1,800円以上の注文で送料無料

本売る日々 の商品レビュー

4

53件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/03/27

文化文政期に「物之本」つまり仏書・儒書・史書・軍記・伝記・医書や、和古典書(純文学)を扱う書物問屋の主人で、城下町に店を持ち、農村地帯の寺や手習所、名主の家を行商している松月平助を主人公にした3つの短編 「本売る日々」平助の得意先で篤農家の名主・惣兵衛の後添いは孫ほど年の離れた遊...

文化文政期に「物之本」つまり仏書・儒書・史書・軍記・伝記・医書や、和古典書(純文学)を扱う書物問屋の主人で、城下町に店を持ち、農村地帯の寺や手習所、名主の家を行商している松月平助を主人公にした3つの短編 「本売る日々」平助の得意先で篤農家の名主・惣兵衛の後添いは孫ほど年の離れた遊女上がりの少女だった。 「鬼に喰われた女」御取潰しになった元藩士に裏切られた娘は八尾比丘尼(人魚の肉を食べたことで不老長寿になった比丘尼)になり・・。ちょっと趣の違う幻想譚。 「初めての開板」かつて優柔不断だった町医者が、なぜ今は名医と言われるようになったのか? 良いですね。 分類するなら人情もので、地方の城下町で硬い本ばかり扱う勉強家の本屋を主人公に据えたのが秀逸です。 青山さんの鋭すぎる文体は武家物にはピッタリですが、人情ものになると少し違和感があります。さらに青山さんのストーリーにはしばしば「そこまで決めつけるか?」と思う偏固さが有って、人情ものとは言えあまり柔らかく無いのが特徴です。ただ、それらはちょっとした異物感で、それ自身が悪いという訳ではなく、個性と言えなくも無いのですが。。 そんな中で、最後の短編「初めての開板」は登場人物の心の広さや前向きな姿が心地良い、私の好みの作品でした。

Posted byブクログ

2023/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

城下に店を構え、四日ほどかけて二十ほどの村を行商して回る本屋、松月堂の主人平助が主人公。 行商でまわるのは村の名主や寺や手習い所。そこで出会うさまざまな不思議で不可解な出来事たち。平助が「本屋」としてその不思議を解いていく。本屋ならではの視点、本屋ならではの解釈。 本を扱うものとしての平助の姿勢に思わず背筋が伸びる。それが主ではないけれど、同じ世界にいるものとして本を売る者としての矜持に打たれる。平易に流される我が身を深く反省。 得意先の主人に起こっている出来事、我が身に降りかかるわけでも巻き込まれているわけでもないのに、本屋として、本を扱うものとして、どうしても関わらざるを得ないその、不思議不可解な出来事。 真摯に向き合うその姿勢。 「本」というものが持つチカラ。「本」を作り出すことの意義。「本」を手渡すことの意味。 本に関わる者全ての必読書。

Posted byブクログ

2023/01/30

【柴田錬三郎賞&中央公論文芸賞受賞の著者、最新刊!】本屋の私が行商に出向いたのは、孫ほどの娘を後添えに迎えた名主宅。披露した画譜が無くなり、彼女が盗んだとしか思えないのだが…。

Posted byブクログ