読書会という幸福 の商品レビュー
この本を読んだら、読書会を体験してみたくなっちゃいますよね〜。 他の仲間と読むことで、自分1人では気づかなかった視点を得られたり、自分の中で必ずしも十分に形成されていない思いが、他の仲間の話を聞くうちに化学反応が起きて具体的に表現出来るようになるという体験について、著者が自らの...
この本を読んだら、読書会を体験してみたくなっちゃいますよね〜。 他の仲間と読むことで、自分1人では気づかなかった視点を得られたり、自分の中で必ずしも十分に形成されていない思いが、他の仲間の話を聞くうちに化学反応が起きて具体的に表現出来るようになるという体験について、著者が自らの経験を通して語ってくれる静かで熱い内容。 早速、会社近くの本屋さん主催の読書会に登録して先日第一回目がありました。ドキドキでしたが、1つの共通した課題本が皆の拠り処。
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946 向井和美 翻訳家。東京都内の私立中高一貫校の図書館司書。早稲田大学第一文学部卒業 大学生のころ、わたしは「禅寺の修行僧」や「教会の修道女」的なるものに強く憧れていた。 将来への希望がほとんど見いだせず、人と接するのが苦手で、自分の内側をさらけだすことが できないため友...
946 向井和美 翻訳家。東京都内の私立中高一貫校の図書館司書。早稲田大学第一文学部卒業 大学生のころ、わたしは「禅寺の修行僧」や「教会の修道女」的なるものに強く憧れていた。 将来への希望がほとんど見いだせず、人と接するのが苦手で、自分の内側をさらけだすことが できないため友人を作る気にもなれず、哲学や宗教にばかり関心を抱いていた。当時は新興宗 教がさかんで、大学構内でも宗教の勧誘をしている人たちがたくさんいた。一歩間違えば、わ たしもその種の宗教に入信していたかもしれない。周囲にはテニスに夢中になったりスポーツ カーを乗りまわしたりしている学生が多かったなか、宗教へと傾倒していった人たちは、むし 1ろ人生について真剣に考え、悩んでいる人たちだったに違いない。少なくとも、わたしはそう いう姿勢に共感を抱いていた。しかし、彼らが求めていたのは新興宗教だったのだろうか。は たして、彼らはほんとうに宗教を必要としていたのだろうか。もしかしたら、浮わついた時代 に逆らうように、深く話し合える場を求めていたのではないのか。今にして思えば、あのころ 身近に読書会のようなものがあればどれほど救われただろう。自分のなかに鬱屈する思いを言 語化し、吐きだす場が、わたしにも彼らにも必要だったのだ。 当時のわたしには「本を読むこと」と「人生について語り合うこと」が結 せなかった。小さいころから読書にのめりこんではいたものの、それはか がみへと内向していく読みかたでしかなかったからだ。いや、人とつながること自生 あのころのわたしには、もしかしたら読書会という語り合いの場は、まだも もしれない。人生の経験を重ね、数々の挫折も乗りこえ大人になった今 とうの意味で「本をとおして人とつながる」喜びを味わえているのかもしれない のうちに深く掘り進んでいたことは、そのあと横へとつながっていくために必要を だったのだと今は思える。 そしてもうひとつ。メンバー同士、互いの生活に立ち入りすぎないことも大事だ。本だけを 接点につながっている関係は実に心地がよいものだ。 本を読もうとしても、全体像が把握できないため、なかなか物語に入りこめずに苛立ったり、 登場人物たちの名前や人間関係が覚えられなくて挫折しかけたりした経験はだれしもあるだろ う。そんなとき、ひとりだったら放りだしてしまうかもしれない。しかし、なにがなんでも来 月までに読んでいかねばと思うと、不思議なことに、つらいページも乗りきれる。いつかは読 もうと積読にしていた長編小説も、読書会の課題にしてしまえば、もう読めたも同然である。みんなが伴走してくれるからだ。 二つ目の利点は、日常生活ではまず口にしない話題でも、文学をとおしてなら語り合えると いうことだ。とりわけ、生や死や心の問題についてだれかと話したいけれど、周囲にそんな場 所をみつけられないわたしにとって、読書会は魂の交流の場でもある。 四つ目の利点は、同じ本を読んできた参加者から、さまざまな意見を聞けること。自分では 思いもよらなかった視点を与えてもらえるのは、読書会の大きな魅力のひとつだ。 カミュは、どこまでも魅力的で 動くして父を戦争でなくし、極貧の少年時代を送る。家庭には本など一瞬 読めないし、家族の会話もない。小学校で出会った教師に才能を認められ、特 業をしてもらったおかげで進学に道が開かれる。ノーベル賞受賞時のスピーチでこの教師への 感謝を述べたのは感動的である。「受賞の知らせを聞いて私は母のこと、それから、ジェルマ ン先生のことを思いました。いまでも私は先生に感謝する小さな生徒です」。
