掬えば手には の商品レビュー
************************************************ 梨木匠には、人の心が読める力があった。 その力で中学校時代不登校の生徒を救ったり、 友達を助けたり励ましたりと信頼を得てきた。 口の悪い店長のいるバイト先に新しく入ってきた、 常盤...
************************************************ 梨木匠には、人の心が読める力があった。 その力で中学校時代不登校の生徒を救ったり、 友達を助けたり励ましたりと信頼を得てきた。 口の悪い店長のいるバイト先に新しく入ってきた、 常盤さんから誰かの声が発せられていると気付く。 何か秘密を抱えているような彼女が気になる梨木。 そしてまた、そんな梨木にもずっと悩みがあった。 人の心を読んで、寄り添い、関わり合いながら、 自分の存在価値、存在意義を見出してゆく物語。 ************************************************ かなりの高評価を得ているこの作品ですが、 ごめんなさい、私にはいまいちピンと来ず。 というのも、少々ファンタジー要素が入っていて、 私がどうしてもあまり得意ではない分野だった為。 そのファンタジー要素がなくとも、主人公梨木は、 十分に魅力的なのになと思ったので、そこは残念。 実は不思議な出来事も本人が作り上げていたもの、 というようなリアリティーある展開なら良かった。 とはいえ、登場人物全員の人柄が温かくて素敵で、 梨木のお人好しさ、店長の不器用過ぎる振る舞い、 それぞれとの絶妙な関係性とその距離感の詰め方、 穏やかな優しさに溢れていて始終安心して読めた。 梨木と店長のやりとりは面白くて微笑ましい。 梨木とじゃなきゃこんな店長は絶対お断りだ。笑 誰かとの違いに胸を痛め、人と比べて頭を悩ませ、 自分にも何か特別なことが出来るのではないかと 常に模索しては自分を卑下してしまいがちだけど、 自分にしか出来ないことがある、 それはどんなに些細なことでも誰かを救っている、 かもしれない、と、思わせてくれる物語だった。 「迷いもなく声を掛けられることは特殊能力だよ」 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 個人的に、この設定は、いくえみ綾作品等で 散々出尽くしているのになと思ってしまった。 塞ぎがちな女性の新人バイト、の時点で、 抱え込んでいた事情が分かってしまった。 推理小説ではないから別に良いのだけど。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------
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才能や後悔に悩むキャラ達がオムライス屋で織り成すハートフルストーリー。 少しファンタジー的な要素がある不思議な話。だけど中身はしっかりと現実味を帯びていて、人間関係を考えさせられる。なんといってもタイトル回収が美しく、読破感がよい。よかった。
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ほんわかとする心温まる本 困っていることを汲み取ってくれて、声をかけてくれる人がいたらどんなに救われるだろう。 こんな風に誰もが温かい心を持って、人に接する社会になって欲しい。だなんて考えすぎですね。
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※このレビューにはネタバレを含みます
人を救うことは難しいことだけど、人を掬うことは実は簡単にできるのかもしれない。 主人公の梨木匠くんは人からふとこぼれ落ちた感情が、深く手の届かない地に着く前に拾い、掬うことができる。 まとめると、人の心が読めて人に寄り添うことができる人。 まっすぐに人と向き合い、相手が求めていたであろう言葉をさっと言ってのけることができる。 人を守る。助ける。救う。そう考えると難しいような気がしてしまう。 だけど、人の感情を掬う。拾う。寄り添う。それは簡単なことなのかもしれない。 何気なく口にした言葉で人を傷つけてしまうことと同じで、何気なく口にした言葉や自分の行動で人を掬うことだってできる。 落ち込んでいた香山くんに声をかけたように、河野さんが初めて教室に入った時、梨木くんがTシャツを見せたように、大竹さんと常盤さんに寄り添い続けたように。 少し光に照らされるくらいがちょうどいい。 後は自分の力で前に進んでいく。 タイトルの「掬えば手には」とはこういうことではないかと思った。 そんな梨木くんのまっすぐさ、勇気、人を想う心が梨木くんに関わる人達を暖かく照らしていた。 彼は人が良過ぎるのではないかと、読み進めながら少し心配にも思った。 誰にでもできることが普通なのか、普通ではないのかそれは本人の捉え方次第だと思う。 誰にでもできることをするのが難しい人だっている。その人にとったら、普通のことではないし、羨ましいことかもしれない。 普通とは多数派の人が声を大にして言っているだけ。普通にいいも、悪いもないと思う。 自分と向き合うのは、自分を1個人で見ることが大切だと思う。 自分は他とは違う1人の人間だと。 最後に常盤さんは行ってしまった。 でも常盤さんを掬えば自分の手には光が残った。(最終ページ14行目) その光がいつか普通であることに、嫌気がさしていた自分に対しての自信へと変わるのだろう。 初回限定の別冊子のアフターデイも拝読。 後日談として、物語の最後に載せていて欲しかった。 そのくらい彼ら彼女らの今後が気になる終わり方だった。 少も、常盤さんは元アルバイト先のNONNAを「居心地のいい店でした」と口コミしていたことがよかった。 元気でなんとかやっていると分かった瞬間だった。 そして登場人物たちの今後が、明るいものでありますようにと願わずにはいられない。 そんなお話しだった。
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人の事をよくみて寄り添って行動できる、素敵な人の話。主人公の梨木君はきっと透明感のあるキラキラした人だろうと勝手に思った。
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【内容】 主人公の梨木匠は芸術一家に生まれながら自分だけ平凡で普通なことがコンプレックスだったが、中3の時に人の心が読める特殊能力に気付く。 その力を発揮することで、自分の存在意義を確かめるようになった匠だが、大学生になって始めたバイト先で、心を閉ざし心が全く読めない常盤さんと出...
