夏日狂想 の商品レビュー

3.8

32件のお客様レビュー

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2022/11/26

中原中也、小林秀雄との三角関係で知られる(とwikipediaに書いてある)長谷川泰子をモデルにした作品。なのだが、評伝やモデル小説というわけではなく、窪さんのかなり奔放な想像力で書かれている。 大正から昭和という激動の時代を、大部屋女優や雇われマダムなどをしながらも自分に正直に...

中原中也、小林秀雄との三角関係で知られる(とwikipediaに書いてある)長谷川泰子をモデルにした作品。なのだが、評伝やモデル小説というわけではなく、窪さんのかなり奔放な想像力で書かれている。 大正から昭和という激動の時代を、大部屋女優や雇われマダムなどをしながらも自分に正直に生き抜いた女性の一代記だ。関わった男たちはみな文学に取り憑かれており、彼女もその影響を強く受け、やがて文学の世界に足跡を残す。 生まれた時代が違っていたらおそらく違う生き方ができたのだろうけれど、その生は否定されることはない。

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2022/11/11

これまた大河小説だったわ。 中原中也から小林秀雄に乗り替えた(言い方悪いけど、こういうイメージであったことは否めない)長谷川泰子の一生を、多分フィクション多めで描いた小説。 なまじ”器量よし”であったために女優を目指し、東京に出てきて三歳年下の中学生の子どもみたいな中原中也で出逢...

これまた大河小説だったわ。 中原中也から小林秀雄に乗り替えた(言い方悪いけど、こういうイメージであったことは否めない)長谷川泰子の一生を、多分フィクション多めで描いた小説。 なまじ”器量よし”であったために女優を目指し、東京に出てきて三歳年下の中学生の子どもみたいな中原中也で出逢う。 東京に出てくる時も”お兄様”と呼ぶ川島がいたり、中也と暮らしてたのに、中也を捨て片岡(小林秀雄)と暮らし始めたり、そのあとはやはり文士の”橘”と籍は入れず、内縁の妻のように暮らし…。ほんとに恋多き女、なんだけど、 読む進むにつれて掃除婦をしながら誰にも頼らず、小説や雑文を書いてつましく暮らしてる礼子(長谷川泰子)にだんだん肩入れしたくなる。 中也とは別れたけど、きっと誰よりも強く繋がっていたんだろうなと思われる。 小説では水死(幸せな最期)を思わせるラストだったけど、 読後感は爽やかできっと天国で大好きなお父さんやすぐ死んでしまった息子の茂雄、広島で原爆にあった少女、そして中也にも会えただろうね。 タイトルの夏日狂想は、中原中也の代表作、”春日狂想”からつけたもの。 愛するものが死んだ時には、 自殺しなけあなりません。

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2022/11/10

モデルになった人物の情報は入れずにまず読了。窪さんはデビューから追ってきた作家さんなんですが、毎回最高を更新してる印象……。好きです……。 次はモデルとなった方々の背景を頭に入れてから再読したい。

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2022/11/08

面白かった。本の厚さの何倍も内容が濃い感じがしました。礼子の波乱に満ちた 毒婦と言われながらも 心は常に1人の人を愛し続けた人生。 巻末の参考文献の多さと 現実に存在した人達が出て来るので ノンフィクションに近い 小説。 戦争の描写まリアルで 怖さも感じました。 モデルとなっ...

面白かった。本の厚さの何倍も内容が濃い感じがしました。礼子の波乱に満ちた 毒婦と言われながらも 心は常に1人の人を愛し続けた人生。 巻末の参考文献の多さと 現実に存在した人達が出て来るので ノンフィクションに近い 小説。 戦争の描写まリアルで 怖さも感じました。 モデルとなった女性 全然知らない方でしたし 中原中也も全く興味がなかったけれど 思わず詩集を図書館で借りてきてしまいました。

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2022/11/07

「僕はふがいない空を見た」に衝撃を受け、それ以来注目をしてきたが、直木賞受賞作も私の中ではそれを超えるものではなかった。 でも今作品は読み進めれば進めるほど、深く胸に刻まれるものがあった。特に「心は一瞬離れた。でもそれが私の一生の後悔になった」という下り。

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2022/10/30

すごい大作で…読んでてめちゃくちゃ疲れた。全身全霊っていうのが、著者もそうなのですが、物語の中の人たちもだから、熱量の高さに圧倒された。 お恥ずかしながら中原中也についてあまり詳しくなくて、彼の周りの人たちと言われてもピンと来なかったのですが、中原淳一モデルが出てきた時にようや...

