リバー の商品レビュー
川辺の死体というモチーフからか、単純に題名のリバー繋がりからか、岡崎京子の漫画「リバーズエッジ」を連想しました。1994年の出版。その当時の空気を漫画という表現に詰め込んだ作品でした。その前年、森高千里の「渡良瀬橋」が大ヒットしていました。「リバー」は渡良瀬川の流域に並ぶ栃木県足...
川辺の死体というモチーフからか、単純に題名のリバー繋がりからか、岡崎京子の漫画「リバーズエッジ」を連想しました。1994年の出版。その当時の空気を漫画という表現に詰め込んだ作品でした。その前年、森高千里の「渡良瀬橋」が大ヒットしていました。「リバー」は渡良瀬川の流域に並ぶ栃木県足利市、群馬県桐生市を舞台にした川辺の死体の物語です。30年の時を経ているのに「リバーズエッジ」の東京郊外と「リバー」の北関東が地続きになったような感覚を受けました。宮台真司の「終わりなき日常を生きろ」が「リバーズエッジ」の翌年1995年で、その「終わりなき日常」が日本全国を覆いつくしたのが「リバーズエッジ」から「リバー」までの30年なのかもしれません。よくいう「失われた30年」って経済的な意味だけでなく、こういう現象を表現しているのかもしれません。ちなみに映画「羊たちの沈黙」が1991年公開、「24人のビリー・ミリガン」の初版が1992年出版、それぞれにサイコパス、多重人格者という存在を世に知らしめたということでいうと、このミステリーはこの30年のどうしようもない行き詰まり感が主人公なのかもしれません。デッドエンドの時代の中で追いつめられる人々と、それでも職務を全うしようとする捜査陣の群像劇です。一歩一歩の歯痒い感じもこの作品の気分を作っています。自分にとっては同じ作者の「罪の轍」の現代版でもあると思いました。さて作者は、次にはどんな時代に目を向けるのでしょうか?
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*星4つ相当です 全648頁、通勤に読むには重たすぎる本ですが(リアルに重量が)、 引き込まれるように面白く、3日で読み終えました。ネタバレの人達の中には釈然としないと言う人もいるようですが、さにあらず。 確か群馬栃木辺りで実際に未解決の事件があったと思いました。その辺りと、議員...
*星4つ相当です 全648頁、通勤に読むには重たすぎる本ですが(リアルに重量が)、 引き込まれるように面白く、3日で読み終えました。ネタバレの人達の中には釈然としないと言う人もいるようですが、さにあらず。 確か群馬栃木辺りで実際に未解決の事件があったと思いました。その辺りと、議員の引きこもり息子がおこした事件、というのも幾つか事案があったように記憶しています。 丁寧なデッサンで、しかも読み手に対して礼儀正しく無闇にリアルすぎる描写や落ち込ませるような書き方をしない辺りが、現代の流行作家という感じがします。 元々自分がこの奥田英朗さんの作品を知ったのは「オリンピックの身代金」でした。鮮やかなタッチ、史実に絡めた話の展開、緻密な取材、ビビッドな人物像の技量が半端じゃなく素晴らしい。 ただし、事件系の物って、夜寝る前に読んでるとなんだかうすら怖くなってきますよね。刈谷ってどんな風貌なんだろうか、ちょっと怖いですわ。 適度に散りばめられた警察用語も、読んでいてテンションが上がりますね。警察の方々の士気の高さや、検察との軋轢もリアルで非常に面白かったです。マジおすすめ。
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長かった。栃木、群馬警察、被害者家族を含め、事件に関わる人達の描写は見事。 最後はどうやって着地させるのか?と懸念させたが、取り越し苦労でした。ラストは好きな終わり方です。 わかりやすく詳細の描写がある反面、やや説明過多の印象も否めない。しかしながら、映像化になれば含みを持たせる...
