世界は五反田から始まった の商品レビュー
祖父の手記から始まった家族の歴史をめぐり、解き明かされていく過去。空襲や集団移住…。現在タワマンが立つエリアの戦前戦中の歴史。知らなかったことも多々あり読み応えありです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
五反田に2年住んでいたので、単純にタイトルが気になって全く期待せずに読んで見た。 お、おもしろーい! 知ってる場所の知らないことのオンパレード。FRIDAYの場所は知ってるけどそこに映画館があったことは知らかった。駅前の歓楽街は知ってるけど、町工場が沢山あるからというのは知らなかった〜。駅前の歓楽街と隣山の高級住宅地(池田山)の配置ずっと気になっていたんよね〜 あと、五反田の土地の低さ、めっちゃ分かる!魅力屋(ラーメン屋)らへんだとめちゃくちゃ感じる。 めちゃくちゃ個人的な五反田史と思いきや、途中から始まる戦争の話めちゃくちゃ興味深かった。武蔵小山から満州に渡った人々のしたこととたどった運命。戦争に行かなくても、戦時下では戦争に関わらずを得ないということ。個人の歴史であり世界史。
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題名からして、おふざけの部分の多い本なのかと思ったら、大間違い。極めて、真面目な、真摯な内容で感服した。ご自身のルーツをたどりながら、五反田にまつわる社会的歴史的な考察が盛りだくさん。九十九里の方からやって来た祖父が開いた町工場、それは大五反田という土地だった。 なぜ、五反田周辺...
題名からして、おふざけの部分の多い本なのかと思ったら、大間違い。極めて、真面目な、真摯な内容で感服した。ご自身のルーツをたどりながら、五反田にまつわる社会的歴史的な考察が盛りだくさん。九十九里の方からやって来た祖父が開いた町工場、それは大五反田という土地だった。 なぜ、五反田周辺に町工場が多いのか?戦時中に果たした軍需工場という役割。無産者(いわゆる生産手段を持たない、資本家に対しての労働者)の闘い。さらには、空襲、疎開、焼け野原と、戦争にまつわる話が続く。五反田は小林多喜二や宮本百合子、プロレタリア文学と言われる小説の舞台でもあったらしい。その視点がなかなか面白い。 本の中に出てくる立会川や武蔵小山という土地が、実は私にも馴染みのある場所柄なだけに、よけい興味を惹かれて、面白く読んだ。
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ゲンロン叢書 星野博美 「世界は五反田から始まった」 五反田の歴史や家族の歴史を通して生きようと模索した人々の声を取り上げた本。東京大空襲の中の祖父の言葉「生きて戻ったら、すぐに 自分の名前の杭を打てろ」は 生き抜く意思の強さを感じる デビュー作「謝々!チャイニーズ...
ゲンロン叢書 星野博美 「世界は五反田から始まった」 五反田の歴史や家族の歴史を通して生きようと模索した人々の声を取り上げた本。東京大空襲の中の祖父の言葉「生きて戻ったら、すぐに 自分の名前の杭を打てろ」は 生き抜く意思の強さを感じる デビュー作「謝々!チャイニーズ」のような 個性の強い人は出てこないが、国のシステムの中に組み込まれず、生きようとする意思の強さは共通している 戦争に反対するだけでは生き抜くことにはならないとし、プロパガンダに呑み込まれず、権力者と距離を置き、孤立して生き延びることを見出している 「物書きというのは自分が見た世界を、あたかもそれが唯一の世界観であるように提示する〜他者からの視線を常に意識した有名人の戦争体験は少し距離を置いて見るべき」というのは、なるほどと思う 被災した一般市民〜国に対して声を上げることこそしなかったが、自分の頭で考え、生き延びる方法を必死に模索していた 東京大空襲 1.昭和19年11月24日〜 軍事施設、軍事工事への爆撃 零戦を製作した中島飛行工場を爆撃 2.昭和20年3月10日〜 工場地帯、人口密集地域への爆撃 江東方面が廃墟と化した 王子 蒲田 3.昭和20年5月24日〜 日本を降伏させるための総仕上げ。まだ焼けていない残存市街地へ爆撃 城南空襲(品川、荏原、大森など) 京橋、麻布、芝など
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●私は五反田を歩くたび、いつも不満に感じている。ここが75年前に焼け野原になり、戦前の建造物がほとんど消えてしまったことは差し引くとしても、過去を思い出させるきっかけが、この街にはなさすぎる。ここで小林多喜二がオルグ活動をした、日本初の無産者託児所と無産者診療所がここにあった、こ...
