小説家の一日 の商品レビュー
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「料理指南」が美しくて美しくて。 初めて会った時から、ずっと心にいるすみれ色の人。 お花見の場面の哀しさ、美しさ。 花吹雪の向こうにいる冬子さんが見えるようでした。 「細雪」や「海街ダイアリー」もだけれど、桜って本当に人の心を揺さぶるね… そして表題作でもある「小説家の一日」。 「父親や母親が、五歳、六歳の頃の私に語って聞かせた情景。(略) 両親の言葉が、海里の中の情景を作っている。(略) これらは物語だ、と海里は思う。」 小説は、別の人生だ。 書かなければ、読まなければ消えていくことがここにある。 物語が、一瞬の感情や空気や、大切な人の存在をそこに閉じ込めてくれる。 作者の小説と、小説家という職業への愛を感じた。
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「緑の象のような山々」女性が独身の不倫って男性は不誠実になって当然だと思う。どうか独身女性気を付けて。 「窓」いじめはなくならない、と言うけどでもひどい。どうしたらなくなるのか、ひどい話しを読んでいるとぐったりする。どうか希望がありますように。
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どの短編もとても余韻が残り、不思議な感覚だった。 どの作品も「え、これで終わり?」と思うラストなんだけれどなぜかどれも心に残る感じ。 やっぱり上手いんだなぁと実感。
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「書くこと」をテーマにした10の短編。どこか暗く理不尽。でも生きる人たち。初めて読んだ井上荒野さん。おもしろかった。
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井上荒野さんらしく、毎話ラストがすっきり終わるんじゃなく、「この後どうなるんだ…!?」と思わせるどこか不穏なラストなのがすごく良い。こういう読了感の作品ってあまりない気がする。 後、あちらにいる鬼を読んだからか、どこか自伝的に感じる話も多かった
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10作全てがハッピーエンドという訳ではなく、だからと言ってバッドエンドという訳でもなく。 ただ、何となく感じられる不気味さや不快感。 人間の醜い部分を匂わせるような作品だった。 個人的には 「窓」が一番好き。 最後の女子生徒2人が見つめ合う描写。 本来「同士」を見つけ、希望を感じさせる終わり方になるはずが、何故か、もっと悲しく悲壮感漂う終わり方だった。 そこになんとも言えない怖さを感じた。 ただ、表現方法が単調であって読みやすくはあったが星3である。
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久しぶりの荒野さん やっぱりうまいなぁと思う 無駄がないし、不穏な感じもどこか上品な感じも手厳しい感じも健在、という感じ。 好好軒の犬、と小説家の一日はつながっていたのね、そしてそれは荒野さんの子供の頃と現在に極々近いということが、あちらにいる鬼を読んだ人ならすぐにわかることだし、実際その二つが面白かった 小説なのだからフィクションなはずだけど、あーそんなふうに荒野さんは暮らしてるんだな、と思ってしまった。
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ちょっとむずしかしい感じだった。 書くって言っても、メールだったり小説だったりTwitterだったり色んな種類があって面白かった。 小説家の1日の海里は好好軒の犬の海里なのかなぁ。 不倫の話が2つあったのも気になった。 どっちもハッピーエンドにはならなさそう。
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書くことがテーマだったり、書くことに携わる人が語り手だったりする短編集。 長い物語のほんの一部を切り取ったような印象の作品が多く、そのせいかどの作品も強引にハサミで切り取ったかのような座りの悪い終わり方をしていて独特な読み心地。文章が抜群にうまい。
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不倫、イジメなど胃が重くなる話題が多い短編集。平易な文章なのにその空気感や情景を醸し出す所が、好きな作家さんの由縁。「料理指南」のやるせ無いピュアな樹さんがとても良かった。
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