【内容】 主人公の梨木匠は芸術一家に生まれながら自分だけ平凡で普通なことがコンプレックスだったが、中3の時に人の心が読める特殊能力に気付く。 その力を発揮することで、自分の存在意義を確かめるようになった匠だが、大学生になって始めたバイト先で、心を閉ざし心が全く読めない常盤さんと出会う。 はたして彼女が抱えている辛い過去とは・・・ 【感想】 大学生の梨木くんと、バイト先の口の悪い店長大竹さん。そしてキャンパスライフを共にする友人達との付き合いから、主人公の過去や人間関係が見えて来るという展開がスムーズで、とても読み易くて心地よい。 普通で平凡でいることに悩む梨木くん。 なんて贅沢な悩みだろうとあまり共感は出来なかったが、彼の相手の気持ちを汲もうとする姿勢は常に温かくて優しい気持ちになれた。 自分が何者か分からなくて、でも何者かになりたくて、訳もなく苛立ったり不安定になる思春期らしい悩みだなぁと感じながら、大学生になっても自分の特殊能力?を信じている梨木くんはそれだけで十分特殊だとも思う。 物語では語られなかったが、普通で平凡であることがどれ程に素晴らしいのか、彼の心の呪縛が解ける日は来るのかなぁと心配になった。いつも会える河野さんなら、きっと直ぐに解決してくれると思うが・・・ バイト先では、梨木くんと接するにつれ、店長の大竹さんが徐々に変化していく様子が微笑ましい。口の悪い人って確かにいるけど、案外心は温かかったりする。自分でそのことに気付いている場合なんて、不器用で人間くさくて憎めなかったりもする。それに気付いて一歩入り込む梨木くんの存在のように、キッカケさえあれば変わることも出来るんだと思う。 一方、常盤さんについては梨木くんの言動はちょっと行き過ぎ感が否めなかった。 よく嫌がられなかったものだ。 私なら帰り道一緒にならなくて済むよう奮闘するに違いない。笑 身近な人の心を読んで、場をスムーズにおさめる力を持つ梨木くんは、瀬尾まいこさんが作る優しくて温かい物語にはぴったりの主人公だった。 常盤さんの過去の秘密については、彼女自身が向き合う必要があった秋音ちゃんに、梨木くんが耳を傾けたことが、一歩前進するキッカケになったようで救いは感じられた。 でもこの秘められた現実があまりにも辛過ぎる上に、常盤さんの心理描写も無かったので、何だかすっきりしなかった。 唯一語られた、常盤さんが大竹店長のオムライスのお店をバイト先に選んだ理由・・・ これには目頭が熱くなった。 ただ、ラストもそのままふわっと纏まってしまったのでモヤモヤ感が残ってしまった。 河野さんや香山くんや大竹店長に対する梨木くんの能力は、特別なものではなくて、きっと誰でも持っている能力だと思う。 梨木くんのように、その力を自分で認めている人は少ないけれど、多かれ少なかれ人と関わりながら生きている中で、誰しも人の心を汲むことは自然にやっているだろう。 でも秋音ちゃんの声は??これだけは確かにエスパーと呼べるのかもしれない。 うーん、これらを全て同類として物語が進むことに違和感を感じてしまう。 これって私だけだろうか・・・ 細部に拘らなければ、温かく優しい気持ちで読める素敵な作品だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
瀬尾さんの書く小説は優しい人しか出てこない。 心がほんのり温かくなった。 でもやっぱり私からは棘も生える。笑 何度となく褒めらる主人公が永遠にそれを否定し続けてるとこ。 それって相手がいいと思ってくれたものを相手ごと否定することにならないか? そこがずっと気になっていたのでした。
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人が思っていることが読み取れる少年と、心閉ざした少女、そして口が悪い店長のお話。少年は家族の中で自分だけ普通であることに悩み、大学から一人暮らし。その大学生活の中でのお話。最初はどうかな?と思っていましたが、後半はぐいぐい読めました。初版だけなのかな?アフタートークみたいなのがつ...
人が思っていることが読み取れる少年と、心閉ざした少女、そして口が悪い店長のお話。少年は家族の中で自分だけ普通であることに悩み、大学から一人暮らし。その大学生活の中でのお話。最初はどうかな?と思っていましたが、後半はぐいぐい読めました。初版だけなのかな?アフタートークみたいなのがついていて、それも楽しかったです。
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瀬尾まいこさんの本が大好きで 読んだことなかったので詠みました! 今までにないすこしファンタジー気味の お話でした。 たしかに 人間なにか特別な力が欲しい と思っている部分はあるよなと思ったりしました。 個人的には大竹さんの人柄が好きでした。 口は悪いけど だんだんと態度が変...
瀬尾まいこさんの本が大好きで 読んだことなかったので詠みました! 今までにないすこしファンタジー気味の お話でした。 たしかに 人間なにか特別な力が欲しい と思っている部分はあるよなと思ったりしました。 個人的には大竹さんの人柄が好きでした。 口は悪いけど だんだんと態度が変わっていく様子がみえてよかったです♩ 初回限定についているおまけのお話が とても好きでした!
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学生としてこの本に出会えてたらきっと現在より入り込めただろうなと思った。 大竹さんの存在がいいかんじにスパイス効いてた。
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