すべての、白いものたちの の商品レビュー
韓国の作家ハン・ガンによる散文詩的な装いの小説。乳児のころに亡くなった姉について過去・現在、韓国、ポーランド・ワルシャワを巡って、白を題材に詩的な文章が綴られる。 詩を読んでいるような感覚なので、何が書かれていたかは頭に残りにくいのだけれど、小説を読むという体験のひとつの姿がここ...
韓国の作家ハン・ガンによる散文詩的な装いの小説。乳児のころに亡くなった姉について過去・現在、韓国、ポーランド・ワルシャワを巡って、白を題材に詩的な文章が綴られる。 詩を読んでいるような感覚なので、何が書かれていたかは頭に残りにくいのだけれど、小説を読むという体験のひとつの姿がここにあるという感じ。 韓国には文学的な可能性もあるということを感じさせる作家。光州事件を舞台にした作品が代表作のようなので、手に取ってみたいと思う。
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翻訳文学試食会 で『菜食主義者』が紹介されていたハン・ガン氏の本作が、妻の本棚にあったため拝借。 私が幼少の頃、母が私の兄か姉を流産していたことを、聞かされていた。毎朝仏壇にお参りするとき、見たこともない兄か姉に話しかけていた。中学生時分に、ふとその位牌に書かれた命日を見たこと...
翻訳文学試食会 で『菜食主義者』が紹介されていたハン・ガン氏の本作が、妻の本棚にあったため拝借。 私が幼少の頃、母が私の兄か姉を流産していたことを、聞かされていた。毎朝仏壇にお参りするとき、見たこともない兄か姉に話しかけていた。中学生時分に、ふとその位牌に書かれた命日を見たことがあった。なんとなく考えてみたら、兄か姉と私の存在は、両立しないことに気づいた。ここに今生きていることの、偶然の重なり合いに、背筋がもぞもぞした。 この作品でも、ハン・ガン氏が、生まれて数時間で死んだ姉を自分に重ねて語ることがあり、そのもぞもぞを久しぶりに感じながら、読み進めた。 #河出文庫 #ハン・ガン #翻訳文学試食会 #翻訳小説 #齋藤真理子
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https://calil.jp/book/430920760X 河出書房新社(2018-12-26)
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表紙にある、흔の意味が解決した。 最後の論評を読まなければ、少し理解しにくい内容の本だと思う。 言葉が少ない分、描写や表現が記憶に残りやすい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
韓国の作家、ハン・ガンの作品。 白いものにまつわる65の詩のような、短編のような章で構成されている。だけど全体を通して大きなストーリーがある、そんな作品。 この作品に出会えて、本当に良かった。 一つ一つが綺麗で美しい文体で綴られ、なんてことのない風景の描写に、胸が締め付けられる。 白いものについて語られているからこそ、その語りの中で示される色彩や、感情までもがより鮮やかに見える。 非常に短い章もあるのだが、その余白すら、作品全体の雰囲気と相まって、一体どこまで計算されているのだろうと思う。 もう何度も、繰り返し繰り返し読むだろうなぁと予感する作品。大ファンになりました。
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読書会の課題本として採択。小説のようなものを想像し開いたが、詩と散文の中間のような構成及び文体であった。言葉選びやテーマ、情景描写等好みに合致しており、個人的に非常に評価している一冊。そのせいもあってか重い題材を扱う割に心地良く読むことができた。
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生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯…。白いものを通して見えるものは、生きている者に漂う死の影と死んでしまった彼女から溢れる生きる喜び。静謐で深く染み入ってくる文章だった...
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯…。白いものを通して見えるものは、生きている者に漂う死の影と死んでしまった彼女から溢れる生きる喜び。静謐で深く染み入ってくる文章だった。とてもよい。
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冷たくて寒くて静かで、突き刺すように鋭い。静謐さのなかに佇む「白いもの」。散文的な文章がゆえに心に沁みやすく穏やかにすすむ恢復の物語。
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神経質で潔癖なまでの真っ白さや繊細さがあると同時に、どこかエッジがきいたスタイリッシュさや退廃的な雰囲気もある、自分が思う最近の韓国文化のイメージそのものでした。
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韓国語では白を表す言葉に「ハヤン(まっしろ)」と「ヒン(しろい)」があるんだそうです。この本は、その生と死の寂しさをもたたえる「ヒン」についての、詩とかエッセイに近い文章です。 韓国って、産着も喪服も「ヒン(しろい)」なんですね。
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