真珠湾の冬 の商品レビュー
1941年の真珠湾攻撃より前の日に起こった連続殺人事件から1945年の終戦を経て、ホノルル警察の刑事であるマクレディが謎の人物であるジョン・スミス正体を暴く過程が一人の男が恋人や職業などの大切なものを失いつつも真相にたどり着く過程が重厚なハードボイルドを呈してて引き込まれた。ま...
1941年の真珠湾攻撃より前の日に起こった連続殺人事件から1945年の終戦を経て、ホノルル警察の刑事であるマクレディが謎の人物であるジョン・スミス正体を暴く過程が一人の男が恋人や職業などの大切なものを失いつつも真相にたどり着く過程が重厚なハードボイルドを呈してて引き込まれた。また、ラストで日本で出会ったサチと再会できたのも良い余韻だった。
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色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。 ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリード...
色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。 ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリードで、ほとんど内容とマッチしていない。原題は「Five Decembers」なのだから当然である。おそらく、歴史好きの読者も取り込もうと、編集部が狙ったのではないだろうか。 物語はある殺人事件に端を発し、原題の通り、5回の12月を経る。ハワイ、香港、東京と、時間のみならず、地理的にも壮大なスケールで展開する圧巻の物語である。主人公は元軍人の刑事マグレディ。タフで優しく、女性にモテる。フィリップ・マーロウの系統に属するキャラだ。私自身はあまりこの主人公に感情移入することができなかったが、とても面白く読んだ。他の多くの方が指摘されているようにラストが美しい。 タイトルに真珠湾と入れたことで、逆に色がついてしまったようにも感じる。そこは惑わされずに、原題で興味を覚えた方は手に取ってみては? 抜群の没入感が味わえると思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
水面下では真珠湾攻撃が忍び寄る1941年11月のホノルル。 軍上がりの刑事、ジョー・マグレディは上司から署長の知人宅離れで発見された惨殺死体の調査を命ぜられる。 死体の身元を調べていくうちに、ぞんざいには扱えない縁故を持った被害者であることがわかると共に、犯人と思われる輩の足取りも思わぬ方向に表れて、俄然多方面の筋からの事件への注目度が増していく。 猟奇殺人をめぐる骨太警察もののような出だしから、香港に飛び、運と巡り合いの力で戦時下を身ひとつで生き延びるアジアンテイスト色濃い戦争小説めいたものとなり、大戦が開けると喪失の果てに失うものはない冷めた心を携え、寄りつく女達にも芯の通ったスタンスを崩さない主人公然がもはやハードボイルドとなる目まぐるしいまでのジャンル融合小説だった。 結末は1945年12月(原題〈Five Decembers〉でもある五回目を迎える12月)。 いくつもの出来事、関係を犠牲、置き去りにして今日に至る中で、結局のところ因縁のあの事件の犯人探しに帰結していく展開と、「もしもあのとき…」の歴史の分岐点の夢想を主軸に、戦争がもたらす混沌、悲運、空虚さが刺さる壮大なミステリ。 この書きぶり、この目線の作品にエドガー賞が与えられるとは米国ミステリ文壇も捨てたもんじゃないですね。
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みなさんの高評価に感化され、 読んで見ました。 事前情報は最小限に留めた為、タイトルと 表紙からもっと太平洋戦争開戦に起因する 事件かと勝手に想像してしまいました。 個人的には戦中の香港〜東京の場面は どハマりしましたが、ホノルル〜結末は ちょっと微妙かなぁという感想です。 ...
みなさんの高評価に感化され、 読んで見ました。 事前情報は最小限に留めた為、タイトルと 表紙からもっと太平洋戦争開戦に起因する 事件かと勝手に想像してしまいました。 個人的には戦中の香港〜東京の場面は どハマりしましたが、ホノルル〜結末は ちょっと微妙かなぁという感想です。
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真珠湾とミステリー、どう繋がるのか。 1940年代、ホノルル警察の刑事マグレディが 戦争に巻き込まれながら、国を越え、時を越え殺人事件の真実に迫っていく。 章が進むにつれ、来るぞ来るぞの開戦日、 まさかの事態に。これどうなるの?と絶対絶命の詰み状態。ハラハラドキドキがたまらなく面...
