく簡単に越えて行けそうでも、まずは入り込むことはない。彼らはバカンスを精一杯楽しむ。バカンスの日々は、次の仕事に対するエネルギーを蓄える大切な時間であるかのように。要するに、彼らは伝統的な個人主義にもとづいて、自己というものの領域をしっかりもっており、そこにはお互いに踏み込まないように人々の間で暗黙の了解があるように思う。これは、石で外と隔てられた空間と、紙とか木という誰でも簡単に入ってこられそうなたいへんに薄い仕切り空間の中にいる人間の、アイデンティティの相違なのであろうか。 これがもっと早くわかっていたら、イギリス人が無愛想なことくらいとっくの昔に許してたなぁー。 生まれた時からご自身の将来が決められている宿命というのはどんな気持ちなんだろうか?陛下が初めて手にした本当の自由行動、冒険がいかに楽しく充実したものだったかがわかるし、そのことを述べられている章では少し切ない気持ちになった。
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今上天皇陛下が20代のころオックスフォード大学に2年間通われた時の自伝。 序盤は、さすがに地位のある方の生活は華々しいなぁと庶民の感想を持った。 しかし、芸術やスポーツに明るく、研究にも熱心なお姿は想像しておらず、凄いお方なんだとこれまた庶民の感想を持った。 海外の学校の寮生活。自分にはまず縁はないけど、想像するだけでワクワクしてくる。
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天皇陛下の青春時代、皇太子だった頃に英国留学された留学記。 研究のテーマとされたテムズ川はもちろん、ホームステイ先のホーム夫妻邸、オックスフォード大学での話やスカッシュにハマった話、パブでのビールの注文の仕方など事細かに記してあります。 天皇陛下の人柄や生活習慣に興味がある方は、...
天皇陛下の青春時代、皇太子だった頃に英国留学された留学記。 研究のテーマとされたテムズ川はもちろん、ホームステイ先のホーム夫妻邸、オックスフォード大学での話やスカッシュにハマった話、パブでのビールの注文の仕方など事細かに記してあります。 天皇陛下の人柄や生活習慣に興味がある方は、一度手に取って頂きたい。
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書店で平積みされており、手に取った。 昔、喫茶店で隣のボックス席の中年女性たちが大声で「テンちゃんが〜」と話しているので友達の話かと思ったら、天皇陛下の話であったことを思い出した。 不敬罪が過ぎるだろ…と思いながらその時は聞いていたが、この本を読んでみると、友人とパブに行ったりテ...
書店で平積みされており、手に取った。 昔、喫茶店で隣のボックス席の中年女性たちが大声で「テンちゃんが〜」と話しているので友達の話かと思ったら、天皇陛下の話であったことを思い出した。 不敬罪が過ぎるだろ…と思いながらその時は聞いていたが、この本を読んでみると、友人とパブに行ったりテニスをしたりする、テンちゃんがそこには息づいていた。
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今の天皇陛下がまだ皇太子だった1983年から85年までの2年間、イギリスで語学研修を受けた後にオックスフォード大学で過ごした時の様子を綴ったエッセイ。大佐の家にホームステイを3ヵ月して、英語やイギリスの生活についてのレクチャーを受けてから、テムズ川の水運の歴史を研究論文としてま...
今の天皇陛下がまだ皇太子だった1983年から85年までの2年間、イギリスで語学研修を受けた後にオックスフォード大学で過ごした時の様子を綴ったエッセイ。大佐の家にホームステイを3ヵ月して、英語やイギリスの生活についてのレクチャーを受けてから、テムズ川の水運の歴史を研究論文としてまとめるまでの様子。ほとんど大学生活の話。日記をつけていらっしゃるということで、何月何日に何をした、ということが分かる。 2年連続でイギリス研修の引率をして、今年はオックスフォードも学生の案内付きで観光したこともあり、一度読んでみたいと思っていた。天皇陛下が書いたものだから、この場でツッコんだり茶化したりして大丈夫なのだろうか、と正直思ってしまうし、あんまり細かくは書かないのだけど、とても読みやすく、やっぱり天皇だけに日常の失敗談なんかは新鮮で、結構面白い本だった。 もちろん今の時代なら一般人もこういうことをするのは不可能ではないと思うが、マンツーマンの3ヶ月のホームステイで英語を徹底的に鍛えてもらえるとか、基本的には警護官(ロンドン警視庁の警察官)と一緒で、ボディーガード的に守ってもらえること以上に、何でも英語で話せる人が常にいて、日常のちょっとした分からないこととか不便なことは助けてくれる人がいるとか、やっぱり恵まれてるよな、とか思ってしまう。もちろん、そういう立場の人だから当然なんだけど。でもそれに釣り合うだけの大変な思いをしているし気も遣う立場、というのが分かる。「到着早々、それまで経験しなかったヘイ・フィーヴァー(花粉症)にかかってしまい、屋外で食事をとったり、農場内を回ったりするのはいささか苦痛であった」(p.37)とか、やっぱり立場的にイヤです、とも言えない辛さとかあるのかな、と思った。「カードの通用する店ではクレジット・カードでの買物をしていたが、これも今後はまず縁のないことであろう。」