1,800円以上の注文で送料無料

窓辺の愛書家 の商品レビュー

3.7

25件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高齢者向け共同住宅”シービュー・コート”に住む本好きの老婦人ペギー・スミスが亡くなった。 第一発見者のウクライナ出身介護者ナタルカは、ペギーの名刺に記されていた”殺人コンサルタント”の肩書、ペギーが保有していた本の数多くに彼女への献辞が添えられていることに不審な臭いをかぎ取り、ハービンダー部長刑事(前作『見知らぬ人』でも事件を解決に導いた、同性愛者で実家暮らしのシーク教徒女性刑事)に相談に行く。 決しておざなりに扱われたわけではないけれど、ナタルカは好奇心の膨らみを抑えきれず、ペギーの友人で75歳を越える老紳士エドウィンと、元修道士という異例の経歴を持つ皆の行きつけのコーヒーハウスのオーナー、ベネディクトの3人で素人探偵調査に乗り出す。 前作は作中作とその中で記されるキーワードが牽引する良作ビブリオミステリだったが、本作はまた別の角度からのビブリオミステリ。 ただ、むしろビブリオというよりも、どちらかというとダニエル・フリードマンだったり、リチャード・オスマンのような壮年活躍ミステリ色の方が濃いかな。 全く違う様相のミステリをまさかのハービンダー刑事のシリーズものとして仕立ててくるとはね。 もはやハービンダーシリーズといいつつ、主役はその他事件関係者が務めるというように感じた。 2021年度CWAゴールドダガー賞最終候補作とのこと。 受賞したのはクリス・ウィタカーの『We begin at the end(邦題:我ら闇より天を見る)』。 今後の活躍も期待したい。

Posted byブクログ

2023/02/22

前作にそれほど重要じゃ無いような立ち位置で出てきたハービンダーが中心としてシリーズ化されてきたようなのでびっくり。読んでみたらストーリー自体の主役はハービンダーでは無いような。どちらかというと「ハービンダー刑事が担当する事件に関わる人々」的でこの構成、嫌いじゃない。 続編も期待。

Posted byブクログ

2023/02/19

推理作家に殺しのアイデアを提供していたミステリ好きの老婦人がアームチェア・ディテクティブになる…かと思ったら、最初に殺されるんかーい。 謎を解くのはウクライナ美女のその介護士、仲良しだったゲイの老紳士、修道士上がりのシャイなカフェ店主というおかしなトリオ。捜査担当はインド系女性と...

推理作家に殺しのアイデアを提供していたミステリ好きの老婦人がアームチェア・ディテクティブになる…かと思ったら、最初に殺されるんかーい。 謎を解くのはウクライナ美女のその介護士、仲良しだったゲイの老紳士、修道士上がりのシャイなカフェ店主というおかしなトリオ。捜査担当はインド系女性と、いろいろマイノリティで個性豊かな人々の活躍ぶりが楽しい。わりかしミスリードもうまかったし。楽しめましたわ

Posted byブクログ

2023/02/01

好きなミステリー! 細かな伏線があって、読み終わってからも読み返したい!!と思える一冊 序盤は緩やかに登場人物たちや容疑者の描写が続き、後半は怒涛の展開 何重か絡み合ったミステリーで面白かった 著者の他の作品も読みたい!

