藍色ちくちく の商品レビュー
不器用で手芸とは基本、縁のない人生を送ってきたけれど、クロスステッチ刺繍にハマった時期が二回ある。大学の受験後、合格発表を待つまでの期間と、夫の留学にくっついて暮らしていた海外で流産した後に授かった長男がお腹にやってきてくれたばかりの悪阻の頃。結果ぎ出るまでは何も手につかず、不安...
不器用で手芸とは基本、縁のない人生を送ってきたけれど、クロスステッチ刺繍にハマった時期が二回ある。大学の受験後、合格発表を待つまでの期間と、夫の留学にくっついて暮らしていた海外で流産した後に授かった長男がお腹にやってきてくれたばかりの悪阻の頃。結果ぎ出るまでは何も手につかず、不安に怯えるしかなかったその時は、無心にチクチクする時間に本当に救われた。 菱刺し、はこぎん刺しとはちょっと違うのかな? 小説の中にも出てきた用の美の代表的な物として興味はあった。いつかやってみたいと思いつつ、お陰様で育児と仕事に追われて座る間もない日々を送ってきたけれど、今がその時かも、と思った。 いつかいつか、と言ってる間に出来なくなるかもしれない、という締切の様な物はひしひし感じるし。老眼進んできて。退職したら好きなだけ本が読めると思っていたのに体力が続かない、そんな事、考えもしなかったと悔しがっていた実父の病状が思わしくない。介護を母に丸投げして申し訳ないけれど、いつ来るか分からないXデーを少しでも心穏やかに待つ為に、今必要な事かもしれない。 今、私がこの小説に出会えたのは運命だったかも。
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菱刺しに魅せられて出会った人々の人生が描かれている。菱刺しはこの本で初めて知った。青森という極寒地を生き抜くために生み出された技法というところにとても驚いた。そんな厳しさとは反対に美しい模様なのが当時の人々の強さと逞しさと美意識の高さに尊敬。 南部せんべいに引き続き読んで、青森県...
菱刺しに魅せられて出会った人々の人生が描かれている。菱刺しはこの本で初めて知った。青森という極寒地を生き抜くために生み出された技法というところにとても驚いた。そんな厳しさとは反対に美しい模様なのが当時の人々の強さと逞しさと美意識の高さに尊敬。 南部せんべいに引き続き読んで、青森県は修学旅行で訪れた以来縁がないけど、行きたいと思った。
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可愛らしい表紙とソフトカバーだけど、見た目に反し、ボリュームはずっしりで内容もしっかり。 通勤でサッと読めるかな?と思っていたら、甘かった。 泣きポイントがところどころにあって、そんな狙って泣かされるものか頑張るんだけど、つい涙腺がゆるんでしまう。 年をとって、自分の子供時代...
可愛らしい表紙とソフトカバーだけど、見た目に反し、ボリュームはずっしりで内容もしっかり。 通勤でサッと読めるかな?と思っていたら、甘かった。 泣きポイントがところどころにあって、そんな狙って泣かされるものか頑張るんだけど、つい涙腺がゆるんでしまう。 年をとって、自分の子供時代を知る人がみんな亡くなったら。甘えたことのある人が誰もいなくなったら。今の私はそれがこわい。 登場人物の短編エピソードとともに、より子さんの昔の話も出てきてとても良い。 お嫁入りするときの話もいいし、長男嫁と二人でお舅さんの介護をした話もよかったな。 個人的には認知症のお母さんと石田さんの話が、これから来る未来の可能性があって、胸が詰まる。
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青森で菱刺しをやっているおばあさんと、女子高生とが出会い共に菱刺しをやっていく中で、建設中のビルから孫の彼女が誤って落ち亡くなってしまって社会との繋がりを嫌う孫と一緒に菱刺しをやって行く様になる物語です。
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言葉にはできない溢れる思い。 大切な人に伝えられるとしたら…。 それを可能にした菱刺しと菱刺し工房に集う仲間たちのリスタートの物語。 菱刺しは青森県に伝わる刺し子。 その模様の一つ一つには意味がありました。 ・女子高生綾は職場の人間関係に悩む父親に、 ・結婚の決まった結菜は...
