タラント の商品レビュー
失敗をすること、もっと言えば目立つことが嫌、その理由を教えてくれたように感じます。 角田光代さんの本を読むと自身のことが書いてあるような気がしてしまうのです。 みのりさんやそれぞれの登場人物は、すてきな人という感じではないけれど、私は好きになりました。そして、自分も大丈夫なんじゃ...
失敗をすること、もっと言えば目立つことが嫌、その理由を教えてくれたように感じます。 角田光代さんの本を読むと自身のことが書いてあるような気がしてしまうのです。 みのりさんやそれぞれの登場人物は、すてきな人という感じではないけれど、私は好きになりました。そして、自分も大丈夫なんじゃないかな、がんばれるのではないかなと思えました。
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時系列が前後するお話は本当に苦手だが、作者の上手なストーリー展開で混乱せずに読了しました。戦争は残酷で破壊は一瞬で、人の長い人生も大きく変えてしまう。いつの世も自分の命を使って自行化他の行動を取り続けることが使命というのでしょう。それぞれの使命に気づくことが出来る人生でありたいで...
時系列が前後するお話は本当に苦手だが、作者の上手なストーリー展開で混乱せずに読了しました。戦争は残酷で破壊は一瞬で、人の長い人生も大きく変えてしまう。いつの世も自分の命を使って自行化他の行動を取り続けることが使命というのでしょう。それぞれの使命に気づくことが出来る人生でありたいです。
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タラントの意味を考えながら、戦争、障害、引きこもり、夫婦関係。いろんな物語が繋がりあって、それでいてすっきりと整理ができた本だった。最高でした。 私にとっての「使命」とは。。。とりあえず諦めないこと。
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とべ とべ たかく たかく 言葉を持たないかのように思えた老人の思い。生きてしまった。何かしたいと思ってはいけない。生きるべきではなかった。でも義足でまた跳ぼうと思った。そこで幼い子どもと出会った。その子どもが清美に手紙を書き続けた。老人からは返事は来ない。老人はコロナ禍で仏様に...
とべ とべ たかく たかく 言葉を持たないかのように思えた老人の思い。生きてしまった。何かしたいと思ってはいけない。生きるべきではなかった。でも義足でまた跳ぼうと思った。そこで幼い子どもと出会った。その子どもが清美に手紙を書き続けた。老人からは返事は来ない。老人はコロナ禍で仏様になった。まわりの家族、少女、それに連なるものに、とべ とべ たかく たかく と叫び笑う声を残して。 ラオスには熱心な仏教徒が多く、徳を積むことで幸福な来世が得られると本当に信じている。そうすれば次に生まれた時、今よりずっと幸せになれる、って信じてるからそうしてるわけ。いいことしてるなんて言う意識もないんじゃないかな。お寺に小鳥を十羽とか入れた籠が売っていて、徳を積みたい人はそれを買って、それを空に放つんだけど、それってみんなそれが善だと信じてるから、偽善なんて思わないんだよね。就職活動に有利だからって理由でボランティアサークルに入ると、何か悪いことしてるみたいに言われるでしょ?打算的だって言われることもあるし。それを気にしてる人もいるし。だけど、来世で幸せになるために犬に親切にすることと、良いところに就職するために街の清掃をするのと、どう違うのかなってずっと考えてる。
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かなり長編だったけど、するすると読めました。帯のキャッチコピーは「諦めた人生のその先へ。小さな手にも使命(タラント)が灯る」というもの。 角田光代さんの本って、本当に文書上手いって感じしますよね。#対岸の彼女 とか、#坂の途中の家 とか、他にも色々読んできたけど、今回の作品も「た...
