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新しい世界の資源地図 の商品レビュー

4.4

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

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2024/09/04

2007年を基準にすると、2019年の米国の赤字額はシェール革命がなかった場合より、3090億ドル低かった。 シェール革命により石油天然ガス業界全体では雇用数は米国内で1230万人にのぼった。 中国のエネルギー消費は全世界の25%近くを占めている。 全エネルギーに対する割合は6...

2007年を基準にすると、2019年の米国の赤字額はシェール革命がなかった場合より、3090億ドル低かった。 シェール革命により石油天然ガス業界全体では雇用数は米国内で1230万人にのぼった。 中国のエネルギー消費は全世界の25%近くを占めている。 全エネルギーに対する割合は60%近く。米国は11%

Posted byブクログ

2024/04/05

なんかすっげースラスラ読めるけどぶっちゃけ全然アタマに残ってねえ。 タイトルの和訳に配慮というか苦労が見えた。

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2024/04/06

原油、天然ガス、レアアース…資源の地政学を知らずして世界情勢を語るべからず。歴史や経緯を含めた全体を本書で俯瞰できるため、新聞やテレビなどの媒体よりも深い理解を得ることができる。 そもそも産油国ってほとんど中東中心だと思っていたが、中央アジアから北中南米、アフリカまでかなり広い範...

原油、天然ガス、レアアース…資源の地政学を知らずして世界情勢を語るべからず。歴史や経緯を含めた全体を本書で俯瞰できるため、新聞やテレビなどの媒体よりも深い理解を得ることができる。 そもそも産油国ってほとんど中東中心だと思っていたが、中央アジアから北中南米、アフリカまでかなり広い範囲に渡っていると改めて認識させられた。それに対してコベルトやリチウムなどは中国とコンゴに産地が限定されているのが不気味で、代替材料の実用化が喫緊の問題に感じさせる。 フラッキング技術によるシェール革命で米国がエネルギー自給自足になったことはザックリ知っていたが、ギリシア出身の移民が事業的なリスクを背負いながら突破口を開いた経緯などは知らなかった。しかし従来型と違ってコストがかかることと、大手メジャーのような資本金が少ないプレーヤーが多かったことから価格下落で壊滅的な打撃を受け、業界再編が進んだとのこと。気候変動への対策でフラッキング禁止の勢力もあるがエネルギー安全保障や経済優先の観点からシェールオイル採掘は継続しそう。 ロシアへの制裁でノルドストリーム2が対象になったが、ロシアによる設備の自給を促しただけで供給量全体を見れば米国の制裁は政策ミスだったのではないか。 中国の覇権姿勢によってWTOコンセンサスが終焉した、とは非常に厳しい時代に到達してしまった。日本も安全保障をしっかり見直して東南アジア諸国やインド、米韓との連携を強化する必要がある。 中東ではイスラエルとハマスの戦闘やシリア内戦が騒がれているが、イラン革命の攻勢やトルコによる影響など、まだまだ懸念材料が多く、地域の安定化はまだまだ実現できそうにない印象。イラン革命の思想はいかにも革命的だが、国民国家を否定して中世的なイスラム国家を広めるために他国に部隊や武器を送り込むとは、ただのテロ国家そのものに思わせた。ソレイマニ殺害の事件は大きなニュースになったが、本書を読んでどういう人物か改めて認識を深めることができた。 南シナ海に潜む4人の亡霊が付録としてあるが、非常に面白かった。鄭和ってもともと明朝のムスリム捕虜だったとは…ほかに「海洋の自由」のグラティウス(オランダ)、「海上権力史論」のマハン、戦争は無益と主張したジャーナリストのノーマン・エンジェルが挙げられている

Posted byブクログ

2024/01/19

著者のヤーギンは現在進行中の話も小説のように描いてみせ、読み手を引き込む力がある。この本はエネルギーという人類史に不可欠な存在を通じて過去、現在、未来を活写している。500ページあまりある大著だが楽しくて苦もなく読めた。国際関係、エネルギービジネスに関心を持ち始めた高校生くらいに...