●私は五反田を歩くたび、いつも不満に感じている。ここが75年前に焼け野原になり、戦前の建造物がほとんど消えてしまったことは差し引くとしても、過去を思い出させるきっかけが、この街にはなさすぎる。ここで小林多喜二がオルグ活動をした、日本初の無産者託児所と無産者診療所がここにあった、ここは焼け野原になった....。銅板プレートくらいは貼りつけてもよいのではないか。戸越銀座商店街の片隅に、関東大震災後に銀座から譲り受けた白レンガは展示されているのに、無産者闘争にまつわる記憶は何一つ残されていない。もし日本に革命が起きていたら、五反田は聖地の一つになっていただろ。五反田に、革命記念博物館の一つや二つは建っていたはずなのだ。
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途中まで読んだけれど、おもしろいとも思ったけれど、なかなか進まず、ブックオフに持っていってしまった… いつか図書館で借りて続きを読もう。
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祖父の手記から、作者の生家のある五反田周辺でおきた歴史の物語を著した、歴史土地ノンフィクション。 さすが、星野さんである。 教科書のように味気なくなりがちな郷土史を、家族の歴史や自分の話とが絡み合いながら、楽しく、悲しく紹介していく。 かつては軍需工場が多くあった五反田付近の、...
祖父の手記から、作者の生家のある五反田周辺でおきた歴史の物語を著した、歴史土地ノンフィクション。 さすが、星野さんである。 教科書のように味気なくなりがちな郷土史を、家族の歴史や自分の話とが絡み合いながら、楽しく、悲しく紹介していく。 かつては軍需工場が多くあった五反田付近の、戦争にまつわる話は、自分もよく知る場所だけに、リアルに感じられた。それも星野さんの技術なのだろう。
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家族で過ごした街、時代が自分と重なる部分が多く、タイトルに惹かれて読み出しました。 一二章は痛快、楽しく読み始めましたが、中間部分で小林多喜二、宮本百合子著作の解説部分が比重を占め、読み始め当初の期待と距離が出来てしまいました。しっかり見つめなくてはならない時代ですね、今でも当...
家族で過ごした街、時代が自分と重なる部分が多く、タイトルに惹かれて読み出しました。 一二章は痛快、楽しく読み始めましたが、中間部分で小林多喜二、宮本百合子著作の解説部分が比重を占め、読み始め当初の期待と距離が出来てしまいました。しっかり見つめなくてはならない時代ですね、今でも当時のままと思えるニュースが飛び交います。大事ですが、、気分が暗くなってしまいました。 とはいえ家族の歴史と地域、日本の現代史を熱く書き進められた著者のエネルギーは素晴らしいと感じました。
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タイトルから勝手に五反田のアンダーグラウンドの話とかサブカル系の本かと想像していたが、著者のファミリーストーリーから、戦前から戦後にかけての日本の、そして五反田界隈の人々の歩んだ苦しい道程が綴られた、日本人が読むべき一冊だった。
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最初は何の本かわからなかった。 東浩紀のゲンロンカフェのメンバーの一人である著者が、 自分の実家のある五反田について書いている本、、、 おじいちゃん子だったということで、いろんな記憶がある。 さらに、癌を患った祖父が書き残した自伝もあずかっている。 記憶と自伝をもとに、...
最初は何の本かわからなかった。 東浩紀のゲンロンカフェのメンバーの一人である著者が、 自分の実家のある五反田について書いている本、、、 おじいちゃん子だったということで、いろんな記憶がある。 さらに、癌を患った祖父が書き残した自伝もあずかっている。 記憶と自伝をもとに、五反田をめぐる旅、大河ドラマが始まる、 というところだろうか。 五反田、、大五反田と称しているが、 白金も含むそうだ。 白金、、、高校時代からの友が住んでいた。近所ってことか。 たびたび出てくる「清正公」という地名がそれを感じさせる。 記憶がある。 妹が著者と同い歳。なんだか親近感がわく。 話は五反田をきっかけに大きく展開する。 場所の割に家賃が安い。それは工場労働者の街だったから。 戦前の軍需工場。祖父の代から経営していた。 工場労働者、そこから話は小林多喜二に広がる。 さらに戦争。満州へ。 そして空襲。 3月の東京大空襲の後、5月にこの地域にも空襲があったとは 知らなかった。 しかも爆弾の量は東京の2倍。 しかし死者は少ない。 それは東京空襲の惨状を知って消火に当たらず逃げることを優先したから。 命よりも火を消すことが優先された3月の空襲。 戦争の、時の軍政の恐ろしさだ。 これはこの本を読んでの一番の驚きだった。 満州に多くの人が出向いたのは、火災予防で家が間引かれたから。 というのもすごい話だ。人権も何もない。 まあそれで大火を免れたわけだが、、、 そして焼け野原の後、土地の権利を泥棒する輩がいるという。 杭を打て!敗戦後は正義もなにもなかった。。 おじいさんの手記が立体的になる。 凄い本だ。
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