まっとうな人生 の商品レビュー
まっとうってなんでしょうか?まず、題名を見て考えてしまった。まとも、真面目な人生。そんなものがあって、そして果たして、その人生に価値があるのか? そもそも、価値のある人生ってなんなんだろうか?と色々、哲学的なこと考えさせてもらいました。また、作中出てくる作者の解釈や揶揄が自分に嵌...
まっとうってなんでしょうか?まず、題名を見て考えてしまった。まとも、真面目な人生。そんなものがあって、そして果たして、その人生に価値があるのか? そもそも、価値のある人生ってなんなんだろうか?と色々、哲学的なこと考えさせてもらいました。また、作中出てくる作者の解釈や揶揄が自分に嵌りました。 う〜ん、なるほど。面白いっ!って感じに。やはり作者実力者です。くそたわけの続編ってことで読みましたけど、はなちゃん、なんか変わったなぁ〜、なごやん、変わんねー笑 他の作品も色々、読み漁りたいです。失敗や辛かった過去って、忘れられない記憶として残るけど、笑って話せる日が来るのであれば、npaoなのかもしれないなぁ。
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17年前になるのですね 面白く読んだ「逃亡くそたわけ」 細かなことはすっかり忘れてしまっていたけれど でも、二人がそれぞれ 「まっとうな人生」を歩んでいてよかった! 知らない富山の風物が細やかに描かれていて楽しかった 双極性障害の描写はつらいけど、その中から「花ちゃん」の人生がのびていく 器用でないからこその深い生き方だ コロナとの向き合い方、考えも興味深かった 誰もが感じている閉塞感が強調されていたような 前作より年齢を重ねた分、落ち着いて読めました ≪ 先見えぬ 時代に生きて 抱きしめる ≫
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福岡の精神病院で出会い、病院から逃げて鹿児島まで行った花ちゃんとなごやんを描いたのは「逃亡くそたわけ」でした。絲山秋子さんの「まっとうな人生」(2022.5)は、その作品から何年か後の物語です。福岡の花ちゃんことしずかも名古屋のなごやんもお互い結婚して子供もいて、北陸は富山を中心にした舞台で話が展開します。2019年4月から2021年10月まで、世の中の出来事に沿った日記風に進行していきます。富山のことがよくわかりました! 双極性障害を持つ花ちゃんとなごやんにとってまっとうな人生とは何かを語ります。
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花ちゃんもなごやんも立派な大人になってまっとうに暮らしていた。 病気を抱えながらも 病気とともに生きるということを周りの人の理解と支えに助けられながら ときには壁にぶつかりながらも 力いっぱい生きている。 コロナ禍という生きにくい時代での ときには哲学的と思わせる絲山さんの文...
花ちゃんもなごやんも立派な大人になってまっとうに暮らしていた。 病気を抱えながらも 病気とともに生きるということを周りの人の理解と支えに助けられながら ときには壁にぶつかりながらも 力いっぱい生きている。 コロナ禍という生きにくい時代での ときには哲学的と思わせる絲山さんの文章が深くて また一人読み続けたい作家さんがあらわれた。
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帯に「逃亡くそたわけ」の数十年後とある。 題名のとおり、2人は伴侶に恵まれ普通の生活を送っている。舞台はコロナ禍、お隣の県富山。 富山の文化や方言、知っていたようで知らないことも多く、なかなか興味深かった。 アキオちゃんの金沢への対応も笑えたし。 前作、ずいぶん前に読んだので...
帯に「逃亡くそたわけ」の数十年後とある。 題名のとおり、2人は伴侶に恵まれ普通の生活を送っている。舞台はコロナ禍、お隣の県富山。 富山の文化や方言、知っていたようで知らないことも多く、なかなか興味深かった。 アキオちゃんの金沢への対応も笑えたし。 前作、ずいぶん前に読んだので記憶が定かでないけれど、かなりぶっ飛んでた内容だったのに。 歳を重ねるということ、家族を持つことなど、人となり・・・まっとうな人生になっていくのだろう。
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まっとう=全う まとも=真面(正面) 表記を変えるとなおさら思う、なるほど まっすぐに受け止められなくても、不真面目っていうわけじゃない それこそ「逃亡」せずに向き合えるのなら、それでいい 何気ない日常にいろいろ積み重なって、いつか爆発するのかそれが財産になるのかはわからないけど、そうやって毎日生きる まるでノンフィクションのような忍び寄るコロナ過の件は、なかなかに辛い 「くそたわけ」の記憶が全くないけど読み直しはしないでおこう そしてもう少し軟化したら、富山に行く予定を組もう
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花ちゃんことあたしは、十歳上の夫アキオちゃんと娘の佳音と富山で暮らしている。 そこで、バッタリとなごやん一家と出会い時々遊ぶようになる。 だが、折りしもコロナの波が徐々に押し寄せてきて、動きも制限される。 それでも、ゆるゆると富山県での生活をそれなりに楽しんでいる。 双極性障害の持病を抱えながらも夫の理解そしてなにより娘が上手く中和の役目をしてくれている。 娘が言う。「うちの家族って、みんな真面目だよね」 アキオちゃんが答える。「真面目にしてるのが結構楽なんだよ。面白いこと言わなくちゃとか、気が利いてなかったなとか、そういうことを取っ払って集中できるから」 なるほど、楽だから真面目にしてるんだ。 大まかにいうとほとんどの人が、まっとうに生きてるんではないか⁇と思ったりした。 外出自粛の時代であっても、なんとか生きていく… 少しの楽しみを見つけてるくらいは、良いじゃないか。 真面目に生きてさえいれば…と。
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読み始め。予習で再読した『逃亡くそたわけ』の勢いも無く、沈んだ書き出しです。ストーリーの全体の流れも掴めず戸惑いながら読んでいました。 結婚して富山に移り住んだ花ちゃんと旦那のアキオちゃん、娘の佳音との日々を描いた物語。花ちゃんの双極性障害(躁鬱)は完治したわけでは無いですが、医...