著者のヤーギンは現在進行中の話も小説のように描いてみせ、読み手を引き込む力がある。この本はエネルギーという人類史に不可欠な存在を通じて過去、現在、未来を活写している。500ページあまりある大著だが楽しくて苦もなく読めた。国際関係、エネルギービジネスに関心を持ち始めた高校生くらいには必読の書にしてもよいのではないか。 前半のアメリカ、ロシア、中国、中東の各地図はヤーギンの真骨頂。シェールガス・シェールオイルなどすでに知られたストーリーもあるが、彼は世界全体のエネルギー地図を紡いでみせる。シェール開発に賭けた経営者、プーチンの代理人ともいえる石油会社のトップ、サウジアラビアの王子、、、出てくる登場人物の表情が浮かんでくるような感覚になる。個別事象と歴史、展望そして人物画結びつくと物語は俄然おもしろくなる。 ただし、イタリアの哲学者・歴史家クローチェが唱えたように、「すべての歴史は現代史である」という視点は忘れないでおきたい。 後半の自動車の地図は前半ほどの驚きはなかったが、ヤーギンの問題意識は理解できた。気候変動に関する危機感もよく理解できる。 最後の南シナ海の4人の亡霊はヤーギンらしい終わり方。中国の海洋の冒険主義、航海の自由と国際法、地政学とシーパワー、戦争で得するのは誰か?ーー。の古くて新しい話しを改めて認識できる。中東は昔から火薬庫と呼ばれるが、南シナ海も然り。あと個人的には中央アジアも加わるのかなと考えた。 本が出たのがコロナ禍がまだ収束していない時点であり、かつロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・ガザ戦争は起きていない。この辺りは読者が想像を膨らませて自ら考える訓練にもなるかなと。 邦題の「新しい世界の世界の資源地図 エネルギー・気候変動・国家の衝突」は資源が前面に出ており、国家の衝突が新しいステージに入ったという要素が伝わりにくいかなと感じた。英語のタイトルはThe New Map:Energy,Climate,Clash of Nations であり、個人的にはこちらの方がしっくり来る。

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2024/01/07

この一冊を頭に入れるだけで、世界を見る目が変わる気がする。高レベルで広範囲のエネルギー事情が解説される。国防においても経済においても重要な課題であり、教科書にすべきほどの決定版ではないだろうか。あまりに密度が濃過ぎて、年跨ぎで読む事になった。メモ書きの抜粋に書評を添えて以下に記す...

この一冊を頭に入れるだけで、世界を見る目が変わる気がする。高レベルで広範囲のエネルギー事情が解説される。国防においても経済においても重要な課題であり、教科書にすべきほどの決定版ではないだろうか。あまりに密度が濃過ぎて、年跨ぎで読む事になった。メモ書きの抜粋に書評を添えて以下に記す。 アメリカはシェール革命の結果、石油と天然ガスのどちらにおいても、ロシアとサウジアラビアを一気に抜いて、世界最大の生産国になった。現在では、世界屈指の石油と天然ガスの輸出国でもある。アメリカは、エネルギーをほぼ自給できるようになった。 何十年にもわたって、世界の石油市場を規定してきたOPEC加盟国対非加盟国と言う捉え方は、ビッグスリー(アメリカ、ロシア、サウジアラビア)と言う新しいパラダイムにとって変わった。 1991年ソ連の崩壊により、ウクライナは初めて主権国家となる。その際に生まれながらにして世界第3位の核保有国となった。1900の核弾頭をソ連から受け継いだ。しかし、1994年のブダペスト覚書で放棄し、ロシアに譲渡された。そのかわりウクライナはロシア、イギリス、アメリカからウクライナの既存の国境を尊重すると約束を取り付けた。2005年の時点で欧州に輸出される天然ガスの80%がウクライナのパイプラインを通っていた。 オレンジ革命以降、ロシアは天然ガスの価格交渉で態度を硬化。今まで安価にウクライナに天然ガスの未払いや価格を理由に、ウクライナへの供給を停止。アメリカはロシアに抗議。 世界で最も重要な通商航路と言われる南シナ海。スプラトリー諸島は、もともと波に隠れて、水上から見えない岩サンゴ礁があちこちにあるような危険な海域であった。南シナ海を通る世界貿易の額は3.5兆ドル。中国の海上貿易の3分の2、日本の海上貿易の40%以上、世界貿易の30%を占める。中国が輸入する原油の80%は南シナ海を通過、食料安全保障の面でも重要な水域であり、世界の漁獲量の10%、マグロ類の漁獲量の40%。 中国のエネルギーの85%は、今も化石燃料で、石炭の占める比率が60% 。石油は20%だが、輸入量は世界最大であり世界の総需要の75%。輸入される石油のほとんどは中東産であれアフリカ産であれ、南シナ海の前に狭いマラッカ海峡を通る。 南シナ海で見つかる資源の大部分は原油ではなく、天然ガスである可能性が高い。 1933年スタンダードオイルオブカリフォルニアがサウジアラビアで油田を探す権利を獲得。1938年に掘り当てた。1930年、ヒジャーズネジド王国がサウジアラビアに改称。1950年代に世界の生産量が増え始め、石油収入が流れ始めたが、石油による富の時代が本格的に始まったのは、1973年の石油危機で、原油価格が4倍に跳ね上がった時から。そこからサウジアラビアは豊かな国に。 欧州では、電気自動車にも風力タービンにも必要とされる。レアアースが95%を中国産が占める。欧州で使われているコバルトの60%は、元はコンゴ民主共和国で算出したものだが、実際に欧州に輸入されるコバルトの80%以上は中国で精製。 箇条書きでは文脈が繋がり難いが、そもそもウクライナ情勢も中東情勢も、南シナ海における問題もエネルギー確保が遠因、あるいは直接的な理由であり、その極めて重要な課題に加えて、カーボンニュートラルが作用していくというのが世界的な流れである。この事は本書を読まずとも認識済みかも知れないが、その詳細について、理解の助けになる本だ。