真珠湾とミステリー、どう繋がるのか。 1940年代、ホノルル警察の刑事マグレディが 戦争に巻き込まれながら、国を越え、時を越え殺人事件の真実に迫っていく。 章が進むにつれ、来るぞ来るぞの開戦日、 まさかの事態に。これどうなるの?と絶対絶命の詰み状態。ハラハラドキドキがたまらなく面白かった。 アメリカ側から見た第二次世界大戦は、こうなのかと垣間見る事ができた。 ハワイ、香港、日本など当時の描写が味わい深い。特に日本の描かれ方については、著者の思い入れを感じる。美しく描いていただきありがとうと、同じ日本人女性として勝手に思っている。(似ても似つかぬタイプだが…) ミステリーと歴史のコラボ。人間ドラマも相まって、読みごたえありの一冊となった。
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『ヒデミス!2023 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン』に選ばれていたので読んでみました。 1941年11月。ホノルルで残虐な殺され方をした男女の死体が見つかった。一人は海軍提督の甥。もう一人は東洋人の若い女。犯人の足跡を辿り、ウェーク島へ。ウェーク島でさらに犯人...
『ヒデミス!2023 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン』に選ばれていたので読んでみました。 1941年11月。ホノルルで残虐な殺され方をした男女の死体が見つかった。一人は海軍提督の甥。もう一人は東洋人の若い女。犯人の足跡を辿り、ウェーク島へ。ウェーク島でさらに犯人の人物像に近づき香港へ。香港で犯人の居所を突き止めたところ太平洋戦争が勃発し… ホノルル→ウェーク島→香港→東京、と場所を変え、殺人事件と戦争を絡めることで、ダイナミックで意外な展開になります。犯人と対面するシーンでは、思わず「今ここで!?」と言いたくなるほど。 だれが味方かだれが敵か予想がつきにくく、やけに真面目なロマンチックもあり、最後までドキドキして面白かったです。 すごく面白かったのですが、ドラマティックな演出のために空襲を利用して欲しくないという思いと、なんでこの家には使用人がいないの?という疑問が重なり、星は少なめです。 ちなみに原作の表紙は星1つです。がっかり過ぎ。
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面白くないことは無いのですが、正直前評判がかなり良かったので、期待し過ぎちゃいました。 なんとなく話全体を通して、主人公のキザさが強めな感じがしました。そこが良いところではあるのですが、私にはちょっと合わなかったです、、、
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ヒデミス2023の中で読みたかった2作目ですが、こちらの翻訳は癖が無くて読みやすかったです。ただ、一つだけ文句を言わせて貰うと邦題が酷い…。素晴らしい大作なのに真珠湾攻撃を書いたチープな作品と勘違いされません…?お陰で友人に「まーたそんなん読んで!前世は兵士やったんか?!」と突っ...
ヒデミス2023の中で読みたかった2作目ですが、こちらの翻訳は癖が無くて読みやすかったです。ただ、一つだけ文句を言わせて貰うと邦題が酷い…。素晴らしい大作なのに真珠湾攻撃を書いたチープな作品と勘違いされません…?お陰で友人に「まーたそんなん読んで!前世は兵士やったんか?!」と突っ込まれました。輪廻転生って何年サイクルなんだろう、と真剣に考えてしまったと言う話は置いといて。 紹介では犯罪捜査の途中で真珠湾攻撃が始まるとの事でしたので、そんなてんこ盛りして大丈夫?!と気になりすぎて拝読したのですが、大丈夫どころか全て繋がる歴史大作ロマンと言って差し支えない作品でした。 先ず、これを海外の方が書いて下さった事に感動。日本兵の事はフルボッコなんでしょう?と覚悟していたら、なんという中立な描写…どころか凄く泣けるシーンを作ってくれていて海の向こうのジェイムズさんに土下座しましたが、後書きを拝見するとアジアが大好きな方のようです。 凄惨な描写も少なく、どちらかと言えばあとがきで吉野さんが仰っていたファシズムへの怒りと批判という表現に納得しました。 ジャンル分けが非常に難しい本作ですが、基本的には最初に起きた猟奇殺人を追いかけるのがベースです。1941年、軍人上がりの刑事マグレディが納屋で逆さ吊りにされてお腹をパッカンされた事件の捜査を任されます。 