Posted byブクログ

2023/01/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高齢者用の共同住宅に住んでいたペギーが死んだ。 発見したのは通いの介護士のナタルカ。 90歳という年齢で心臓疾患を抱えていたのだから、死因が心臓発作であることに問題はないはずだった。 しかし彼女は海の見える窓辺の椅子にいつも通り座ったまま亡くなったのだ。 目の前のテーブルには薬があったにもかかわらず。 彼女は同じフロアに住むペギーの友人だったエドウィンと、ペギーの行きつけのカフェの店長であるベネディクトと3人で、事件の真相を探る。 元修道士のベネディクトはミステリが好きで、観察力や推理力に優れている。 エドウィンはBBCで働いていたこともあり、孤独な生活を送っている割にはコミュニケーション能力が高く、現実対応力もある。 ナタルカはウクライナ人。 数学が得意だったので、イギリスの大学に留学し、一瞬だけイギリス人と結婚したことにより、イギリスへの永住権を持つ。 最低賃金の保証のない介護士をしているが、実は財テクの特技を持つ。 これだけだと普通のミステリなのだけど、亡くなった(殺されたのかどうかも不明)ペギーが、殺人コンサルタントとして多くのミステリ作家にアドバイスをしていたことから、作家や編集者、ブックブロガーやイベントなど、現在のイギリスの出版事情も垣間見える。 そして、なぜペギーは殺人コンサルタントと名乗るようなことができたのか。 そこにはヨーロッパの、主に東欧の歴史が大きな影を落とすことになる。 この本が書かれたのは2020年だが、ウクライナ人はイギリス人にとって縁起の良くない民族と思われている節がある。 ナイチンゲールの時代からずっと戦時中であるというクリミア半島。 まあ、少数民族に対するマジョリティーの偏見というのは、刑事のハービンダー(イギリス生まれのインド人)も常に感じているところだが。 ナタルカの弟は反ロシア行動をとったということで、ロシアの捕虜になっていたことがあとでわかる。 トランプ大統領の口利きの捕虜交換で解放されて、政治難民としてイギリスへ来た。 祖国に帰らないのかと聞かれて、彼は答える。 「いつか、いつかは帰るよ。ロシア人がいなくなったら」 ポーランドも大きなカギだ。 ポーランド人の介護士。 第二次世界大戦中ポーランドにいた人物も。 ポーランドの「女学生暗殺者」。 日本のマスコミだけではわからない、世界の今と過去がこの本には書かれている。 「人は本のなかで世界を旅することができる」 前作『見知らぬ人』の時も思ったけれど、作者は本当に読書が好きなんだということが、今作では随所に現れていて楽しかった。 前作の主人公であるクレアがちょっとだけ出てきて、「ウィルキー・コリンズもディケンズもミステリを書いたことがあるのよ」という。 中世の文学が好きなクレアはミステリなんて読まないでしょという、ハービンダーの問いに対する答え。 「え?読むんだ!」と読者に思わせたかったのだろうけれど、私は逆にウィルキー・コリンズってミステリ以外も書いてたんだ!と驚いた。 ディケンズの遺作『エドウィン・ドルードの謎』はミステリだが未完なので、知らずに読んで衝撃を受けた。全集に入れるなよ! タイトルの『窓辺の愛書家』もとても良い。 原題は『The Postscript Murders」という味気ないもの。 年を取ったら海の見える家(サ高住でも老人ホームでも)で、窓辺の椅子に座りながら膝の上にはいつも本。 テーブルの上にはクロスワードパズル。 そして海を眺めながら息を引き取ることが出来たらいいなあ。

Posted byブクログ

2022/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ハービンダー・カーシリーズ2作目。 重苦しく暗い雰囲気だった1作目からかなり文章の雰囲気が変わった感じ。 ミステリーとしてはちょっと中途半端な気もするが、前作よりはこちらの方が良かった。

Posted byブクログ

2022/11/26

ミステリー作家に殺人方法を教えていた女性が殺されたという設定から気になり手に取った本。シリーズものと知らずに読んだものの、全く気にする事なく読むことができました。 今時の本だな〜!というのが最初の感想。ジェンダーや人種に関すること、昨今の世界情勢に関すること。多種多様な考え方が...

