とんこつQ&A の商品レビュー
身近にいるかもしれないちょっとズレた人たちの短編集4作。 うそつきの依田正という男の子と、その同級生の姉弟の話「嘘の道」がお気に入りです。今まで生きてきて変な人は色々いたけど、付き合いが続いている人間は一人もいない。もしかしたら依田正みたいにいつの間にか消えてるのかも…とか思って...
身近にいるかもしれないちょっとズレた人たちの短編集4作。 うそつきの依田正という男の子と、その同級生の姉弟の話「嘘の道」がお気に入りです。今まで生きてきて変な人は色々いたけど、付き合いが続いている人間は一人もいない。もしかしたら依田正みたいにいつの間にか消えてるのかも…とか思ってしまった。いや向こうからしたら私が消えてる方なのかもしれないけど。 今村夏子ワールド全開で、この淡々と狂ってる感じが癖になる…なんでこんな設定で物語を作ろうと思ったのか、なんでそうなる…どういうことなの……で頭いっぱいになります。(過去の今村夏子作品の自分の感想見返したらほとんど「どういうことなの」って書いてて笑う)今村夏子さん、どんな人なんだろう…笑
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ちょっとドキリとする結末が待つ短編集。 現代のグリム童話というか、「あ〜わかる〜」という感じでのほほんと読み進めていると、段々と雲行きが怪しくなり、目を背けたくなるような、でもなんだか納得してしまう展開にドキドキさせられます。 登場人物だいたいみんな自分の行いが自分に返ってくる、...
ちょっとドキリとする結末が待つ短編集。 現代のグリム童話というか、「あ〜わかる〜」という感じでのほほんと読み進めていると、段々と雲行きが怪しくなり、目を背けたくなるような、でもなんだか納得してしまう展開にドキドキさせられます。 登場人物だいたいみんな自分の行いが自分に返ってくる、自業自得…のようなストーリー運びなのですが、著者に「でもあなたも言えた立場じゃないですよね?」と言われているような居心地の悪くなる感覚に何故か惹かれるから不思議です。 一方、心が元気でないときに読むと消耗してしまいそうだなと思いました。
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今村夏子さんのらしさが詰まった4編の短編。その中でも表題作『とんこつQ&A』が一番良かった。全体を流れる優しい空気感、コミカルな展開、店の名前の由来などの小技?も効いている。終始和やかに話が進みながらも最後はやはり怖い… 『嘘の道』はもう少し明確に怖い…正直に言えな...
今村夏子さんのらしさが詰まった4編の短編。その中でも表題作『とんこつQ&A』が一番良かった。全体を流れる優しい空気感、コミカルな展開、店の名前の由来などの小技?も効いている。終始和やかに話が進みながらも最後はやはり怖い… 『嘘の道』はもう少し明確に怖い…正直に言えなかった罪悪感に苛まれるのは、ちょっとした事なら誰しも経験がありそうで気持ちはわかる。一方で嘘はよくない、イジメ防止などそれぞれは正しく、誰もが善意で行動しているのに結果は狂った社会になっているという流れに『地獄への道は善意で舗装されている』という言葉を思い出す。 『良夫婦』はいつもとは少し違った表現か。みんな何かしらの言えない秘密を胸に表面的には善人として生きているのか。『冷たい大根の煮物』もありそうな状況。芝山さんは人のものと自分のものの概念が希薄なだけで悪い人ではないと信じたい…この2作は人を信じる事ができるか?との問いかけをされているよう。次回の長編はこの辺を突き詰めたものになるのかな?それはそれで楽しみ! いずれの話も今村夏子さん好きはもちろん、初めての今村夏な子作品としても楽しめると思います。
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短編集で読みやすかった。 微妙にズレた人達の、何気ない可笑しみのある日常と思いきや、狂気が垣間見えてくる。 「嘘の道」が、一番ゾワっとした。 集団心理と無意識な悪意はタチが悪い。消えていなくなるって、こんな顛末、怖いよ〜。
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むらさきのスカートの女以来2冊目です。 すっごいぶっ飛んでる人達かと思わせながら、どこか普通だと思ってる私たちに訴えかけられる話でした。 ゾワゾワします。
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とんこつっていうお店でもとんこつラーメンが売られているわけではない メモがないといっしゃいませも喋ることができなかったわたし メモでポケットがぱんぱんになったところや大将とぼっちゃんの狂い具合には笑った笑 ある日、新しい人が雇われるようになり、、 4篇を収録した短編集 純粋
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「とんこつ」という町の中華屋さんでの、店主、店主の息子、アルバイトの2人、の話。 主人公のアルバイト店員は、メモがないとお客さんと会話が出来ない。 そのメモが「とんこつQ&A」。 いらっしゃいませ、から、ありがとうございました、まで。全ての会話がメモに書かれている。。 その他、理解ができないゆえに嘘つき呼ばわりされる少年、思慮深く考えることが出来なくて事件を起こしてしまう主婦、、、少し背筋が寒くなるような、薄寒い感じの話の短編集。 きっとこのアルバイトの2人は、何かしらの知的障害があるのだろうと思う。 他の話に出てくる人達も、たぶん何かの障害があるのだと思う。 でもその障害は名前があるものもあると思うけど、そうでないものもあるような気がする。 知らないだけかもしれないけど。 それをどう受け止めるか、どう接するか、、、 正しい事ってなんだろう。 何が正解なんだろう。 ドキッとしつつも、ゾワゾワして、怖い話だった。
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なんて、へんてこりんな人たちなんだろう。4遍の短編集で、ふつうの人が1人もでてこない。ふつうなことを自然にやってたら、何だか浮いている人たちの生活。でもふつうってなんだ?私はふつうだろうか?近所の小学生からおかしなあだ名とか、つけられていないだろうか?不気味な話もあったけど、おか...
なんて、へんてこりんな人たちなんだろう。4遍の短編集で、ふつうの人が1人もでてこない。ふつうなことを自然にやってたら、何だか浮いている人たちの生活。でもふつうってなんだ?私はふつうだろうか?近所の小学生からおかしなあだ名とか、つけられていないだろうか?不気味な話もあったけど、おかしな一生懸命な仲間たちに思えて、愛しくなる。今村夏子さん、そんな人物を書くのが、とても上手だ。
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ホラー作品じゃないのに最終的にゾッとして変な読了感だけが残る系の。 最早誰が狂ってるのかわからなくなってくる今村ワールド全開で面白かった
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今村夏子初読。 タイトルが謎で手に取る。 途中までハートウォーミングなお話だと信じてちょっと感動までしながら読んでいたのに、だんだん雲行きが怪しくなる。全編どれも。 世渡りがあまり上手でない主人公が、半径1kmほどの小さな世界で、自分と他者の距離感に戸惑ったり見栄を張ったり傷...
今村夏子初読。 タイトルが謎で手に取る。 途中までハートウォーミングなお話だと信じてちょっと感動までしながら読んでいたのに、だんだん雲行きが怪しくなる。全編どれも。 世渡りがあまり上手でない主人公が、半径1kmほどの小さな世界で、自分と他者の距離感に戸惑ったり見栄を張ったり傷ついたりしながら、ようやく生きている様を描く。 それは私自身の鏡のようで、切なく思い入れた途端、彼らの中の姑息さや臆病ゆえの残忍さがチラリと覗き、ギクッとさせられる。 「自分がどういう人間だったかを」p173 まっすぐ指を差されるように突きつけられる。ある意味、ホラー小説なみに怖い。
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