名探偵の生まれる夜 大正謎百景 の商品レビュー
宮沢賢治好きというのもありますが、「遠野はまだ朝もやの中」はオチまで好みでした。「渋谷駅の共犯者」はハチ公のその後がわかっているので、痛快なのに切なさも感じて印象的でした。
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大正時代を舞台に、作家、芸術家、研究家、学者、活動家などの有名人たちが様々な事件と遭遇する8編。 探偵志願の学生・平井太郎(江戸川乱歩)が日本に潜伏中のインド人活動家を探すミッションを受ける…「カリーの香る探偵譚」 一時帰国した野口英世博士の前に現れたのは英世の娘だと名乗る美...
大正時代を舞台に、作家、芸術家、研究家、学者、活動家などの有名人たちが様々な事件と遭遇する8編。 探偵志願の学生・平井太郎(江戸川乱歩)が日本に潜伏中のインド人活動家を探すミッションを受ける…「カリーの香る探偵譚」 一時帰国した野口英世博士の前に現れたのは英世の娘だと名乗る美しい少女…「野口英世の娘」 鈴木三重吉が芥川龍之介に児童向けに雑誌への寄稿を頼むために不思議な話を聞かせると乗り気でなかった彼が目を輝かせて…「名作の生まれる夜」 島田抱月の死後明かされる、芸術倶楽部に造られた使われない階段の謎…「都の西北、別れの歌」 など8編。 かなりの短編なのでそれぞれの話はやや物足りなさもあるが、何といっても有名人たちが次々出てくるのが楽しい。有名人たちの背景をもっと知っていれば、実際のエピソードと物語との絡め方の妙も、もっと楽しめたかも知れない。 個人的に興味深かったのは「渋谷駅の共犯者」。 上野英三郎博士と言えば、忠犬ハチ公の飼い主というくらいの知識しかなかったが、農学博士としての顔も描かれていたのが新鮮で楽しめた。 また最終話「姉さま人形八景」は、タイトル通り「姉さま人形」が次々人の手を渡っていく様を時系列を遡って描かれるので、発端がどこなのかを辿っていくのが面白い構成だった。 発端は物悲しいものだが、最終的に山下清画伯によって美しく昇華されていくのが良かった。 山下清と言えば『裸の大将』というあだ名を思い出すが、それもこの物語で上手く使われていて楽しかった。 それにしてもこの時代は芸術も学問も百花繚乱、国としても時代としても成長期で面白い。
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「カリーの香る探偵譚」「野口英世の娘」「名作の生まれる夜」「都の西北、別れの歌」「夫婦たちの新世界」「渋谷の共犯者」「遠野はまた朝もやの中」「姉さま人形八景」の8話。どれも面白かったのですが、「名作の生まれる夜」が特にお気に入り。作者の青柳さんの創作話だとわかってはいるのですが、...
「カリーの香る探偵譚」「野口英世の娘」「名作の生まれる夜」「都の西北、別れの歌」「夫婦たちの新世界」「渋谷の共犯者」「遠野はまた朝もやの中」「姉さま人形八景」の8話。どれも面白かったのですが、「名作の生まれる夜」が特にお気に入り。作者の青柳さんの創作話だとわかってはいるのですが、本当にこうやってあの話が生まれたのだとしたら…。想像するだけで楽しい!
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大正年間を代表する?与謝野晶子、柳田國男、星一那殿著名人のエピソードにちょっとした謎を織り交ぜた短編集。 各編につながりはないが、最終話は何話かを取り持つ形になっている。
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耽美世界を感じさせる大正時代、著名な方々が登場し、軽ーい謎を解いていく。あくまでフィクションであるが事実に則した部分もあり、登場人物に興味を持った。
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どの作品もスッキリ終わる。 登場するのが実在の人物なので、どの程度本当のことなのか分からないが、気にしなくても楽しめる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なかなか面白かった。「名作の生まれる夜」が良かった。落語の話のようでいて、伏線回収していて気持ち良かった。「渋谷駅の共犯者」も良かった。当時の駅の雑踏が思い浮かんだ。 全てにおいて、心に残るほどすごい話というわけではないけれど、歴史的な人が少しずつ出てきて知らない一面を見たような面白さがあった。末尾の主要参考文献を見て、まあ確かにこれだけの話を書くなら歴史資料たくさん読んでいないと書けないだろうと納得。著者の長編を読んでみたいと思う。
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図書館より。 楽しく読了。大正って詳しくないけど、見知った人物(笑)がいるのは楽しいね。 他の人物でも、作品書いてくれないかなぁ。
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「カリーの香る探偵譚」 推理小説から得た知識。 偶然だったとしても、安易な考えで答えに辿り着けてしまうのは一種の才能だったのではないだろうか。 「野口英世の娘」 一夜を共にした時の事。 有名になってしまうと、過去に少し顔を合わせただけでも友人だと名乗ったり変な輩が増えるだろうな...
「カリーの香る探偵譚」 推理小説から得た知識。 偶然だったとしても、安易な考えで答えに辿り着けてしまうのは一種の才能だったのではないだろうか。 「野口英世の娘」 一夜を共にした時の事。 有名になってしまうと、過去に少し顔を合わせただけでも友人だと名乗ったり変な輩が増えるだろうな。 「名作の生まれる夜」 何気ない会話の中にも。 他者に面白いと思わせる物語を書くには、普段からアンテナを張り巡らせネタを集めまわるのだろうな。 「都の西北、別れの歌」 作られた階段の意図は。 元家族と金銭だけだったとしても、いつまでも繋がり続けていることを知りながら居るのも辛いだろう。 「夫婦たちの新世界」 配線を切るタイミング。 部屋中に遺品が溢れているのであれば嫌になりそうだが、一つぐらい大切に手元に残してもいいだろう。 「渋谷駅の共犯者」 待てが出来る賢い子は。 個人的な感情を仕事に持ち出す時点でどうかと思うが、一番確実な方法で捕まえることができたのでは。 「遠野はまだ朝もやの中」 不思議な話を分析して。 創作の物語ならば辻褄が合わずとも仕方がないが、実際に起きた事となれば隠された事実があるよな。 「姉さま人形八景」 受け継がれし折り紙は。 これだけの人の想いを繋いでいったものが、最後には素敵な作品の一部になるだなんて不思議な縁だな。
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この本には理屈ではない面白さがある。謎解きもあれば怪異譚(ホラーではない)もあるし、また現代社会と通ずるようなラブストーリーもある(もちろん中心はミステリだが)。時代によって人々の営みは変化するものだが、人間の性質そのものは大きくは変わっていないのかもしれない。そんな風に思わされ...
この本には理屈ではない面白さがある。謎解きもあれば怪異譚(ホラーではない)もあるし、また現代社会と通ずるようなラブストーリーもある(もちろん中心はミステリだが)。時代によって人々の営みは変化するものだが、人間の性質そのものは大きくは変わっていないのかもしれない。そんな風に思わされた。
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