とんこつQ&A の商品レビュー
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4編の短編集。 どれも人間の嫌な負の部分を描いている。しかもそれを本人が自覚していないようだから厄介で、他人に良しとしてやったことが裏目に出たり、自分の行動や考えが普通だと思っているからややこしくなったりと、私自身や身近な人に置き換えても「こういうところあるな」と思うような人ばかり。多分、今村さんの作品を最後まで読んだのは初めてだと思う。人間の中に潜む狂気を描くのが得意な方たのかな?特に表題作の狂気の沙汰がすごくてゾクゾクしてきた。
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今村さんの約2年半振りの作品集。4篇の短篇が収録されている。 どれも今村さんらしいちょっとおかしな空気感が漂うが、一番のお薦めはやはり表題作の「とんこつQ&A」である。“とんこつ”といえばあれだが、“Q&A”とはなんだろう? こちらの意表を突く展開と、実におかしな...
今村さんの約2年半振りの作品集。4篇の短篇が収録されている。 どれも今村さんらしいちょっとおかしな空気感が漂うが、一番のお薦めはやはり表題作の「とんこつQ&A」である。“とんこつ”といえばあれだが、“Q&A”とはなんだろう? こちらの意表を突く展開と、実におかしな登場人物たちが織り成す摩訶不思議な世界を堪能した。でも、妙に納得できてしまうのがすごいな。
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4作品の短編からなる作品。 やっぱり今村夏子さんの作品はもれなく面白かった。なんなんだいったい。表紙も可愛いすぎ。 とんこつQ&A 「とんこつ」という名前の中華料理店で働きだしたわたしと、その店主の大将と大将の息子、後に入ってくるバイトの『丘崎たま美』の4人からなる、と...
4作品の短編からなる作品。 やっぱり今村夏子さんの作品はもれなく面白かった。なんなんだいったい。表紙も可愛いすぎ。 とんこつQ&A 「とんこつ」という名前の中華料理店で働きだしたわたしと、その店主の大将と大将の息子、後に入ってくるバイトの『丘崎たま美』の4人からなる、とんこつでの日常を描く。誰がずれてる人なのか是非味わってみて下さい。そんなことある?どんだけ?(笑)ってツッコミどころ満載。 嘘の道 主にオオカミ少年ばりに「嘘つき」とみなされるようになった与田正と、同じクラスだった姉、弟の僕からなる昔の思い出。思い出なんて書いたら甘酸っぱそうだが、もちろんそんなはずもなくヒヤッとさせられる。 良夫婦 タムと呼ぶ小学生の少年と、タムが通う小学校から徒歩25分のところに住む土橋友加里とその夫からなるお話。良かれと思ってやったことがどんどん歪な形になって崩れていく。タムの自由奔放さに、図々しさに子供ってあるよね、こんなとこ。とあるあるを思いながら読んだ。良夫婦とのタイトルですが実際は…? 冷たい大根の煮物 主にプラスチック部品工場で働く木野と、同じ工場だが違う部署で働く芝山さんからなるお話。芝山さんは果たして良い人なのか、悪意ある人なのか。色んな捉え方で楽しめる物語。私は、木野を利用するだけ利用してポイ捨てした女と感じたけど(笑)ラストを読むとそうとばかりも言えない余韻があって、好きだった。 余談ですが、私の大好きな「こちらあみ子」が田舎すぎて(?)上映されてなくて悲しすぎる… 面白いですか?ですよね、きっと。観たいよー。
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「むらさきのスカートのおんな」を読んで、 今村夏子さんの本を読みたいなぁと 思ってたら運良く図書館で出会いました。 読みだすと、どの短編も 先が気になってやめられない...。 どの物語も...。 こんな人いるのかなぁと 物語として楽しみつつも...。 私だって誰だって、 何...
「むらさきのスカートのおんな」を読んで、 今村夏子さんの本を読みたいなぁと 思ってたら運良く図書館で出会いました。 読みだすと、どの短編も 先が気になってやめられない...。 どの物語も...。 こんな人いるのかなぁと 物語として楽しみつつも...。 私だって誰だって、 何かのタイミングがズレれば ありうる世界だと感じてしまう。 だから読んだ後に、 心にずんってくるのかなぁ。 今村夏子さんの小説は、 その紙一重なとこをついてくるなぁと 私的に感じてます。 やみつきになるなぁ。
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今村夏子ワールド全開の短編集で、私にとっては、久しぶりの著者の作品でした。どこか暗くなる気持ちになってしまうのだが、どこか秀逸で、とても 自分と共感してしまう所もあるなと錯覚してしまう 作品が多かったです。表題作の「とんこつQ&A」 中華料理店とんこつで、働き始めた今川さんが、新...
今村夏子ワールド全開の短編集で、私にとっては、久しぶりの著者の作品でした。どこか暗くなる気持ちになってしまうのだが、どこか秀逸で、とても 自分と共感してしまう所もあるなと錯覚してしまう 作品が多かったです。表題作の「とんこつQ&A」 中華料理店とんこつで、働き始めた今川さんが、新たに自分の居場所を見つけたと感じて、働くのだが、新たな従業員が入ってきた瞬間から、世界が変わってきた。今村さんの狂気の部分が、終盤から出てくるので、とても読んでて、ゾクゾクしました。
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とんこつQ&A 丘崎さんに嫉妬するあたりまではなんとなく予想がつくというか自然な流れだけど、その後の展開に驚いた。 役割がはっきりしたらそれに馴染んでいくって感じ? 嘘の道 ぼんかたのサライのコーナーっぽい 良夫婦 これが1番怖い 妻もアレだけど、冷静な夫の方が怖い 冷たい大根の煮物 芝山さん、親切なのか狡猾なのかよくわかんない感じが面白い
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とんこつQ&Aが1番好きだった。最初はほっこりする話かと思いきや、今村夏子ワールド炸裂。 悪意がない奇妙な人を描くのがうますぎる
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いつものように不思議で怖くて、あたたかい。この感じ、何かと似てると思っていたら、木皿泉だと気づいた。
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気味が悪いという言葉がしっくりくる短編集。QAでしかしゃべれないとんこつは発想が面白くて好きだったし、どの話も変わってて良かった。その中でも良夫婦が1番好きだった。嘘はバレないこともあるけど、ずっと心に引っかかってしまったり、後悔したりするのは辛い。自分を守るためだけの嘘はつきたくないし、取り返しがつかなくなる前に謝ったほうがいい。仕事でのミスを自分でバレずになんとかしようとして、余計に大事になってしまったことを思い出した。慌てると良くない。守ってくれる人がいるのを羨ましく思う反面、秘密の共有はトラブルの元で、もしこの後話が続くのならハッピーエンドにはならなそうだと思った。
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タイトルが変わってるなぁと思い、どんな意味なのか内容も想像できないところが興味を惹いた。表題作でその謎が解けてなるほどと思ったあたりから、徐々にヒヤリと背中が寒くなってくる感覚が止まらない。 自分の気のせいかなと思うくらいの予感をほんの少しずつ摂取して、微かに、でも着実に、気づいた時には戻れないところまで来てしまっている。登場人物たちの身に起こったことの経緯や感情の変化を思い返しても、私はこうならない・自分は違うなんてことが言い切れない…そんな体験をした4編だった。 静かな何気ない日常に潜む、癖になるゾワッと感が刺激的。 もうこれは絶対に事前の情報無しに読んでもらいたい本だと思った。
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