夜の道標 の商品レビュー
前半はページの進みが遅かったが、阿久津視点の描写が出てくる頃から目が離せなくなって一気読み。別視点で描かれるストーリーが段々と収斂してくる組み立ては後半盛り上がるから好き。
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父親と二人で暮らしている少年波留。父親は働かず、ろくにご飯も食べさせず、挙げ句に子供に当たり屋をさせて、交通事故の慰謝料で生活するという最悪な状況。何度も死を身近に感じているうちにいろんなことがどうでもよく思えてくる彼が、この苦しみから解放されることを願いながら読んだ。そしてもう...
父親と二人で暮らしている少年波留。父親は働かず、ろくにご飯も食べさせず、挙げ句に子供に当たり屋をさせて、交通事故の慰謝料で生活するという最悪な状況。何度も死を身近に感じているうちにいろんなことがどうでもよく思えてくる彼が、この苦しみから解放されることを願いながら読んだ。そしてもう一つ、大切なテーマとなっているのが、昔の優生保護法だ。夜の道標というタイトルが心に刺さり、このタイトルしかない、と思えた。
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殺人犯として追われる男の真実の姿に、その嘘のない純真な魂に、やり切れない運命を感じた。彼によって救われる当たり屋をさせられていた少年波留、みんな幸せになるその後の物語を信じたい。
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この本は凄い考えさせられた。 昔で言う知恵遅れの様な、生活は大体普通に出来るけど、ちょっと知能や思考の仕方が変わっている子達。 自分もそこの所が無知過ぎて今はなんと呼ぶのか。 どう言ったハンディキャップを持っているのかを書き表す言葉を知らないのが申し訳ない。 と、思った所で自分の中ではそう言うハンディキャップを持った人達の事にあまり関心を寄せてないのではと言う事実にいき当たった。 そう言うハンディキャップを持った人達には本人の同意なしに子供を作れなくさせるのを国が推奨してた事実も知らなかった。 凄いデリケートな問題なだけにとても難しいなとも思う。 子供に当たり屋をさせて金を稼ぐ親とは思えない親の元で貧困に苦しみながら生活する波瑠と、教師を殺してしまった元教え子の阿久津。 それぞれの思いが絡まりあって進む話の展開はどうなるのか最後まで本当に気になった。 読み終えた時、どうかこの先子供の波瑠の進む道が、明るい道ですようにと祈らずにはいられなかった。
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登場人物が繋がっていく様が面白い。 読みやすいしそれぞれの事情も興味深いんだけど、最後まで読んでもスッキリはしなかった。 なぜだろう。 どこか放り出された気分。
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難しいテーマでした。 報道で知った強制不妊手術、 裁判を訴えた人達は高齢者が多かったから どこか他人事な感じがしたけど この登場人物は30代。 胸が詰まる。 発達障害のことも詳しいこともよくわからなくて だけど、人1人殺めてしまったけど 障害の件で情状酌量とか認めてもらえるのかな。 それはそれで… とか思ったり あの女の人はどうなったんだろうか と心配したり なんだかその先が知りたくなった。
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バスケットボールの才能がある2人の少年、自身の働く惣菜店の売れ残りを持ち帰る女性従業員、上司に疎まれまともに仕事をさせてもらえない刑事。三題噺じゃないが、ここからどんなミステリーが紡ぎ出されるというのか。やたらディテールにこだわった(=どうでもいいように思える)文章と、1段落1行...
バスケットボールの才能がある2人の少年、自身の働く惣菜店の売れ残りを持ち帰る女性従業員、上司に疎まれまともに仕事をさせてもらえない刑事。三題噺じゃないが、ここからどんなミステリーが紡ぎ出されるというのか。やたらディテールにこだわった(=どうでもいいように思える)文章と、1段落1行の落差にとまどいつつ読み進める。 最初はまったくなかった接点が徐々に見つかり事件との関わりが明らかになる様は見事で、そもそもの発端となった出来事に怒りを覚える。犯人と少年の未来が明るいものであることを願わずにはいられない。
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痛々しく読みながら辛くなるところもあった。 まだまだ知らないことがあるな、色々勉強したいと思わせられた本。
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芦沢央さん、はじめて読んだ。 何故だかやめられず一気読みしてしまった。 仲村桜介(小学生) 長尾豊子(パート従業員・30代?) 平良正太郎(窓際刑事) 橋本波留(仲村桜介と友達・父から虐待されている) 以上の彼らの視点で話は進んでいく。 発端は、塾の講師殺害事件、彼らは一見何の接...
芦沢央さん、はじめて読んだ。 何故だかやめられず一気読みしてしまった。 仲村桜介(小学生) 長尾豊子(パート従業員・30代?) 平良正太郎(窓際刑事) 橋本波留(仲村桜介と友達・父から虐待されている) 以上の彼らの視点で話は進んでいく。 発端は、塾の講師殺害事件、彼らは一見何の接点もないように見えて、進んでいくうちにだんだんと繋がっていく。 そして犯人逮捕にも繋がっていく。 がーと夢中で一気に読んでいたのに、最後の最後、犯人の動機で一気に熱が引いたような、はっと我に返ったような・・・ 「え~~?!」というような気持ち。 後味が悪いような、納得がいかないような、あ~うまく言えない。
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塾の経営者が殺害され、かつての教え子が手配されてから二年。未だに見つからない犯人を追い続ける刑事、殺人犯を匿う孤独な女、その殺人犯と交流を深める少年、そしてその少年の心配をする友人。それぞれの思惑が絡み合い、なんとも切ない読み心地のミステリです。 殺人犯の阿久津はいわゆる発達障害...
塾の経営者が殺害され、かつての教え子が手配されてから二年。未だに見つからない犯人を追い続ける刑事、殺人犯を匿う孤独な女、その殺人犯と交流を深める少年、そしてその少年の心配をする友人。それぞれの思惑が絡み合い、なんとも切ない読み心地のミステリです。 殺人犯の阿久津はいわゆる発達障害であり、世間一般とは少しずれたところがあるものの、決して悪人という感じはしません。しかしなぜ彼が事件を起こしてしまったのか。その部分がメインの謎といえば謎ではあるのだけれど、それ以上に登場する人々の物語に魅せられました。誰もが誰かを大切に思い守ろうとするのに、思うようにできないもどかしさ、そして相手に対する一方通行のような思い。豊子と阿久津の関係も、波留と桜介の友情も、そして波留と阿久津の交流も、どれもが全部うまくいってほしいのだけれどそれは無理なことが分かっていて、切なくて仕方ありませんでした。 ラストで明かされる真相もまた切ない。今では周知されてきているし、良くないことだという風潮もあるけれど。当時は本当に、彼のために良かれと思ってやったことなんじゃないのかな。なので余計にやり切れません。
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