哀惜 の商品レビュー
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アン・クリーヴスの新シリーズ! 「凄く好き」と「星4つ」が同居する不思議。 派手さや尖ったところがないので星4つにせざるを得ない。 けれども脳内にはこの上なくしっくりくる。 シェトランド諸島とは打って変わって今度はイングランド南部のノース・デヴォンのスモールコミュニティが舞台。 マシュー・ヴェンはこの地を担うバーンスタプル署にとってまだ新顔の警部。 かつて家族内の信仰に背を向けたことにより堂々と参列出来ない事情のある父の葬儀。 物悲しさと共に遠目で見やった余韻もままならぬ中、自宅付近の海岸で刺殺体が発見される。 身元を辿っていくと夫のジョナサンが運営するケア・センターとの繋がりが。 被害者の同居人、次いで発生する誘拐事件の被害者、関係者がことごとくケア・センターに通じていく中、ジョナサンの夫であるマシューは利害関係があり過ぎると悩みつつ捜査を指揮していく。。。 そう、マシュー・ヴェンは同性愛者。 これまで同性愛者の登場する物語はそこそこ出会ってきた気がするけど、主人公かつ警部ってのはなかなかない気がする。 なのに自然体。 嫌味やこれみよがしさが全くない。 ジミー・ペレスとはまた違った善良さ、生真面目さも持ち合わせていて好き。 松恋さんの解説によればあと2作程は邦訳待ちになりそうで待ち遠しい! Wikipediaによれば、御年69歳の著者。 凄いなー。
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海沿いの街でおきた殺人事件、その一つの事件に対し冗長とも思える、周りの人々のひとりひとりの人物紹介に加え、施設の意義、案内を含め生まれつきの病気を持つ女性たちのことも丁寧に。尚且つ受け持つ警察の人たちの過去や現在抱えている悩みや状況まで。 丁寧すぎると言えばそれまでだけどようやく解決させるまでの長かったこと。 この作家さんの前のシリーズと共通するのはその丁寧さで読者の感情移入までさせてくれて、理詰めに緻密に事件を解決する整った感。読む人を選ぶのかもしれない。私は嫌いじゃないけれど。 このシリーズの警部は配偶者に対してかつてない愛情の深さを示してくれてその点でも、作家さんの本を書く丁寧さが伝わってきて、いろんな意味で好感が持てる。
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静かに読了。後半は一気に読み進めた。地図がついていたので参照しながら読んだ。殺されたサイモンの過去やもう一つのフラットの存在が明らかになるに連れ登場人物の輪郭がはっきりしていった。デニスの後ろに従っていたグレイスが実行犯だなんて驚いた。金のためじゃなく名誉のためとは新しい動機だと想った。
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アン・クリーヴスの新シリーズ!期待以上に面白かった!ようやくジミー・ペレスのシリーズを読み終えて(こちらも充分に堪能)、新しい主人公とご対面。マシュー・ヴェン警部、なかなか良いですよ。きっちりスーツを着こなす、真面目で一見面白味のない刑事だけど、ラスト、欺瞞ばかりの権力者に怒りを...
アン・クリーヴスの新シリーズ!期待以上に面白かった!ようやくジミー・ペレスのシリーズを読み終えて(こちらも充分に堪能)、新しい主人公とご対面。マシュー・ヴェン警部、なかなか良いですよ。きっちりスーツを着こなす、真面目で一見面白味のない刑事だけど、ラスト、欺瞞ばかりの権力者に怒りを持って対峙するシーンはスカッとした。同僚のシングルマザーのジェンや、まだまだ経験が浅いロスも、これからの活躍が楽しみだし、いつも短パンとTシャツ姿の夫であるジョナサンとのほんわかしたやり取りも読んでいて癒される。新シリーズなのでついつい人物描写ばかり書いてしまうが、事件そのものも面白かった。海岸で殺された男が、最初はただのアル中の駄目なヤツだと思っていたのに、読めば読むほど印象が変わっていく。彼が過去に立ち向かおうとする姿にちょっとジーンとしてしまった。どんなに大変でも、真っ当に生きようとする市井の人々をこれからも読み続けたい。
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アルコール依存症で心に傷を持つ 男性が殺された 警部の夫が務める施設で ボランティアをしている男性だった 司祭や田舎の有力者やその娘が 絡む人間関係の中で 事件は徐々に明らかになって いくが 結果的に聖職者のレイプ事件 何だか後味が悪く ドキドキするミステリーとは 違った
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初読みの作家さん。しかも新シリーズらしい。 登場人物たちの描写、背景が丁寧に書かれていることもあってとても長い小説だった。 マシューの穏やかさ知的さ、自信のなさや自分を過小評価しすぎるところが、今まで読んできた刑事像と違って、新鮮で好感が持てた。 次回作が出るなら楽しみです。
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謝辞に、 ――イギリスでは通常ダウン症の人々は「学習障害のある人々」と呼ばれる。この用語はいかなる価値判断を含まないので、本書ではこれを用いた。この用語が適切でないとみなされる場合があるのも知っているが、もちろん悪意をもって用いたわけではない。―― とある。 警察の捜索では 「~は保護の必要な成人(ヴァルネラブル・アダルト)で、学習障害があり、精神年齢は子供と同等だ」という情報共有。 本書では、ゲイカップルが登場する。 ゲイと宗教、家族。
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・あらすじ イギリスのランディ島が舞台。 海岸で発見された男性の死体。アル中無職ホームレスだったその男性は死の直前にダウン症女性との謎の交流をしていた。 社会的弱者である(になる)人々の問題なども描かれている社会派ミステリー。 ・感想 主人公のマシューが内省的なのに加え事件の概要や書かれる風景描写なども合わさって全体的に物静かな作品だった。 皆それぞれ日々の生活で苦しみ、悩んでて謎解きよりも人物描写がメイン。 マシューとパートナーのジョナサンペア好きだったけど、とにかくルーシーの明るさがこのどこか陰鬱で物静かな作品に華を添えてた。 中盤までジョナサンが黒幕かもしれない…って穿った読み方してたw タイトルがすごく作品を表していて良いなと思う。 哀惜;人の死などを悲しみ惜しむこと。また過ぎ去ったことに心ひかれて惜しむこと。
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シェトランドシリーズのアン・クリーヴスの新作。 もしかして新シリーズになるのかな? (本国ではシリーズ3作が刊行されている様子) 今回も主要な登場人物たちの心の声、ダダ漏れ。 これによってその人となりが理解できるのがうれしい。 主役の警部、マシュー・ヴェンは見た目冷静で、できる...
シェトランドシリーズのアン・クリーヴスの新作。 もしかして新シリーズになるのかな? (本国ではシリーズ3作が刊行されている様子) 今回も主要な登場人物たちの心の声、ダダ漏れ。 これによってその人となりが理解できるのがうれしい。 主役の警部、マシュー・ヴェンは見た目冷静で、できる男な雰囲気なのだけど、内面はナイーブで繊細。 家族関係に問題を抱えていて、 同性婚をしているという設定も新鮮。 今作は事件の真相自体にはさほど目新しさはないものの、描かれるキャラクターがとても魅力的。 マシューとその部下たち、 マシューとパートナーのジョナサンとの関係性など、 まだまだこの先変化していきそうで楽しみ。 ダウン症の女性たちの描かれ方も胸に迫るものがあり、 彼女たちの笑顔や仕草が思い浮かび切なくなった。
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一つのことが、それぞれの人の考えや、認識にこんなにも違うのか、それはなんなのだろう。知的障害者が色目を誰にでも使う、と思うか、誰でも大人を信用しているからなのか。ハグするのは。
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