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哀惜 の商品レビュー

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31件のお客様レビュー

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2023/06/17

イギリス南西部にある海岸で死体が発見された。 その日マシューは、父の葬儀を見ているところだった。 ゆるやかで不思議な感じで読み始める。 部下からの電話で近くにいたマシューは、死体発見現場に向かう。 事件捜査も静かに流れていくのだが、これはマシューの警部らしからぬ礼儀正しさと落...

イギリス南西部にある海岸で死体が発見された。 その日マシューは、父の葬儀を見ているところだった。 ゆるやかで不思議な感じで読み始める。 部下からの電話で近くにいたマシューは、死体発見現場に向かう。 事件捜査も静かに流れていくのだが、これはマシューの警部らしからぬ礼儀正しさと落ち着いた雰囲気からだろうか。 舞台はウッドヤードという施設で、そこの所長を務めるジョナサンがマシューの夫である。 さらりとLGBTQであることが描かれているのだが、部下も施設関係者も知っているという普通さにも慣れてくる。 次々とキャラの濃い特徴のある面々が登場し、事件は複雑なように見えてくる。 結局殺されたサイモンが薄い存在に思えて、しかも弱者救済のために…と思うとなんともやるせない。 とても読み応えのあるページ数だったが、細かな描写は無駄がなく真相に繋がっていく道筋になっている。 はっきりと手応えを感じていくにつれて、意味がわかるという…その少しずつの前進を楽しめた。

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2023/06/13

CL 2023.6.9-2023.6.13 アン•クリーヴスの新シリーズ。 狭いコミュニティの中での殺人事件。 マシューだけでなく部下たちも着々と丁寧に捜査を進めて解決に至る。こういう警察小説は信頼できて好きだ。登場人物も皆細部まで描き込まれて人物像が浮き上がってくる。 同性婚の...

CL 2023.6.9-2023.6.13 アン•クリーヴスの新シリーズ。 狭いコミュニティの中での殺人事件。 マシューだけでなく部下たちも着々と丁寧に捜査を進めて解決に至る。こういう警察小説は信頼できて好きだ。登場人物も皆細部まで描き込まれて人物像が浮き上がってくる。 同性婚の相手ジョナサンとの関係がとてもいい。

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2023/06/01

僕自身もlgbtなんだけど、こう濃いめのポリコレを感じてちょっと、、、(男性的縦社会に関する嫌悪描写が多めでちょっとノイジー、)(ロスの扱いがかわいそうじゃない??頑張ってるのに!)(あの人に罪がいかないようにしてるのに恣意を感じる、それはそれで安心したけど) 映像化したら映えそ...

僕自身もlgbtなんだけど、こう濃いめのポリコレを感じてちょっと、、、(男性的縦社会に関する嫌悪描写が多めでちょっとノイジー、)(ロスの扱いがかわいそうじゃない??頑張ってるのに!)(あの人に罪がいかないようにしてるのに恣意を感じる、それはそれで安心したけど) 映像化したら映えそうというのには同意、見たい

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2024/01/22

<シェトランド四重奏>シリーズの続きに今ひとつ食指が動かないので、新シリーズの今作に手を出してみた。およそ警察官に似つかわしくない主人公・マシューの性格をはじめ、人物造詣の上手さが目を惹く。記号的な登場人物が殆どおらず、各々のキャラクターが実に立体的である。町の複合施設を物語の中...

<シェトランド四重奏>シリーズの続きに今ひとつ食指が動かないので、新シリーズの今作に手を出してみた。およそ警察官に似つかわしくない主人公・マシューの性格をはじめ、人物造詣の上手さが目を惹く。記号的な登場人物が殆どおらず、各々のキャラクターが実に立体的である。町の複合施設を物語の中心とし、本筋となる殺人事件の捜査と障害を持つ女性の誘拐事件が交錯し、関係者の立ち位置がガラッと変わるプロットも巧い。ベテラン作家ならではの熟練度を感じさせる作品だが、サイモンの心境の変化が詳細に書き込まれていれば尚良かったと思う。

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2023/05/19

アン・クリーヴス先生、好きだ! 新しい主人公のマシューも、また複雑で魅力的で、 部下の二人も、職場にいそうな人柄だが、冷静に描かれる二人はありきたりではない。ほんとにうまくて唸る。 このシリーズでも、字体を変えた、心の声も冴え渡ってます。心の声は、意地悪な時もあり、ニヤリとさせ...

