古都 新版 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
東山魁夷の挿絵ではなく、2022年綿矢りさ解説が追加になった新版。 美しい京の四季が豊かに描かれていて、行ってみたい場所が増え、行ったことのある場所を鮮やかに思い出させてくれる。いつか行く予定の京都旅の予習。 平安神宮の紅しだれ桜、植物園のチュウリップ畑、祇園ばやし、丹波つぼの鈴虫、青蓮院の尼僧が薄茶の接待、もくせいの花の匂い、時代祭などなど、五感を刺激する情景で、双子の運命のはかなさがさらにひきたつよう。 「あたしは、すぐわかるように、道ばたで、働いています。」と千恵子を待つ苗子の言葉に思わず嗚咽。 「さいわいは短うて、さびしさは長いのとちがいまっしゃろか。」と押し入れから夜具を出す千恵子と手伝う苗子との二度はない夜の深さ。 睡眠薬を濫用し体調不良が続いた中での執筆とは思えない。 山口百恵主演の映画を見てみたくなった。
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きちんと内容を感じ取って読めた感覚は微塵もないのに、なぜか心にずっしりと残る。不思議な感覚。 再読に期待。
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読み終わってから再度はじめから読み返すと尚良い。 綺麗な言葉やストーリーの数々が睡眠薬の裏にあったと思うと、信じられないし、その事実がこの作品をさらに儚くて美しくしていると感じた。 解説も後書きもすごく良かった。 京都に行きたくなる。
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