私雨邸の殺人に関する各人の視点 の商品レビュー
過去にも殺人事件があったという「私雨邸」でまたしても殺人事件が起こり、しかも土砂崩れによってクローズドサークルになってしまった。身内が殺されたにも関わらずどこかしらシビアな視点を持つ被害者の家族。クローズドサークルと密室殺人という出来事にわくわくしてしまう大学生。面倒に巻き込まれ...
過去にも殺人事件があったという「私雨邸」でまたしても殺人事件が起こり、しかも土砂崩れによってクローズドサークルになってしまった。身内が殺されたにも関わらずどこかしらシビアな視点を持つ被害者の家族。クローズドサークルと密室殺人という出来事にわくわくしてしまう大学生。面倒に巻き込まれてしまったことをひたすら悔いる編集者。それぞれの視点から語られる物語のどこに真相があるのか。いい意味でゆるい読み心地のミステリです。 なんだかどの人も、殺人事件が起きた割には冷静というかなんというか。特に「他人事」感の強い人たちが多い印象でしたが、しかし実際そうなのかも。さらにその状況にわくわくしちゃう二ノ宮……いや、わかるよ。わかるんだけどね。そこまでいろんなことを期待している様子には危うささえ感じてしまいました。そりゃあ一条さんビビるわ。「内なる声」で毒を吐きまくる梗介もなんだか不審だし。読み口はゆるいしコミカルなのだけれど、どうも少し怖い人たちが多いかも。 それぞれが自分勝手に他人を疑い推理を組み立てる中、いったい誰が最終的に謎を解き明かすのか。そして各人がついた嘘とは何なのか。普通ならわりと緊迫感があるはずなのだけれど、淡々とした空気感でさらっと読める作品でした。でもミステリとしてはしっかり。
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クローズドサークルものはつい手に取ってしまう。 しかし、なかなか登場人物全員に癖があって、誰も好きになれない。この中の誰かと友達にならなければならないと言われれば、殺害された資産家か。資産家も面倒くさい性格だが根本的には良い人だったからなぁ。 一番友達になりたくないのは、二ノ宮だな。自分と関わりが薄い人が殺されてもそれをミステリの王道だと楽しんでしまうようなサイコパスでちょっと怖い。 犯人の正体を解き明かすシーンは各人が推理をあまりにも外しすぎていて新鮮だった。結果的に消去法で犯人が成立してしまうとは。笑 そんな理由で人を殺すか?そして自分も死のうとするか?という疑問は残るが、重い理由(大切な人を殺された復讐)は少々飽きているので、こういうのも良いのかもしれない。
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視点が変わる推理小説は結構あるけれど、その多くは視点を変えて同じ出来事を繰り返し説明するタイプではないだろうか? 本書は視点を変えながら話が進んでいく点で、珍しい構成な気がした。 犯人も結末も思い至らなかったな。だからと言って、アンフェアな話というわけではない。まあ、こんな動機で...
視点が変わる推理小説は結構あるけれど、その多くは視点を変えて同じ出来事を繰り返し説明するタイプではないだろうか? 本書は視点を変えながら話が進んでいく点で、珍しい構成な気がした。 犯人も結末も思い至らなかったな。だからと言って、アンフェアな話というわけではない。まあ、こんな動機で人が殺されるのか?ではあるけど。
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クローズドサークルという舞台で、ザ・ミステリー小説という感じだった。 ミステリの中では珍しく探偵がいないため、各自の視点で知りえた情報から推理を進めていく。 その中では各メンバ1人ずつ嘘をついていること、またその行動がかなり事件や密室にかかわるものであるため推理を難しく締まっている。 推理の手掛かりになりそうな情報を得ると、自分の信じたいものに沿った推理をしてしまうことがよくわかる小説だったなと思う。 水野・二宮が探偵役を務めた時はその典型例であった。 自殺志願者で欲望が一切なかった田中(私雨)にとっては情報をフラットに受け取ることができたので犯人にたどり着くことができた。
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山奥の「私雨邸」に閉じ込められた11人。クローズドサークルで殺人が起き、犯人捜しが各人の視点で展開する。 11人の登場人物中、主に4人の視点で事件が描写される。 名探偵は存在せず、素人同士の推理合戦。 しかしウッザいな~この探偵気取り。(読み進めるほどに推理外れろ!と強く思うよ...