長かった。栃木、群馬警察、被害者家族を含め、事件に関わる人達の描写は見事。 最後はどうやって着地させるのか?と懸念させたが、取り越し苦労でした。ラストは好きな終わり方です。 わかりやすく詳細の描写がある反面、やや説明過多の印象も否めない。しかしながら、映像化になれば含みを持たせることが出来そう。
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ページ数が多いので最後まで読み切れるか心配でしたが、スムーズに最後まで読めました。 刑事や被害者遺族、新聞記者らの事件に対する執念がよく描かれていたと思います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ド直球な犯罪小説。渡良瀬川河川敷で起こった女性殺人事件は、10年前の未解決連続殺人事件と同類性があり、警視庁案件となったこの事件を栃木県警群馬県警が追う。 ドンデン返しなし、名探偵なし、地道な捜査を行う警察官たちと、新聞記者、被害者や加害者周辺の人々、容疑者たちの行動と心理描写を描くのみ。物語の進展速度は遅く、読み進めているはずなのに重たい足並み。何しろ650P超、本自体も重たい。つり革もって片手で本を持っていると10分超えたらダルくなってくるくらい。 解決部分がそれまでと比べるとあっさりしているようにも感じたが、そこまでの重厚さがあるから余計そう感じるのだろう。バランスが悪いほどでもなく、この本は結論ではなく経過を読む作品だろうなと。 北欧やドイツの警察小説には傑作が多く、色々ハマって読んでたけど。いやいや灯台下暗し、日本の警察小説もスゲーのがあったんやと。横山秀夫、高村薫、そしてこの奥田英朗。まだまだ奥深し
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いや〜大作でした。 内容も重いけど本も重かった笑 河川敷で連続する裸の女性死体… 10年前の未解決事件と全てが似通っている… 同一犯が10年ぶりに犯行に及んだか… 10年前に逮捕寸前までに追い詰めた容疑者、当時の刑事達、定年後の刑事、10年前被害にあった女性の父、初めての大事...
いや〜大作でした。 内容も重いけど本も重かった笑 河川敷で連続する裸の女性死体… 10年前の未解決事件と全てが似通っている… 同一犯が10年ぶりに犯行に及んだか… 10年前に逮捕寸前までに追い詰めた容疑者、当時の刑事達、定年後の刑事、10年前被害にあった女性の父、初めての大事件に緊張する女性記者。 捜査がなかなか進展しない。 そりゃ650ページありますから笑 全ての登場人物がそれぞれの思惑を胸に四方八方からジリジリと犯人に近づいていきます。 地味で地道。警察の執念と遺族の父親の執念。 もうこういう話大好き‹‹\(´ω` )/›› 100%スッキリした終わり方ではないのでモヤモヤする人もいるかもしれないですが。 犯人の恋人だった女性のセリフ…切ないなぁ…
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※このレビューにはネタバレを含みます
推理小説ではなく警察小説。複数の視点から事件の真相に迫りつつ、最後まで犯人の視点だけは登場しないため、すっきりしない部分があるのは確か。ただ、それがどうでもいいくらいにはおもしろかった。 刑事も記者も好感が持てたし、それぞれによい結末を迎え、犯人の恋人もまだ立ち直れる気配はあるが、被害者の父だけはどこまでも救いがないのも哀しい。それにしても容疑者全員犯人(ひとり共犯者)て。 内容とは全く関係ないのだが、ラブホテル「エーゲ海」の思わぬ登場に吹き出してしまった。名前だけは聞いたことがあったが実在したのか!
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群馬県と栃木県の河川敷で若い女性の遺体が発見され、10年前に起きた未解決の殺人事件と同一犯なのか疑われる。10年前に娘を殺された父親や退職した刑事、新聞記者たちの視点で進んでいく。両県警の刑事たちの執念など警察小説の醍醐味もあった。面白かった。
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手にした時の感想は「分厚っ!」 警察の逮捕への情熱、事件記者の必死の取材。 被害者の家族の執念を感じた。 私には、特に被害者家族の病的なまでの執着が少し気味が悪かったかな。 終わり方が少し尻切れトンボ風で、肩透かしだったのでもやもやが残りました。
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引き込まれた。 丁寧過ぎる⁉︎語りに若干もどかしさもありましたが、続きが気になり〜 楽しく読めました。
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