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ウクライナ戦争は世界をどう変えたか「独裁者の論理」と試される「日本の論理」 の商品レビュー

4.2

24件のお客様レビュー

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2024/03/17

長いけど分かりやすい。 欲しい情報がぎっちり詰まってる。セカンドオピニオンは必要だろうけど、この一冊でお腹いっぱい。さすがメディアの人。池上彰さんのようなふむふむ感が満載。 前半はロシア・ウクライナ戦争で、後半まるまる台湾有事について(作者は敢えて「台湾戦争」と呼ぶ)。日本が嫌...

長いけど分かりやすい。 欲しい情報がぎっちり詰まってる。セカンドオピニオンは必要だろうけど、この一冊でお腹いっぱい。さすがメディアの人。池上彰さんのようなふむふむ感が満載。 前半はロシア・ウクライナ戦争で、後半まるまる台湾有事について(作者は敢えて「台湾戦争」と呼ぶ)。日本が嫌でも巻き込まれるシナリオを生々しく語る。YouTubeでも中田敦彦さんが解説しているので観た人が多いのでは。内容はそちらで。 この作品の一貫したテーマは「論理」。 戦争の論理は被害感情から始まるという。汝、平和を欲するならば戦さの備えをせよ。これはローマ時代からある人類の財産で、今日でも平和の論理だ。私たち日本はその両方から外れる特殊な存在に違いない。 ── 安全保障をめぐる戦後の日本の論理は平和主義だった。これを論理と呼べるかは別として、戦争を絶対的な悪として、いかなる条件においてもそれを拒否する考え方である─ 戦争への激化を抑止する唯一の方法は対話。つまり相互理解。その中身は歴史を知り、政治を理解し、経済を把握し、活発に議論し、選挙に反映させて国を動かすことだと作者は言う。 おっと出た。選挙。やっと「私」が関われるのか。 なら選挙に行かんかい!とはもはや言いづらい。 選挙の有効性を疑っている人も多いのでは。これは成田悠輔さんの受け売りながら、SNSと多様性の時代にハガキを持って投票所へ足を運び、特定の候補者の名前を紙に書いて箱に入れる。これで民意の反映と呼ぶのか。 もちろん戦争は殺人。私はイヤに一票入れたくなる。しかし家族がレイプされて銀行口座が吹き飛んで自宅から焼け出されてから殺してやると叫ぶくらいなら、なぜ備えをしなかったのかと悔やむだろう。もっと議論できなかったのかと。 エスカレート・デ-エスカレーション(エスカレートさせないためのエスカレート戦略)はさらに対極となる論理。一発殴って黙らせる核武装の推進。地球の破壊ショーになりかねないので、その中間あたりに着地点となる論理を見つけなくてはならない。 暴走しない強い軍隊をどう維持するか。国家の話し合いは力のない国にはテーブルも用意されない。日本はイスがあるのにどうぞどうぞ状態だと見られている。 終章ではこうした「平和の責任」についても語られる。これがまた熱い。いま私たちが子どもらの将来を形作らないと責任の先送りになる。負の遺産を残した既得権者たちの安らかな死は見飽きた。現役世代の苦しみは、現役世代で解決させてほしい。長老の論理はいらない。 これを読む前は、台湾戦争が勃発すれば世論も変わるでしょうと他力本願に同調していた。変わる前には間違いなく政治が混乱する。その空白で趨勢は決すると作者は警告する。スポーツでも混乱したチームほど勝てる確率は低くなる。試合前から立て直す練習をしておくのは定石。ロシアに攻め込まれたフィンランドもウクライナも、それをやっていたから生き残っている。 日本の防衛費は中国の5分の1以下。そこは同盟があるじゃん、の論理は実は崩れかかっている。プーチン大統領の失策、それを間近で見た習近平主席の野心を見せることで私たちをイスに座らせたい。そこに作者の意図がある。と思える。 タブーをタブー視しないで、当たり前を突破する。選挙を変えて、リーダーを育てる。そのためには何ができるか。サピエンスは力を合わせる方法を変えることができる唯一の動物だとか。過去に学び、未来の正解を想像する。 将来への考えにものすごく集中できた良著。 まずは投票所で「オレ」って書こうっと。(バッカだね〜相変わらず)

