沈みかけの船より、愛をこめて の商品レビュー
中田永一であり山白朝子である乙一のひとり短編集。 青春とホラーとSFとミステリーと切なさを全部混ぜられるの、天才だ。 そこにさらに時事ネタ(社会問題)も混ぜられるとは…。恐れ入りました。さすがすぎる。 個人的にはやっぱり「地球に磔にされた男」が一番好きかな。いわば「エブリシング...
中田永一であり山白朝子である乙一のひとり短編集。 青春とホラーとSFとミステリーと切なさを全部混ぜられるの、天才だ。 そこにさらに時事ネタ(社会問題)も混ぜられるとは…。恐れ入りました。さすがすぎる。 個人的にはやっぱり「地球に磔にされた男」が一番好きかな。いわば「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(映画)」の「全ての次元で最も最悪な私」が主人公となり、最も良い暮らしをしてる自分を探す旅に出る。ラスト、あるテーマを混ぜてきて切なくもあるしあたたかくもある。本当に皆、あのとき何ができるか考えていたんだな。 唯一気になるのは、タイトルがちょっとださいこと(笑) 表題作の「沈みかけの船より、愛を込めて」も乙一ど真ん中という感じで良かった。子どもを主人公にしたときの語り口の素朴さがすごく良い。
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乙一さんのひとりアンソロジー パン、買ってこい パシリは良くない。けど後味が悪い話ではない。 元陸上部の入間君は主人公の走りが日に日に上達するのを見て何か思うことはあったのか、無かったのか。お昼に焼きたてパン食べれるっていいな 地球に磔にされた男 SF パラレルワールド?の話 元の世界に戻ることが幸せと思って読んでいたけど、予想していたのとは違う結末だった。主人公が大切にしたい存在ができてよかった。 二つの顔と表面 これぞ乙一作品!ミステリー、友情とまで言い切れない関係、人間ではない?存在との交流 他の作品も面白かったです。
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『ひとり』アンソロジーって??どういうこと? 短編集。全て短編集の最初に、解説があったのが良かった。こういう、短編を読む期待値を上げてくれる解説って、とても良い。 どれも良かったですが、私のお気に入りとしては、『パン、買ってこい』『地球に磔にされた男』『沈みかけの船より、愛をこめ...
『ひとり』アンソロジーって??どういうこと? 短編集。全て短編集の最初に、解説があったのが良かった。こういう、短編を読む期待値を上げてくれる解説って、とても良い。 どれも良かったですが、私のお気に入りとしては、『パン、買ってこい』『地球に磔にされた男』『沈みかけの船より、愛をこめて』 中田永一氏は読んだこと無かったので、読んでみようと思う。
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好きなのは、「沈みかけの船より、愛をこめて」 「パン、買ってこい」「二つの顔と表面」 「沈みかけの、、」は、14歳の果穂は、家族みんなが一番いいカタチになるように考える大人。 「パン、、」は、もはや自分で、入間くんのパンの好み、どうやったら早く買えるか研究して、やり遂げた。 ...
