ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち の商品レビュー
○職場の図書室より。 ○最近よく本屋でも平積みされている「教養としての○○」、なんでこんなに類似のタイトルの本が多いんだろうと思って借りてみた。 こういう「手っ取り早く、あるジャンルの芯を食い、ある程度の知識をまんべんなく得られる」本などのことを著者は「ファスト教養」と言い習わし...
○職場の図書室より。 ○最近よく本屋でも平積みされている「教養としての○○」、なんでこんなに類似のタイトルの本が多いんだろうと思って借りてみた。 こういう「手っ取り早く、あるジャンルの芯を食い、ある程度の知識をまんべんなく得られる」本などのことを著者は「ファスト教養」と言い習わしている。 ○教養というのは本来はぜいたく品で、金と時間と文化資本に恵まれた一定以上の社会階層の人間にしか持つことのできないものだったはず、近代以前は。 ○それにしてもお手軽教養本は罪深い存在だと思う。いろんな知識をこうしたファスト教養で食い漁っても、結局のところ、ただ「知っている」だけにすぎず、ちょっと突っ込んだ会話になるとちゃんと話せないのではないか。 ○ファスト教養はファスト教養というれっきとした一つのジャンルで、「ちょっと知っておきたい」程度の関心しか持たない人間しか集まらない。逆説的に、ファスト教養界隈には「そのジャンルに特に詳しくはないがちょっと知っている」みたいな人を量産してしまうような気がする。 ○でもそういう人は多分、似たような「教養としての●●」本を一人で何冊も読むんだろうから、利益が伸ばせそうなジャンルだな… *** ○「まんがひみつ文庫」:学研がネット上に無料公開。専門家が分かりやすくまとめてくれているので手早くいろんな知識を身に付けられる ○欲望年表:千葉雅也『勉強の哲学』より。取り組むべき勉強のテーマを内面から見つけ出すための補助資料。これまで自分がどんなことにこだわりを感じてきたかを列挙し、そこから抽象的なキーワードを導き出す手法。 ○ルーツ:年表の縦軸。これまでの経験、影響を受けた過去の事物、パーソナルな出来事。 ○シーン:年表の横軸。同時代の近しい人たちの活動状況やジャンルの隆盛に影響している世の中の流れ等 ○若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』『ナナメの夕暮れ』 ・「肯定ノート」:自分がやっていて楽しいことをとにかく書き込む←自意識が邪魔をして気が付けていない、本当の気持ちに注目するための手立て
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フワッとした言葉である「教養」とは何なのか、考えるとともに、「教養」との向き合い方を考えさせられる本。 昨今、気づいたら教養ブームと思われるほど教養についての本が並ぶ。この状況は、2000年前半で定着した新自由主義的な世の中の流れから生まれた如何にも生きづらい社会の要請に応えたも...
フワッとした言葉である「教養」とは何なのか、考えるとともに、「教養」との向き合い方を考えさせられる本。 昨今、気づいたら教養ブームと思われるほど教養についての本が並ぶ。この状況は、2000年前半で定着した新自由主義的な世の中の流れから生まれた如何にも生きづらい社会の要請に応えたもので、「ファスト教養」が時代のニーズとして栄えるのはいわば必然なんだと理解した。 この本では、ファスト教養を金儲け、ビジネスに役立つことに特化したものと定義し、対極にあるのがグッドオールドな教養すなわち心の豊かさを得るものとしている。 本書では、今の世情を踏まえれて、ファスト教養に否定的な目線ながらもいかに付き合っていくか提示されている。 自分自身、読書の動機は、知識を得ることで仕事の役に立てたい、他人を出し抜きたいという思いからは大いにある。それ自体は今の世の中を生きていく上で必要と認識を新たにしたが同時に、その視点一辺倒ではなく、損得勘定を度外視し自分の興味や心、本能をみつめて行くことを排除しない姿勢も読書においては大事なんだろう。
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ひろゆきや前澤さん、ホリエモン、中田敦彦などのSNS。歴史まとめや教養まとめなどの雑誌、本。 これらは教養がないサラリーマンを煽り、即教養を身に着けようと煽る。 教養は現在「ファスト教養」となっていることに対して、考察をふかめた1冊。決してファスト教養を卑下するものではなく、教養...