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2024/01/22

国の犠牲よりも自身のレガシーづくりを優先するプーチンと習近平。 台湾戦争になった際のシミュレーションが興味深かった。日本も巻き込まれて参戦させられるリスクも否定できない。 チキンレースにおけるマッドマンセオリー。狂人ほど相手にし難い敵はいない。

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2023/10/17

【星:4.5】 ウクライナ戦争を題材として、日本を取り巻く世界情勢を分かりやすく説明してくれている。 この本を手に取ったのは、ウクライナ戦争がなぜ起こったのかを知りたかったからであったが、その点については当然に詳しい説明がなされている。 その説明も、これまでの歴史やその歴史を踏...

【星:4.5】 ウクライナ戦争を題材として、日本を取り巻く世界情勢を分かりやすく説明してくれている。 この本を手に取ったのは、ウクライナ戦争がなぜ起こったのかを知りたかったからであったが、その点については当然に詳しい説明がなされている。 その説明も、これまでの歴史やその歴史を踏まえたプーチンの考え方など、多面的な考察がされており、かつその説明も多すぎず少なすぎずでちょうど良い。 そして、ウクライナ戦争を踏まえ世界がどう動くか、そしてその動きに対する日本の課題への説明と繋がる。 ここでは台湾有事を中心に説明されており、日本として危機に直面していることを今更ながらに実感することができた。 世界情勢については感度を養える素晴らしい1冊であった。

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2024/05/05

まず「とても読み易い」というのが第一印象で、著者が論文を書き慣れてるんでしょうね。たぶん大学・大学院にたくさん論文を書いて訓練したのだろうと感じました。 内容は時事的なものなのですぐに陳腐化してしまいそうですが、とはいえ、最後の『台湾戦争』についての記述は、まだ変わらず価値のある...

まず「とても読み易い」というのが第一印象で、著者が論文を書き慣れてるんでしょうね。たぶん大学・大学院にたくさん論文を書いて訓練したのだろうと感じました。 内容は時事的なものなのですぐに陳腐化してしまいそうですが、とはいえ、最後の『台湾戦争』についての記述は、まだ変わらず価値のある警鐘だと思います。

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2023/09/29

なぜロシアはウクライナに侵攻したのか、歴史的な背景と共に的確に教えてくれるとても良い本。プーチン暗殺の可能性なんかも考察してくれているのが面白い。 合わせて世界の成り立ちや、アフリカの立ち位置、日本が台湾戦争(あえて有事ではなく戦争と言う)があったときにどう対応するのかというシナ...

なぜロシアはウクライナに侵攻したのか、歴史的な背景と共に的確に教えてくれるとても良い本。プーチン暗殺の可能性なんかも考察してくれているのが面白い。 合わせて世界の成り立ちや、アフリカの立ち位置、日本が台湾戦争(あえて有事ではなく戦争と言う)があったときにどう対応するのかというシナリオの検証など、盛りだくさんでした。 少し時間が経って情勢は変わりつつあるけれど、お薦めです。

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2023/09/08

ロシアによるウクライナ侵攻開始から半年も経てない時期に書かれた本だが、一年半が過ぎた今も通じる議論をしている。 ロシアがウクライナに侵攻した論理や歴史的背景、戦時下のウクライナの生活、ロシア軍の苦戦について現場の詳しい情報や核戦略、西側やアフリカ諸国の論理、プーチン暗殺の可能性、...