すごい大作で…読んでてめちゃくちゃ疲れた。全身全霊っていうのが、著者もそうなのですが、物語の中の人たちもだから、熱量の高さに圧倒された。 お恥ずかしながら中原中也についてあまり詳しくなくて、彼の周りの人たちと言われてもピンと来なかったのですが、中原淳一モデルが出てきた時にようやく私のテンションあがりました(大好き!!笑)

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2022/10/27

大正から昭和にかけて 文学を愛した女性の人生を描いた作品。 男性にすがって生きているように見えるけど 実は物凄く芯の強い礼子。 水本の魅力がもっと伝わればいい。 私にはあまり魅力的な男に感じなかったのが 残念。

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2022/10/27

実在した文人達をモデルにした小説ってビミョーだよね?と思いつつ読み進めたんだけど、これはかなり好きな感じだったわーwww 久々に、中也の詩集を読んでみたくなりましたねw

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2022/10/25

Amazonの紹介より 私は「男たちの夢」より自分の夢を叶えたかった、「書く」という夢を――。女は、男たちのように芸術に関わってはいけないのだろうか、芸術を生み出すこともできないのだろうか? 大正から戦後の昭和にかけて、詩人、作家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果て...

Amazonの紹介より 私は「男たちの夢」より自分の夢を叶えたかった、「書く」という夢を――。女は、男たちのように芸術に関わってはいけないのだろうか、芸術を生み出すこともできないのだろうか? 大正から戦後の昭和にかけて、詩人、作家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果てに、互いに傷つけ合いつつも礼子がついに掴んだものは――。時代に抗いながら創造する女を描き出した新たな代表作の誕生! 書く女として、女優として、そして「女」として生きる主人公の生き様に圧倒されました。 今とは違い、昔は男社会で、女性は家庭に入るのが当たり前。そんな時代を生きながら、主人公が男社会、男性達に翻弄されながらも、己を信じ行動している描写にとても読み応えがありました。 窪さんというと、女性を主人公にした作品が多くあります。 この作品でも、女性が主人公ですが、時に力強く、時にお淑やかに、時に繊細になど主人公の心理描写が丁寧に描かれていて、大河ドラマを見ているかのような骨太感がありました。 恋人がいるのに別の男に恋をしたり、当時としての女性が生きる道とは違った道を辿ったりと本能のままに生きる主人公には賛否両論がありますが、苦悩しながらも生きる姿が、輝いていました。 長く険しい「道」でしたが、様々な経験を経ての一代記にただただその生き方が凄かったです。

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2022/10/21

直木賞受賞後第一作。基本窪作品は無条件で読むようにしているので前知識無しに読むが、このタイトルはどうみても「春日狂想」のオマージュと思え、ということは中原中也絡みと想像がつき、読み始める。すると野中礼子は長谷川泰子(読後にウィキペディアみたが、女優時代の芸名が礼子なのね)、水本は...

直木賞受賞後第一作。基本窪作品は無条件で読むようにしているので前知識無しに読むが、このタイトルはどうみても「春日狂想」のオマージュと思え、ということは中原中也絡みと想像がつき、読み始める。すると野中礼子は長谷川泰子(読後にウィキペディアみたが、女優時代の芸名が礼子なのね)、水本は中原中也、片岡は小林秀雄、服部道子は林芙美子と想像しながら読み進めた。まあこれら有名人をオマージュしながらも、これはあくまで伏線で、礼子という架空の人物を通して、女性が一人の人間として生きにくかった時代に男に翻弄されながらも自分を見失わず、波乱万丈でありながらも力強く生きた叙事詩と感じた。傑作とは思わないが、受賞後初めての作品という重圧を跳ね返した力作ではある。

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