始めは正統派の刑事物語で進むのですがこれが第一章。ここに真珠湾の基地を守っているキンメル大将が絡んできてどんどん不穏な空気になって来ます。 第二章になると舞台が中国へと移ります。当時は国を移動するのにこんなに時間と手間がかかったのかと驚きましたが(そりゃそうか)、ここで遂に真珠湾攻撃が行われ開戦。罠にかけられた上に異国の地で戦争に巻き込まれてしまうマグレディ。 中国に日本軍が押し寄せて来た時には残り200ページ以上もあったのに「あ、終わったなこれ…」と私も絶望を感じた程。 ここで素敵な日本人が登場。東郷大臣の第一秘書官の高橋。 彼との出会いがマグレディの人生の転機となります。 そして舞台は戦時下の東京へ。この東京の描写が日本人が書いたのかと錯覚する程丁寧で細かく、情景がありありと浮かんできて戦時中だと言うのになんて美しい世界なんだろうとこの辺りから読むのが止まらなくなりました。 日本人が本来持っている筈の礼節をこんなに美しく書いてくれるなんてまたもや感謝の念が湧きましたが、第3章ではいよいよ終戦。 眠っていた猟奇殺人事件の捜査が再び始まります。 舞台は再度ホノルルへ。 ここで先ず私が思った事。マグレディ…モテすぎだろ!! 確かに女性に対して礼儀正しいですし頼りになりますけどフェロモンでも出てるのか?! ここでは戦時中から戦後にかけて、不遇な扱いを受けて来た女性達が登場します。 彼女達のお陰でマグレディはどんどん事件の真相へと近づき帰ってきたサスペンス。ここにマグレディの切ない思いが重なっていよいよ読むのが止まらず寝落ちした後で読書再開。 予想もしていなかった展開に驚いていたら、最初からは絶対に想像もつかないエンディングが。 なんと美しい終わり方なんだろう…。まるで昭和時代の東宝映画を観ている感覚になり、暫く呆然としてしまいました。 上下段の474ページですがあっという間でした。一つ一つ丁寧に練られていてマグレディが恋人のモリーと出会ったきっかけも計算されているし、刑事としての捜査方法もリアルだしこんなに長いのに何一つ無駄がありませんでした。 この作品のお陰で翻訳本に対する苦手意識が薄れそうです。思い切って読んでみて良かった。 それにしても何故私は突然翻訳本が苦手になったのか原因不明です。高校の時はダ・ヴィンチ・コードやアガサ・クリスティも平気で読んでたのになあ。 そう言えば作中で山本五十六さんのお名前が出てくるのですが、もし1度だけタイムリープさせて貰えるなら山本さんに本当にギャンブルで一度も負けた事がないのですか?と聞きたいです。(私はそのまま海の藻屑となりそうですが)
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とにかく壮大なストーリー いつの時代も私達は、大切な人とささやかな日々を過ごしたいだけなのに… 戦争は人生を大きく変えてしまう… “ホノルル警察の刑事・マグレディを主人公にした警察小説” といった雰囲気で始まるこの作品。 しかし、時は1941年11月26日。 太平洋戦争を背景...
とにかく壮大なストーリー いつの時代も私達は、大切な人とささやかな日々を過ごしたいだけなのに… 戦争は人生を大きく変えてしまう… “ホノルル警察の刑事・マグレディを主人公にした警察小説” といった雰囲気で始まるこの作品。 しかし、時は1941年11月26日。 太平洋戦争を背景にしたこの作品は、警察小説の枠を超え、舞台もハワイから香港、東京へと移っていく。 マグレディは戦争という大きな波に飲み込まれ、その人生は思わぬ方向へと転がっていく… 原題は「Five Decembers」 主人公と共に12月を5回経験した私は、まさに放心状態。 フィクションと分かっているが、戦時下のリアルな描写に胸が苦しくなる。 この本は皆さんご存知〈ハヤカワ・ポケット・ミステリ〉の一冊。 このシリーズ、海外ミステリ初心者の私には敷居が高いと思っていました。上級者の方々が手に取る本だと… (あくまでも私の勝手な思い込みです^^;) でも約1年前、autumn522akiさんの鬼★5レビューを読ませて頂き、読んでみたい! と思っていました。 読んで良かった! やはり日本人が登場したり、東京が舞台になったりで、入り込みやすいのかもしれませんね。 そしてラストは圧巻です… 私でも思いっきり楽しめました。◕‿◕。
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