布団の中から蜂起せよ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
感情の乗った文体とその時間/瞬間の自己を切り取った骨子を持つエッセイ。読み応えがあり、同時にそういったエッセイが持つ構造そのものも常に疑問視している作者の視野の広さに感嘆する。 クソだらけの世界で閉口してしまうが、それでも口は閉じずに表に出そうというスタンス。そこから『デモ来ないからダメ』みたいなマッチョな要素は除外し、各々の身体の制約の中でそれでも表出可能なレベルを探って黙らずに表現し続けようと言う考えは、現代においてもっとも必要な政治的スタンスのあり方なんじゃないか。政治に関心がない人が多いのって、政治は上が決めるという権威主義と政治は変えられないという諦観の二つが理由の上位を占めると思っていて、後者についてはこの考え方で多少脱却できる。 生きることと口を閉じないこと、低所得者と老人を切り捨てようとする昨今の情勢をみるにもしかするとその二つは今の社会が嫌う最も強力な弱者の行動なのかもなとすら思う。
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似たような人生を送っている、と思った。 同じ日に、同じような夜を送っている。 同じ本に感銘を受け、同じようなことに憤り、同じようなことで傷ついて、同じような身動きのとれなさのなかで、同じように人を愛したいともがいている。 でもやっぱり、私とは全然違う人生を送っている。そこには緊...
似たような人生を送っている、と思った。 同じ日に、同じような夜を送っている。 同じ本に感銘を受け、同じようなことに憤り、同じようなことで傷ついて、同じような身動きのとれなさのなかで、同じように人を愛したいともがいている。 でもやっぱり、私とは全然違う人生を送っている。そこには緊張がある。 嫉妬もあるし、異論もある。 でも綺麗事でもいいから、世界には善くいてほしい。
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圧倒的な権力には、偏向思想で立ち向かう、それがかつての定石であったと思う。革命家は間違えた事と自認しつつも、その主張を絶対に捻じ曲げてはならなかったはず。 本書における著者の態度は反体制を唱えながらも、結局は中道の域を出ないものであった。はっきり言ってかわいい。 全体を俯瞰しなが...
圧倒的な権力には、偏向思想で立ち向かう、それがかつての定石であったと思う。革命家は間違えた事と自認しつつも、その主張を絶対に捻じ曲げてはならなかったはず。 本書における著者の態度は反体制を唱えながらも、結局は中道の域を出ないものであった。はっきり言ってかわいい。 全体を俯瞰しながら、正論の範囲内で思想を展開するスタイル。誰も傷つけてはいけないという基本ルールの上で展開される言論はいかにもホワイト社会的。 でも松本人志の発言と一般女性の主張が同等に評価されるご時世。 火炎瓶を投げつけなくても、我慢している事をやめてみるくらいの、小さな反抗の寄せ集めが大きな変革をもたらすような、そんな世の中になればいいよね。
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生きづらい社会を生きづらいまま生きるには。多数派の暴力的な思想に抗うためには、多数派の価値観自体を壊すしかない。 全てを理解し受け容れたわけじゃない。でも読むことで救われた何かがある。お守りのような一冊。
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「反誕生日会主義」「パーソナル・ヒストリー」が面白い。 特に反誕生日会主義はおおいに同意するところ。 冠婚葬祭は憂鬱。結婚式は茶番。新年の挨拶は嫌い(長いから)。 形式的な祝福を無理やりやらされるような状況を作る社会はクソ。「それ本気で思ってんの?」そのとおり! 私の知らない誰か...
「反誕生日会主義」「パーソナル・ヒストリー」が面白い。 特に反誕生日会主義はおおいに同意するところ。 冠婚葬祭は憂鬱。結婚式は茶番。新年の挨拶は嫌い(長いから)。 形式的な祝福を無理やりやらされるような状況を作る社会はクソ。「それ本気で思ってんの?」そのとおり! 私の知らない誰かが決めた暦の新年を、めでたいなんてカケラも思っていないが新年の挨拶をするのは、そうしないと礼儀知らずだと思われるから。社会生活を送るのも大変だ
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この社会が狂っていることを再認識でき、同世代が強く怒ってくれていることが嬉しかった。 この世界を再構築するには、まず破壊が必要。 まずは若い世代に準備として、フェミニズム、反中央集権の思想を自然と理解してもらう。 30年後権力層のジジイが消えたこのメチャクチャにされた社会を、...
この社会が狂っていることを再認識でき、同世代が強く怒ってくれていることが嬉しかった。 この世界を再構築するには、まず破壊が必要。 まずは若い世代に準備として、フェミニズム、反中央集権の思想を自然と理解してもらう。 30年後権力層のジジイが消えたこのメチャクチャにされた社会を、連帯してこの国を建て直せるように私も負けずに声を上げることを続けていきたい。 絶望と希望を受け取った。 思想が強いということを悪口として揶揄されるミームがあるが、私はこれからも思想を強化し研ぎ澄まし、いつか誰かを思想で刺したいと思う。
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『変わらなきゃいけないのは社会。もう一回書いとこう。変わらなきゃいけないのは社会。』 生存こそ抵抗だなんて、思ったことなかった。「己の容姿が嫌いなままでも余裕で生きていける社会」、わたしも欲しい。
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自分のめんどくささをさらけ出す文章なので、読者には読みづらくなりそうなものだが、この人の文章は読める。著者のアナキストとしてのスタンスの確かさと日々のグラつきぶり混迷ぶりが安定しているからだろう。言葉選びも上手い。詩人だと思う。
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この本を手に取ったのは『布団の中から放棄せよ』というタイトルに惹かれたのもあるが、自分は序文の力強さに掴まれてしまったからだ。 アナーカ・フェミニズムを標榜する著者の主義主張には賛同するものもあれば、疑問を呈してしまいたくなるものもある。実際に本著は批判されてる部分も多くある。...
この本を手に取ったのは『布団の中から放棄せよ』というタイトルに惹かれたのもあるが、自分は序文の力強さに掴まれてしまったからだ。 アナーカ・フェミニズムを標榜する著者の主義主張には賛同するものもあれば、疑問を呈してしまいたくなるものもある。実際に本著は批判されてる部分も多くある。 だが、それでも自分は本著を読んで扇動された。 著者は読者を生へと扇動すると書かれており、その術中にまんまと嵌ってしまった。 今の日本で生き続けるのは、なかなかに辛くて絶望感に苛まれるときも多くある。 生きることは苦しい。死にてえと思うこともある。 だが著者は生きること自体が社会に対する抵抗になると説く。 そこには巷に溢れかえってるような薄ら寒い言説ではなく、本気でそう信じており、読者を生へと扇動してくれる。 今を生きることに苦しみを覚えている人には響く本だと思う。 個人的には映画評のいくつかは今まで見たことない方向からの批判が書かれてあったりして、そこも面白かった。言われてみれば、確かにその批判は納得だなと思えるのが多かった。そういう面も面白かった。
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これを今読むべきかもしれないと思って読んだため、勇気づけられたり、考えさせられたり、共感したり、色々な感情が呼び起こされた。 そして、もう少し頑張って生きてみても良いかもな、なんて思ったりもした。 あと文章も書きたくなった。 意外とやりたいことがあってまだまだ死ねないな、と思えた...
これを今読むべきかもしれないと思って読んだため、勇気づけられたり、考えさせられたり、共感したり、色々な感情が呼び起こされた。 そして、もう少し頑張って生きてみても良いかもな、なんて思ったりもした。 あと文章も書きたくなった。 意外とやりたいことがあってまだまだ死ねないな、と思えたことが何より嬉しかった。
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