ひろゆきや前澤さん、ホリエモン、中田敦彦などのSNS。歴史まとめや教養まとめなどの雑誌、本。 これらは教養がないサラリーマンを煽り、即教養を身に着けようと煽る。 教養は現在「ファスト教養」となっていることに対して、考察をふかめた1冊。決してファスト教養を卑下するものではなく、教養とはなにか、ファスト教養を教養する人の気持ち悪さはなんなのかということが切々と書いてある。 私自身もファスト教養の虜になっている部分があり、考察が非常に面白かった。 ◯教養とは曖昧なもの ・ビジネスと金儲けに有用 ・役に立つ ・定型化されていて決まっているもの ・効率的に覚えるもの ・トレンドを追う -------真反対にも語られる--------- ・人生を豊かにする ・精神を豊かにする ・人生や存在と結びつく ・ほんとんど役にたたない ・面白いことや楽しいことの発見を増やす(自分自身のなかで咀嚼して育てる) ・トレンドをおうものではない ・繰り返し繰り返し学ぶもの ◯教養とは2つの要件を満たすものである ・自己を耕し掘っていくもの ・ゆっくり習得するもの 教養とは、「格」に現れる。いわゆる一般的な人格品格もそうだが、「格」がもっとも正しい表現に見受けられた。 例えば人との話についていくために、ファスト映画をする人がいる。しかし実際には映画好きとの話についていけない、格が違い、教養となっていないし、深められる会話にならない。 ◯無駄なことを一緒にしよう ファスト教養の本質は、ビジネスやお金儲けに関係ない物事を無駄なものと位置づける姿勢にある。 ファスト教養は、そんな無駄なものを、ビジネスやお金に関係することにかえようとするムーブメントだ。 しかし、これには矛盾がある。 お金を得た結果、何をしたいかと言えば、無駄なことがしたいはずだ。 だったら、最初から無駄なことを楽しむ余裕を持つことも視野に入れたい。
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役に立つことしか学ばないというのは別に特別なことじゃない。子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら「将来役に立つかもしれないから」とか説明することもあるだろう。若い世代だけじゃなくて、仕事一筋でやってきた年配の人たちも無駄を省きすぎて仕事にかかわること以外なにもやっ...
役に立つことしか学ばないというのは別に特別なことじゃない。子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら「将来役に立つかもしれないから」とか説明することもあるだろう。若い世代だけじゃなくて、仕事一筋でやってきた年配の人たちも無駄を省きすぎて仕事にかかわること以外なにもやってなかったってこともある。 ただ、「自己責任論」はたしかに目立つようになったかな。自分で老後の資金を確保しないといけないとかも自己責任だろうし。我が子が福祉のお世話にならないといけないからなんでも自己責任で片付けられるのは困る。 私も大量に本を読みたい、なんでも知りたい、いろんな映画を見たいので斜め読みや倍速視聴をするけれど、ただの中毒でオーバードーズのようなもの。なのでファストが全部ダメといわれるとツラい(もちろん、著作権等を侵害するようなコンテンツはダメだけど)自己啓発本もビジネス書も娯楽として読んでる(ビジネスやってないし、皮肉なことにこれこそ無駄なのかも)のでみんながどれぐらいファスト教養にふりまわされているかはわからないけれど、この本を読んで「じぶんもふりまわされてたな」と気づけば良し……かな?結局、うわべだけの教養より本物の深い教養を、みたいな結論になっちゃうので「それに時間をかけられるのなら最初から苦労しない」っていわれるだろうけど。
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コスパ・タイパを追求しすぎた道の行く先が危険で如何に味気ないものなのかをこの本は教えてくれる。 それと同時にコスパ・タイパを追求せざるを得なかったことに対する焦燥感にも寄り添ってくれている。 曖昧さを排斥して正論を振りかざす。正論は正義。正義だからこそ正しくないものに容赦がない。...
コスパ・タイパを追求しすぎた道の行く先が危険で如何に味気ないものなのかをこの本は教えてくれる。 それと同時にコスパ・タイパを追求せざるを得なかったことに対する焦燥感にも寄り添ってくれている。 曖昧さを排斥して正論を振りかざす。正論は正義。正義だからこそ正しくないものに容赦がない。 読んでいて「自分が選んでいるものはコスパ・タイパを追求しすぎていないか?」、「ファスト教養ばかりに触れていないか?」「どこかで『自己責任だから切り捨てられるものがあっても仕方ない』って思っている自分は居ないか?」と何度も自問自答させられた。 自分の芯を持ちつつ寛容になるって凄く難しいことだなと再認識。 「魅力的だな~」と思う人に共通しているのは、その人から醸し出される雰囲気から“柔らかさ”を感じること。 社会の空気感を感じながら、知識を身につける姿勢を忘れずに自分の好きなことを深めていきたいと強く思った。
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昨今、タイパとかコスパが重視される中で、ホンマにそれでええんかいな?という視点から読んでみました。 ファスト教養の例として中田敦彦氏やホリエモンらが挙げられていましたが、稼ぐが勝ちとか新自由主義的な考え方とかに結構違和感を感じてたので、特に前半は一気に読めてしまった。 自分も仕事...
