52ヘルツのクジラたち の商品レビュー
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与えられる側から与える側になっていくものなんだ、というセリフが印象に残った。 読んでいる最中、キナコは与える側に変わっていっているように思えるが、本人も言っているように、愛に与えることでキナコに与えられていたものもあるんだと思った。
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その声は届かない。孤独の中で鳴き続けるクジラ。届くのか届かないのかわからない中で鳴き続ける。 受けとる側が繊細にその声に耳を傾けたとき、その声は届くのかも知れない。 テンポもよく重めなストーリーにしてはサクサク読み進められ相関図もいい。 裏表紙にも気づいて良かった。
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文庫化待ってた! エピソード盛り盛りで飽きさせない、スピード感を感じる展開、場面も映え映え、これは是非映画化して欲しい。 悪役はとことん嫌な奴で、いい人はとことんいい人で、すごいハードな出来事を回想シーンでサラリと書いて、それでもなんとなく都合よくいい感じにストーリーが運んで、読...
文庫化待ってた! エピソード盛り盛りで飽きさせない、スピード感を感じる展開、場面も映え映え、これは是非映画化して欲しい。 悪役はとことん嫌な奴で、いい人はとことんいい人で、すごいハードな出来事を回想シーンでサラリと書いて、それでもなんとなく都合よくいい感じにストーリーが運んで、読んでてすごく楽。 少年漫画で修行のシーンをすっ飛ばしてバトルシーンだけ読んでるみたいな快感がある。 文章が上手いんだろうか。シーンを描くのが上手いんだろうか。よくわからないけど、同じストーリーを別の人が書いたら、すごい辛気臭くなりそうなのに、こんなハートフルにできるのほんとすごい。
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チョコレートグラミーの方だったのね! 単行本が出たものの、いつか中古で文庫が買えたらいいかなくらいに思っていたものの、実際に文庫が発売されるとそりゃあ買っちゃうでしょう。 だいぶ読みたくてたまらなかった作品。 ここでは52ヘルツのクジラたちが登場。 誰にも届かない52ヘルツの声で鳴き続けているが、誰かにその声が届くことはあるのか?! 私は、『あんさん』クジラが好きです。 でも、野田クリで読んでしまって。。。 (いつも好きなタレント当てはめてしまう) ちょっと失敗でした。 (読んだ人にはわかる) あと、一番優しかったのは美晴ではないかと。 ちゃんと心の声を、どんなヘルツでも受け止めてくれる人がいる環境は 本当に恵まれているのだなと思いました。改めて感謝。 私も、これから、 誰かの52ヘルツの声が聞こえて、 少しでも助けになれることがあればいいのにな、って思います。 これを読んで、思いやりのある人間人口増加すればいいのにな! まさかの! 文庫カバーの裏にぃぃぃい!!
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まず、タイトルがいい。どういうお話なんだろうと興味をそそられるし、「暗い海で、誰にも気づいてもらえずに鳴き続けるクジラ」というインスピレーションがもの悲しく、そして美しい。過去作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』もいいタイトルだなと思ったけれど、本作はさらに素晴らしい。 読んだ...
まず、タイトルがいい。どういうお話なんだろうと興味をそそられるし、「暗い海で、誰にも気づいてもらえずに鳴き続けるクジラ」というインスピレーションがもの悲しく、そして美しい。過去作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』もいいタイトルだなと思ったけれど、本作はさらに素晴らしい。 読んだ感想としては、万人受けする良作なんだろうけど何か物足りないなと感じた。悲しい物語かと言われればそうでもないし、人の暖かみがすごく伝わる作品かと言われればそうでもないし…なんというか悪い意味で優等生的な作品すぎて作品のカラーが薄まっている、あるいはトーンが統一されていないような印象を受けた。「悲しいけど優しい物語」じゃなくて、「悲しい物語」、「優しい物語」が読みたい。 主人公はなかなかの苦難に巻き込まれる。しかし作品スタート時点では苦難のピークが去ったあとで、作中でしんどい思いをするのは「52」と名付けられた少年。主人公は彼を救うというスタンス。この構成が自分的にはちょっと微妙だなと思った。自分的には主人公が活躍する、苦難にあう、悩む、という作品が好き。 なんか文句ばっかり言ってるけど、悪い作品かと聞かれれば間違いなく良作だと思う。が、自分の好みとすこしはずれるので☆3つ。
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キナコや52が生きてきた環境は、恵まれて育った私からはかけ離れすぎていて、安易に想像できるものではないし、言葉を追うだけでも苦しい世界だった。 しかし、この物語はそんな苦しさを突きつけるだけのものではなく、どんな小さな苦しみでも優しく寄り添い、掬い上げてくれる物語だと感じた。 『今すぐどこかへ行きたくて、でもそのどこかはここなのに。』 『何もかも投げ捨てたい衝動に駆られて、でもそんなことしたって感情をセーブできない自分を嫌悪するだけだ。』 こんな想いを抱えることはキナコだけじゃなく誰にでもあることだ。誰しも、他人からは完全には理解してもらえない自分だけの想いをもっているから、そういう意味では人間はみな孤独な生き物なんじゃないかと思う。しかし、その孤独を抱えきれない人がいた時に、アンさんのように、そしてキナコのように助けの声に耳を傾けられるような人間でありたいと思った。
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群れから外れて何処に居るかも分からない仲間へ聞こえない声を投げ続ける孤独はとても恐ろしいものだ。どんなにあっさりとした性格の人間であっても、どこにも声が届かない孤独はその人間を殺し得る。つい最近まで感じ続けていた孤独を思い出して胸が詰まり、一晩置いてから読み直した。 キナコは52...
