家裁調査官・庵原かのん の商品レビュー
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目次 ・自転車泥棒 ・野良犬 ・沈黙 ・かざぐるま ・パパスの祈り ・アスパラガス ・おとうと 家庭裁判所で、少年事件の調査官をしている庵原かのんが主人公の短編集。 主に家庭の機能不全が引き金になって、事件を起こしてしまった少年たちを、どうすれば社会に受け入れられるように戻してやれるのかを考えて、少年や家族と面談したり周辺の人たちから話をきいたりした結果を、判事に報告するのが仕事。 自分のことばかりで、子どもたちの抱える苦しみに気付いてやれない親。 かのんが話をしたところで、理解しようともしない親もいる。 たとえわが子が発達障害であったことがわかっても、どこかに隔離して見えない存在にしてしまおうと。 そういう家族の話を読むのはつらい。 ましてや子どもの痛みを知らん顔するような話は。 けれどこの作品は、だからと言って権限外のことまでして少年たちを救うことはしない。 できることは、業務で決められていることだけ。 その中で、時間をやりくりして、最善を尽くすのみ。 あとは、どうか子どもたちが立ち直りますように。 彼らに手を貸す大人が周りに現れますように、と願うことしかできない。 そんな歯がゆい思いも含めて調査官だ、ということだ。 ドラマのようにうまく歯車がかみ合ったな、という展開の後、それがひっくり返ったり。 でも、読後感は悪くない。 たとえ再逮捕されることがあっても、最後は前向きになれる話が多い。 そんな中、両親は少年を大切に思っていても、それを伝えるすべを持たず、少年も自分のアイデンティティに悩んでいても、それを親にぶつけることができなかった『パパスの祈り』がよかったな。 父親はペルー人、母親がフィリピン人で、夫婦の会話は片言の英語。 子どもたちは日本語しか話せず、家族の中に深い会話がなかった。 けれど、なぜそうまでして子どもたちに日本語で生活をさせるのか…という親の気持ちが伝わった時、少年は一つ大人になれたのだと思った。
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お仕事小説というと軽すぎかもしれない。 聞き推し量ることの専門家の小説だな。 話の組み合わせが、ぎこちない時は、ままあるけども。
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大変な仕事だ。ほとんどの話ハッピーエンドって感じじゃなくて少年の更生は難しいし悲しくなる。家裁調査官の人たちのご飯とか休憩中の場面がでてくるからエリートはオンオフもうまいなと思った。方言がものすごい。
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家裁調査官・庵原かのんシリーズ 第1弾 ・自転車泥棒 ・野良犬 ・沈黙 ・かざぐるま ・パパスの祈り ・アスパラガス ・おとうと 北九州の家裁に赴任して3年になる家裁調査官の庵原。 非行少年たちの更生の一端を担うため、面接や調査など多忙な日々を過ごす。 東京に遠距離恋愛の彼氏・栗林(クリリン)を残し、今日も東奔西走する。 家庭環境や発達障害、様々な事情の少年たちの心に耳を傾ける。 乃南さん、久々の作品。 次作も期待。
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短編が7本、庵原かのんの行動を丹念に記述した物語だが、犯罪を犯した少年・少女の本音を巧みな話術で引き出す過程で、親を含めた多くの人々と関り、これまでの経験や上司・同僚からの適切な助言等を前向きに取り入れていく姿勢が素晴らしいと感じた.スペイン語、タガログ語、英語、日本語が出てくる...
短編が7本、庵原かのんの行動を丹念に記述した物語だが、犯罪を犯した少年・少女の本音を巧みな話術で引き出す過程で、親を含めた多くの人々と関り、これまでの経験や上司・同僚からの適切な助言等を前向きに取り入れていく姿勢が素晴らしいと感じた.スペイン語、タガログ語、英語、日本語が出てくる「パパスの祈り」が良かった.オートバイで蛇行運転を繰り返す徳永ミゲル.ペルー人の父、フィリピン人の母を持ち複雑な状況が、かのんの助言で暖かい家庭環境が取り戻せた.最後の「おとうと」では玲央とかのんのやり取りに、弟の将来を暖かい目で見守るかのんの心持が上手く表現されていると思った.それぞれの物語に出てくる対象の少年・少女へのかのんの思いやりが、それなりに満足できる結果を導いたと言えよう.
