小説家の一日 の商品レビュー
「緑の象のような山々」「園田さんのメモ」「好好軒の犬」「何ひとつ間違っていない」「窓」 「料理指南」「つまらない湖」「凶暴な気分」「名前」「小説家の一日」 『書くこと』をテーマに、様々な人生の一瞬を切り取った10話収録の短編集。 エッセイの様な作品名から、地味なイメージを抱いて...
「緑の象のような山々」「園田さんのメモ」「好好軒の犬」「何ひとつ間違っていない」「窓」 「料理指南」「つまらない湖」「凶暴な気分」「名前」「小説家の一日」 『書くこと』をテーマに、様々な人生の一瞬を切り取った10話収録の短編集。 エッセイの様な作品名から、地味なイメージを抱いていたら、初っ端から漂う不穏な空気に一気に物語に引き込まれた。 男と女の化かし合い的展開、勝者は予想通りで思わずニヤリ。 他の短編も決して派手ではないけれど、日常の中に潜むちょっとした悪意や辛辣さが、ちょこちょこ顔を出し、その不穏さが癖になる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
他の方の感想を読んで初めて「好好軒の犬」にでてきた娘さんが タイトルにもなってる作品に出てきたことを知りました。 確かにお父さん、小説家でしたね。 書くことをテーマとしてるそうですが、だいたい不倫のお話… 一番印象に残ったのは「名前」。 娘がかつての自分と同じ立場になり、しかも自分はできなかったことをやりとおしてるのを見た母親。 母親と娘の女性性みたいなのがぶつかる話。 生々しいけど、終わり方がカラリとしてます。
Posted by
読者感情を儘に操る短篇十作品は何れも秀逸。日常の些細なこと、ありがちな出来事を巧みに描写。曖昧さを残したオチもいい。登場人物の台詞ひとつにしても含みを持たせ、つい深読みしてしまった。
Posted by
ものすごく井上荒野的な感じがします。井上さんの作風を知っていてそれが好きな方には楽しめて、それ以外の方にはさほど刺さらないかもしれません。「書くこと」をテーマにした10短編集。お気に入りは『緑の象のような山々』→世紀のクソメールの応酬。『園田さんのメモ』→こんなメモは怖い。『窓』...
ものすごく井上荒野的な感じがします。井上さんの作風を知っていてそれが好きな方には楽しめて、それ以外の方にはさほど刺さらないかもしれません。「書くこと」をテーマにした10短編集。お気に入りは『緑の象のような山々』→世紀のクソメールの応酬。『園田さんのメモ』→こんなメモは怖い。『窓』→いじめの描写が辛い。でも少し救われるようなラスト。総括:全体的にモヤ~っとした質感でオチも「え、それで...」となるものが多いがなぜか読ませます。1編が短いので隙間時間にサクッと不穏を楽しめました。
Posted by
10作品の短編集で、2作品に同じ名前で海里という人物が登場しています。何か繋がりはあるのか、とか何か意味はあるのか、と珍しく2度読みしましたが特に無いような感じがしました。もしかしたら、あるのかも知れません。小説家である井上さんに意図を尋ねてみたいと思った一冊。
Posted by
「書くこと」をテーマとした10編の短編集。 「園田さんのメモ」言葉よりも文字で伝える不気味さ、でも園田さんってどこかにいるかも。でも嫌いじゃないかも(笑) 「好好軒の犬」は、あちらにいる鬼のスピンオフ版かなと思える意味深なお話。 贅沢な全10編でした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
Kindleで読んだ。 小説、メモ、日記、レシピ、SNS…。すべての「書くこと」をテーマに、さまざまな日常の忘れられない瞬間を描いた短篇集。 メールだけで話がすすむ「緑の象のような山々」が印象的だった。 だんだん夢から醒める女と、いつまでも夢の中の男。 中絶手術のことを 『処置の日が決まって、不安なのかもしれないね。平気でいられるわけもないよね、簡単な処置で、危険はほとんどゼロだとは言ってもね。』 という男にめちゃくちゃ腹が立った。 結局「私たち」っていうことは…? 「料理指南」 レシピノートに残された「はい、おしまい!」に込められた切なさ。 明るい話はなかった。 不倫率の高さ!
Posted by
短編集。 井上荒野さんの小説には冷たい男が出てくる。本作の冷たい男1位は「つまらない湖」の男と決めた。 一見、付き合いやすいし優しそうに見えるが、「今夜ぼくはあなたと寝た方がいいのかな」とサラッと問うてくるし、「どちらでも対応できる」と本心で言っているのも冷たい。しかし、私はこ...
短編集。 井上荒野さんの小説には冷たい男が出てくる。本作の冷たい男1位は「つまらない湖」の男と決めた。 一見、付き合いやすいし優しそうに見えるが、「今夜ぼくはあなたと寝た方がいいのかな」とサラッと問うてくるし、「どちらでも対応できる」と本心で言っているのも冷たい。しかし、私はこの冷たさが好きなのである。本心を隠してあれこれ画策する男より余程素直ではないだろうか。すぐ傍にいるのに遠い存在の男は貴重な存在だ。 最低な男も決めたい。 栄えある1位は、「緑の象のような山々」の男。 妊娠した不倫相手に甘言を囁き、いざ自分が追い込まれると手のひら返したように堕胎の説得を始める。この短編は、男と女がSNSで会話しているのだが、「w」の多用がここまで不快とは思わなかった。こちらは何も面白くないのだが?これも筆者の策なのだろう。段々話が深刻になるにつれて「w」が登場しなくなるのも良い。 全てを理解した訳ではないが、どこか空虚さと清々しさが残る読後感。
Posted by
井上荒野さんの「書く」ことにまつわる短編集。 とても良い。 ブックカフェで手に取ってそのまま購入。 文字を紡ぐってとても不思議な行為だなぁと改めて思う。
Posted by