両手にトカレフ の商品レビュー
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者・ブレイディみかこさんの小説。 「ぼくはイエローで…」では書けなかった子たちを見えない存在にしないために書かれた物語、とのこと。 こどもであることが許されず、おとなになるしかなかったヤングケアラーの少女。 たまたま、クリス・ウ...
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者・ブレイディみかこさんの小説。 「ぼくはイエローで…」では書けなかった子たちを見えない存在にしないために書かれた物語、とのこと。 こどもであることが許されず、おとなになるしかなかったヤングケアラーの少女。 たまたま、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」と同時並行で読んでいたのだけど、ちょっと前に読んだ一穂ミチさんの「光のとこにいてね」もそうだったのだけど、最近こういう女の子が描かれる小説によく出会う… 「YES」を感じられること。 世界が「ここにある」と実感できること。 それこそが人生だ。 しかし、ひとり親の生活保護家庭に育つこの小説の主人公の14歳の少女ミアのように、それを容易に手に入れることができない環境に育つ人もいる。 周囲の大人には何ができるのか? どうやって声なき声を聞き出すのか? 考えさせられた。
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何でしょう、この心がグッと握りつぶされるような切ない感覚は… 主人公が考え、行動するたびにこちらも苦しい思いになりながら、それでもストーリーの展開が気になり読み進めた作品でした。 主人公は中学生のミナ。母子家庭で育っているミナには弟がおり、その面倒を見ながら学校へと通う、いわゆ...
何でしょう、この心がグッと握りつぶされるような切ない感覚は… 主人公が考え、行動するたびにこちらも苦しい思いになりながら、それでもストーリーの展開が気になり読み進めた作品でした。 主人公は中学生のミナ。母子家庭で育っているミナには弟がおり、その面倒を見ながら学校へと通う、いわゆるヤングケアラー。そんなミナが図書館でたまたま1冊の本と出会い、その主人公に自分の境遇をオーバーラップさせていくというストーリー。 この作品は救いの手を振り払ってしまう、そんな人たちを題材にした作品で、とにかく心が苦しくなります。人生や周りの人に対してどこか諦めてしまったような感覚の彼らを助けてあげるにはどうしたら良いのか、そんな問いかけがなされているようでとても心に響きます。 自分もコロナ禍で社会人になって、田舎で働き始め環境に慣れず苦労していた時、救いの手を掴むよりも、孤独や自殺を選びたくなるような経験をしたので、すごくミナに共感出来るとともに多くの人に、この作品を読んでもらいたいと思いました。
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タイトルにいい意味で騙された! なんとシビアで深い話ではありませんか。 「僕はイエロー...」の2作がとても良かったので同じ路線の、ユーモラスも混じえつつイギリスの格差社会を綴った作品かなあ?と思ったらたしかに同じく下層階級の話ではありますが直球勝負な作品ではありませんか! しか...
タイトルにいい意味で騙された! なんとシビアで深い話ではありませんか。 「僕はイエロー...」の2作がとても良かったので同じ路線の、ユーモラスも混じえつつイギリスの格差社会を綴った作品かなあ?と思ったらたしかに同じく下層階級の話ではありますが直球勝負な作品ではありませんか! しかもまるで噛み合いそうにない日本の辛い境遇だった実在の少女の自伝小説に我が身を重ね合わせて感情移入するイギリス少女 と言う設定が意表を突いた作品として秀逸です。 しばらくぶりの一気読みです!
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厳しい環境で生きる貧困団地の子ども。 男がいないと生きていけない依存症の母親。 精神が安定しない弟。 自分のリリックが「リアル」だという同級生の少年。 母親になってあげられなかった隣人。 弟の裸を撮っていたソーシャルワーカー。 どこにも行く宛のない電車の旅。 読み進めた青い本。...
厳しい環境で生きる貧困団地の子ども。 男がいないと生きていけない依存症の母親。 精神が安定しない弟。 自分のリリックが「リアル」だという同級生の少年。 母親になってあげられなかった隣人。 弟の裸を撮っていたソーシャルワーカー。 どこにも行く宛のない電車の旅。 読み進めた青い本。 自分と違う世界(レベル)で生きている人間に心を開かずにいる描写がリアル。 希望を感じるラストに、著者の未来を信じる力強い気持ちが伝わってきた。
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ブレイディみかこさんの小説「両手にトカレフ」読了。 出版されてすぐに買っていたのだけれど、ちょっと積読しちゃって、やっと読みました。 イギリスの階層意識は、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んだぐらいの知識しかないけれど、大人たちの評価の中の階層で生きていく子供...