ロシアによるウクライナ侵攻開始から半年も経てない時期に書かれた本だが、一年半が過ぎた今も通じる議論をしている。 ロシアがウクライナに侵攻した論理や歴史的背景、戦時下のウクライナの生活、ロシア軍の苦戦について現場の詳しい情報や核戦略、西側やアフリカ諸国の論理、プーチン暗殺の可能性、中国による台湾侵攻シナリオなど、よく取材されているし、読みやすい。

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2023/08/15

名著。これは買ってよかった。寡聞にしてこの著者のことを存じ上げなかったがYouTubeが有名な様子。チェックしてみよう。経験豊富なジャーナリストが徹底した取材に基づいて書いたノンフィクションはかくも面白い。 前半はずばりウクライナ戦争そのものについて。ロシアが戦争を始めた背景、...

名著。これは買ってよかった。寡聞にしてこの著者のことを存じ上げなかったがYouTubeが有名な様子。チェックしてみよう。経験豊富なジャーナリストが徹底した取材に基づいて書いたノンフィクションはかくも面白い。 前半はずばりウクライナ戦争そのものについて。ロシアが戦争を始めた背景、なぜ戦況が長引いているのか(イコールロシア軍がそこまで強くないのか)の分析、対峙する欧米の反応についてなどウクライナ戦争の概要を掴むには十二分の内容。出た当初に読みたかった。 後半は中国の台湾戦争の予測シナリオと対策、そして突き付けられる日本の課題について。リアリティを持って語られる戦争のシナリオはこの部分だけでも読む価値充分と言えるもの。実際に起こってほしくはないが、起こり得るものとして我々日本人は思考しなければならないのだろう。

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2023/06/14

テレ東の名物ニュースキャスターである豊島晋作氏の本。著者はテレビやYouTubeでも積極的に情報発信をしているため、本作の一部はすでに見聞きした内容であったが、新しい内容も多くあった。 ロシアの変遷と彼らが抱える怯え、バルト三国やフィンランドといったロシアと国境を接し、歴史的に...

テレ東の名物ニュースキャスターである豊島晋作氏の本。著者はテレビやYouTubeでも積極的に情報発信をしているため、本作の一部はすでに見聞きした内容であったが、新しい内容も多くあった。 ロシアの変遷と彼らが抱える怯え、バルト三国やフィンランドといったロシアと国境を接し、歴史的に戦争経験もある国々の思い。第三局としてのインドやアフリカといった国々の思惑等、ウクライナ戦争を舞台に地政学的な解説が続く。 最終的には台湾戦争という将来起こりうるリスクと戦局、その際の日本の立ち位置等具体的な部分まで突っ込んだシミュレーションがされている。 国際政治の興味深さと普段真聞きしているニュースの限定性について改めて考えさせられる内容であった。

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2023/04/22

テレ東bizを見てから豊島さんのファン ここまでリサーチできる力とそこから冷静に状況を説明できる客観性は毎度お見事 もし台湾戦争が起きてしまった時、日本があらゆる言い分を用いて一ミリも戦争に参加しない場合、日本人は命を落とさないかも知れないが、何十年にも渡って台湾という盟友を見...

テレ東bizを見てから豊島さんのファン ここまでリサーチできる力とそこから冷静に状況を説明できる客観性は毎度お見事 もし台湾戦争が起きてしまった時、日本があらゆる言い分を用いて一ミリも戦争に参加しない場合、日本人は命を落とさないかも知れないが、何十年にも渡って台湾という盟友を見捨てた国家として、国民は更に誇りを無くして生きていくことになるのではと思ってしまう もちろん何も起きないことが一番

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2023/04/02

テレ東の豊島さんの著作。なぜロシア軍が苦戦しているのか、台湾有事が起きたらどうなるのか、日本はこれから何をすべきなのかなどが簡潔にまとまっている。文章が固すぎないのでとても読みやすい。「戦争の最初の犠牲者は真実である」という引用が印象的だった。

Posted byブクログ