真珠湾の冬 の商品レビュー
鬼★5 戦争とは人間とは何か? 命のやりとりを壮大なスケールで描く歴史冒険ミステリー #真珠湾の冬 ■あらすじ 第二次大戦が始まる頃、ハワイにてある白人男性と日本人女性が殺害される事件が発生。主人公であるアメリカ人の刑事は、犯人を捜すため奔走するも、捜査はウェーク島や香港にまで...
鬼★5 戦争とは人間とは何か? 命のやりとりを壮大なスケールで描く歴史冒険ミステリー #真珠湾の冬 ■あらすじ 第二次大戦が始まる頃、ハワイにてある白人男性と日本人女性が殺害される事件が発生。主人公であるアメリカ人の刑事は、犯人を捜すため奔走するも、捜査はウェーク島や香港にまで及んでしまう。彼が香港で捜査を進めているとき、折しも日本は真珠湾を攻撃、第二次大戦が始まってしまって… 予想だにしない運命と、事件の動機と真相を大きなスケールで書き記す、歴史冒険ミステリー。 ■きっと読みたくなるレビュー またすごい小説を読んでしまった… これは日本人なら読んでおいたほうがいい。 殺人事件の捜査から第二次大戦の背景に、人ひとりの人生がまるっと影響を及ぼしていく。あまりもスケールが大きい物語でした。 ○戦争が人々に与える影響 もちろん本作はフィクションではあるのですが、似たような現実があったのかもしれませんね。日本人外交官や関係者の考え方やセリフがやたらリアルで、重大な歴史への影響を感じ、じわりと手に汗を握ります。 ハワイの事件から始まり、ウェーク島、香港、日本と太平洋をまたにかけ場面が展開、当然それらの国の人々と主人公が関わってくる。ただの事件捜査ではない、まさに命のやり取りが繰り広げていくのです。 特にラストシーンは、この壮大な物語を締めくくってくれる至極の名シーンでした。 ○攻撃される日本 戦時下における東京、生活する人々の現実、そして大空襲。小さな幸せをすべて破壊する描写と叫びがあまりにも痛烈。 どんな犠牲を払って戦争が行われるか、現代に生きる我々も覚悟して見ておく必要があります。 ○人々の戦争に対する思い どこの国で生まれ、育った人も、戦争なんかしたくない。 しかしそれが許されなかった時代に、日本人、アメリカ人で生きる人々は、それぞれに何を思っていたのか。きっと本作のように、当たり前の考えをしている人は多くいたのでしょうね。 物語の後半、ある女性と事件を振り返る名シーンがあります。 戦争がもたらす罪と罰が切々と語れれていきますが、特に強烈なのは日本刀の鞘に入っていた手紙。 第二次大戦では日本は何百万もの戦没者がいましたが、そのひとりひとりに家族がいるんです。2022年、いまだに戦争をしている国があります。いますぐやめるべきです。 ○恐ろしい動機と真相 犯人の動機、事件と戦争の関係性があまりにも恐ろしい。 たった一人の歪んだ価値観が、こんなにも悲惨な結果につながるのか。これから未来に生きる我々は反面教師にしないといけません。 さて2022年、最後の一冊になりました。 昨年末にも「同志少女よ、敵を撃て」を読みましたが、戦争をテーマにした小説は学びが多いですね。重厚感たっぷりの時代冒険小説、じっくりと読みたい作品でした。 ■きっと共感できる書評 朝起きて、仕事をして、仲間とお酒を飲み、ほんの少しのご飯をいただき、就寝につく。何処の国でも、人種でも、宗教であっても、みんな家族や恋人、友人たちと幸せに暮らしたいだけです。 凄惨な事件と辛い戦時中の物語ですが、読み終わってからあらためて本書最初の引用文を見てみるとよいでしょう。 人を救うのは、人の優しさだけです。
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ハワイ真珠湾から香港、東京と太平洋戦争の始まりから、終戦までが舞台の今までにないシチュエーションの小説でぐいぐい引き込まれるすごい読書体験だった。 欲をいえば大きく広げた風呂敷のほんの少し不明点が残ったかなというのが正直なところ。とくに今はやりの異常な殺害方法は少し前までは表現さ...
ハワイ真珠湾から香港、東京と太平洋戦争の始まりから、終戦までが舞台の今までにないシチュエーションの小説でぐいぐい引き込まれるすごい読書体験だった。 欲をいえば大きく広げた風呂敷のほんの少し不明点が残ったかなというのが正直なところ。とくに今はやりの異常な殺害方法は少し前までは表現されなかっただろうと思うし、実際必然性はなかったので時代の背景を考えることよりも犯人を必要以上に憎ませ、個人的な性格異常に事件を矮小化してしまったように思う。 とはいえ、今までにない読書経験、もう少し長くジョーの冒険に付き合って、日本の戦後を体験したかった。
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1941年のハワイ。アメリカ人の刑事マグレディはある殺人事件の捜査を始める。そして容疑者が香港にいるという情報でそれを追うがその最中に真珠湾の攻撃、太平洋戦争の勃発。そこからマグレディの人生が狂い出していく。日本軍に捕まり東京へ。ここまででもすごく読ませるけどこの東京の日々やその...
1941年のハワイ。アメリカ人の刑事マグレディはある殺人事件の捜査を始める。そして容疑者が香港にいるという情報でそれを追うがその最中に真珠湾の攻撃、太平洋戦争の勃発。そこからマグレディの人生が狂い出していく。日本軍に捕まり東京へ。ここまででもすごく読ませるけどこの東京の日々やその後が本当に面白い。一人の女性との出会い、終戦を迎えてまた変わる日々。色々なものに翻弄されていくなかでハワイでの事件を追い続ける。戦中、戦後のアメリカや東京の空気感や価値観の変化。戦争が変えてしまったものとマグレディのなかで変わらなかったもの。そういうものが溢れてくる余韻のあるラストがいい。
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読み応えあり。 凄惨で目を背けたくなる殺人事件から、このようなスケールの物語に発展していくとは。ハワイ、東京、香港など地理的にも大きく動き、また、さまざまな人種、立場の人物たちとも関わり合ううちに、何度か緊迫して息を詰める。東京大空襲のことも日本にいる視線で描かれていたのが印象...
読み応えあり。 凄惨で目を背けたくなる殺人事件から、このようなスケールの物語に発展していくとは。ハワイ、東京、香港など地理的にも大きく動き、また、さまざまな人種、立場の人物たちとも関わり合ううちに、何度か緊迫して息を詰める。東京大空襲のことも日本にいる視線で描かれていたのが印象的だった。 そして、ひとかけらの雪片のような美しいシーンへと辿り着く。
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