1,800円以上の注文で送料無料

ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち の商品レビュー

3.9

101件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2024/04/19

単にファスト教養とは何かという話題だけで終わらずに、そもそもそれが広く必要とされてしまう日本の社会はどういう状況なのかについて論じているのがよかった(というかこっちのほうがメイン)。引用の数と種類も豊富で、説得力があった。 最終章にはファスト教養に抗うための姿勢が書かれているの...

単にファスト教養とは何かという話題だけで終わらずに、そもそもそれが広く必要とされてしまう日本の社会はどういう状況なのかについて論じているのがよかった(というかこっちのほうがメイン)。引用の数と種類も豊富で、説得力があった。 最終章にはファスト教養に抗うための姿勢が書かれているのだが、そこでも、単にファスト教養を頭ごなしに否定したり、逆にカルチャー的な教養を全面的に肯定したりしない冷静さがよかった。 「既存の枠組みから自由になること(=カルチャー的な教養)」と「既存の枠組みの中で戦える知識の習得から逃げないこと(=ファスト教養)」の両輪を回すことが、ファスト教養に抗いながらビジネス的な要請に答えていく「ポストファスト教養の哲学」になるという結論も納得。 個人的に、自己責任論や偶然性の話は、宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』でも考えを巡らせていたので、かなり腑に落ちるところが多かった。 渡部昇一『知的生活の方法』の「あなたは繰り返して読む本を何冊ぐらい持っているだろうか。(中略)あなたの古典がないならば、あなたはいくら本を広く、多く読んでも私は読書家とは考えたくない。」という引用がかなり刺さった。 今の自分の読書の姿勢を改めようかなと思った。 ファスト教養の「金を稼いでいる人こそえらい」という考え方は、その対極にある「金を稼いでいない人」を見下すスタンスにつながりがちで、そこに結婚という制度が結びつくと、「自分が稼いでやるから、女・子どもはそれに従え」という古いジェンダー観に結びついてしまうという指摘もなるほどと思った。

Posted byブクログ

2024/04/04

第113回アワヒニビブリオバトル テーマ「音楽」で紹介された本です。ハイブリッド開催。 2024.4.2

Posted byブクログ

2024/02/12

ファスト教養とは、ビジネスの役に立ち、お金儲けに繋げようと教養を身につけること。 本の中では、ファスト教養を解毒するには、「ビジネスの役に立つ知識の習得を的確なソースから進める」ことが大事と説かれる。では的確なソースとは?そのリストが欲しいなぁと思ってしまった私も、ファスト教養...

ファスト教養とは、ビジネスの役に立ち、お金儲けに繋げようと教養を身につけること。 本の中では、ファスト教養を解毒するには、「ビジネスの役に立つ知識の習得を的確なソースから進める」ことが大事と説かれる。では的確なソースとは?そのリストが欲しいなぁと思ってしまった私も、ファスト教養の穴にハマっているのかもしれない。 また、ファスト教養=浅い人みたいな見解を持つことは、この本の中で否定されている「他者に冷淡で優越感を感じる」ような社会に繋がる一因にもなりうる。うまく付き合っていく方法を模索することが、大事なのだなと感じた。 あと、「花束みたいな恋をした」を直前に鑑賞していたのでイメージがつきやすかった。

Posted byブクログ

2024/01/21

わたし自身もこのブログで紹介しているように 「教養としての◯◯」という本は数多く出版さ れています。 今まさに「教養ブーム」なのです。 そしてその教養をできるだけ楽に、手っ取り早 く手に入れようとする人たちも増えています。 この本はそんな人たちが増えていて「こんな事 態に陥...

わたし自身もこのブログで紹介しているように 「教養としての◯◯」という本は数多く出版さ れています。 今まさに「教養ブーム」なのです。 そしてその教養をできるだけ楽に、手っ取り早 く手に入れようとする人たちも増えています。 この本はそんな人たちが増えていて「こんな事 態に陥っている」と嘆くだけでなく、なぜこん な風潮になっているのかを考察しています。 簡単に言ってしまうと「楽してお金を稼ぎたい」 と思っている人と根っこは同じなのです。 「コツコツと知識を蓄える」「コツコツと働く」 という、ある意味怠け者が最も嫌う過程をすっ 飛ばしてくれるのがファスト教養なのです。 「楽して稼ぐ」なんていう話はまともなビジネ スパーソンであれば、「なんか怪しいな」と感 じるはずです。 しかし「楽して知識を得られる」という言葉に は危険な匂いは感じられないので、飛びついて しまうのです。 そもそも「教養って何?」というところから考 えさせられる一冊です。

Posted byブクログ

2024/01/19

『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』が売れたので、それに便乗した本かと思いきや、さらにそれを深掘りし、映画だけでなく、ビジネスと教養との関係を中心に、現代社会における“ファスト”の概念を説いている。また、「どうすべきか?」も、わりと明確に...

『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』が売れたので、それに便乗した本かと思いきや、さらにそれを深掘りし、映画だけでなく、ビジネスと教養との関係を中心に、現代社会における“ファスト”の概念を説いている。また、「どうすべきか?」も、わりと明確に提示されており、『映画を早送り~』を読んだ者としても、大変読みごたえのある一冊だった。 個人的にとても響いたのは、“公共との乖離”について。ここ最近、ネットやTVニュースなどで新NISA(資産形成)が話題となっているが、これも一種の“ライフハック”みたいなもので、「やらない者は知らないよ」という自己責任の世界ではないか。そこに“公共との乖離”はないか。NISAのメリットを享受しようと学ぶ姿勢には、「自分さえよければ」という自分視点が軸にあり、他方、「NISAを活用しない者」への視点が抜けてしまっている。「NISAを始めよう」といった謳い文句には、紛れもなく“ファスト”を感じさせる。 ちなみに本書は、固有名詞、具体的な人名が複数出てくる。そのほとんどが否定的に書かれており、「おいおい、こんなふうに書いてしまって大丈夫か」とやや心配になるような、攻めた内容である(最後のほうで焼け石に水程度のフォローがなされているが…)。普段、SNSやYouTubeで情報を得ている人なら、誰もが知っているような話なので、イメージがしやすい。 また、著者のボキャブラリーの豊富さを最大に駆使して書かれているのが印象的で、同じような表現を繰り返さないので、読んでいて飽きが来ない。 最後に。 私にとって教養とは、自分の内面とむきあうこと。好きがベースにあること。それが結果的に、いつかどこかで役立つことがあること。そんなものである。 いやぁ、読んでよかったです。