アン・クリーヴス先生、好きだ! 新しい主人公のマシューも、また複雑で魅力的で、 部下の二人も、職場にいそうな人柄だが、冷静に描かれる二人はありきたりではない。ほんとにうまくて唸る。 このシリーズでも、字体を変えた、心の声も冴え渡ってます。心の声は、意地悪な時もあり、ニヤリとさせられたり、ハッとする側面を見せられたり…。 次作を楽しみに待ちます。マシューの活躍がもっとみたい。

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2023/05/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

シェトランド島シリーズと同じ作者だったので。 解説によると「キャラクター小説」だそうだ。 登場人物のキャラクターと物語と密接な小説、という意味で。 確かに登場人物の人物像が精密に描かれているし、 ストーリーとのがっちり組み合わさっていると思う。 しかし、それを巷で流行っている「キャラクター小説」で説明するのはどうだろう。 鴨のコンフィをパリッとしている鶏のから揚げみたい、と言われましても。 鴨のコンフィも、鶏のから揚げも、 登場人物がきっちり描かれているミステリーも好きだが。 イギリス南西部の町の海岸で他殺体が発見された。 捜査にあたるのは、海岸の近くに自宅をかまえるマシュー。 夫は、ディセンターや劇場、カフェが併設された施設を運営していて、 亡くなったのはそのカフェのボランティアと判る。 過去に飲酒運転の事故で子供を殺してしまった男は、 ホームレスだっため、ソーシャルワーカーと芸術家の女性二人と同居しており、 ダウン症の女性とバスで毎日話していたらしい。 被害者の周辺を捜査している中、別のダウン症の女性が行方不明になる…。 厳格なキリスト教の宗派で育ち決別し、父の葬儀を見守ったばかりのマシュー、 養父母の下で育ち、家出をして世界と放浪しマシューとの生活に落ち着いた夫ジョナサン、 DV夫から逃れてきたシングルマザーであり優秀な部長刑事ジェン、 若く新婚で、自信満々さがたまに鼻につく刑事ロスと、 主要な登場人物たちだけでなく、その家族、 被害者の周囲の人々をはじめとした事件関係者まで、 立体的で多面的な人物像が描かれてとても面白かった。 シェトランド島シリーズの時は、 島の自然や社会に目を奪われていた分、 こちらの方が人間に目が言っているというか。 意外な展開や意外な犯人だったのも良かった。 とにかく次作が楽しみだ。

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2023/05/18

★5 保護や支援が必要な人々の現実と不安… 人間の弱さと脆さを丁寧に描いたミステリー #哀惜 イギリスの海岸で発生した殺人事件。主人公である刑事マシューと部下たちが、街に住む人々の環境、仕事、関係性から事件解決に導く北欧ミステリー。 事件の背後関係と関わる人間たちが何重にも厚く...

