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すべての、白いものたちの の商品レビュー

4.3

23件のお客様レビュー

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2024/08/04

『菜食主義者』で有名な著者の作品。ごく短い小説のような、詩のような。美しく読みやすい文体だが、いたるところに誰しもが感じるよるべなさがじわりと滲む。 空白のページも多く、言葉だけでなくページさえも白いものに覆い尽くされている。 著者のほかの作品も読んでみたい。

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2024/07/19

詩的で美しい文体。原文で読めないのが大変残念だが、素晴らしい翻訳だと感じる。自分の心から少し離れた部分に白いものたちがひたひたと沁み込んでいくような、不思議な感覚になった。

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2024/04/29

読み終えて、作者のあとがきと解説を読んで「ああ、そういうことか、そうなのか」と思う。読み切れていなかったものが心の中にそっと置かれているよう。また、もう一度読み直そうと思う。

Posted byブクログ

2024/03/30

詩的なモノクロ映画を見ているような雰囲気でした。 著者の実体験が基になっていて、痛みを乗り越える方法を模索しているのかな、と読んでいました。 ガーゼや雪など、この本に出てくる白いものたちは、背景が暗いほど際立ち、著者の抱える痛みが強いほど、背景と対象物のコントラストがはっきりと...

詩的なモノクロ映画を見ているような雰囲気でした。 著者の実体験が基になっていて、痛みを乗り越える方法を模索しているのかな、と読んでいました。 ガーゼや雪など、この本に出てくる白いものたちは、背景が暗いほど際立ち、著者の抱える痛みが強いほど、背景と対象物のコントラストがはっきりと現れるように感じました。 表現が魅力的で、どんな風に文章が誕生するのだろうと思います。 誕生は白く、死は黒い、というイメージを、読みながら感じていました。 戦争や災害などで一度破壊されてしまった場所が、建物など新たな体を得て生きていくことは、それまであった体の痕跡を抱きしめるように、また新しい服を着ていくことなのかな、と思いました。 そのような街は、白さと黒さが入り交じったように感じるかもしれません。 ろうそくが何本も燃えて風に揺れて、手向けた誰かの、手向けられた誰かの魂が浄化される時間が流れているような感覚です。 最後の解説で、著者の意図していた事が分かり、また読めば違った気持ちで読めるだろうなと思いました。

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2024/03/26

韓国の作家ハン・ガンによる散文詩的な装いの小説。乳児のころに亡くなった姉について過去・現在、韓国、ポーランド・ワルシャワを巡って、白を題材に詩的な文章が綴られる。 詩を読んでいるような感覚なので、何が書かれていたかは頭に残りにくいのだけれど、小説を読むという体験のひとつの姿がここ...

韓国の作家ハン・ガンによる散文詩的な装いの小説。乳児のころに亡くなった姉について過去・現在、韓国、ポーランド・ワルシャワを巡って、白を題材に詩的な文章が綴られる。 詩を読んでいるような感覚なので、何が書かれていたかは頭に残りにくいのだけれど、小説を読むという体験のひとつの姿がここにあるという感じ。 韓国には文学的な可能性もあるということを感じさせる作家。光州事件を舞台にした作品が代表作のようなので、手に取ってみたいと思う。

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2024/02/17

翻訳文学試食会 で『菜食主義者』が紹介されていたハン・ガン氏の本作が、妻の本棚にあったため拝借。 私が幼少の頃、母が私の兄か姉を流産していたことを、聞かされていた。毎朝仏壇にお参りするとき、見たこともない兄か姉に話しかけていた。中学生時分に、ふとその位牌に書かれた命日を見たこと...

翻訳文学試食会 で『菜食主義者』が紹介されていたハン・ガン氏の本作が、妻の本棚にあったため拝借。 私が幼少の頃、母が私の兄か姉を流産していたことを、聞かされていた。毎朝仏壇にお参りするとき、見たこともない兄か姉に話しかけていた。中学生時分に、ふとその位牌に書かれた命日を見たことがあった。なんとなく考えてみたら、兄か姉と私の存在は、両立しないことに気づいた。ここに今生きていることの、偶然の重なり合いに、背筋がもぞもぞした。 この作品でも、ハン・ガン氏が、生まれて数時間で死んだ姉を自分に重ねて語ることがあり、そのもぞもぞを久しぶりに感じながら、読み進めた。 #河出文庫 #ハン・ガン #翻訳文学試食会 #翻訳小説 #齋藤真理子

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2024/01/04

https://calil.jp/book/430920760X 河出書房新社(2018-12-26)

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2023/12/28

表紙にある、흔の意味が解決した。 最後の論評を読まなければ、少し理解しにくい内容の本だと思う。 言葉が少ない分、描写や表現が記憶に残りやすい。

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2023/12/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

韓国の作家、ハン・ガンの作品。 白いものにまつわる65の詩のような、短編のような章で構成されている。だけど全体を通して大きなストーリーがある、そんな作品。 この作品に出会えて、本当に良かった。 一つ一つが綺麗で美しい文体で綴られ、なんてことのない風景の描写に、胸が締め付けられる。 白いものについて語られているからこそ、その語りの中で示される色彩や、感情までもがより鮮やかに見える。 非常に短い章もあるのだが、その余白すら、作品全体の雰囲気と相まって、一体どこまで計算されているのだろうと思う。 もう何度も、繰り返し繰り返し読むだろうなぁと予感する作品。大ファンになりました。

Posted byブクログ

2023/10/04

読書会の課題本として採択。小説のようなものを想像し開いたが、詩と散文の中間のような構成及び文体であった。言葉選びやテーマ、情景描写等好みに合致しており、個人的に非常に評価している一冊。そのせいもあってか重い題材を扱う割に心地良く読むことができた。

Posted byブクログ