読み始め。予習で再読した『逃亡くそたわけ』の勢いも無く、沈んだ書き出しです。ストーリーの全体の流れも掴めず戸惑いながら読んでいました。 結婚して富山に移り住んだ花ちゃんと旦那のアキオちゃん、娘の佳音との日々を描いた物語。花ちゃんの双極性障害(躁鬱)は完治したわけでは無いですが、医者や家族の協力を得てうまく付き合っています。 なごやんとの偶然の再会、娘の初潮、突然の母の死、大雪、そして延々と続くコロナの日々。そういった中で主人公の感じたことを随筆風につづった小説~そう思い至ると一気に読みやすくなりました。 流石の文章力です。 ハッとさせられるような考えを見事な文章でつづったフレーズが随所に在り、手元に置いて何度も眺めたいと思うのですが、後ろに行列が出来てる図書館本なのでサッサと返すしかないですね。再読の楽しみは文庫化まで待つことにしましょう。 文中の富山の記述が余りに地に着いているので、絲山さんは富山在住なのかと思いきや、群馬との事。ただ2014年から1年間にわたり、県内各所を訪れる紀行エッセーを北日本新聞で連載したとのことで、随分訪問されたのでしょうね。その時に「花ちゃんはここに居るのでは」と感じて、それがこの本を書くきっかけになったようです。
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「逃亡くそたわたけ」の続編。花ちゃんが大人になっている!なごやんも! 逃亡くそたわたけは、生活どころか、人生が破綻しかけているように読めたので、数年後の花ちゃんとなごやんがそれぞれ結婚し、子育てしたりしてる様子にビックリした。 あのヒリヒリした逃亡劇や脅迫めいた妄想は、薬でやわら...
「逃亡くそたわたけ」の続編。花ちゃんが大人になっている!なごやんも! 逃亡くそたわたけは、生活どころか、人生が破綻しかけているように読めたので、数年後の花ちゃんとなごやんがそれぞれ結婚し、子育てしたりしてる様子にビックリした。 あのヒリヒリした逃亡劇や脅迫めいた妄想は、薬でやわらぎ、周りとの出会いや、たぶん過ぎていった日々のかいもあったんだろうなあ、と。 当時なごやんより年下で、現在なごやんより年上ですが、子なしながらも私も結婚しましたよ、と報告。一緒に逃亡くそたわたけを読んでいた元同僚は疎遠になってしまい、続編読んだ?と話せないのが寂しいけれど、物語も現実も幸せに成長しています。 本作では、富山を中心にいろいろな町が出てきて、随分と穏やかな旅が描かれる。小さな幸せをポケットに詰め込んでドライブしているようなゆったりさは、前作とは大違いだ。けれど、ときどき、花ちゃんの世間とのズレや、人との対話で過剰に繊細になる部分は、あいかわらずの花ちゃんというか、絲山秋子の得意とする表現方法でした。 他の絲山作品もそうなんだけど、小さな引っかかりだったはずが、どんどん差異を浮き上がらせていき、自分もこんな人間だったのかもしれない、と登場人物に共感してしまう。知りたくなかった自分のダメさを痛感してしまう。 「まっとうな人生」でも、その波に飲まれて、花ちゃんと手を繋ぎながらアップアップで泳いでいる自分がいた。 中盤、物語のなかでもコロナ禍が始まる。先の見えない状況に怯えたり少し慣れたりして、花ちゃん達の生活は続いていく。 気がつけば、コロナ生活ももう3年目。未知のウイルスが入ってきたばかりの混沌期をどうやって過ごしてたのか忘れていることに気付いた。当たり前に暮らしてるけど、大惨事が続いてる。 余談だけど、まっとうな人生と、まともな人生では意味が同じかもしれないけど、口に出したときにニュアンス違ってくる、と勝手に思っている。まともより、まっとうが切実で緊迫感がある。まっとうな人生を送りたい。
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2005年に刊行された『逃亡くそたわけ』の17年振りの続篇。前作は文庫本を購入し読んだが、非常に曖昧な記憶しかない。 花ちゃんとなごやんはそれぞれに家庭を持ち、平和に暮らしている。双極性障害ともなんとか折り合いをつけながら生きていたが、そこにコロナが襲いかかる。特にドラマチックな...
2005年に刊行された『逃亡くそたわけ』の17年振りの続篇。前作は文庫本を購入し読んだが、非常に曖昧な記憶しかない。 花ちゃんとなごやんはそれぞれに家庭を持ち、平和に暮らしている。双極性障害ともなんとか折り合いをつけながら生きていたが、そこにコロナが襲いかかる。特にドラマチックな展開があるわけではないが、あの頃の先行き不透明な世界が見事に描出されていて、当時を思い出して息苦しくなった。 絲山さんの作品は各地の名所や名産品が魅力的に描かれていることが多いが、今回は富山のあれこれだった。
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