両手にトカレフ の商品レビュー
重いテーマですが、とても読みやすくイッキ読みでした。ドラッグや男に依存する母親などは外国文学YAではよく取り上げられますが、日本のYA向け小説ではまだまだ触れ辛い印象があります。ノンフィクション作家ならではのリアルな現実を見せつつも、『ぼくイエ』同様、テンポの良さと描かれるキャラ...
重いテーマですが、とても読みやすくイッキ読みでした。ドラッグや男に依存する母親などは外国文学YAではよく取り上げられますが、日本のYA向け小説ではまだまだ触れ辛い印象があります。ノンフィクション作家ならではのリアルな現実を見せつつも、『ぼくイエ』同様、テンポの良さと描かれるキャラクターの愛すべき人物像が日本の10代(中学生でも)が読んでも受け入れやすいのではと思いました。
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200ページで断念、子どもの貧困については なかなか読み進めるのがつらくなる 機会があれば再トライする
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14歳のミアが一冊の本に出会い 自分の人生と本に出てくるフミコの人生を照らし合わせながら 自分の生き方を模索する物語 ミアの出会った本はカネコフミコの自伝 『金子文子』は実在した人で 自伝を書いていたことも本著を読んで初めて知った ぜひ 金子文子さんの自伝を読んでみたいと思う...
14歳のミアが一冊の本に出会い 自分の人生と本に出てくるフミコの人生を照らし合わせながら 自分の生き方を模索する物語 ミアの出会った本はカネコフミコの自伝 『金子文子』は実在した人で 自伝を書いていたことも本著を読んで初めて知った ぜひ 金子文子さんの自伝を読んでみたいと思う 人は生まれた家庭環境で ずいぶんその後の人生が変わってくると思う 今日『親ガチャ』なる言葉がブレイクしたが 子は親を選べない 生まれてくる家庭環境も選べないのは現実だ 本著にも 『この母を私は選んでいない。母が連れてくる男たちだって私は選んでいない。子どもには何も選べない。』というフミコの言葉が出てくる 100年前から『親ガチャ』は嘆かれていたのだと感じる では どうすればいいのだろう 幼い子どもには家族が世界の全てであり どうしようもなく毎日が家庭だ しかし ミアのように例えば14歳にもなれば 『逃げる』という選択ができる 他の生き方をしている人達を知り 誰か頼れる人に出会えればSOSを発信できる 家族以外の大人に保護されることもある 友人に助けられることもある 恋人に心を満たされることもある 世界が少しずつ広がっていく 『逃げる』という選択肢があることを知っているだけでも救われることがあると思う 『そのうち、私は別の世界への入り口を自分で見つけた。それは母親が野菜を買ってくるときに包んでくる新聞紙だった。』(本文より) フミコは学校に行けず文章が読めなかったので 新聞紙に書かれた内容は想像を繰り広げて物語を楽しむツールとなった場面 今日識字率の高い日本は その点では素晴らしいと言えると思う 文字は 情報や物語を読者に伝える 読者は様々な情報を得たり 物語に登場する多くの人たちの生き方を知ることができる 平等な基礎教育の獲得がそれぞれに幸福を招くのではないかと感じた 『ミアの母親は、本を読む人間になれば自分のように生活に苦労することはないと言ったが、彼らはこんなに 熱心に読書するのにホームレスなのだ。世の中はミアの母親が思うよりずっと複雑で、矛盾に満ちている。』 (本文より) そして 世に満ちる矛盾についても多くの記述があり 10代ならではの葛藤と諦めが垣間見えた ミアの友人ウィルが『本物(リアル)』という言葉を悪気なく使ったことにミアが幻滅する場面があるが それは格差社会の恐ろしさを露呈している 『本物。(リアル) それはミドルクラスの人たちが自分のような環境で生きている人間の生活を指して言う言葉だと知っていたからだ。本物の貧困、本物の底辺、本物の公営団地。ウィルはこの言葉を使うことに何のためらいもないようだった。』 (本文より) 同世代の友人や恋人 クラスメイトの言葉のひとつひとつに過敏になるのも10代の人生経験値では 処理に苦しむ元にもなり 一方希望を見出す手立てにもなる 14歳のミアくらいの年ごろになれば 世界は家族だけではなくなっている 世界を知ろうとする自分になれる 行動しようとする自分も生まれる だから ミアもフミコも『私がいてもいい世界』を生きようと 自分の歩む道を自分で決めたのだ 中学生あたりの読書感想文課題図書になっても良いのでは…と思う深い内容の物語だった 大人が読んでも 考えさせられる文章が多い 誰もが『トカレフ』なんて持たずに 心も体も安全を感じて暮らせる場所があってほしい でもそれは理想論 だから『トカレフ』はせめて片手で せめて軽量で 時に 不要な時間があることを希求し行動する責務が大人にはあるはずだ 『親ガチャ』ならぬ その時代を生きる『大人ガチャ』 を意識して日々を繰っていきたい
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主人公ミアの物語より、 作中、ミアの話と交互に出てくる金子文子の手記に集中してしまった。 海外の貧困事情は共感性を持って読むのに難しい。 どの辺がリアルなのかわたしには捉えられなかった。
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この著者の本はできるだけ買って読もうと思っているのだが、小説ということでビビって図書館で予約を待ってまで借りて読んだ。しかも一気に読み通した。日常生活に支障が出るったらないのだが、主人公がどうなるかが心配で心配で途中で本を置くことができなかった。 この本は一応小説であって現代のイ...