ブレイディみかこさんの小説「両手にトカレフ」読了。 出版されてすぐに買っていたのだけれど、ちょっと積読しちゃって、やっと読みました。 イギリスの階層意識は、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んだぐらいの知識しかないけれど、大人たちの評価の中の階層で生きていく子供達の心情が胸に刺さりました。 主人公のミアが、金子文子という実在の人物の自伝の本を読みながら、日本の大正時代の女性と、今の自分を重ね合わせる形で心情を表しているという方法がすごいなと感じました。 きっと明るい終わり方をしてくれるだろう、と思いながら読んでいたんですが、ちゃんと良い終わり方をしていてくれてよかった。 余談: そもそも、この本を発売直後に買ったのは、表紙がイラストレーターのオザワミカさんの絵だったから。 残念だったのは、オザワミカさんの絵は表紙だけで、連載当時の挿絵は書籍には載っていないこと。 全部見たかったなぁ…。
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『ここじゃない世界に行きたいと思っていたのに、世界はまだここで続いている。でも、それは前とは違っている。たぶん世界はここから、私たちがいるこの場所から変わって、こことは違う世界になるのかもしれないね』 というミアの言葉に感動して涙が出ました。 ただ、よくよく考えたら ミアが別の...
『ここじゃない世界に行きたいと思っていたのに、世界はまだここで続いている。でも、それは前とは違っている。たぶん世界はここから、私たちがいるこの場所から変わって、こことは違う世界になるのかもしれないね』 というミアの言葉に感動して涙が出ました。 ただ、よくよく考えたら ミアが別の世界を信じるキッカケをくれた本の 作者はその自伝を刑務所の中で書いているという 最初にサラッと出てくる事実に、 なんか空恐ろしいものを感じました。
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金子文子については以前、ブレイディみかこさんによる著書「女たちのテロル」で読んていた。 金子文子は実在していて 小説の主人公であるミアは実在しない。 でもミアはミアのようなイギリスの底辺にいる子供たちの代表。 時代や国の違いはあれど 二人の生い立ちはあまりにも過酷。 だが現...
金子文子については以前、ブレイディみかこさんによる著書「女たちのテロル」で読んていた。 金子文子は実在していて 小説の主人公であるミアは実在しない。 でもミアはミアのようなイギリスの底辺にいる子供たちの代表。 時代や国の違いはあれど 二人の生い立ちはあまりにも過酷。 だが現実には金子文子はさらに過酷な運命をたどり 小説の中のミアには救いがある。 どうか現実の社会では どんな子供たちにも救いがあるように切に願う!
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重いストーリー ジャンキーシングルマザーの娘 ミアは弟と母のヤングケアラー 弟のために必死で暮らす 彼女は一冊の本とあう 本の主人公は、昔の貧しい日本の少女 ミアは自分と重ねる ラップとトカレフがクール! (読み終えた直後で文章がラップ調) ミアの「誰かに死にたいって言うこと...
重いストーリー ジャンキーシングルマザーの娘 ミアは弟と母のヤングケアラー 弟のために必死で暮らす 彼女は一冊の本とあう 本の主人公は、昔の貧しい日本の少女 ミアは自分と重ねる ラップとトカレフがクール! (読み終えた直後で文章がラップ調) ミアの「誰かに死にたいって言うことは助けてほしいってことなんじゃないかな」 ウィルの「すべてにYES」 が印象的。
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ミアのストーリーとフミコ自伝のストーリーが交互に繰り広げられる物語。それぞれリンクしながら物語が進んでいくところは面白かった。 イギリスの現実もチラホラと。社会勉強になる。
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ミアの境遇をカネコフミコの自伝と重ねて綴られている物語。まだ子供であるはずの14歳のミアは依存の母親をはじめとした大人に振り回されて諦めの気持ちで過ごしつつ、ただ弟のチャーリーのために生きているようにみえた。それはとてもつらく、どうしようもなさ、あらゆる支援をしようとしたところで...
ミアの境遇をカネコフミコの自伝と重ねて綴られている物語。まだ子供であるはずの14歳のミアは依存の母親をはじめとした大人に振り回されて諦めの気持ちで過ごしつつ、ただ弟のチャーリーのために生きているようにみえた。それはとてもつらく、どうしようもなさ、あらゆる支援をしようとしたところでどうせまた…というような気持ちがある中で、フミコの自伝が支えとなっていることに心がきゅっとなった。 リリックを書いてほしいとミアに頼んだウィルはリアルと表現したように、そこには悲痛の叫びがあったのだと思う。同じ光をみて花を連想するか、救急車を連想するかで家庭の格差を表現しているのは罪のない子どもに希望をもてるような想像ができない思考回路となっていることは悲しかった。 フミコもミアも少しの希望を見出せたように、希望をもてる社会となるように願いたい。
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