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2024/01/06

地政学が流行った時期に見つけて購入。アメリカのシェール革命、ロシア、中東、中国のエネルギーを巡る情勢がNHKのドキュメンタリーのように克明に描かれている。事実の羅列ではなく実在の人物の言葉や行動と共に綴られており臨場感がある。中東の情勢に疎かったのでこの本でだいぶ勉強になった。 ...

地政学が流行った時期に見つけて購入。アメリカのシェール革命、ロシア、中東、中国のエネルギーを巡る情勢がNHKのドキュメンタリーのように克明に描かれている。事実の羅列ではなく実在の人物の言葉や行動と共に綴られており臨場感がある。中東の情勢に疎かったのでこの本でだいぶ勉強になった。 一方で気候の章は自分の専門に近いからか知っている話が多くやや物足りなさもあった。

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2024/01/02

世の中には、「学校では教えてくれないけど、分かっていた方がいいこと」が多すぎると思いませんか。まったくもう。 この本、「エネルギーに興味あるんだったら、読むといい」と素敵Guyに勧められ、いや、特にエネルギーに興味あるわけじゃないんですケド・・・と思いつつも、近所の図書館にちょ...

世の中には、「学校では教えてくれないけど、分かっていた方がいいこと」が多すぎると思いませんか。まったくもう。 この本、「エネルギーに興味あるんだったら、読むといい」と素敵Guyに勧められ、いや、特にエネルギーに興味あるわけじゃないんですケド・・・と思いつつも、近所の図書館にちょうどあったし、正月休みに入るところで読む時間もあるしで、素直に言いつけに従い、読んでみた。 で、最初の言葉になるわけです。 エネルギーの地図、つまりエネルギーをめぐる各国の戦略、めっちゃくちゃ大事じゃないですか? 世界情勢を読み解く上で。 え? 今ごろ何言ってるって? こういうのはちゃんと学校で教えるべきじゃないでしょうかね。 世界の紛争の裏に資源あり、てことを、もう少ししっかりと。世界の国々は人道的・政治的な理由だけで戦争したり他国に干渉したりするわけじゃないんですよって。 歴史の時間ちょっと削ってもいい気がするなぁ~。 たとえばシェール革命が他国との外交交渉上の姿勢をこんなにも変えちゃうなんて、やっぱり知っておくべきよね。 ダイベストメントがこれまでに削減したGHG排出量は、おそらくおよそ0トンだろう、っていうビル・ゲイツの言葉もけっこう考えさせられた。 石油の値段が下がり過ぎると困る原理とか、シェールがショートサイクル、とかいうエネルギーごとの産出事情とかも何気に重要情報ではないでしょうか。 モディ首相の言葉「グローバルサプライチェーンはコストだけにもとづくべきではありません。信頼にももとづくべきです」と言って、中国依存を減らそうとしているのもなるほど、と思ったし。 「電気自動車はガソリン車の6倍、風力タービンは天然ガスの発電所の9倍、それぞれ多く鉱物を使用する。鉱物の需要は急増するだろう。その増加率はリチウムが4300%、コバルトとニッケルが2500% にものぼる」「世界の三大産油国の産油量が世界の産油量に占める割合は約30%だが、リチウムの場合、上位3ヵ国が供給量の80%以上を占める」っていう鉱物をめぐる状況も、なんだかヒエエエエな事実でした。 そしてアップデートも大事。 気候テックをめぐる投資と政治関連のニュースなんて、この本の後、今年(じゃなかった、もう去年か)1年だけでずいぶんいろいろあった気がする。 でも、表のニュースを見ているだけじゃ、なかなかそれぞれの事象が頭の中でつながらないので、こういう親切な解説本をときどき読むって大事ですね。

