ある愛の寓話 の商品レビュー
考えそうで考えない 届きそうで届かない 入口までさしかかったことはあるけれど、あるいは一歩だけ踏み込んだことはあるけれど、そこから踏み込まなかった領域 踏み込みすぎたら暗い部分もあったり複雑になったり、これまでのようには生きていけない領域 愛にはそんな領域がある。 無限の可...
考えそうで考えない 届きそうで届かない 入口までさしかかったことはあるけれど、あるいは一歩だけ踏み込んだことはあるけれど、そこから踏み込まなかった領域 踏み込みすぎたら暗い部分もあったり複雑になったり、これまでのようには生きていけない領域 愛にはそんな領域がある。 無限の可能性がある愛。 愛は、自分で感じるだけならまだしも、誰かと語る上では絶妙なバランスを保たなければいけない。 ほとんどの人が大人になるにつれて、なんとか定まったその位置を、ずらそうとしない。 ほんの少しでもずらしたら、途端にバランスが大きく崩れて、そのままほかの様々なものまで崩してしまいそうだから。 本書は、一歩だけそんな領域に踏み込み、それにも関わらずバランスが崩れていない、素晴らしい作品。 私は、人生のある時期に一歩だけ踏み込んで、誰かあるいは常識に引き止められて、それっきりそこにいたかつての自分と邂逅した。 そしてかの人を、愛しく、抱きしめた。
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村山由佳さんの小説を読むといつも「甘さ」を感じるのだが、今作でもそれは変わらず。 その中でも「訪れ」が一番好きでした。
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6つのまるでおとぎ話のような 少し切なくて残酷で圧倒的な幸福感に包まれた 短編集でした。 物語を読み進むにつれ思い出したのは 子どもの頃、物語を一つ読み終えるたびに感じていた胸が震えるようなあの気持ち。 すっかり忘れてしまっていた感情を再び味わえるとは・・・ こんな素敵な本に出会...
6つのまるでおとぎ話のような 少し切なくて残酷で圧倒的な幸福感に包まれた 短編集でした。 物語を読み進むにつれ思い出したのは 子どもの頃、物語を一つ読み終えるたびに感じていた胸が震えるようなあの気持ち。 すっかり忘れてしまっていた感情を再び味わえるとは・・・ こんな素敵な本に出会えてうれしい。
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色々な「愛」の形がテーマの短編集。 自分には全く愛を感じないであろう物に対して、強烈な愛情を向けている主人公もちらほら。 でも不思議と嫌な気分にはならず、素直に読めた。 「世界を取り戻す」が一番好きだった。
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白ムラヤマと黒ムラヤマと融合した作品が、たっぷりと味わえる大人の寓話! 著者の、人にも生き物にも深い愛情が沢山詰まっている。 「晴れた空の下」 読み終わってから、ジーンと涙が出た。 「グレイ・レディ」 ナンタケット、素敵な主人公だった。 「乗る女」 やっぱり馬が出てきた!...
白ムラヤマと黒ムラヤマと融合した作品が、たっぷりと味わえる大人の寓話! 著者の、人にも生き物にも深い愛情が沢山詰まっている。 「晴れた空の下」 読み終わってから、ジーンと涙が出た。 「グレイ・レディ」 ナンタケット、素敵な主人公だった。 「乗る女」 やっぱり馬が出てきた! 「訪れ」 戦争での体験の話は辛いものがあった。 著者の父親も確かロシアの捕虜になったはず。
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私が読んだ、村山由佳氏の作品49冊目。 彼女が描く、外国の情景や、そこに居着いた人々の営みが好きで、読み続けた。 この作品も、はじめは「ちょっと違うかなぁー」と思いながら、ページを進めて行くうちに、やっぱり、ひき込まれて行った。 ━━幼い頃から、〈人〉と〈人ならざる者〉との交...
私が読んだ、村山由佳氏の作品49冊目。 彼女が描く、外国の情景や、そこに居着いた人々の営みが好きで、読み続けた。 この作品も、はじめは「ちょっと違うかなぁー」と思いながら、ページを進めて行くうちに、やっぱり、ひき込まれて行った。 ━━幼い頃から、〈人〉と〈人ならざる者〉との交情を描くお話に強く惹かれた━━ と、あとがきに書かれているように、この作品も、 そんな6遍の物語が書かれている。
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人だけではなく動物やモノへの愛の物語の短編集。計算をしないありのままの気持ちを貫いた愛は、どんな形でも幸せを感じるものなんですね。切なかったり、ほっこりしたり、そしてちょっとだけ官能的な描写もあったりと、作家デビュー30周年記念作品とのことですが、これからも楽しみな作家さんです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『いろんな愛のカタチがあって、それがイイ…ねっ』 【人】と【人ならざる者】の【触れ愛】を描いた六編の短編集。時に切なく、時に悲しく、時に甘い、いろんなカタチの愛の寓話に引き込まれ、所々でホロっとしてしまう。そんな優しさに包まれた作品でした。
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まず装丁が素敵。図書館で借りてしまったけれど、買って手元に置いておきたくなった。6つの短編集。どれも優しく、忘れていた部分にそっと触れるような物語で、読み終えると涙が滲んだ。
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村山由佳先生の作品は絶対的安定感がある。収録された6つの寓話もじんわりと心に沁みてくる。人、動物、バッグ…みんな愛で繋がっている。『じゃあ、いってくらぁ』言葉の選択が秀逸。感涙。
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