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少年と犬 の商品レビュー

4.1

252件のお客様レビュー

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    94

  2. 4つ

    99

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

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2024/06/29

うーん、泣きました うっかり電車の中で読んでました、嗚咽が漏れるほどでした…(恥) 直木賞受賞作(第163回、2020年)であるということを、本屋さんのポップで知り、でも、動物をモチーフかー、とちょっと卑怯なんじゃない?(何様のつもりだ、自分…)と手に取るのを躊躇っていたんてす...

うーん、泣きました うっかり電車の中で読んでました、嗚咽が漏れるほどでした…(恥) 直木賞受賞作(第163回、2020年)であるということを、本屋さんのポップで知り、でも、動物をモチーフかー、とちょっと卑怯なんじゃない?(何様のつもりだ、自分…)と手に取るのを躊躇っていたんてすが、行く本屋行く本屋で平積みされていて…、そんなに勧めてくるのなら、読んでやろうじゃありませんか(何て偉げなんでしょう!)、と手に取った次第です 先日、読了した「心淋し川」と同じく、連作短編集です。このお話は多聞という名の一匹の犬が全ての短編集に登場します。ロードムービーならぬ、ロードノベルといいますか、犬が長い距離をある理由のために移動するのですが、その所々で出会う人との物語を重ねて、大きな主題を描きます 先日ご紹介した、「心淋し川」と本当に構成としては似ているのですね、「心町」という場所が繋いだように、「多聞」という犬がそれぞれの短編を繋ぎます 今作は、何となくハードボイルドだなと感じ、感じたはいいけど「ハードボイルド」って何だっけ?と思い調べてみると、Wikipediaによれば 文芸用語としては、暴力的・反道徳的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいう。 そうです そして作者の馳さんを少し調べてみると、ノワールを意識していらっしゃる、とのことで、でまた、「ノワール」、って「黒」だよな…、どういうこと?と思い調べてみますと 小説、映画の一分野。人間の悪意や差別、暴力などを描き出している。闇社会を題材にとった、あるいは犯罪者の視点から書かれたものが多い。 ということだそうです で、本作はそういう雰囲気のお話も登場したり、ちょっと刹那的といいますか、諸行無常といいますか、「心淋し川」がどちらかというとマイルドテイストなのに対し、今作は冷ため・厳しめ、同じような構成をとっているが故にぼくの中では好対照な作品だったのです 泣いた度合いで言えば今作の方が泣きました、それはなぜかを考えた時、やっぱり犬という動物の混じり気のない純粋さにやられたんだと思います、やっぱり狡いかも… そしてこのお話は、東日本大地震、も大きな主題として描かれますので、それも踏まえ手に取っていただけるといいかな、と思います もし、2作読まれた方がいらしたら、どちらが好みでしたか?ってお聞きしてみたいです、それによってその人の本の好みが何となくわかるリトマス試験紙のような2作だと思います、とっても興味津々です 犬を飼われたことがある方はもちろん、ない方も、ちょっと涙活したいなんて方にもとってもおすすめの一作ですよ!

Posted byブクログ

2024/06/25

短編のシリーズもの。本書では最後に少年と犬の話しだったが、連載としては少年と犬の話からスタートしたようだ。そこからその旅路を連載で描いている。 大体、似たような話しだったので途中から飽きてきたが最後の少年と犬では感動的なストーリーで良かった。 多聞は賢いという設定だが、大体食べる...

短編のシリーズもの。本書では最後に少年と犬の話しだったが、連載としては少年と犬の話からスタートしたようだ。そこからその旅路を連載で描いている。 大体、似たような話しだったので途中から飽きてきたが最後の少年と犬では感動的なストーリーで良かった。 多聞は賢いという設定だが、大体食べるものなくてガリガリで怪我してるし、現れ方も車の前に倒れてるのが多かったような気がする。また、登場人物の過去には大体、多聞に似た犬を飼っていた。賢いレアな犬のはずなのに結構いるんじゃない?みたいな事を考えながら読んでしまった。 読んでいると情景が想像しやすく、文章がとても上手だと思った。 犬を探すためにマイクロチップ埋めるのは今常識なの?すごい時代になりました。そのうちAIが犬の言葉を翻訳してくれるかも。

Posted byブクログ

2024/06/25

人間と犬との深い絆が織りなすドラマを見ているような作品だった。1話完結の様に思えるが7話全てに多聞を中心として繋がっていて、各回に人間の刹那を感じるストーリーがあり、本当に素晴らしい作品だった。 ドラマ化しているのかわかりませんが、ドラマ化してほしいと思いました。

