まっとうな人生 の商品レビュー
花ちゃんとなごやんが「まっとうな人生」なんて…置いていかないで、私と一緒に逃げ続けようぜ…という気持ちで読み始めた本。 花ちゃんもなごやんも結婚して新しい家族と生活を持っている。マジか。偶然再会する2人。マジか。 始まるコロナ禍と、交流と、家族と、ただ毎日が過ぎていくだけを描い...
花ちゃんとなごやんが「まっとうな人生」なんて…置いていかないで、私と一緒に逃げ続けようぜ…という気持ちで読み始めた本。 花ちゃんもなごやんも結婚して新しい家族と生活を持っている。マジか。偶然再会する2人。マジか。 始まるコロナ禍と、交流と、家族と、ただ毎日が過ぎていくだけを描いた小説でした。でもそれが人生というか、まっとうに生きるってなんだろうなあと、私も思いました。1日1日を積み重ねるしかないんだろうな。 こういう、特に大きな事件が起こらない小説って眠くなってしまう(得意じゃない)のですが、絲山先生の文章は本当にスッと入ってくる。不思議。くそたわけからまだ2冊目だけれど、やっぱり好きかもと思った。オシャレじゃない、カッコつけてない、別にエモくない「繊細さ」。それをそのままの形で味わえる気がする。 私は福岡は分かるが富山の辺りは全くの無知で、地元民が読んだらそういう意味でもより楽しいんじゃないかなと思いました。 「昭和の男(失礼)」も一部感じたがアキオちゃんは素敵な人だったし、なにより娘の佳音ちゃんがキュートだった。清涼剤みたいな感じ。下品な言い方かもしれないが、花ちゃん、子育て大成功だよ、と心の中で拍手を送った。
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なんか逃げた話読んだなあと思ってたらその(一応)続編だった。でも知らなくても問題ない。 絲山秋子がかく地方がほんとにほんとに好き。一人称の語りに時折まざる博多弁?が「たびのひと」感をましていて、でも別に疎外されてるわけでもない。あの感じ、めちゃわかる。あと一番わかって笑っちゃった...
なんか逃げた話読んだなあと思ってたらその(一応)続編だった。でも知らなくても問題ない。 絲山秋子がかく地方がほんとにほんとに好き。一人称の語りに時折まざる博多弁?が「たびのひと」感をましていて、でも別に疎外されてるわけでもない。あの感じ、めちゃわかる。あと一番わかって笑っちゃったのは、夫が抱く金沢コンプレックス。私は富山にいるわけじゃないけど、他県・他市に抱くアレ、ほんとあるある。 もしかしたら絲山秋子はずっとどこでも「たびのひと」と思いながら生きてるのかもしれないなあ。というか、作家ってそういう「他者の目」を持ってる人のことなのかもしれない。
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「逃亡くそたわけ」の続編といえば続編。本作単品でも十分に面白いが、前作を読んでいるとより細かいところの意味合いが感じ取れる。 一言でいうと家族の小説。ちょっと詳しくいうと家族を含めた様々な世代の老若男女のコミュニケーションの難しさ、大切さを問う小説。 最後の章は特に含蓄に富んだセ...
「逃亡くそたわけ」の続編といえば続編。本作単品でも十分に面白いが、前作を読んでいるとより細かいところの意味合いが感じ取れる。 一言でいうと家族の小説。ちょっと詳しくいうと家族を含めた様々な世代の老若男女のコミュニケーションの難しさ、大切さを問う小説。 最後の章は特に含蓄に富んだセリフが続く。 主人公の娘がある意味この小説のキーパーソン。発想や発言が非常に魅力的でキュートな女の子だ。この子の視線、この子が主人公の小説が読みたくなる。
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何も考えずに借りたら「逃亡くそたわけ」の続編だった! 富山が舞台。コロナ禍中の家族の話。 半分自伝のような感じと思われる。流れ的にちょっと心配したのだけど、変に不倫とかの話にならなくてホッとした…。
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言葉の使い方が絶妙。 精神疾患を抱える主人公の気持ち、共感できる。 ー元気な時は想像力が不足しがちだ。落ち込んでいる人に面と向かって「出口のないトンネルはない」とか「明けない夜はない」などと言ったりする人もある。あるよ。出口のないトンネルはブラックホール。明けない夜は宇宙。ー ...
言葉の使い方が絶妙。 精神疾患を抱える主人公の気持ち、共感できる。 ー元気な時は想像力が不足しがちだ。落ち込んでいる人に面と向かって「出口のないトンネルはない」とか「明けない夜はない」などと言ったりする人もある。あるよ。出口のないトンネルはブラックホール。明けない夜は宇宙。ー すごく響いた。
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読み終わってから一週間ほど経つが『消えない傷もある』という言葉が頭から離れない。本当にそうだから。『出口のないトンネル もある』し、『明けない夜もある』という言葉も、よくぞ言ってくれたと思う。 退屈な本と思っていた序章部分。 でも『沖で待つ』という清しい本を書いた筆力のある作家...