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最後まで読み切れてはいないが、読書会という場を通じての人の交流、知らない本との出会いの素晴らしさは私も日々実感している。 今は幼子を抱えながら、同じ立場のママとのビジネス書を中心としたオンライン読書会ばかりだが、そのうち、ライフワークの1つとなるくらいいろいろ広めていきたい
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新聞の書評を読んで興味がわき手に取った新書です。 冒頭、「わたしの両親は、けんかばかりしている夫婦だった…..」から始まり「わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは…..」という文章を読んで、この本はどんな展開になるのだろうと少し心配になってしまいました。 でも、読み進めると...
新聞の書評を読んで興味がわき手に取った新書です。 冒頭、「わたしの両親は、けんかばかりしている夫婦だった…..」から始まり「わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは…..」という文章を読んで、この本はどんな展開になるのだろうと少し心配になってしまいました。 でも、読み進めると好感を持てるようになりました。著者の30年に及ぶ読書会での活動や、本をとおして人とつながる熱い想いが、丁寧に語られています。また、翻訳家である著者が翻訳家視点での読書を語る部分は、今まで気づかなかったことを教えもらい、新鮮な気持ちで読みました。 本書は古典文学を中心に、200冊近くの本を取り上げています。読んだことがない作品が大半です。全部読みたくなりますが、無理かな?
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学校図書館の司書でもあり、翻訳家でもある著者が、それらの視点も含めながら読書会について語るエッセイ。読書会を主宰する上でのコツから実際の読書会記録・ルポ、本の感想など内容は多岐にわたる。 翻訳の師匠から読みやすい日本語表現を学んだという話があったが、たしかに全編通して読みやすく、...
学校図書館の司書でもあり、翻訳家でもある著者が、それらの視点も含めながら読書会について語るエッセイ。読書会を主宰する上でのコツから実際の読書会記録・ルポ、本の感想など内容は多岐にわたる。 翻訳の師匠から読みやすい日本語表現を学んだという話があったが、たしかに全編通して読みやすく、美しい文章。 読書会に参加してみたい、読んだ本について人と語り合いたくなった。
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読書は一人で楽しんでもOKです。でも他の読者と話し合うと、文学を通して深い人生の話もできる。読書会に行くのが恥ずかしい・緊張する・ハードルが高いと思ている自分も感想を共有したくなった。
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読書会の魅力を語るエッセイ。普段行っている読書会を始め、さまざまな形式の読書会について紹介している。 本書のテーマは「本を語ることは人生を語ること」。読書し終わってまとまり切らない半熟状態な思いを読書会という場で語り合うことで、自身の考えが整理されたり、思いもよらない視点に出会...
読書会の魅力を語るエッセイ。普段行っている読書会を始め、さまざまな形式の読書会について紹介している。 本書のテーマは「本を語ることは人生を語ること」。読書し終わってまとまり切らない半熟状態な思いを読書会という場で語り合うことで、自身の考えが整理されたり、思いもよらない視点に出会えたりする。また、意見を聞いて言いたいことが湧き上がり、自身の体験も交えて話したくなってくる。そうして、思いは形となり、知っている人/初めての人と繋がりができていく。 1人で読書するのもいいけど、読書会に参加して語り合う読書も他にはない魅力があることを教えてくれる。
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長年読書会に参加してきた翻訳者である筆者によるエッセイ。作品論あり、読書論、読書会論ありの、多彩な内容となっていて飽きさせない。チョイスされている本は、ともすれば「高尚」と揶揄されかねないような、文学畑の本たちです。本を通じて人とつながること、本を通じれば、人と繋がり合うことがで...
