燕は戻ってこない の商品レビュー
桐野夏生の小説はラストが惜しいといつも思っていた。でもこの小説はいい意味で裏切られた。代理母について、依頼する側、引き受ける側、双方の気持ちの揺れ動き、興味深く読んだ。
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===qte=== 吉川賞の桐野「苦悩書くのが小説」 2023/4/4付日本経済新聞 夕刊 大衆小説を対象とする2023年の吉川英治文学賞が桐野夏生の小説「燕(つばめ)は戻ってこない」に決まった。「文学賞は何回頂いてもいつになってもうれしい。93年に江戸川乱歩賞でデビューしてから...
===qte=== 吉川賞の桐野「苦悩書くのが小説」 2023/4/4付日本経済新聞 夕刊 大衆小説を対象とする2023年の吉川英治文学賞が桐野夏生の小説「燕(つばめ)は戻ってこない」に決まった。「文学賞は何回頂いてもいつになってもうれしい。93年に江戸川乱歩賞でデビューしてから30年という節目の年に受賞できて、感慨深い」と喜びを語る。 左から●谷氏(●は虫へんに単)、桐野氏、上橋氏 左から●谷氏(●は虫へんに単)、桐野氏、上橋氏 受賞作は生殖医療ビジネスを題材にしたディストピア小説。金のため代理母出産を持ちかけられる女性と、不妊のため代理母出産を依頼する夫婦を描く。「いろんな立場の人間がいろんな意見を言い、みんなで考えていくような作品になった」と振り返る。これまで女性の生きづらさを多く表現してきた。「小説は今生きている人の苦悩や悲しみを書くものではないかと思っている。人が何をつらいと思っているのか、これからも考えていきたい」 吉川英治文学新人賞は●谷めぐ実(●は虫へんに単)の「おんなの女房」が選ばれた。歌舞伎の女形を夫に持つ妻を主人公にした時代小説だ。●谷(●は虫へんに単)は早大在学中に歌舞伎を研究し、デビューした前作の「化け者心中」でも歌舞伎役者を描いた。「自分の好きなものを詰め込んだ本で賞をいただけてうれしく思う」 選考委員の村山由佳は「図抜けて評価を得た作品。登場人物も文体も傾いていて、読者を置いてきぼりにするようなスピード感が読んでいて気持ち良い」と評した。 吉川英治文庫賞は、上橋菜穂子の「守り人」シリーズに決まった。人と精霊が交わる世界を舞台にした冒険ファンタジー。「本がかばんに入っていないと電車に乗れない私にとって、文庫本はとても大切なもの。自分の本が広く読まれているのも文庫のおかげ」と喜んだ。 ===unqte===
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04月-05。3.5点。 北海道から東京へ出て、派遣で働く主人公。勤務先の同僚に「卵子提供」しないかと持ちかけられる。提供先に行くと、代理母を勧められ。。 一気読みした。代理母、産まれてくる子の周囲の、人間たちのエゴやらが上手く描かれている。さすが桐野作品。 ラストは意外でした...
04月-05。3.5点。 北海道から東京へ出て、派遣で働く主人公。勤務先の同僚に「卵子提供」しないかと持ちかけられる。提供先に行くと、代理母を勧められ。。 一気読みした。代理母、産まれてくる子の周囲の、人間たちのエゴやらが上手く描かれている。さすが桐野作品。 ラストは意外でした。
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代理母をなることを選んだリキがいろんな人と出合いながら、自分の意志をはっきりと表せる逞しさが備わっていくのが良かった。子どもを望む夫婦が葛藤し、ブレまくる過程も一々頷けた。りり子さんや、ダイキも魅力があった。
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続きが読みたい。445ページを読み終えたけれども、読みたいのはこの先だ。この“クソみたいな世の中”を、どうやってリキが生きていくのか。他人の不運を自己責任と笑う自称勝ち組がのさばるこの世の中を。ドスンと分厚い1冊は、中身もとっても重たくて、読んでる間中、なんだかずっとつらかったけ...
続きが読みたい。445ページを読み終えたけれども、読みたいのはこの先だ。この“クソみたいな世の中”を、どうやってリキが生きていくのか。他人の不運を自己責任と笑う自称勝ち組がのさばるこの世の中を。ドスンと分厚い1冊は、中身もとっても重たくて、読んでる間中、なんだかずっとつらかったけど、覚悟はできてます。桐野さん、リキの物語を続けてください。お願いします。
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誰にも共感できないが、やはり著者の作品は中毒性があって止まらなかった。OUTのときからほぼ全作読んでいて、多少グロテスクな表現などもあるが、これからも楽しみに読みたい作家の一人である。
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後半で引用された『雨月物語』の″菊花の約″が、このお話のメッセージと受け取った。 人間には優しい親切な面だけでなく、自分本位の″軽薄さ″があり、信用してはいけない。自分で生きていく方法を掴むのだと言われた気がする。 タイトルは『戻ってこない』だけれど、ラストの表情に救いを感...
後半で引用された『雨月物語』の″菊花の約″が、このお話のメッセージと受け取った。 人間には優しい親切な面だけでなく、自分本位の″軽薄さ″があり、信用してはいけない。自分で生きていく方法を掴むのだと言われた気がする。 タイトルは『戻ってこない』だけれど、ラストの表情に救いを感じた。
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子供の出来ない夫婦が代理出産で 子を持とうとする。 そこに貧困で喘ぐリキが困惑しながらも お金に釣られて流されるまま代理出産を する事になる。そこから代理出産選んだ 夫婦も溝が出来意見の相違でギクシャクする。 代理出産をお金の為に選んだリキも 事務的な夫婦の対応に疑問を感じ他の男...
子供の出来ない夫婦が代理出産で 子を持とうとする。 そこに貧困で喘ぐリキが困惑しながらも お金に釣られて流されるまま代理出産を する事になる。そこから代理出産選んだ 夫婦も溝が出来意見の相違でギクシャクする。 代理出産をお金の為に選んだリキも 事務的な夫婦の対応に疑問を感じ他の男性 と関係を持ったりして、リキの曖昧な心の動き もいい加減で共感出来ず、草桶夫妻の悠子の 気持ちが一番リアリティーがあった。 最後のリキの行動はまたリキの様な人生を 歩まなければならない女性をまた一人増やしただけで、子供が幸せになるとは思わない。
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代理母になった女性の物語、読み始めたけど途中からは読むのが嫌になってしまった。なんと理不尽な小説なんだろう余りにも心が折れる。身勝手な夫婦に飜弄される主人公が最後に出した結論に感動すると同時に母性に救われた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不妊治療、代理母出産…貧困問題など最近のトピックが満載だった。 あんまりにもしんどいけど、これが現実だなーと突きつけられた。 リキは双子を産んだ後も母性なんてわかんないなんて言ってたけど、ぐらを連れていく決意をしたのは母性なんじゃないかな。 そして男の子のぐりを残していったのもまた象徴的だなと思った。 お金があればなんでも解決できるみたいなのはすごく嫌だけど、それは真実だし、悠子が草桶が突き進んだ道に嫌悪感を抱きながらも、実際に生まれた双子を見たら心変わりしたのも、めちゃくちゃ人間的だなーと感じた。 とにかくリキは茨の道を選んだわけだけど、2人で幸せになってほしいと願うばかり。
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