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2023/12/30

近年の地政学とエネルギー分野の激変に関して、米露中、さらに中東、気候変動ごとに読み解いていく。 アメリカの項ではシェール革命の経緯、ロシアの項ではソ連崩壊後エネルギー大国として欧州に影響を与えてきたが天然ガス市場の変化等によりそれが変わってきたこと、中国の項では経済や軍事の成長と...

近年の地政学とエネルギー分野の激変に関して、米露中、さらに中東、気候変動ごとに読み解いていく。 アメリカの項ではシェール革命の経緯、ロシアの項ではソ連崩壊後エネルギー大国として欧州に影響を与えてきたが天然ガス市場の変化等によりそれが変わってきたこと、中国の項では経済や軍事の成長とともに拡大したエネルギー需要や一帯一路構想、中東では石油と天然ガスによる富と権力と石油需要ピーク後への関心の移動、気候変動の項ではパリ前とパリ後のエネルギーの地図の変化などを主に扱っている。 シェール革命がガソリンの値段だけでなく、2015年イランの核合意や欧州のロシア依存の軽減など、地政学的に大きな影響を与えていたことを具に知ることができた。ソ連崩壊にあたってソ連財政の命綱を断ち切ったのは原油価格の急落だったこと、ノルドストリーム2を巡るヨーロッパでの意見対立、イランが中東地域で行使している影響力、電気自動車や自動運転、Uberの発展、気候変動を巡る国際世論の形成などについても新たに知ることが多かった。

Posted byブクログ

2023/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いやー、難しい…。哲学系以外で理解に時間をかけたのはホント久々かも。まぁその難しさが面白いわけなんだけど。 エネルギーを生み出すのに必要な石油/天然ガスが大国アメリカから採れるようになった「シェール革命」から本書は始まる。ロシアやサウジアラビアからの輸入を必要としなくなる上、色々な国へエネルギー源を輸出することが出来るというのは、各国の関係性を変えるのに十分だったわけだ。 ロシアや中国、中東の危うさも同様に、このエネルギー源に由来している部分もある。エネルギー源は金になるからこそ、それを手に入れようと誰もが争うのだな。 一方でコロナや再生可能エネルギーにより、石油/天然ガスの価値というものも変わってきている。身近な例で言えば電気自動車など。石油/天然ガスの価値が下がれば、それによって成り立っていた国々は方針を改めざるを得なくなる(サウジアラビアなどがいい例だ)。あるいは、レアアースがそういった石油/天然ガスの枠に収まっていくのかもしれない。 エネルギー1つとっても世界情勢全体を俯瞰しなければならず、「地政学」という一言がいかに汎ゆる意味を孕んでいるかを示してくれる超良書。難しいしまとめきれないんだけど、非常に納得感のある一冊でした。オススメです。

Posted byブクログ

2023/09/10

気候変動に関心があって読んだ。グローバルトレンドは理解できるが、国益が複雑に入り組んだ世界で、脱炭素を簡単に進めるのは簡単でないと思わされた。グローバルトレンドはそれとして、自分はどうするか、自分の組織はどうするかを考えるとますます悩ましさを感じる。

Posted byブクログ