読み終わってから一週間ほど経つが『消えない傷もある』という言葉が頭から離れない。本当にそうだから。『出口のないトンネル もある』し、『明けない夜もある』という言葉も、よくぞ言ってくれたと思う。 退屈な本と思っていた序章部分。 でも『沖で待つ』という清しい本を書いた筆力のある作家さんだから、何かあるはず、 このままでは終わらないはずと思ってページを進めていくうちに、主人公の花ちゃんが私の中にスッと入ってきた。そしてコロナ禍で花ちゃんが感じたことは、私や私の周りの真っ当な人たちが 強く心に思っていたことだった。 双極性障害という病を抱える花ちゃん。 『まっとうな人生』というタイトルを思う時、花ちゃんこそ、まっとうなのではないか と 読み終わって気付かされる。 平易でわかりやすい言葉を使いながらも的確に心情を描写していく文章に、純文学の香りを感じる。 作者自身も 双極性障害を長きにわたって患っていたとググって知った。作品に落差があって遠ざかっていた作家さんだったけれど それを知って 誤解が解けた。 この本の前作というべき『逃亡くそたわけ』を読んでみたくなった。
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富山の習俗を知ることが出来て面白い。 何気ないけど、はっとなるような言葉が出てきて、しばしば本を閉じてぼんやりと考えたりした。 『若さは狭さだ。そして、色の濃さだと思う』という言葉はまさにそうだなと感じた。若いときは家族各自の色が濃くて色味が合わずに喧嘩した、でも、段々色が薄くな...
富山の習俗を知ることが出来て面白い。 何気ないけど、はっとなるような言葉が出てきて、しばしば本を閉じてぼんやりと考えたりした。 『若さは狭さだ。そして、色の濃さだと思う』という言葉はまさにそうだなと感じた。若いときは家族各自の色が濃くて色味が合わずに喧嘩した、でも、段々色が薄くなってくると組み合わせでそこまでのぶつかり合いもないように、喧嘩も反発もしなくなる、と。
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『逃亡くそたわけ』の単純な続編かと思いきや、富山を舞台にコロナ禍の日常を描く冴えた視線のエッセイとも言うべき作品だった。いくつも振り返りたくなる省察が含まれていて、それでいて「たびのひと」と呼ばれるよそ者の視点から富山のローカルな日常のあれこれが民俗的に描かれていて、物語性のなさ...
『逃亡くそたわけ』の単純な続編かと思いきや、富山を舞台にコロナ禍の日常を描く冴えた視線のエッセイとも言うべき作品だった。いくつも振り返りたくなる省察が含まれていて、それでいて「たびのひと」と呼ばれるよそ者の視点から富山のローカルな日常のあれこれが民俗的に描かれていて、物語性のなさがちっとも気にならず、夢中にさせる良作だと思う。とてもいい。
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好きな作家さんの新刊だわーと思って読み始めたら、家族が移住した富山のお話でなんとなく親近感笑 そして、私ここまでダイレクトにコロナのことを書いている本初めて読んだなぁと思いました。 私にとって読書ってどこか現実逃避だから、無意識に避けてたのかもしれない。だから最近歴史小説ばっかり読んでたのかもしれない。って少し思いました。 でも、この時代を生きる人として書かないわけにはいかないですよね。そりゃ。書きますよ。 他県ナンバーを見た時の反応とか、フェスや旅行の話とか、すごくわかるなぁと。あと病院。うちもコロナ禍で家族が入院したし。 これも懐かしいといつか思えるのかな。 もしくはコロナ以前の暮らしにびっくりするようになるのかな。どうなっていくんでしょうね。 全く同じにはならないだろうけど、良い方にブラッシュアップされていくといいなと思います。
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精神疾患を抱えながら日々を生きていくってなるほどこんな感じなのかもしれないなぁと、リアルを感じた。 症状の波をうまく手懐けながら、でも時々大きな波にのまれそうになって慌てたりしつつ暮らす主人公と、その苦労やしんどさを肌感覚でわかろうとしながら共にいる家族。 そこにはかけがえのない...
精神疾患を抱えながら日々を生きていくってなるほどこんな感じなのかもしれないなぁと、リアルを感じた。 症状の波をうまく手懐けながら、でも時々大きな波にのまれそうになって慌てたりしつつ暮らす主人公と、その苦労やしんどさを肌感覚でわかろうとしながら共にいる家族。 そこにはかけがえのない絆があるけれど、だからといってすべてが分かり合えるはずもなく、時にはお互い傲慢になったり、相手に受け入れられない一面をみたりもする。 日々、気持ちを泡立たせながら些細な、時には大きな出来事を過ごしていくことが、まっとうに生きるってことなのかな。
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