人は2000連休を与えられるとどうなるのか? の商品レビュー
軽めのタイトルとポップなカバーからは想像もつかない重い内容。実験的な観察日記から、最後には哲学的な試作の書に変わる。自分とは何か考えていった果てに、自我が世界に溶け出していくのが面白い。それでいて、生来の笑いの感覚がそこはかとなくやどっているのが絶妙。真面目な議論を突き詰めると、...
軽めのタイトルとポップなカバーからは想像もつかない重い内容。実験的な観察日記から、最後には哲学的な試作の書に変わる。自分とは何か考えていった果てに、自我が世界に溶け出していくのが面白い。それでいて、生来の笑いの感覚がそこはかとなくやどっているのが絶妙。真面目な議論を突き詰めると、どこかで笑いに変わってしまうのはなぜだろう。世界から一歩引くメタを利用して現実をズラす共通点があるからだろうか。 離人症のきらいがあったからこそなんだろうが、著者も指摘するように悟りとか、洗脳とかに近しいところに踏み込みながら理性的に記述できるのがすごい。少しは哲学、というか心理学的素養がある方だと思うが、一から哲学議論を自分なりに積み上げているので、誰かの議論を引き合いに出さなくてもとても強靭で説得力があった。作家が論理的でない方法で思想を示すような、そんなイメージ。哲学者でいえば、最後の方で唯一、須原さんについて言及があって気になった。 途中出てきた過去の記憶をひたすら書き出すのとか、試したくなるけど少し怖い。
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人と関わりがなくなると自分の内面にばかり気持ちが向かってただただ苦しくなる 自分がひきこもってたときは2000日より全然少ないけど、共感できるところがあった ただ著者は実験感覚というか遊びみたいなかんじだったから思考もするし文章も書くしで何もできなくて自己嫌悪がひどくて辛いよ...
人と関わりがなくなると自分の内面にばかり気持ちが向かってただただ苦しくなる 自分がひきこもってたときは2000日より全然少ないけど、共感できるところがあった ただ著者は実験感覚というか遊びみたいなかんじだったから思考もするし文章も書くしで何もできなくて自己嫌悪がひどくて辛いようなことは少なそう 会社員とかで働いてないとどんなふうに感じるかを勉強できる本だった
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2,000連休…6年近くって凄いなぁ。 とは言え本著、「連休」と称するのは「フルタイムの仕事がない状態」に過ぎず、大喜利の投稿で月数万円を稼ぐ仕事は続けていて、マーケティング要素の存在を感じました(笑 タイトルからは、「2,000連休ゲットした僕が、前からやろうと思ってたコトに...
2,000連休…6年近くって凄いなぁ。 とは言え本著、「連休」と称するのは「フルタイムの仕事がない状態」に過ぎず、大喜利の投稿で月数万円を稼ぐ仕事は続けていて、マーケティング要素の存在を感じました(笑 タイトルからは、「2,000連休ゲットした僕が、前からやろうと思ってたコトにどんどんチャレンジ!」という本かなと思っていたのですが、読んでみるとそういう陽キャ感は一切なし。 強いて言うなら「鏡に向かって『おまえは誰だ?』と言い続ける」実験や、射精という行為を分析する行いは、好奇心に基づくものだと思いますが、明るいトーンではないなぁ。 ゆるーい日常レポートから始まり、徐々に思索の海に沈んでいく展開は、世の中と上手くマッチングできなかった著者が、思索の中でマイナスをゼロに戻す営みだったのかもしれません。 興味深かったのは、著者がネット+読書を禁止したことで「頭の中が静かになる」「いかに日々、食べた言葉を消化することに頭を使っていたかを実感」という感想を述べていたこと。 断食道場の"情報バージョン"だと思いますが、こういうデトックスも必要なのかもしれません。ハードル高いですが。。 あと、「強い感情の出てくる記憶を思い出せる限り書き出していく」という作業、だいたい自分の黒歴史に向き合うコトになる訳で、スーパーしんどいはず。でも、それをやって「朝目覚めると、頭の中が澄み渡るように静かだった」というのは、ひょっとしてこのメゾットは一般化して世の役に立てるコトができるのでは?と思いました。 (一定程度過去のトラウマに悩んでいる人がいるのなら、向き合い方は教えるべきなのかも。なんなら学校教育で。) 2,000連休、有給でもらえないかなぁ(笑
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ガハハと笑いながら読むつもりで買ったのですが、思ったよりも学がある著者で(酷い表現でスミマセン...)、なるほどなぁ...と感心しちゃいました。
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もともと著者のブロガー時代の読者だったので購入。 人となりをある程度知っているため、特に考え方に対する驚きや新しい知見は得られなかったが、まさか自慰のことまで言及してくるとは。 だからと言って特に人に薦めたいとは思わない。
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2000日のヒマか、2000日の業か? 仕事をやめた日から約2000日のあいだ、懇意にしている相手宅の一畳半の物置部屋で暮らし、働かずに(雑誌の大喜利コーナーへの投稿・採用で月数万ほどの報酬あり)過ごした著者の実話です。 帯には「衝撃のドキュメント」とありますが、自分を見つめ...