言葉にはできない溢れる思い。 大切な人に伝えられるとしたら…。 それを可能にした菱刺しと菱刺し工房に集う仲間たちのリスタートの物語。 菱刺しは青森県に伝わる刺し子。 その模様の一つ一つには意味がありました。 ・女子高生綾は職場の人間関係に悩む父親に、 ・結婚の決まった結菜は残していく父親に、 そして父親は嫁ぐ娘に、 ・母子家庭で育てられた香織は施設で暮らす認 知症の母親に、 登場人物たちはそれぞれ大切な人に菱刺しを贈ります。 菱刺しは忘れていた記憶を呼び覚まし、見落としていた思いにも気づかせてくれました。 また菱刺しには、たとえ間違って針を刺してしまっても何度でもやり直せるという特徴も。 失敗しても大丈夫。 自信は無くてもとりあえず前に。 一針一針進む姿は、まるで人生の歩みのよう。 リスタートは、いつでも、どこでも、何度でも。 温かく励まされたような気持ちになれる作品でした。 癒やされます。
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菱刺しを通して、人の温かさや生き方を知っていく、やさしいおはなし。 おばあちゃんの昔の振り返りもありつつ、菱刺しと生きてきたんだなあ、と。 黙々と作業するって、自分と向き合う時間でもあり、切り替えるキッカケをくれたりするんだな、と思いました。
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青森 南部菱刺し工場に関わる人々の四篇。大変な環境の中で育まれた工芸を愛する人々が悩み、成長、互いに励まし合い前進する。より子先生の人柄もあり、淡々と手を動かし心落ち着かせていく。とても良いお話だった。
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素敵な作品だった。 南部菱刺しに取り組む人々の小さくて確かな再生と、彼・彼女らが集まる工房主のより子さんの生きてきた思い出。 人の繋がりや思い出の優しさと温かさと切なさが菱刺しの模様のようにふと浮かび上がって、その度に泣きそうになりながら読んだ。 本当に素敵な作品だった。
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手芸は好きでよくそばにあったものだから タイトルと可愛らしい表紙に惹かれて図書館で借りてみた。 結果、ボロボロ泣いた。 ほっこりサクッと読めるんだろうなと思っていたのに 涙で全然進まない笑 結婚する時の父娘のやり取りを読んで 父が生きていたら、私が結婚した時もこんな感じだったのかなぁ と想いを馳せて泣き。 認知症の進む母に対しての歯痒さを 祖母に忘れられた時と重ねて泣き。 苦しかったり、あたたかかったり。 最期まで針を持つより子さんに憧れた。 好きなものをずっと、おばあちゃんになっても好きでいられるって めちゃくちゃ幸せだ。 とってもとっても良い本だった!
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面白かったー!知らないことを知るのは楽しい。 民藝、日本各地の産物、青森出身の作者ならでは。本として作品を紹介し残していく。日本の伝統工芸、大切にしたい。 とても温かい話で、まさかなところでうるっとくる。 青森弁が分からなすぎるのも雰囲気出て良い! 菱刺し、綿が育ちにくく寒冷地。法律で農民は麻しか着られなかった時代に厳しい環境を生き抜く知恵、保温効果を高めた菱刺しは、うつくしさの中に重みと強さがある。布の目を塞ぐ。一刺し一刺し愛する家族を守るため。命が繋がるならやる、シンプル。生きるって案外シンプル。 p.218 雨宿りした公民館で出会った菱刺し、進路に悩む綾は出会ったことで人間性まで変わる。それに関わる人々の苦悩と菱刺しの時間の穏やかさと。人々の悩みは昔も今も少なくない。ただ一刺し一刺し進める時間は数を数えて穏やかに、気持ちの波も静まる。 マーサが、真麻で、亡くなってしまった、孫息子の彼女で。引きこもっていた6年間は、ばあちゃんの作品を引き続き仕上げる、指揮を取ることで外の世界と繋がりを持てた。菱刺しが人を繋いでくれる。 菱刺し(青森南部)は偶数の布目を拾い 昔からカラフル、今はくすみカラーが流行り 横長で大らかな雰囲気 こぎん刺し(津軽地方)は奇数目を拾う刺し子 キリッとした雰囲気、糸の色も増えてカラフル、昔は藍色の布に白糸一択
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