好きなのは、「沈みかけの船より、愛をこめて」 「パン、買ってこい」「二つの顔と表面」 「沈みかけの、、」は、14歳の果穂は、家族みんなが一番いいカタチになるように考える大人。 「パン、、」は、もはや自分で、入間くんのパンの好み、どうやったら早く買えるか研究して、やり遂げた。 「二つの顔、、」は、殺さなくても、他に方法あったはず。 それぞれおもしろかった。
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「ひとり」アンソロジー。奇想や異空間といった不思議な叙情作品の幻夢コレクション。「地球に磔にされた男」の終わりが良かった。「カー・オブ・ザ・デッド」「東京」が印象深かった。
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面白かったー。 彼らのアンソロジーは最高ですね。 表題の特に沈みかけの船…と最後の二つの顔…が面白かった。 沈みかけの船は親の離婚に直面した娘が、父母のどちらについて行った方が幸せか、特に弟にとって良いか査定していく。すごく手厳しい査定に祖父母は子供なのに…と顔をしかめるが、そもそも大人の身勝手で振り回されるのはいつだって子供だ。大人に養ってもらうしかない今、どちらがいいか見極める必要がある。何しろ愛情の重さは測れないのだから…と。 今までにない離婚に巻き込まれる子供の描き方にアッパレ!と言いたくなった。 二つの顔…は、どう読んでもあの宗教二世の話。2022春季号掲載となっているが、あの宗教二世の問題が注目を集めるきっかけとなった事件は2022年7月だ。その前に書かれた小説なのか?驚きを隠せない。
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乙一さんの複数の名義の短編・中編を集めたアンソロジー2作目。 前作と比べて短い話が多くあっさりとしていた話もあったけど、一冊で様々なジャンルの物語を楽しめた。 文章は淡々としていて読みやすく、そのなかにもそれぞれの物語に温かさ、冷たさ、熱さ、といった違った温度感があったり、物語...
乙一さんの複数の名義の短編・中編を集めたアンソロジー2作目。 前作と比べて短い話が多くあっさりとしていた話もあったけど、一冊で様々なジャンルの物語を楽しめた。 文章は淡々としていて読みやすく、そのなかにもそれぞれの物語に温かさ、冷たさ、熱さ、といった違った温度感があったり、物語によって読後感も全然違って面白かった。 グロテスクな描写は得意ではないので不安はあったけれど、「カー・オブ・ザ・デッド」はそういった描写はさっと読んで、楽しめる範囲内だった。 「二つの顔と表面」もグロテスクな描写があったけど、物語自体は楽しめた。ただ、動物好きな人には辛い描写だったようにも思う。
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乙一さんのひとりアンソロジー.*・゚ 「5分間の永遠」乙一 小学生時代、クラスメイトに村田ツトムという子がいて、みんなから”キモイ”と言われていた。彼が近づくと女子は逃げていき、男子からはいじめられていた。 ある夏の日の放課後。おれは村田ツトムに呼びとめられた。「なぁ、きみ、お...
乙一さんのひとりアンソロジー.*・゚ 「5分間の永遠」乙一 小学生時代、クラスメイトに村田ツトムという子がいて、みんなから”キモイ”と言われていた。彼が近づくと女子は逃げていき、男子からはいじめられていた。 ある夏の日の放課後。おれは村田ツトムに呼びとめられた。「なぁ、きみ、お金をあげるから、5分間だけ、ぼくの友達になってくれないか」 小学生男子2人の ちょっと切なくて ちょっと心があたたかくなるお話。500円の友情。5分間に込められた意味。 「地球に磔にされた男」中田永一 ある日、廉太郎は『時間を跳躍できる懐中時計』を手に入れる。廉太郎が懐中時計の突起を押したことにより、10年前から現在まで無数に枝分かれした時間軸があらわれた。やっかいなことに元の時間軸には戻れない。-自分はこの10年間、努力も成功もしなかった。ギャンブルと 酒を飲むだけの毎日。だけどもしかしたら、この10年間、枝分かれした時間軸の中には、まともな人生を歩んだ俺もいるんじゃないか?- 廉太郎は懐中時計の側面の突起に親指の腹を乗せる。 