長年読書会に参加してきた翻訳者である筆者によるエッセイ。作品論あり、読書論、読書会論ありの、多彩な内容となっていて飽きさせない。チョイスされている本は、ともすれば「高尚」と揶揄されかねないような、文学畑の本たちです。本を通じて人とつながること、本を通じれば、人と繋がり合うことができる幸せが、存分に語られている。
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1.この本を一言で表すと? 読書会の意義と魅力をまとめた本。 2.よかった点を3~5つ ・「本を通して人とつながる」喜びを味わえているのかもしれない。(p6) →読書会の魅力の一つだと思う。 ・司書として主催する(p46) →主催者としての苦労が書かれていて共感できた。中学...
1.この本を一言で表すと? 読書会の意義と魅力をまとめた本。 2.よかった点を3~5つ ・「本を通して人とつながる」喜びを味わえているのかもしれない。(p6) →読書会の魅力の一つだと思う。 ・司書として主催する(p46) →主催者としての苦労が書かれていて共感できた。中学高校の生徒を対象とした読書会ならではの難しさがあると感じた。 ・読書会を成功させるためのヒント⑥話し合いの内容を記録しておく(p192) →報告書をまとめて参加者に共有するのは読書会を継続して行くためのいいアイディアかと思った。 2.参考にならなかった所(つっこみ所) ・思いがけない効用を(p12)は読書会経験者としてほぼ既に知っている内容であった。 ・Ⅵ翻訳家の視点から(p136) →文章を書くための役に立つ情報は書かれていたのは良いが、読書会について関係があるだろうか? ・文学を語ることは私たち自身の人生を語ることなのだから。(p199) →このこと自体は否定をしないが、ビジネス書を語ることも人生を語ることにはならないだろうか? 3.実践してみようとおもうこと ・文学作品をもっと読むべきと思った。 4.議論したいこと ・文学作品の読書会に参加したことはあるか?ビジネス書の読書会との違いはあるか? 5.全体の感想・その他 ・著者があとがきで述べているようにこの本は良くも悪くも中身が内向きである。 ・本の中盤の文学作品の読書会の感想を述べている部分では、著者の読書会の感想を述べているだけだと思っていたが、あとがきを読んでこのセクションの意義がわかった。
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読書会、高校以来参加していない。コロナの影響もあって外出しないでいたら、不意に読書会に参加したくなった。オンライン読書会も花盛りだし、じゃあこんな案内書読んでいるより、ぱっと参加しちゃえばいいのに。ところが、開催時間には、たいてい家族がいる。夕食の遅い我が家では、みんなが集まりだ...
読書会、高校以来参加していない。コロナの影響もあって外出しないでいたら、不意に読書会に参加したくなった。オンライン読書会も花盛りだし、じゃあこんな案内書読んでいるより、ぱっと参加しちゃえばいいのに。ところが、開催時間には、たいてい家族がいる。夕食の遅い我が家では、みんなが集まりだす頃、夕餉を取り、やっとお風呂に入る。参加はなかなか厳しそうな塩梅である。 それならば、いっそ自分で何かできないかと暗中模索の今。この本が気になって読んでみた。読書会の豊穣さ、楽しさも、本当にたっぷり語られている。紙上読書会さながら、著者様にとって、一人で読む時間も楽しく、他人様と読む時間も楽しいことがよくわかる。特に、長編、海外の翻訳作品との向き合い方などは、本当に参考になる。巻末の読了リストもコピーしておきたい。個人で読んでも集団で読んでも、読み応えはあるだろう。 しかしながら、私はきっと、この本を読む事は、多分もうない。著者様の『何か』が、決定的に合わないのだ。お仕事ぶりは立派なのであろうし、実際この本も内容は魅力的。だから星4なのだけれど…。失礼ながら、 「それは言わずにいらしたら良かったのに…。」 と思う部分があって、気に障った。御本人に責があることというより、私と合わないだけ。読書会の詳細や、長編の海外文学と向き合った読書記録としては、どなたにもおすすめできる良書である。 やっぱり一人で読もうか。読書会、なんとかしてみるか。悩ましいところであった。
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