Posted byブクログ

2024/01/13

少し内容が軽かったかな。 あの人がこう言っている、この人がこう言っていたという引用が多くて、筆者の意見が少しぼやけている気がする。 もう少し我の強いことを言ってもよかったのではないかなと思う。 ただ、「〇〇〇〇思考」「〇〇〇〇習慣」などの表層的な自己啓発本の乱立する状況を、時...

少し内容が軽かったかな。 あの人がこう言っている、この人がこう言っていたという引用が多くて、筆者の意見が少しぼやけている気がする。 もう少し我の強いことを言ってもよかったのではないかなと思う。 ただ、「〇〇〇〇思考」「〇〇〇〇習慣」などの表層的な自己啓発本の乱立する状況を、時代背景を汲み取りながらうまく説明をしていると思う。 「全てはお金とコスパ」 「失敗しても自己責任」 という現在進行形の生存競争を疑問視しながら、新たなポストファスト教養という考え方を提案している。 手っ取り早く「教養」を身に着けようとすることは、将来への不安や焦りから、自分の価値を早急に押し上げる必要があり、「教養」を武器にして他人を出し抜く、成績を上げる、社会から取り残されないようにする価値観から来ている。 最近はそういった煽動してくる人たちにはどうしても胡散臭さを感じてしまうのだが、一昔前には私もそういった自己啓発本を読んではモチベーションを上げていた。 そもそも「教養」に使用価値があるのか?という疑問がある。 「教養」って使うものなのか?と。 「修養」って言葉もあるけどな?と。 結局は個人の受け取り方次第なのだけれども、その分野を学ぶための入り口して読む分には、ファスト教養は広く浅く知識を取り入れることができるため、とても便利なものだと思う。 しかしながらファスト教養を読むことは手っ取り早く答えを手に入れたという感覚に陥り、読むだけで成功した気になってしまう。 そのため、それ以上知識を追求する気が失せてしまうことが難点かもしれない。 そして、「教養」を切り取って商品化するファスト教養本の中には、将来に対する不安や焦燥感を感じている現代人の弱みに付け込んで浅薄な内容を押し付けているように思えるものもある。 ファスト教養はタイパやコスパなどに腐心する人にはすこぶる相性が良いのだろうが、その効率重視という観点から、どうしても「教養」を「情報」といった下位の形に置き換え、使えるか使えないか?という二元論で語ろうとしてしまっている気がする。 個人的には「教養」は暗黙知のような面があり、気が付けば身についているものだと思っている。 現代社会における窮屈さという中で、自分自身が自然体でいられるようにするためのものなのではないかと思う。 細部に魂が宿っているように、ざっくりまとめたものはざっくりとしか身につかないと感じることを考えさせられた。

Posted byブクログ

2024/01/07

昨今の教養ブームを入り口に、社会に蔓延る自己責任論を論ずる本。 過剰な自己責任論は、何もかもを自分でコントロールできるという強者の理論に思える。 成功した私は、偶然の歯車がズレていれば、失敗したその人だったかもしれないという視点を持ち続けたい。

Posted byブクログ

2024/01/01

今まで感じていた自己啓発本のなんとなくの違和感や嫌悪感を言語化してもらったような印象。 ただ、違和感や嫌悪感を感じるだけでなくそこにある社会的背景や自身の立ち位置も考えなければならない。 『花束みたいな恋をした』の麦くんが変わっていってしまう姿は、心が痛かったし、自分の大学時代の...

今まで感じていた自己啓発本のなんとなくの違和感や嫌悪感を言語化してもらったような印象。 ただ、違和感や嫌悪感を感じるだけでなくそこにある社会的背景や自身の立ち位置も考えなければならない。 『花束みたいな恋をした』の麦くんが変わっていってしまう姿は、心が痛かったし、自分の大学時代の友人と疎遠になってしまったものを思い出す。

Posted byブクログ

2023/12/30

近年のファスト教養主義は突然発生したのではなく、00年代の動きから起こるべくして起きたと書かれていて興味深かった。 コスパ、自己責任論に偏る気持ちは理解できる。、自身も公共との乖離が大きくならないよう注意したい。 現在の枠組みから外れないような勉強はしつつ、自分自身の根源的価...

近年のファスト教養主義は突然発生したのではなく、00年代の動きから起こるべくして起きたと書かれていて興味深かった。 コスパ、自己責任論に偏る気持ちは理解できる。、自身も公共との乖離が大きくならないよう注意したい。 現在の枠組みから外れないような勉強はしつつ、自分自身の根源的価値観に基づいた知識を蓄えていこう、と再認識する良い機会になった。

Posted byブクログ

2024/08/17

引用多すぎて卒業論文みたい 著者が学者じゃないSNS発信者というバイアスがかかってるかも 石田衣良さんのファスト教養についてのYouTubeが大変面白かった アイドルもそうだけど、パチモンがよく売れる すぐに役立つものはすぐに役立たなくなる

Posted byブクログ