名探偵のままでいて の商品レビュー

小西マサテル(著者)

2024/02/04

かつて切れ者の小学校校長をしていた祖父が、認知症を患い介護を受けながら暮らしていた。孫娘の楓は時々日常の謎を持ちかけると、祖父はその時だけ生気を取り戻す…

幻覚や記憶障害がある「レビー小体型認知症」と言うのを初めて聞きました。
そして、灰色の脳細胞ならぬ、緋色の脳細胞で楓の持ってくる謎(物語)を解いて行く姿は現役の頃を彷彿させました。

オムニバス短編集で、少しずつ話が繋がっているのも読みやすかったです。
読み進めるに連れ、少しずつ明らかになっていく楓を取り巻く人々の知らなかった一面。
楓に好意を持つ同じ小学校の教員・岩田と、その後輩である劇団員・四季。
最終的にどちらを選んだのかとても気になりました。個人的にら四季だったのではないかと思いましたが、どうでしょうね。

2023/03/20

どの話も適度に面白く、読みやすく、後味もほっこり。タイトルは原題の「物語は紫煙の彼方に」の方が絶対に良かったと思う。「名探偵のままでいて」は、なんだかまた別の話という感じがする。
最後の話で祖父が、自分の娘に関しては幻視かどうか判断がつかなかったから〜という下りは面白かったが、たまたま楓が捕まった日に体調がすこぶる良くて、時間稼ぎや捕まえる段取りを組むほど頭が回ってるのがご都合主義すぎるという違和感があった。他の章と比べて、ラストは結構長いこと喋っている上に、犯人に対抗する程の力もあり、病気の程度というか、筋力・健康具合というか、不思議だなぁと思った。
しかし、単純に話としてはどの章も面白かったので、友人におすすめしたい。

2023/03/20

読み終わってから、「いい゛ぃいぃいい!」とヨギボーにダイブしてしまった。
大好きな祖父が認知症になってしまい、昔のような聡明さが失われて行く中、孫娘のために時折鋭い推理力を見せる。
祖父の物語を聞きながら、この聡明さや想像力を奪わないでと願う楓の思いが、タイトルに現れているのが素敵。

一つ一つのお話も面白かったし、絶対岩田先生がストーカーだと思ってたから笑、そうじゃなくてよかった。
どっち選ぶのかなー、わからないところがいいです。

2023/03/20

日常ミステリから始まり殺人事件も！
幻視を現実に重ねながら謎解きをしていくおじいちゃん、知的でとても素敵
認知症になる前はさらに…と思うと家族の楓はさみしい気持ちになるのも仕方ない
なかなか重たい過去があるので恋愛に前向きになれなかった楓が一歩踏み出した、ふたりの優しい青年のおかげ
心は四季寄りなのかな…岩田先生、ちょっと暑苦しくても誠実で真っ直ぐで推せるんだけど！

2023/03/20

YouTube「ほんタメ」でタイトルが良すぎる小説に選ばれた作品

ナイナイのANN内でも大いに盛り上がった、この小説を読めたことが嬉しい

[祖父は、煙草を「吸う」とはいわず「呑む」という。]

[あなたたちに無限の未来など待っていません
すべては有限です。
終わりがあります。
若さという武器は、あっという間に錆びついていってしまうのです。
望む未来を手にしたいのなら　
どうか、冒険してください。]

2023/03/19

優しく温かいミステリー。
人を選ばず、様々な人の心に刺さる内容になっていると感じた。
私は通勤前に少しずつ読み進めていたが、ふわりと温かい心地になりながら読み進められた。
骨太ならミステリーを望んでいる場合、少し物足りないかもしれないが
私は「あーやられた」という感覚を何度も感じながら読むことができ、とても良い楽しく読めた。

2023/03/19

安楽椅子探偵もの。
途中までゆるーい事件の短編で、
また祖父の病状が辛くなかなか読み進められなかったが、後半ストーカーの辺りから面白くなってきた。しかし…重い…(笑)ストーカー怖すぎるし話が辛すぎる。

個人的に四季くんもう少しキャラクターが立っててもよかったのか？とも思ったり。岩田先生とどっちかでよかったか、それか恋愛要素いらなかったような？？
うーん、私が恋愛要素絡むのが苦手なだけか(笑)
でもあれか、大切な人が出来て天涯孤独にならない未来…っていう終わりにしたかったのか。

最後、祖父が亡くなる終わりじゃなくてよかった。

あと、虎と女の話は面白かった。

2023/03/18

軽い気分で、サラッと読み終える…つもりで、しかも認知症のこととかも～。
いい意味で裏切られ、しかもドツボにはまり、楓さんと一緒に泣き笑いおおのき、岩田先生と一緒に時めき、四季さんのようにミステリに揺さぶられました。古典ミステリの勉強や復習もできたし。
キャラが素敵で次々と本が並んでいるのなら、何冊も手に取りたい！と思わせてくれるほど。
今後、活躍を期待します。
安楽椅子探偵、嫌いじゃないです。
でも、端から見ると辛い事もあるね。

2023/03/18

このミス大賞で評判良いので読んでみたが、個人的に全く刺さらなかった。登場人物に魅力なく（特に四季の人物造形は滅茶苦茶で破綻していると思うが）、ストーリももっともらしい解釈をしているが真実味が薄く限りなく噓くさい。ここまでくると過去のミステリー作品の解説も知識の自慢話にしか聞こえない。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、そのままであることは承知で全く面白くなかった。

2023/03/18

※
ミステリと家族愛に溢れる物語。

ーーーーー
知識も経験も豊富な祖父を敬愛する主人公。

ミステリ好きの祖父に可愛がられた楓は、
特に古典本格ミステリをこよなく愛する
一風変わった女性に育った。

そんな楓の身近で起こる事件や謎を、
祖父の力を借りて解き明かしていく。

病を患った祖父が紫煙と共に見せる、
研ぎ澄まされた知性が導き出す名推理。

祖父を敬愛する孫娘、孫を深く愛する祖父、
幻の彼方から時折目覚める祖父の記憶力と
閃きが一つひとつ謎を解き明かしていく物語。