Posted byブクログ

2024/06/22

犬との生活が当たり前の私は、犬もの、を、読んではいけないのに読んでしまった 優しい時間が流れれば感涙…哀しい時間にはもちろん号泣… 犬の物語りを「私」という人間は読んではいけない この小説を読んだことは後悔してないけど…。

Posted byブクログ

2024/06/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

友人に勧められて読了 評価が高い作品なのは知っていたけど、犬をテーマにしてる作品は「どうせこの犬亡くなるんだろうなぁ」と思いながら読み進めた。 ラスト数ページまで全然泣けないわと思っていたら気が付いたらボロボロ泣いていて困惑…結果、めっちゃ良かった

Posted byブクログ

2024/06/16

作中では、転々とした先で守り神と呼ばれることの多かった多聞。多聞天にあやかった名付けということだが、"多くを聞く"という字面がピッタリだなと思った。 動物って本当に聡いと思う。 犬に語りかける人間って多いと思いますが(もれなく本書の登場人物も)、話を聞くだけじ...

作中では、転々とした先で守り神と呼ばれることの多かった多聞。多聞天にあやかった名付けということだが、"多くを聞く"という字面がピッタリだなと思った。 動物って本当に聡いと思う。 犬に語りかける人間って多いと思いますが(もれなく本書の登場人物も)、話を聞くだけじゃないんですよね。動作や喋り方、機嫌、体温、果ては生命力まで感じ取って寄り添っているんだろうな。多聞はそう思わせる犬ですね。

Posted byブクログ

2024/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

犬を中心にした連作短編だった。 東日本大震災、そして熊本地震までの約五年間を、多聞という犬が人々を助けて回った。フィクションでありながら、こういう賢い犬がいたらいいな、きっとあちこちのご家庭にいるのかもしれないと思わせるリアリティがあった。人間を信じてくれる、それが何よりも尊い。 多聞が関わった人間が呆気なく死んでいくので、どういうことだろうと前半は思ったが、最期のときに寄り添ってくれるような犬だったのだな。 個人的に一番グッと来たのは「老人と犬」だった。病よりも先に死んでしまう悲しいラストが印象的。 多聞は死んでもきっと隣で見守っていてくれる。そう思わせてくれる優しい話だった。

Posted byブクログ

2024/06/28

2024.06.04 私も昔飼っていた犬に、失恋や辛いことがあるたびに話を聞いてもらったりしていたことを思い出した。何か気の利く返事をしてくれたりするわけでもなく、ただただそばでじっと私に撫でられてるだけなのに、なぜか話すとスッキリして癒されていたなあ。 犬の持つ神秘な力、人間と...

2024.06.04 私も昔飼っていた犬に、失恋や辛いことがあるたびに話を聞いてもらったりしていたことを思い出した。何か気の利く返事をしてくれたりするわけでもなく、ただただそばでじっと私に撫でられてるだけなのに、なぜか話すとスッキリして癒されていたなあ。 犬の持つ神秘な力、人間との絆、なのかな。 犬を飼ったことのある人ならきっと同じように感じるのではないかと思わせる作品。 しばらく犬を飼っていないが、多聞のような人を一心に想ってれる犬に出会ってみたいと思う。

Posted byブクログ

2024/05/30

心の独り言を聞いてやって来た多聞。独り言が多聞への語りになり、やがて言葉を紡ぎ出す。 いい本でした。

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2024/05/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

多聞という犬が、3.11の震災場所から遠くどこかを目指し日本をほぼ横断する。その中で様々な人と出会う。彼らは「死」を匂わせる人々だった。 そして出会う。大切な人に。最後は涙無くしては読めない。 私は昔から動物と一緒で動物と暮らしてなかった時期などなかった。だからか、この話に出てくる多聞の不思議な人を見透かすような、心を理解するような行動はよく理解できる。 動物には不思議な力がある。これは確かであると思う。それが小動物だからとか犬だからとかは関係がなく。手を失ったハムスターの子は名前を呼べば必ず出てきてくれて、私が辛くて苦しい時は犬や猫たちが癒してくれる。そばにいるときもあれば離れて見守ることもある。兎の子は十何年も生きて立派に老衰してくれた。 人と動物の絆は深いものだ。我々ももらってばかりではいけない。彼らにきちんと応えたい。 この物語はそれをグサリと感じさせてくれた。多聞に私も感謝がしたい。これからも大切な子たちを守っていきたいと思う。

Posted byブクログ