火喰鳥を、喰う の商品レビュー
読後すぐの感想が「なかなかにえげつないホラーを読んでしまった」でした。 物語は、第二次世界大戦中、パプアニューギニアで戦死した主人公の大叔父の手帳が、主人公を含む遺族家族の元に戻ってくるところから始まる。 その手帳の、大叔父が書き記した内容を読んだ時、彼らの運命がどんどんおかし...
読後すぐの感想が「なかなかにえげつないホラーを読んでしまった」でした。 物語は、第二次世界大戦中、パプアニューギニアで戦死した主人公の大叔父の手帳が、主人公を含む遺族家族の元に戻ってくるところから始まる。 その手帳の、大叔父が書き記した内容を読んだ時、彼らの運命がどんどんおかしくなっていく……。 その違和感がないようで、じわじわと手帳を読んだ彼らの運命をむしばみ、狂わせていく様々な現象は、生々しく描写されるラバウル戦線の熱帯の気温や血生臭さ、現実の真夏の描写と相まって、息苦しさを伴うじわりとした恐怖があった。 人は大事なものを"守る"ため、"手に入れる"ためには何でもするのか。 それが狂気となると、どうなるのか。 細かく書くとネタバレにすぐ当たるので伏せるが、戦中だろうが現代だろうが、人の"欲求"が、悪い方向へ追い詰められ、煮詰まり焦げ付いた末路を見たような、読んでいる最中の気味の悪さがものすごい(褒めている)。 加えて、ミステリーの観点では最初からの伏線や展開がスムーズで、最初から読み直したくなる構成になっているのが面白い。 話を急展開させるある人物の登場には、やや唐突感を感じるも、それを小さなものにするほどに、物語が濃密だった。 タイトルも中盤まで、ホラー要素の一つでしかないのかと思わせながら、後半からの急展開とタイトルの意味には唸らせられた。 ホラーは得意ではないジャンルなので、沢山読んでいる方ではないが、それでも「新しい」と思う作品でした。 ホラー好き……より強い恐怖(刺激)を求めている人にはちょっと物足りないかもと感じましたがホラー苦手な(でも読む)私にはちょうど良いぐらいのホラーでした。
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横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作とのことで読み始めましたが、ホラー強めです。 描写が思いっきり映像でイメージできてしまうので、かなり怖い。。 好きなジャンルですが、怖すぎてなかなか読むのが進まなかった ラストは誰の立場に立つかで印象がガラッと変わります。
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不思議な終わり方。 納得いく人と、納得いかない人にきっぱり分かれそう。全体的に不気味な雰囲気は、読んでいてとてもわくわくした。
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今ある現実と、有り得たかもしれないもう一つの現実…誰しも自分や大切な人が生きている現実を望むし、思い描いた通りの現実を欲するだろう。 でもちょっとこの結末はホラー的にはグッドだけど心情的には無理矢理の邪な勝利で後味悪い。 積み重ねた現実は生きる執念の化身のような火喰鳥に喰われてしまったが、人の心までは喰えないんじゃないかな。やはり夕里子はいずれ彼から離れる道を選ぶような気がする。 片や自分がチャコの立場ならハッピーエンド…単純に善悪で断罪できない複雑な読後感とパラレルワールドの不思議な魔力に捉われた。
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これは怪異でもあるし事件でもある。 あまり本は読んだ事がないから分からないけど、こういう終わり方の本は初めて。 面白かったです。
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特殊設定のミステリー。日記が勝手に書き換わる。死んだ人間が生きていたような事実に捻じ曲がる。実のところはお互いに生存し得ない人たちの戦いだったんだなあ。主人公がずっと彼だったからさ、ラストは少しもやっとした。もうちょっとチャコさん世界側の方も描いてもよかったかな。読み手が雄司さんに肩入れしちゃってるからね。あたしだけか。でも、一気に読み切った!
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単行本の頃から気になっていた作品。ホラー小説は普段読まないが、本書は<横溝正史ミステリ&ホラー大賞>受賞作ということもあり、てっきりホラー寄りのミステリー小説だと思っていたら、実際はホラー寄りのファンタジー小説だった。ホラーなのに怖くないという選評もあったようだが、確かに頷けるも...
単行本の頃から気になっていた作品。ホラー小説は普段読まないが、本書は<横溝正史ミステリ&ホラー大賞>受賞作ということもあり、てっきりホラー寄りのミステリー小説だと思っていたら、実際はホラー寄りのファンタジー小説だった。ホラーなのに怖くないという選評もあったようだが、確かに頷けるものがある。それはミステリー仕立ての淡々とした筋運びの所為かもしれないし、戦死者の怨念という重厚なテーマが後半で有耶無耶になった所為かもしれない。賛否両論ありそうなラストだが、ファンタジーは何でもありと言ってしまえばそれまでだろう。
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