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7話からなる。色んな家庭があり、その環境も違う。 家裁調査官なる者もとは、…… 裁判官のような法律を裁く者でもなく、警察官のような取り調べをするわけでもない。 そして、主人公 庵原かのんが担当する者は…… 家庭裁判所が、少年と位置づけるのは、14~19歳と! そして、成人とは...
7話からなる。色んな家庭があり、その環境も違う。 家裁調査官なる者もとは、…… 裁判官のような法律を裁く者でもなく、警察官のような取り調べをするわけでもない。 そして、主人公 庵原かのんが担当する者は…… 家庭裁判所が、少年と位置づけるのは、14~19歳と! そして、成人とは違う処罰と記載されていた。 成人式も 18歳になった現在もこの真まなのだろうか? なんて考えながら読みふける。 親のエゴで、子供が、辛い思いをしてしまうのは、読んでいても辛い。 2話の「野良犬」のような複雑な家庭環境で、猫の子を見て、生命の尊さを感じる郁人。 帰る場所の無い子供、途方に暮れるだろうなぁ。 しかし、前向きな姿勢に、ちょっと安心してる。 小説だからと思いながら… 1月17日 阪神淡路大震災の報道をテレビで見ていた。 被害者の人が、母子家庭で、母と兄の三人の内 母を亡くして、幼い兄弟は、父の元へ! しかし、弟は、その後、児童施設に入れられしまう。 その時、家族の繋がりが、止まってしまったと、テレビで泣いていた。 弟は、やっと、昨日兄と母が刻まれている神戸で、再開との事。 そして、開口、これから、家族の繋がりが始まると、…… 本当の話であり、見ていた私も涙してしまった。 もう、若い人達には、遠い地震の事と、思われているだろうけど、この人は、長い間、家族とも別れ、そして、今までどんなにか、苦しい時間を過ごしていたのだろうか?と、胸が苦しくなった。 この本でも,色んな方の話を聞いたり:調べたりして、書かれている事に思いをはせて、再び詠み出した。 外人の親を持っても、言葉は、日本在住で、日本語しかわからない子供もいる事にも、家族の対話が、少なくなるのも当然。 そんな意思の疎通をなめらかにしてくれるこの主人公に、頼もしさを感じる。 最後の弟の就職を 理学療法士に決める所も素敵な終わり方であった!
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いろいろな家庭があって、いろいろな親子があって、救いのないこともあるけれど、それでも頑張っているかのんがとても良かったです。
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少年係として、罪を犯した少年たちに寄り添い、 事件を見るのではなく、少年自身の環境を、 そして、心を解きほぐしていく、 それが、主人公、庵原かのんの仕事である。 まず「聴く」こと、というその仕事は、 実に難しい。 事件にあい、また起こしてしまった中、 また、そこに至るまでの動...
少年係として、罪を犯した少年たちに寄り添い、 事件を見るのではなく、少年自身の環境を、 そして、心を解きほぐしていく、 それが、主人公、庵原かのんの仕事である。 まず「聴く」こと、というその仕事は、 実に難しい。 事件にあい、また起こしてしまった中、 また、そこに至るまでの動揺、絶望から、 心を閉ざしてしまうことは多々あるだろう。 そこから、辛抱強く相対し、 本当のことを引き出していく作業は、 並大抵なことではない。 ましてや、相手が少年である場合。 かのんの真摯な態度、そして、何といっても、 相手を見放さない辛抱強さが、 心をとらえて離さない。 どの事案も、解決までには至らない。 結末は、読者に委ねられる。 だが、きっと、関わった人々の行先は、 きっと明るいはずだと、願わずにはいられない、 そんな、しまい方だ。
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事件を犯した少年たち。彼らの心の声を聴く家裁調査官、かのん。劣悪な環境や生い立ちが、犯罪を犯して良い免罪符には決してならないけれど、彼たちが身を置く境遇はやはり辛い。子供たちに寄り添う調査官の真摯さが伝わってくる。
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物語の合間に登場するスイーツや恋人との会話にホッコリしながらも、考えさせられた。救われる出会いが少年少女達に有りますように。
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