(pp.83-4)とか、やっぱり浮世離れしている。こんな皇族の人はたぶん日本で電車とかも乗らないだろうに、交通の歴史が専門なんて、もし下界の人だったら絶対電車好きの学生になるんじゃないか、と思ったりした。ちなみに交通への興味が深まったのは、「初等科高学年の折りに母とともに読破した芭蕉の『奥の細道』」(p.150)の影響もあるということで、そんな家庭教育をするのか、とか思ったりした。「生まれて初めて入るディスコのこと、内部の騒音は聞きしに勝るものと思った」(pp.103-4)とか、ちょっと笑ってしまう。 やっぱり外国での大学生活、というのは皇太子じゃなくても興味がある話だった。これが書かれた当時は当然ハリー・ポッターなんてなかったわけだが、やっぱり今読んで想像するとハリー・ポッターみたいだな、と思ってしまう。それにしても「大学は四カ月の長い休暇に入る」(p.65)って本当羨ましい。四カ月って。 あとは、オックスフォード大学の歴史、ということも解説されていて、これを読んでからオックスフォードに行けば良かったなと思う。「大学創建時に始まった両者の対立感情が細々とではあるが今日まで続いている」(p.55)というのは、今でも有効なのだろうか。「ターフ・タヴァーン」という、「行きつけのパブ」(p.101)もあるらしく、知っていれば自由時間に探してみたのに、と思う。 オックスフォードのことも面白いと思ったし、やっぱり将来天皇になるような皇族の人ってどんなことするんだろう、というのを知るのは興味深い。音楽の合奏をしたり、テニスをしたり、文字通りの文武両道の理想系が求められ、とにかく言葉が分からなくても社交的に接しないといけない、というのは、おれだったらすごいストレスだろうな、と思うと、もちろんラクして恵まれた生活をしている、というわけじゃないというのが改めてよく分かる。 今から40年以上前の話なのに、なんかそういう古さを感じさせない内容や文体だから、そういう意味でもすごいなと思った。読み終わって、皇太子が遊学する、ってシェイクスピアのハムレットみたいだな、とか思った。(26/12)
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天皇が40年以上前にオックスフォード大大学院で青春を過ごした遊学記です。 誠実で真面目なお人柄が滲み出ています。 彬子女王の赤と青のガウンを読んだばかりでしたが、2人の待遇と勉学の違いに驚きました! 浩宮さまは留学先は国家同士で決まり、到着早々にバッキンガム宮殿に招かれています。そして寮の隣室には英国警察の警護官が詰め、各国王族たちと親交を深めて行きます。一方勉学の方は修士号を目的としないものだったようで、真面目に勉学に励みながらも音楽やスポーツも存分に楽しんでいます。 それでも浩宮さまが次の次の天皇として英語に磨きをかけ、学生生活を謳歌し、エリザベス女王陛下他ヨーロッパの王族たちと親交を深めたことは日本国にとっても彼の人格形成にとっても価値があったことと思います。 長いのでオックスフォードの説明など他の人でも書けることを省いたらもっと売れそうです。
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彬子女王の『赤と青のガウン』では、エリザベス女王とのお茶会が緊張のエピソードとして描かれていた。しかし、天皇陛下が書かれたこちらでは、エリザベス女王やほかの王族との交流、さらにはお城に滞在することまでもが、日常の一部として語られていて、お二人の立場の違いを感じた。
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20251108053 天皇陛下によるオックスフォードでの2年間の記録。皇族としての天皇陛下と一若者としての天皇陛下、それぞれの立場を保ちながら語られる物語は感慨深い。
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今上天皇の二十代のころの英国留学のエッセイ。 当時の浩宮様が留学からお帰りになられたというニュースを幼少のころみたような記憶がある。 生真面目な中にエッセンス的ユーモアがあるといった文体で、内容をイメージできる程度に興味のツボが合えば興味深く読めると思う。 が、私にはスポーツ...
今上天皇の二十代のころの英国留学のエッセイ。 当時の浩宮様が留学からお帰りになられたというニュースを幼少のころみたような記憶がある。 生真面目な中にエッセンス的ユーモアがあるといった文体で、内容をイメージできる程度に興味のツボが合えば興味深く読めると思う。 が、私にはスポーツも登山も興味がなく(笑)、さらにイギリスに行った事もなく読むのに一苦労した。 ともあれ、読了できてよかった。 雅子様とオックスフォードに行ったときのエッセイもあれば読みたいと思うのであった。 2025/11/03読了
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オックスフォード大学に通っていた人が読んだら、郷愁に駆られるだろうなぁと思いました。 天皇陛下にとっては、日本では経験できない普通のこともできた有意義な2年間だったのでしょう。 イギリスの大学の形が日本とは随分違うことも知れました。
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