群れから外れて何処に居るかも分からない仲間へ聞こえない声を投げ続ける孤独はとても恐ろしいものだ。どんなにあっさりとした性格の人間であっても、どこにも声が届かない孤独はその人間を殺し得る。つい最近まで感じ続けていた孤独を思い出して胸が詰まり、一晩置いてから読み直した。 キナコは52の助けての声を聞き取ることができた。私も同じHzで発せられる声に気付き寄り添える人間になりたい。
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52ヘルツのクジラとは、世界で一番孤独だと言われているクジラのこと。他のクジラとは声の周波数が違うため、いくら大声をあげていたとしても、ほかの大勢の仲間にはその声は届かない。 もう苦しくて、悲しくて。 親の愛情を欲している子供の心を何度も踏みにじる虐待は読んでいて胸が締め付けら...
52ヘルツのクジラとは、世界で一番孤独だと言われているクジラのこと。他のクジラとは声の周波数が違うため、いくら大声をあげていたとしても、ほかの大勢の仲間にはその声は届かない。 もう苦しくて、悲しくて。 親の愛情を欲している子供の心を何度も踏みにじる虐待は読んでいて胸が締め付けられます。虐待は心に捩れを植え付けます。簡単に解消されることではありません。 貴瑚の鳴き声に気が付き、彼女を救ったアンもまた鳴き声をあげていました。アンに救われていたことに感謝をしていた貴瑚は、自分がアンを救うことができなかったという後悔を埋めるために少年を救います。 声を上げても届かない、声すら上げられない人を助ける方法はとても難しいと感じました。でも、その声に気づいてあげることができたらと思わずにいられません。誰かに届いて誰かに相談できたら、現実で52ヘルツの声を上げている人がそんな出会いをしてほしいと思いました。 気になったのは少年を番号で呼ぶところ。クジラって呼べばいいのになぁ。2年後の話も読みたいです。
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以前に単行本でも読んでたので、今回の文庫は再読になりますが、いつ読んでも感動する素晴らしい作品で今回も涙してしまいました。余談ですが、新幹線の車内で読んでたので、周りの人からは若干白い目で見られました。笑 主人公は過去のトラウマを引きづるキコ。物語はキコが大分の辺鄙な村へと引っ...
以前に単行本でも読んでたので、今回の文庫は再読になりますが、いつ読んでも感動する素晴らしい作品で今回も涙してしまいました。余談ですが、新幹線の車内で読んでたので、周りの人からは若干白い目で見られました。笑 主人公は過去のトラウマを引きづるキコ。物語はキコが大分の辺鄙な村へと引っ越してくる場面から始まります。過去の贖罪に苛まれながら新たな生活を送る中で、1人の少年と出会います。その子は喋ることも出来ず、児童虐待を受けていました。そして少年の境遇に自分の境遇を重ねたキコは、徐々に少年と心を通わしていくストーリー。 この物語は、主人公と少年の出会い、虐待から救われた主人公の過去と新たな生活、そして主人公の犯した罪、少年と主人公の絆の4つのシーンに大きく分けられ、各ポイントに泣けるポイントがあって、特にアンさんとのシーンは2度目なのでもう感慨深いものがありました。 複雑化する現代で、救いの声をあげるのはもちろん大事ですが、その声を掬い上げることも等しく大事であるということが伝わる心優しい作品でした。
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きっと私にしか聴こえない心の声があり私の何処かの誰かが受け止めてくれる心の叫びがあるのだと思うとこの広い海原を泳いで行く恐怖も少し和らぐ様に思います。
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