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われら闇より天を見る の商品レビュー

4.2

206件のお客様レビュー

  1. 5つ

    79

  2. 4つ

    75

  3. 3つ

    38

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2022/12/15

 おぉ〜、なるほど〜、凄い一冊でした! また素晴らしく感銘的な本に出会え、僥倖です。  過酷な運命に翻弄される人々と、狭い町の密接な人間関係がリアルに描かれ、単純なミステリーを超越している気がしました。  何と言っても強烈な印象を残すのが、13歳の少女ダッチェスです。自らを〝無...

 おぉ〜、なるほど〜、凄い一冊でした! また素晴らしく感銘的な本に出会え、僥倖です。  過酷な運命に翻弄される人々と、狭い町の密接な人間関係がリアルに描かれ、単純なミステリーを超越している気がしました。  何と言っても強烈な印象を残すのが、13歳の少女ダッチェスです。自らを〝無法者〟と称してプライドをもち、余りにも厳しい境遇や世間から身を守るための鎧をまとっているようです。  どこからこの強さが出てくるのかと考えると、幼い弟の存在があるからなのでしょう。人は「誰かのために…」と強く思うほど、自己有用感から勇気へと新たな一歩を踏み出す力が生じてくるのかもしれません。  もう一人の中心人物・ウォークの、執念の塊のような生き方も同様だと思います。  ダッチェスの(側から見て可哀想という言葉も寄せ付けない)意地らしさと運命との闘いが、脳裏から離れません。  人はどこかで必ず間違えたり失敗したりしますが、それを受け入れて次に進まなければならないのですね。  原題 「We Begin at the End 人は終わりから始める」の通り、人生の始まりは選べませんが、〝終わり〟は選べる、ということを示す、壮大な物語でした。万人におすすめしたい「心揺さぶられる一冊」が、また増えました。

Posted byブクログ

2022/12/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こうあって欲しいという読者の期待はことごとく裏切られます。事故から始まった不幸の連鎖の中で懸命に生きようとするダッチェス、彼女を取り巻く家族や友人たちの想いがアメリカの美しい自然とともに描写されます。このミス海外版第1位に相応しい名作。

Posted byブクログ

2022/12/12

広いアメリカでも小さな町では閉塞した人間関係に絡まっている・・ アメリカ・カリフォルニア州の海沿いの町。30年前に少女が命を落としたその犯人とされた男ヴィンセントが刑期を終え町に戻った。15才で刑務所に入り、命を落とした少女は付き合っていた同級生スターの妹。スターをめぐり何人か...

広いアメリカでも小さな町では閉塞した人間関係に絡まっている・・ アメリカ・カリフォルニア州の海沿いの町。30年前に少女が命を落としたその犯人とされた男ヴィンセントが刑期を終え町に戻った。15才で刑務所に入り、命を落とした少女は付き合っていた同級生スターの妹。スターをめぐり何人かの男が好意を持ち、今は警官になっているウォーカーはヴィンセントの親友。それらが30年後の今もその小さな町に住んでいる。広いアメリカなのに小さな町にある閉塞したコミュニティ。30年前の高校生の恋物語がいまだに尾をひきちょっと辟易感。こういうのはちょっと苦手。でも書いているのはロンドン生まれの男性作家。 あとがきではアメリカは犯罪小説を描く作家にとっては理想的な舞台だということだ。犯罪そのものよりもその余波に強い関心を抱いており、銃問題、小さな町の保安官、FBIの存在など法律や警察機構が舞台設定にいいようだ。今回の本では、刑期を終えたヴィンセントの恋人だったスターという女性とその子供も主役になっており、子供はまさに「余波」でカフリフォルニアからモンタナへと移る、そしてまた移動とアメリカ西部と行き来する。その描写にはイギリスより広いアメリカがよかった、とある。 ・・ダッチェスとロビンの顔に父親の面影はなかったのだろうか。気づく人いなかったのかなー 2022.8.25初版

Posted byブクログ

2022/12/12

一つの事件をきっかけに、絡み合った幾つもの愛憎。罪を犯すことと償うこと。無私の行為。 あまりにも深いテーマだが、ぐいぐい読ませる筆致。雄大で美しい自然が、厳しく時に優しく包む。 この作品の素晴らしさを伝えたいが、何を書いても陳腐になってしまう。とにかく読んでみてほしい作品。

Posted byブクログ

2022/12/10

英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作。 『ミステリが読みたい』海外篇 第1位。 「それが、ここに流れてる あたしたちの血。 あたしたちは無法者」 アメリカ、カリフォルニア州。海沿いの町ケープ・ヘィヴン。30年前にひとりの少女が命を落とした事件は、いまなお町に暗い影を落としてい...