昨今、タイパとかコスパが重視される中で、ホンマにそれでええんかいな?という視点から読んでみました。 ファスト教養の例として中田敦彦氏やホリエモンらが挙げられていましたが、稼ぐが勝ちとか新自由主義的な考え方とかに結構違和感を感じてたので、特に前半は一気に読めてしまった。 自分も仕事とかにすぐに役立つファスト教養的なものを求めている部分はあるのですが、それは教養ではなく所詮うわべだけの知識や処世術でしかないのかなー、と感じた次第。 なかなか考えさせられることの多い一冊でした。
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222ページ、良質な消費者とのやり取りを経て文化が熟成する、といつ視点に膝を打ちました。消費より創造、発信、行動の方が価値が高いとされがちな昨今なので。
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ファスト教養 ←ビジネスで成功したい 使えない人材になりたくない ビジネスの成功に特化したツール 自己責任 稼ぐが勝ち 公共との乖離 コスパに支配されるカルチャー ファスト教養の解毒 トレンドを追わない 繰り返す 好きを続ける 雑談を基調としたコンテンツ=発想...
ファスト教養 ←ビジネスで成功したい 使えない人材になりたくない ビジネスの成功に特化したツール 自己責任 稼ぐが勝ち 公共との乖離 コスパに支配されるカルチャー ファスト教養の解毒 トレンドを追わない 繰り返す 好きを続ける 雑談を基調としたコンテンツ=発想の自由→ノイズ→想定とは異なる結論
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【背景】 ①なぜ読むか 日本社会における「教養」が陳腐なものに感じられるから ②何を得たいか 著者のいう「ファスト教養」の概念 ③読後の目標 教養とは何か、またその獲得に必要なものは何か言語化できる 【著者】レジー(ライター・ブロガー) 【出版社】集英社新書 【重要語句】 ファス...
【背景】 ①なぜ読むか 日本社会における「教養」が陳腐なものに感じられるから ②何を得たいか 著者のいう「ファスト教養」の概念 ③読後の目標 教養とは何か、またその獲得に必要なものは何か言語化できる 【著者】レジー(ライター・ブロガー) 【出版社】集英社新書 【重要語句】 ファスト教養、ビジネスに役立つ、インフルエンサー、成長、リベラルアーツ、コスパ、エンターテインメント、YouTube、ファスト映画 【要約】 【メモ】 ・ファスト教養のファストはファストフードのファストであり、カーネマンのいうファスト思考のファストでもある。 ・中田敦彦のYouTube大学には「催眠」の手法が採用されていると、自称している。 ・「今人々がかつぼうしているのは、『新しい能力を求めなければならない』という議論それ自体である」(中村高康・東京大学教授) ・「公共との乖離」「責任概念なき個人主義」 ・トレンドを追わない 【感想】 ・教養のポピュリズム化。教養が大衆によって“消費”されるようになった、というのが本書の前半の内容だと思う。 ・ゆる言語学ラジオで満足する、私。ゆる言語学ラジオや100分de名著がマイブームである。ここで得られる教養とファスト教養は、非常に近いもののように思う。本書ではコテンラジオが肯定的に示されていたが、その境界線は分からない。 ・遊び、ホモ・ルーデンス。我々が資本主義に染められて忘れてしまったものの一つに「遊び」があるのではないのか。遊びは競争を伴うものだが、この競争は自分の意思で参加するものであり、また降りることもできる。そんな楽しい競争を忘れ、他者を出し抜く勝利しか見えてないのではなかろうか。 ・文化としてのクイズと百人一首。百人一首は覚えても役に立たないとずっと思ってた。だが、遊びとしての百人一首に役立つほか、他者の感性を知るきっかけにもなりうるのでは?そして、文化としては未だマイノリティであるクイズも教養に近いものを感じる。クイズは、その知識の位置づけが重要である。単純な暗記にならないところに、著者が目指す教養との関連を覚えた。 ・理解するための努力。何かを楽しむためには、それなりの知識の量が必要だし、その知識の獲得には時間がかかってしまう。それを無視したファスト教養。そこに、私の違和感センサーが反応したのだと思った。今の子供たちは「何の役に立つのか」「どうやれば点が取れるか」と、ハックすることに重きを置いている。これもファスト教養化の一側面だと思う。そんな彼らに私は「物事を楽しむには努力が必要」と説く。これは、この本の後半部分に通ずるものだと思う。
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本田圭佑と同世代で、カルチャーどっぷりの20歳前後を過ごして会社で苦労しながら過ごしてきた、少し麦みたいなところがある自分にとっては、優れた「花束みたいな恋をした」論でもあった。面白かった
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