とんこつQ&A の商品レビュー
待ってました、新作。 短編集だけど、全然物足りなくないのすごい。 短編集なのに、ちゃんと今村夏子。 とんこつQ&A というタイトルとか装丁から 勝手にほんわかを期待してた わてしでしたが ほんわかどころか ほわこわでしたわ! 全体を通して悪人はいない。 世界の大多数がそう...
待ってました、新作。 短編集だけど、全然物足りなくないのすごい。 短編集なのに、ちゃんと今村夏子。 とんこつQ&A というタイトルとか装丁から 勝手にほんわかを期待してた わてしでしたが ほんわかどころか ほわこわでしたわ! 全体を通して悪人はいない。 世界の大多数がそうなように いい人、時々嘘つく人 普通の人、時々壊れてる人 私もそれ、時々ずるい人。 そういう日常生活のちょっとした うっすらとした 罪悪感とかをえぐってくる…
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どの話もわかるようで、わからない、そしてじわじわとした余韻が、ある。 面白いか、面白くないかで言えば面白いのだけれど、概念的というか、後々の記憶には、あまりの残らなそうな印象。 とか言いつつ残りそうなきもする(どっちだろう)
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今村夏子にしか書けない狂気。 表題作【とんこつQ&A】は出てくる人物すべてが一生懸命で、可笑しくて、少しコワイ。 居場所を得た時、それを失う怖さと隣り合わせになったことがある。 だからその必死さに、共感するのかもしれない。 現実なのか、願望なのか、境目はどんどん分からなく...
今村夏子にしか書けない狂気。 表題作【とんこつQ&A】は出てくる人物すべてが一生懸命で、可笑しくて、少しコワイ。 居場所を得た時、それを失う怖さと隣り合わせになったことがある。 だからその必死さに、共感するのかもしれない。 現実なのか、願望なのか、境目はどんどん分からなくなる。このほのかな不気味さにページをめくる手が止められず一気読み。
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善人かと思っていたら何かの拍子にふと悪い方に転がってしまって悪事を働いていたみたいな。善も悪も紙一重、どっちにも転がる可能性はあるんだな。穏やかな語り口と少しブラックな要素の混ざり具合が面白い。
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オーディブルで聴いた。 面白かったけど、短編なので、もう終わり?という終わり方で、もっと続きが知りたいお話が多かった。 「とんこつQ&A」はくすっと笑ってしまった。
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これはアメトーーク読書芸人で誰かが紹介してて借りたもの。これもようやく順番が回ってきた。ほんとタイトルが秀逸だよな。ついつい読みたくなるというか、興味をそそられる。4編収録。こういう純文学系も短編集というのか?表題作は面白かった。坊ちゃんがかわいすぎる。挨拶もできなかったのに、メモを読むことで喋れるというのは、そんなことあるんだろうかと思うけど、まぁ小説だし、いろんな人が世の中にはいるのだ。『嘘の道』は最後が恐ろしいけど、嘘を言ったといじめられるかもしれないという恐怖はよく分かる。次の『良夫婦』も基本的には同じ感じ。良い人かと思っていたら、最低人間であると。いや、私も最低人間だから人のことは言えない。ほんと、自分が最低人間なのをついつい忘れちゃうんだよな。いざトラブルが起こらないと。タム君はその後どうしたんだろう。最後の『冷たい大根の煮物』はほんの短いお話だった。お金を借りて逃げちゃうってどういう気持ちなんだろうなぁ。
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はじめて今村夏子さんの話を読んだ。他のも読もう、と思わされる一冊でした。 短くてスルスル読める。ものすごい悪人も出てこない。読後感も軽い。でも主人公たちの選択に、些細な言動に違和感があってザワザワと嫌な予感がする。えっ、いいの…?となる。 でも本人たちは良いらしいから、多分こんなに空気が軽やか。 「とんこつQ&A」 不器用でいらっしゃいませも言えない今川さんが、中華料理店の親子のところでバイトをはじめる。読めば大丈夫、と気付いた今川さんはQ&Aの想定問答集を作る。そして大将と坊ちゃんのおかげで、ついにメモ無しで接客ができて笑ってしまう。…ここまでは朝ドラのようで、すごく穏やかだった。でも新しいバイトの人が入ってからどんどんおかしなことになっていく。 みんな気持ち悪いんですよね。坊ちゃんはまぁ…うーん…小学生だからセーフ?大将もまぁ…セーフ。大阪弁で「読む」ことしかできない丘崎さんもセーフ。あれ?セーフ?いや大将はアウト。関西弁を強制するな。大人だろ。でも今川さんはおかみさんを作り上げ、Q&Aを作り上げ、とっても幸せそう。どこからか夢だったのかな。採用されて一週間後ぐらいのところでクビになって全部夢だったのかも。 「嘘の道」 何もかもの犯人にされる与田正と、与田正と呼び捨てにする主人公たちの父母と、手のひらくるくるの同級生たち。 もしかしたら自分の中にもありえるかもしれない何か。 「良夫婦」 タムという少年の世話を焼く奥さんと、その良い夫の話。奥さんの思い込みとぐいぐいいくところに、嫌な予感が募っていく。 後半、タムがサクランボの木から落ちた後の夫の手際の良さ。妻を守るためで、確かに良い夫なんだけど、いや良い夫ですよ。何があっても妻の味方をする。二人はタムが落ちた時のヒヤッとしたことを忘れるし、仲良しの夫婦の会話を続ける。こわ…こわいな〜〜 悪人ではないけど怖い 「冷たい大根の煮物」 図々しいオバちゃんが主人公のアパートで料理を作り、金を借り、仕事を辞める。 絶対このオバちゃん関わらない方がいいのに、何故だか最後、主人公は自炊をはじめてる。前向きになってる。から…いいのか…な??
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この奇妙な世界観、本当にクセになる。ギリありえる不気味さ。 こういう変な人たちに関わってしまうことってあるよな~と。 「嘘の道」と「良夫婦」が特に好き。
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ラーメン屋で働き始めた今川は、真面目だけど不器用なあまり店で何もしゃべれない。ある日、メモを読むことならできると気が付く。「らっしゃい」から注文取りまで、すべてメモを読みあげながら仕事をするようになる。 後から入ったパートの丘崎も不器用だが、亡くなった店のおかみさんに似ているというアドバンテージを持つ彼女に、今川は対抗意識を燃やす。かと思えば、従業員としての役割を固定されてしまうと一転、嬉々として何年もそれに従い続ける。 この今川の態度は社会に対する鋭い風刺のようにも思える。自分で考えず、与えられた立場にふさわしいセリフが与えられないと安心してふるまえない。店主やその息子、ぼっちゃんのけっこう歪んだ価値観に疑いもなく自分を合わせようとする。感情はあるが思考停止なのだ。 今村夏子の小説は、「むらさきのスカートの女」のように語り手でもある主人公が少しずつ常軌を逸していくところが怖いのだけど、その異常性が自分のすぐ近くに存在していそうな気がするのがまた怖い。 表題作のほか、「嘘の道」「良夫婦」「冷たい大根の煮物」の4編。どこにでも居そうな人たちがとても不穏で今っぽくて、つげ義春的なじわじわ来る怖さがある。
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