かなり長編だったけど、するすると読めました。帯のキャッチコピーは「諦めた人生のその先へ。小さな手にも使命(タラント)が灯る」というもの。 角田光代さんの本って、本当に文書上手いって感じしますよね。#対岸の彼女 とか、#坂の途中の家 とか、他にも色々読んできたけど、今回の作品も「たしかに普段こういう気持ちになる/こう感じることあるけど、それを上手く言葉に出来ない」ようなことを、全て的確に捉えて描写してるのがすごい。そして構成上、時代とか一人称の転換が多いんだけど、それが混乱を生まないのがすごい。 一見、なに読まされてるのかわからないみたいな箇所もあるけど、それが嫌にならずにちゃんと付いていけるだけの筆力があって、かなり分厚めだったけどスルスルといけた。
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2024初読み。 ボランティアって見返りを求めないはずなのに、自分への評価につながることがないだろうか。大学入試でもボランティア経験が問われる時代。内面から湧き出る使命感より、外の力が働いてしまう。 地球の遠い所で起こっている紛争、その犠牲者の子ども達や避難民。元日に起きた石川能...
2024初読み。 ボランティアって見返りを求めないはずなのに、自分への評価につながることがないだろうか。大学入試でもボランティア経験が問われる時代。内面から湧き出る使命感より、外の力が働いてしまう。 地球の遠い所で起こっている紛争、その犠牲者の子ども達や避難民。元日に起きた石川能登地震、家が全焼し、倒壊した建物の下敷きになっている人がいる。何かできることはないか。思うだけで行動に移せないもどかしさ。 戦争で足を失った清美じいさん。感情を持つことを諦め、生きてきた。そんな清美さんが勇気を持って一歩踏み出したことが一粒の種となり20年後に花が開く。 海外行動力のある仲間たち。みんなが何をしたいか、できるか、悩んで生きている。 自分は何がタラントか。自問中。
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「再生」の物語。心を震わす傑作。 読み終えて装画をじっくりと味わう。嗚呼この色しかない。どこまでも澄んだ青さ。雲一つない青空。 胸に抱いた夢、向こう見ずな青い情熱を、いつか何処かに捨ててしまった経験は誰にもあると思う。 その理由は様々で、その度...
「再生」の物語。心を震わす傑作。 読み終えて装画をじっくりと味わう。嗚呼この色しかない。どこまでも澄んだ青さ。雲一つない青空。 胸に抱いた夢、向こう見ずな青い情熱を、いつか何処かに捨ててしまった経験は誰にもあると思う。 その理由は様々で、その度に勇気も失われてしまったのではないだろうか。 それが歳を取り大人になることだと諦めてしまうのは簡単でも、そうじゃないんだよと語りかける。 後半は涙腺がほぼ崩壊していたが、じいちゃんの独白の正体(?)が分かったときは驚きと嬉しさで…。 長編でエピソードは多岐に渡り登場人物も多いのですが、是非!読んでいただきたいです。
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よかった…!角田さんの作品、どんどん力強くなる。生きるってすげぇ。読み終わって、表表紙、裏表紙だけでなく背表紙までイラストを、眺めてじーんとする。 戦争はやっぱりしてはいけない。そして自分を疑ったとしても自分のことは受け入れるしかない。 安全な場所で美味しいものを食べる後ろめ...
よかった…!角田さんの作品、どんどん力強くなる。生きるってすげぇ。読み終わって、表表紙、裏表紙だけでなく背表紙までイラストを、眺めてじーんとする。 戦争はやっぱりしてはいけない。そして自分を疑ったとしても自分のことは受け入れるしかない。 安全な場所で美味しいものを食べる後ろめたさも、世界に痛みを感じても変える力を持たないことも、知らなければよかったと思うことも、そんなにわたしは頑張れないと思うことも、なぜ生き残ったのが自分なのかなぜ自分よりも生きた方が良さそうに思えるあの人ではないのかと思うことも。 自分の想いすべてOK、そしてただわたしは、わたしの「タラント」によってわたしが力を入れてしまうことをやる、でよいのだ。
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二つの時間軸が交錯する、義足の走り高跳び選手のお話。自分に馴染みのないスポーツを題材にした物語はあまり読んでみようと思うことがない。でもこの本は面白かった。さすが角田光代さん、という感じ。
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ボランティアとは?自分の進むべき道とは?の葛藤になかなかページを繰るペースが捗らなかったが、そうか、ここにもあそこにも一粒の麦があったんだと気がついた時にじわじわと胸にしみるものがあった。読了後全ての表紙を見て、またじーんとした。
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