★5 保護や支援が必要な人々の現実と不安… 人間の弱さと脆さを丁寧に描いたミステリー #哀惜 イギリスの海岸で発生した殺人事件。主人公である刑事マシューと部下たちが、街に住む人々の環境、仕事、関係性から事件解決に導く北欧ミステリー。 事件の背後関係と関わる人間たちが何重にも厚く絡み合い、ずっしりと重みのある作品になっています。 人生勉強のためにも体験しておくべき作品なので、興味ある方は是非お時間をとって読んでみてほしいです。 ■きっと読みたくなるレビュー 〇事件の背景 本作においては、どの国、どの地域でも社会課題になっているテーマを描いています。 ・学習障害のある人 ・過去の人生において失敗をした人 ・彼らを支援したり、支えたりする周囲の人々 セリフや行動が丁寧に書かれていて、彼女たちの生活、不安、純粋な想いがやたらリアルに伝わってくるんです。悲劇に巻き込まれてしまった彼らの運命を読んでいると、胸が詰まって何とも言えなくなってきますね… 〇警察も人間である 圧倒的に推したいのは、警察官の同僚ジェン。 離婚後シングルで子育てをしつつも、重責な殺人事件の現場で解決のために奔走を続ける。いつも叫びたい感情で爆発しそうなのに、決して暴言を吐いたり、人を傷つけたりはせず、じっと目の前の任務をこなしていく。しかも正義や権力を振りかざしたりもせず、公務員の業務を当たり前にこなしているだけ。人ひとりが生きるということがいかに難しいかが伝わってきます。 そしてなんといっても主人公のマシュー。 これぞ北欧のミステリーを地でいくキャラクター。 地味に、ホントに地味にヒタヒタと捜査を進めていく。この粘り強さと実直さがイイんですよ。 しかも家族の問題や人間的な弱さも垣間見えて、魅力にすっかり引き込まれてしまいました。特に終盤の事件解決に向けて雄々しく立ち向かっていく姿は、めっちゃカッコイイです。 〇事件の真相 小さな世界における社会性や価値観の恐ろしさ。 驚きと悲しさがあふれ出て、読み進めたいと思いながらも、むしろ受け入れたくない真相でした。 ■きっと共感できる書評 本書ほど読んでいて悔しくなる作品はない。 弱い立場とされる保護や支援が必要な人間が、こんなにも強くたくましく生きているのに、本来社会貢献や皆を幸せにできるはずの人間が、なぜこんなに弱く情けないのか。 はたして現代の日本社会はどうだろうか… いまネットを騒がせているやるせない事件がありますが、この事件も本質としては同じです。 起こってしまった問題について他人事としてスルーしたり、マスコミ報道や周囲の意見をそのまま信じるのではなく、ひとりひとりが自分の責任をもって答えを出していく必要があるのでしょうね。懸命に生きる人々を支援、応援できる人間になりたいものです。

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2023/05/11

ダントツに良かった。登場人物1人ひとりの個性や環境が充分に描き込んであって事件を追うチームの一員になれた様な気がした。派手なシーンはないが捜査が着々と静かに進む様子で、被害者の胸の内が哀しい程浮かび上がって来た。600ページ近かったがあっと言う間に読めた。

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2023/04/14

著者の新シリーズ。海岸で発見された男性の遺体。事件を捜査するのはマシュー・ヴェン警部。淡々と地道な捜査が描かれているけれど、人の動きや感情がその中にしっかりとある。マシューの両親との齟齬や、同性婚のパートナーや同僚との日々。そういったものが物語に不可欠なように意味を持っている。派...

著者の新シリーズ。海岸で発見された男性の遺体。事件を捜査するのはマシュー・ヴェン警部。淡々と地道な捜査が描かれているけれど、人の動きや感情がその中にしっかりとある。マシューの両親との齟齬や、同性婚のパートナーや同僚との日々。そういったものが物語に不可欠なように意味を持っている。派手な展開やアクションシーンがあるわけではなく、静かに展開されていくなかで被害者の心の内が見えてくる終盤は読み応えがある。新シリーズの一作目だけど、〈ジミー・ペレス警部〉シリーズより好みかも知れない。長く続いてくれると嬉しい。

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2023/04/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アン・クリーヴスの新シリーズ。 マシュー・ヴェンを主人公とし、装い新たに開幕。 アン・クリーヴスの小説は決して大立ち回りが多いわけでもなく、とんでもない急展開があるわけでもない(一作だけ例外があるらしいけど笑)。言い方は悪いが、非常に地味な展開が続く。ただ、なぜか定期的に読みたくなる、そんな中毒的な面白さがあると思う。 今シリーズの舞台はコーンウォールに近いイギリス南西部、ノースデヴォン。相変わらず自然の描写がいい。 海岸で殺された男。この男が誰なのか調査するところから始まるが調べれば調べるほど、この男の見方が変わる証言が出てきて、読者も翻弄される。この男のキャラクターが見えてくるところが、この小説のターニングポイントか。 誰が誰に対する“哀惜”なのか、題名も非常に趣深い。 邦訳が始まったばかりなのでなんとも言えないが、ミステリ度は前シリーズの方が上。ただ熟練されたストーリー展開は遜色ない。主人公のマシューは、一見気弱だが芯には強い信念があり、後半の覚醒パートが良い。 また楽しみなシリーズになりそうなので、年に1冊出していただければ。。。

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