英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作。 『ミステリが読みたい』海外篇 第1位。 「それが、ここに流れてる あたしたちの血。 あたしたちは無法者」 アメリカ、カリフォルニア州。海沿いの町ケープ・ヘィヴン。30年前にひとりの少女が命を落とした事件は、いまなお町に暗い影を落としている。自称無法者の少女ダッチェスは、30年前の事件から立ち直れずにいる母親と、まだ幼い弟とともに世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。町の警察署長ウォークは、かつての事件で親友のヴィンセントが逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。彼らの町に刑期を終えたヴィンセントが帰ってくる。彼の帰還は、かりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、新たな悲劇が…。苛烈な運命に翻弄されながら彼女たちがたどり着いたあまりにも哀しい真相とはー? (以上、単行本うらすじより) まず、ダッチェスの母の妹のシシーを誤って轢き殺してしまったヴィンセントは刑期を務めるために生きてきたという一行があり、なぜそこまでするのかと思いました。15歳の子どもが犯した罪です。 そして、幼なじみが起こした事件を解決しようとする刑事のウォークの苦悩。 6歳の弟のロビンを思いやる、わずか13歳の少女のダッチェスの愛情の深さ。 ヴィンセントは一体何を隠して罪を被っているのか…など不思議でならなかったけれど、思いもよらない結末。 ヴィンセントの真実がわかったときは、ため息がもれました。 大きな賞を獲る作品とはこういう作品なのだと思いました。 家族の大きな愛の物語だと思いました。 皆さんのレビューを再拝読してみると、ダッチェスやウォークを讃える声が多いように感じましたが、私は一番愛情深い人物は他ならぬヴィンセントだったと思い涙しました。 なんで、こんな悲劇が起こってしまったのか。 ダッチェスの未来が明るいものであることを願ってやみません。

Posted byブクログ

2022/12/08

#われら闇より天を見る #クリス・ウィタカー 怒り、不安、苦しさ、切なさ、後悔、友情、安らぎ、愛しさ、喜び、そして最後に哀しみ、希望、祈り。 今年、私の中に最も強く、多くの感情を呼び起こした物語。 他にこの物語を表せる言葉を、私は持たない。どう語っても言い足りない気がする...

#われら闇より天を見る #クリス・ウィタカー 怒り、不安、苦しさ、切なさ、後悔、友情、安らぎ、愛しさ、喜び、そして最後に哀しみ、希望、祈り。 今年、私の中に最も強く、多くの感情を呼び起こした物語。 他にこの物語を表せる言葉を、私は持たない。どう語っても言い足りない気がする。 #読書好きな人と繋がりたい #読了 #ミステリ #このミス #このミステリーがすごい

Posted byブクログ

2022/12/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

シングルマザーで精神的に弱ってる母親のスターを支えつつ、まだ幼い弟のロビンを必死に守りながら生きている自称無法者の娘ダッチェス。 まだ14歳の彼女の身に次から次へと降りかかる試練。 その厳しい運命の翻弄のされ方には読んでいてズット心が苦しかった。 幸せな日が手に入るかも…と思いかけた所で闇の中に落とされる。 ただ、この本のタイトルの様に闇の中から這い上がり、そしてまた1歩ずつ進んでいく。 取り返しのつかない事もあるけらど、終わりから始める事も出来る。 運命に翻弄され続けたダッチェスが、最後に放った一言に全てが詰まってる…そう感じた。

Posted byブクログ

2022/12/07

完全な善人もいなければ完全な悪人もいない。 与えられた環境と状況と巡り合わせと、絡み合ったものから生み出された行動の結果があるだけ。 けれど、そこを踏み越えてしまったら二度と、元の自分(人生)には戻れない瞬間というものが人にはあって、それを経験しているかしていないかで、その人のあ...

完全な善人もいなければ完全な悪人もいない。 与えられた環境と状況と巡り合わせと、絡み合ったものから生み出された行動の結果があるだけ。 けれど、そこを踏み越えてしまったら二度と、元の自分(人生)には戻れない瞬間というものが人にはあって、それを経験しているかしていないかで、その人のあり方は大きく変わってしまう。 そこを踏み越えた人は、たぶん、踏み越えずに済んだ自分の(あるいは大切な人の)、あるべきだったもうひとつの人生みたいなものを背負って生きていくのではないかと思った。 今の自分と、こうならなかった自分、二つの人生を背負っていく。 だからこそ、半分生きて、半分死んだまま生きる。 愛とはなにか、贖罪とはなにか。 何かへの期待や信頼と、それに裏切られる絶望や虚無感と、全てを包んで、人生は続く。 雲間が切れた部分から射してくる光の美しさは、晴天で照りつづける光よりもずっと美しい。 その美しさを知っていれば、人生は何とか乗り越えていけることを教えてくれるような良書。

Posted byブクログ

2022/12/06

家族を守るためにならなんでもする“無法者”を名乗る13歳の少女ダッチェスと、海沿いの町、ケープ・ヘイヴンの変わらなさを大切にする警察署長ウォーク。30年前の一人の少女の死に囚われた人たちの物語。 とにかくすごい。心を揺さぶられる→ 小さい弟ロビンのためになら何でもするダッチェス...

家族を守るためにならなんでもする“無法者”を名乗る13歳の少女ダッチェスと、海沿いの町、ケープ・ヘイヴンの変わらなさを大切にする警察署長ウォーク。30年前の一人の少女の死に囚われた人たちの物語。 とにかくすごい。心を揺さぶられる→ 小さい弟ロビンのためになら何でもするダッチェスがとにかく読んでいてツライ。この子もまだ子どもなのに。変わらないことを求めるウォークもまたツライ。二人とも一生懸命守ろうとするのにその方法があかんやろ、って見えちゃうのがツライ。 後半はとにかく泣きっぱなし。小説でこんなに泣いたのは→ たぶん初めて。 魂が揺さぶられる感じがした。 帽子のくだりはマジ号泣。あかんやん、そんなん無理。 ラストもよ。それは考えなかった。 原題がWe Begin at the Endなんだけど、これを「われら闇より天を見る」って邦訳したのもすごい。 川出正樹氏の解説も良い。最高の一冊だと思う。

Posted byブクログ

2022/12/05

泣きながら読んだ本は久しぶり。 悲しすぎる結末だが、希望に溢れている。 淡々としていて静かな語り口なのに、情景が浮かんできて登場人物たちの思いも伝わってくるような小説だった。

Posted byブクログ