ミステリー作家に殺人方法を教えていた女性が殺されたという設定から気になり手に取った本。シリーズものと知らずに読んだものの、全く気にする事なく読むことができました。 今時の本だな〜!というのが最初の感想。ジェンダーや人種に関すること、昨今の世界情勢に関すること。多種多様な考え方が反映されていた。 ウクライナ出身の介護士、元修道士のカフェ店主、BBCで働いていた老父。3人のアマチュア探偵と1人の女性警察官。登場人物がみんな個性的で面白かった。解決したと思ったらその先の事実がどんどん出てくる展開。序盤はゆっくり進んでいたのに対し、後半は怒涛のスピード感! 前作、次作も読みます。

Posted byブクログ

2022/11/24

続編出たんだ、と手に取りました。 読んでいて、残り1/4ぐらいになっても事件の全容がつかめてない感じがすごいな、と。色々な人の思惑があったりなかったりするからなんだろうか。 すべてにおいてマイナーというしかないハーベンダー(だったかな)警部(?)が、さまざまな人の助けというか話...

続編出たんだ、と手に取りました。 読んでいて、残り1/4ぐらいになっても事件の全容がつかめてない感じがすごいな、と。色々な人の思惑があったりなかったりするからなんだろうか。 すべてにおいてマイナーというしかないハーベンダー(だったかな)警部(?)が、さまざまな人の助けというか話を聞きながら前進していく感じが良いなぁ。そしてお母さんの料理が美味しそう。うらやましい限り。 個人的には、他の人と違ってなんであの作家だけは不安に思わないんだろうな、とは思いました。作中取り上げられた作品、読んでみたいなと思ったらそれはフィクションだったんですね… でも黄金期の作家、もう一度読み返してみようかな~

Posted byブクログ

2022/11/13

「見知らぬ人」に出ていたハービンダー・カー刑事が登場するミステリ。前回は誰にも愛着が湧きにくかったが、今回の話はカー刑事(とその家族)も含めて魅力的で読んでいて楽しかった。90歳で亡くなったペギー・スミス。彼女はミステリ本の謝辞に、頻繁に載っていたことが分かる。彼女が言っていた”...

「見知らぬ人」に出ていたハービンダー・カー刑事が登場するミステリ。前回は誰にも愛着が湧きにくかったが、今回の話はカー刑事(とその家族)も含めて魅力的で読んでいて楽しかった。90歳で亡くなったペギー・スミス。彼女はミステリ本の謝辞に、頻繁に載っていたことが分かる。彼女が言っていた”殺人コンサルタント”とは?彼女はもしかして殺されたのでは?ウクライナ出身の女性、もと修道士の男性、ペギーと友人だったゲイの老人と、一見チグハグなトリオが謎に向かって突き進む。そこにカー刑事も加わって・・・。どんでん返しも何度もあり、前回同様、犯人は全く分からなかった。もっと英語が分かれば楽しかったかも。

Posted byブクログ

2022/11/03

”殺人コンサルタント”と名乗っていた元公務員の90歳の老婦人ペギーが窓辺で死んでいるのを訪ねて来たウクライナからやってきた介護士のナタルカが見つけた。多くの殺人方法をいくつも思い付き、推理作家の執筆に協力していたのだという。同じアパートに住む元BBC勤めの老人エドウィンと、修道士...

”殺人コンサルタント”と名乗っていた元公務員の90歳の老婦人ペギーが窓辺で死んでいるのを訪ねて来たウクライナからやってきた介護士のナタルカが見つけた。多くの殺人方法をいくつも思い付き、推理作家の執筆に協力していたのだという。同じアパートに住む元BBC勤めの老人エドウィンと、修道士をやめて近くでカフェを経営している若者ベネディクトの3人は、担当のインド系の女性刑事ベネディクトと協力しつつ独自に探索する。 出だしから人種も過去もバラエティに富んだ面々だが、さらに物語が進むと、殺されたペギーにはポーランド出身の友人がいた、などなどさらに背景が広がり、ウクライナ出身のナタルカは2014の侵攻前にイギリスにやってきている、など現状の生生しいウクライナ情勢なども頭をよぎるのだが・・・ 後半になってなんだかだれてきた。○○は〇〇する。という形の訳文がちょっと読みずらい。原文もそうなのか。 2022.8.19初版 図書館

Posted byブクログ