山奥の「私雨邸」に閉じ込められた11人。クローズドサークルで殺人が起き、犯人捜しが各人の視点で展開する。 11人の登場人物中、主に4人の視点で事件が描写される。 名探偵は存在せず、素人同士の推理合戦。 しかしウッザいな~この探偵気取り。(読み進めるほどに推理外れろ!と強く思うようになっていく) 反して一条くんが一番好きなキャラですね。 名探偵がいると謎解きは名探偵におまかせ派の読者ですが、たまに出てくる神視点の一言でページを遡って該当箇所を探したりしてしまいました
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絵本「こうえんで…よっつのお話し」を、思い出した。それぞれの視点からみると、まったくちがって見えるというおはなし。わたしの推理もはずれてしまいました。かぎのトリックはわかりやすかったけど。
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他人のすべてを理解できないのは、当たり前なんだなと思った。トリックに驚くというより、登場人物の二面性にびっくり。
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嵐の山荘で密室殺人事件が発生するクローズドサークルもの。ミステリーマニアの学生、地元出版社の雑誌編集者、資産家の孫の3つの視点で展開していき多重推理で解決します。 探偵役がいないので多少のグダグダ感はありますが、誰が犯人で誰が解決に導くのかという先の読めない展開で読者を惹き付けま...
嵐の山荘で密室殺人事件が発生するクローズドサークルもの。ミステリーマニアの学生、地元出版社の雑誌編集者、資産家の孫の3つの視点で展開していき多重推理で解決します。 探偵役がいないので多少のグダグダ感はありますが、誰が犯人で誰が解決に導くのかという先の読めない展開で読者を惹き付けます。密室は特筆すべきものでは無いですし、犯人があっさり自供するなど物足りなさはありますが、手の込んだ構成は一読の価値があると思います。
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たった今読了。 最近の推理小説らしく、本格推理ものを踏まえて更にひねりをくわえてある。 ミステリーといえば名探偵。 スタンスにそれぞれ違いはあれど、とにかく犯人を突き詰める役を担わされている。 もちろん読者としては、この名探偵こそが推理小説の要で唯一信頼できるからこそ、ものがた...
たった今読了。 最近の推理小説らしく、本格推理ものを踏まえて更にひねりをくわえてある。 ミステリーといえば名探偵。 スタンスにそれぞれ違いはあれど、とにかく犯人を突き詰める役を担わされている。 もちろん読者としては、この名探偵こそが推理小説の要で唯一信頼できるからこそ、ものがたりを安心して楽しめる。 でもそこに名探偵がいなかったら? それがこの作品。 クローズドサークルにおいて起きた密室殺人で、だれかが犯人なのに、信頼できる語り手も名探偵も不在…。 登場するのはそれぞれ個性豊かで、不思議と憎めない人物ばかり。名探偵がいないってことは、読者が自分で犯人を考えながら読むしかないのに、登場人物それぞれの視点ではなかなか犯人がわからない。 それぞれの視点では開示されている情報も、ある人物は知らなかったりするし…。 この感じは「イヴリン嬢は七回殺される」でも嫌というほど味わったな…。これは複雑すぎて「私雨邸〜」に比べると読み応えやばいです。めちゃくちゃ好きですけどね。 読者への挑戦もあり、枠組みはちゃんと本格推理小説してます。 続編あったらつぎは快楽殺人かも?と期待しちゃうラストも面白かった。ヤバイ人を目覚めさせたのか…? ところで、ある登場人物が言ってた「死ぬ話以上に地に足の着いた話があんのか」ってほかのミステリーでもだれかが言ってた気がします。 たぶん学生アリスシリーズのような…。 思い出せなくてもやもやするー!
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