この著者の本はできるだけ買って読もうと思っているのだが、小説ということでビビって図書館で予約を待ってまで借りて読んだ。しかも一気に読み通した。日常生活に支障が出るったらないのだが、主人公がどうなるかが心配で心配で途中で本を置くことができなかった。 この本は一応小説であって現代のイギリスを舞台に中学生の少女ミアを中心に話が展開するのだが、合間合間にミアが読み進める本の内容である、大正期の実在の人物、金子文子の生涯も並行して進む。金子文子の伴走を受けてミアが過ごしているような印象である。さらに、ミアはもちろんフィクションの登場人物なのだが、おそらく限りなく実話に近く複数のモデルを組み合わせた人物像であろうことが、これまでの著作から想像できる。限りなくドキュメンタリーに近いフィクションといえる。 思えばベストセラーとなった「ぼくイエ」は限りなくフィクションに近いドキュメンタリーエッセイであった。大反響を受けて続編まで上梓されたものの、そのままの形でさらに続けるのはやはり困難だったのであろう。スピリットを受け継いで、新しい形での問題提起の手法を模索した結果の表現だったのかと推測する。モキュメンタリーの小説版ってところだろうか。 確かに、フィクションであればこのような光が見える結末を用意することもできるし読後感もいい。でも、本当は、著者の手になるドキュメンタリーで、この希望を感じられる結末になるものを読みたいと思うのである。
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子どもの貧困問題。大人よりもしっかりしてる子どもだとしても、子どもだから大人のように自由に生きられないのってもやもやする。子どもを守るためだとしても。 子どものときの環境って本当に大事なのに、大人になってからじゃ遅いこともたくさんあるのに、、あれも良い経験だったなと思えるくらいの...
子どもの貧困問題。大人よりもしっかりしてる子どもだとしても、子どもだから大人のように自由に生きられないのってもやもやする。子どもを守るためだとしても。 子どものときの環境って本当に大事なのに、大人になってからじゃ遅いこともたくさんあるのに、、あれも良い経験だったなと思えるくらいの強さがあればいいけど、希望さえも見出せないような経験ばかりはさすがに心折れる。同じような大人になるのだけはやめて!ってひたすら願ってた。。
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ブレイディみかこさんなので、ジェンダーの問題かと思ったが、テーマは貧困で重かった。 過酷な環境で育つ子ども達、社会で考えないと、、、。
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・子どもであるという牢獄 ・ここじゃない世界に行きたいと思っていたのに、世界はまだここで続いている。私たちがいるこの場所からこことは違う世界に変えなきゃいけない。 ・見ないふり、言い訳せずに、何かをしなければいけないのは大人たちのほうだから。 ミアが本を読んで現実ではない世界に...
・子どもであるという牢獄 ・ここじゃない世界に行きたいと思っていたのに、世界はまだここで続いている。私たちがいるこの場所からこことは違う世界に変えなきゃいけない。 ・見ないふり、言い訳せずに、何かをしなければいけないのは大人たちのほうだから。 ミアが本を読んで現実ではない世界に行く展開が読んでいて楽しかった。本は別の世界に連れて行ってくれることを上手に具現化している。ミアが本に対して共感したり、反発したりする感情の変化が普段本を読む自分と重なった。最後にミアが人を少し信じられるようになったことが嬉しかった。少しでも同じ境遇の子どもの世界が良い方に変われば良いなと思う。
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子どもであるという牢獄。 多くの人は感じたことがあるのだろうか。それとも、ない人の方が多いのだろうか。 逃げ出したくても他に行く所がない。家しか帰るところがない。 子どもは不自由だ。自分でどうにかできる事、選べる事が少ない。 対等な人間関係なんてない、というような内容が書かれている部分があり、衝撃を受けた。そうなのだろうか…。 少なくとも、大人と子どもでは、大人の方が決定権を持つ事が多い。 劣悪な環境でなくとも、子どものために良かれと思っていても、無意識でも、牢獄に閉じ込める事はあり得る。 個人的にはこれから何度も、牢獄に閉じ込めようとしてないか、自問自答していきたい。 主人公達の様な境遇の子ども達が少しでも減って欲しいと思う。
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今回の旅のおとも。 ノンフィクション作家の著者が、自分の子供たちやその友達の置かれている状況を描くあたり、初のフィクションに挑戦したとのこと。 この本の主題となる問題は海外の問題だけではなく、日本にもすでに起きている問題と認識しないといけないな。 問題を抱えたこどもたちは、声を出さず(出せず)に身を潜めていると、この小説が語るように。 ストーリーの最後に救いがあって良かった。 そして、誰もが救うことに躊躇しないで手を差し伸べられると良いのに。
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