最後に廉太郎がいたのは、東日本大震災があった年の時間軸。廉太郎が手に入れた人生、じわ〜っとくる。うん、そうか、よかったね。そこで今度こそは頑張ってって。 「背景の人々」山白朝子 今回 山白朝子作品はこの1作だけ。 『嵐の夜、都内のとある舞台稽古スタジオで停電が発生し、参加しているキャストたちが百物語を始めた…』という設定で書かれた作品。エキストラで参加した女の子が 撮影場所のキャンプ場で体験した怖い出来事。誰もいないはずの場所でカメラに映り込む人。マイクには聞こえるはずのない ぎぎぎぎぎっ という歯ぎしり。 怖いのは怨霊か、生きてる人間の嫉妬心か。 (…でもあんまり怖くなかったの) 他にも ゾンビに襲われる男の話や、耳の後ろに人面瘡ができた女子高生の話など 今回も盛り沢山! わたしが好きなのは 「パン、買ってこい」中田永一 クラスメイト いわゆる不良の入間くんのパシリになったぼく。『秋永、パン、買ってこい』入間くんの命令はいつもそれだけ。 毎日毎日 入間くんにパシリにされるぼくの話なのに。やはり中田永一、なぜこんな爽快な話にもっていけるんだ! ぼくは走る!入間くんの好みにあったパンを 昼休みの間に届けるために、走る!! ミニスナックゴールドを端からクルクル食べるのが好きでした。 セブンのレジ脇のカレーパンも好き
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まるで別人のような短編の数々。途中で萎えることなくじっくり読めた。 著者略歴からして面白かった。 作品を読んでから中扉の解説を読むと、その依頼、テーマでこの作品?!という衝撃が得られて2度楽しめた。 「カー・オブ・ザ・デッド」はページを繰る手が止まらなかった。グロさの度合いは、...
まるで別人のような短編の数々。途中で萎えることなくじっくり読めた。 著者略歴からして面白かった。 作品を読んでから中扉の解説を読むと、その依頼、テーマでこの作品?!という衝撃が得られて2度楽しめた。 「カー・オブ・ザ・デッド」はページを繰る手が止まらなかった。グロさの度合いは、さすが乙一さん。 にしても第二弾だったとは。 短編集なのでもちろん支障はないが、第一弾もぜひ読んでみたいと思った。
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乙一さんの一人アンソロジー第二弾。 11篇の短編集。 前回も思ったけど、表紙がいいな~。 「五分間の永遠」乙一 いじめられ小学生と僕。 「無人島と一冊の本」中田永一 無人島漂流、猿たちと百科事典。 「パン、買ってこい」中田永一 パシられ高校生。 「電話が逃げていく」乙一 ...
乙一さんの一人アンソロジー第二弾。 11篇の短編集。 前回も思ったけど、表紙がいいな~。 「五分間の永遠」乙一 いじめられ小学生と僕。 「無人島と一冊の本」中田永一 無人島漂流、猿たちと百科事典。 「パン、買ってこい」中田永一 パシられ高校生。 「電話が逃げていく」乙一 4ページの超ショート。 「東京」乙一 伝奇小説。 元気でいる? 泣いてない? 傷ついたら、もどっておいで。 いつでもまってるからね。 乙一さんの描く女性は魅力的。 「蟹喰丸」中田永一 瘤取り爺さん的な、鬼と酔っぱらい。 「背景の人々」山白朝子 ホラー。 「カー・オブ・ザ・デッド」 ゾンビ。 「地球に磔にされた男」中田永一 タイムマシン。適材適所の幸せ。 「沈みかけの船より、愛をこめて」乙一 離婚寸前家庭より。 「二つの顔と表面」乙一 女子高生にできた人面瘡探偵。 どれも前作より小粒な印象です。残念ながらパワー不足。 好きなのは「地球に磔にされた男」と「蟹喰丸」かな。 各話の冒頭に当人による解説がついていて、どのような経緯で書かれたのかがわかって面白かった。 「五分間の永遠」は 時間をテーマにした児童書アンソロジー向けのもので、「五分間」というお題と小学校の図書室に置かれるようなタイプの本に収録されるものを。 「背景の人々」は 【嵐の夜、都内のとある舞台稽古スタジオで停電が発生し、参加しているキャストたちが百物語を始めた……】という設定が編集部から提示され――。 作家さんって、ずいぶん細かい設定を出されて書くもんなんですね。ご苦労様です。
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