2000日のヒマか、2000日の業か? 仕事をやめた日から約2000日のあいだ、懇意にしている相手宅の一畳半の物置部屋で暮らし、働かずに(雑誌の大喜利コーナーへの投稿・採用で月数万ほどの報酬あり)過ごした著者の実話です。 帯には「衝撃のドキュメント」とありますが、自分を見つめる哲学エッセイ然としていてそこまで衝撃的ではありません。日記形式であれば日々考えが傾いていくさまがスリリングに追体験できたかもしれませんが。 仕事をやめた直後の開放感を味わいつつも早い段階で不安で鬱々としだす著者。図書館に通い読み漁った本の中から「自動思考」という概念に出会い取り入れます。そこが著者にとってのターニングポイントであったと思います。 そしてこの本の最初の山場であり著者の一番の奇行なのですが、ありあまる時間を使って、PCソフトで自分の記憶をデータベース化し始めます。最初は蔵書ソフトに読んだ本を登録していたのですが、今まで聞いたCD、遊んだゲームと拡大していき、しまいにはネット上にデータのない子どもの頃に着ていた服や遊んだオモチャ、学生時代のクラスメイト(このために実家から卒業アルバムを送らせる!)や今まで出会った人々を、PC上に仔細に記録していく。 自動思考という気づき、記憶のデータベース化を通じてどんどん自分を客観視していく著者。後半は現実感の喪失から現実はすべて幻想というフェーズに突入し、自己流マインドフルネスを取り入れ、人間関係や感情に振り回されることから距離をとり、知覚のみになろうとする過激な純化が進んでいく… と書くとなんとなく達観した解脱者のような高貴なイメージがあるけれど、個人的にはホント失礼かもですが「やや厨二病めいた知的な試み」のように感じました。終盤の章のラストを「私は、地球上でずっと一人芝居を続けている。」の一行で締めくくられた時は、うーんちょっと辟易してしまいました笑 私も2000日やすめば、この文に深く共感できるのかもしれませんが…。 幻想に参加しないことが「純粋」であると言っているようにも感じますが、私は共感できません。幻想だ、一人芝居だと分かりつつもその幻想に無理なく参加している人達もけして少なくないように思います。ある程度脳が発達した動物は、それぞれの幻想に参加して生きているのではないかと私は考えます。 最後は2001日目を迎える、要は仕事が決まるのですが、これまでの2000日間と2001日目のあいだにグラデーションがなく、急にスッパリと、ほのぼの日常気分の文章で早々に締めくくりだったので面食らいました。「案外そんなものだよ」ということ?もしくは2000日間の自分を「あんな頃もあったな」とさらに一歩外から客観視しているのかもしれません。2000日目と2001日目のあいだの機微がもっと知りたかったです。
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京大卒業後、人生に行き詰まりを感じて仕事を辞めた男・上田啓太。二度寝、夜更かし、昼からビール。漫画に音楽にネット三昧。解放感と怠惰にひたる至福の日々もつかの間、やがて心に不安が漂い始める。今までの人生、なんだったのか。これからの人生、どうしたらいいのか。悩んだ末、さまざまな実験に...
京大卒業後、人生に行き詰まりを感じて仕事を辞めた男・上田啓太。二度寝、夜更かし、昼からビール。漫画に音楽にネット三昧。解放感と怠惰にひたる至福の日々もつかの間、やがて心に不安が漂い始める。今までの人生、なんだったのか。これからの人生、どうしたらいいのか。悩んだ末、さまざまな実験に没頭し始める。 ネタ的な面白さを求めて読み始めたけど、だんだん哲学的な感じになってきて、笑えなくなってしまった。私は今の仕事を気に入ってるし、お金に関係なくそこまで休み欲しいと思わない(1週間くらいなら嬉しいけど)から、突然休もうと思えてしまう著者もすごいなと思うけど。不安になるのもだいぶたってからだし、そこから先はさらに吹っ切れているところにびっくりしてしまった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
筆者が仕事を辞めて、ブログの女性読者「杉松」が借りる家の物置(一畳半)に居候し、雑誌の大喜利連載のアルバイトで月数万稼いで暮らしていた「2000連休」の実体験が書かれてある。 まず、筆者と杉松は、私には“お互いドライそうに見えて大分仲の良い弟と姉”みたいな関係の友人に見えた。ネットで知り合った男性を家に居候させることにした杉松はすごいなと思った。 連休中に今までに出会った人の名前、読んだ本、聴いた音楽や、記憶をPCにデータベース化したのだが、そのために卒業アルバムを実家から取り寄せたりと徹底しすぎていて、「狂っている……」と思った。長い連休を経験しても、そのような行動を取る人はなかなかいないのではないかと思った。 私が印象的だったのは、途中で崩れた生活リズムを整えようと思った筆者が、「自動思考」という言葉を本で知って、「規則正しい生活を送ることができなければダメなのだと強く思い込んでおり、そして自分を責めている」と気づいたところである。本から影響を受けて、「規則正しい生活を『課題』として引きずっている自分の心を見たほうが良いのではないか」と考えるようになったのが面白かった。 連休日数が長くなるにつれ、どんどん哲学の様なことについて考え始めるのだなということがよく分かって面白かった。また、家で猫と暮らすことになるのだが、「猫ちゃんがいる暮らし、良いな……」と思った。
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んー。序盤はおもしろかった。 自問自答を書く人って、自己中だよね。 哲学風だけど。 「年表」と「出会った人DB」はよいと思った。
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