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他者と生きる の商品レビュー

4.1

26件のお客様レビュー

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2024/09/22

情報経験が体験を上回る現代の問題を考えさせられた。特にコロナ対策における、自分の思いを事実のように語る姿勢には違和感があった。また、人生は長さよりも質や深さが大事であり、最短距離を目指すのではなく、多様な経験を積むことで豊かになるという視点を得た。人は個人ではなく、他者との関係性...

情報経験が体験を上回る現代の問題を考えさせられた。特にコロナ対策における、自分の思いを事実のように語る姿勢には違和感があった。また、人生は長さよりも質や深さが大事であり、最短距離を目指すのではなく、多様な経験を積むことで豊かになるという視点を得た。人は個人ではなく、他者との関係性の中で形成されるという「分人」という考え方にも共感した。

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2024/08/21

人類学の眼差しは普段巡り会う機会がなくとても新鮮で、他者への想像力をより豊かにしてくれる感覚があります。 本書も例外なく興味深く、サイエンスを冠しながら単純化されたエビデンスも確かでない狩猟採集民族への幻想に対する批判や自分らしさが結局他者との関係性の中で成立することへの指摘など...

人類学の眼差しは普段巡り会う機会がなくとても新鮮で、他者への想像力をより豊かにしてくれる感覚があります。 本書も例外なく興味深く、サイエンスを冠しながら単純化されたエビデンスも確かでない狩猟採集民族への幻想に対する批判や自分らしさが結局他者との関係性の中で成立することへの指摘などに触れることができ、自分自身がなんとなく感じていた違和感のひとつ答えのかけらに出会った感覚がありました。

Posted byブクログ

2024/05/10

【信州大学附属図書館の所蔵はこちらです】 https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC12117342

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2024/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

関係論的人間関係 世間の中に入る、人と関係し合うことで初めて「人」が立ち現れるという見方。 確かに、周辺にいるのではなく中に入ることで「なんか在るもの」から「私」(顔や名前のある存在、個人)に存在として変わる感覚はあるな、と納得。 逆に、人やあるグループから拒絶されたり排除されたり、引き離されたときに感じる痛みは、この見方からすると「殺された」からとも言えるのかもしれない。だから強い痛みを感じる。 この論に立脚して著者は「ただ100年生きた人より35歳で事故で亡くなった人のほうが人生が長い(良い?)こともある」というようなことを述べている。そういう見方もあるよ、という話だし、なるほどとも思うけど、孤独な人は人生が薄いという結論につながるような気もして、なんだか暗い気持ちになった。 全体としては各トピックが微妙に繋がっていなくて(書き下ろしじゃないので当然ではある)、人類学など学説の説明レベル(?)もまちまちだったので読むのが大変だった。

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2024/01/14

テーマが深く、集中して読まないと筆者の言いたいことがなかなか頭に入ってこない。が、それは単に読者の私の集中力のせいであり、すぐに頭に仕掛かり中や納期に迫られる仕事に神経がついてしまう様な私には合わなかった。だが、本書のテーマは冒頭申し上げた様に深く考えさせられるものだ。 もし私が...

テーマが深く、集中して読まないと筆者の言いたいことがなかなか頭に入ってこない。が、それは単に読者の私の集中力のせいであり、すぐに頭に仕掛かり中や納期に迫られる仕事に神経がついてしまう様な私には合わなかった。だが、本書のテーマは冒頭申し上げた様に深く考えさせられるものだ。 もし私が何らかの病気を患い、明日死の宣告を受けたらこれまでの自分の人生を振り返り、良かった、充実した人生だったと納得がいくだろうか。まだやり足りないことが沢山あり、ここで死ぬのは嫌だと最後まで治療法を探し生に執着するだろうか。読み終わった瞬間に頭を過ったのはこの思いだった。私が生きている上で、仕事でもプライベートでも様々な人(他人)と関わり合いを持ち、必ずしも心地よい関係だけではなく、中には面倒だったり会うことに恐怖や嫌気がさす人もいるだろう。後者がパッと頭に思い浮かばないものの、恐らくはこれまでの経験から、特定の人を嫌いになったりしてしまうと、途端にどうしても会わなければならない状況に陥った場合に、自分の時間が無駄に感じられたり、心に負担になるのがわかっているから、敢えてそう思わない様な自己防衛策が働いている事を自分で理解している。少々周りくどい言い方ではあるが、多くの人が嫌な人に会っても顔では笑いながら挨拶できるのと同じことだ。 そうやって自分の人生は他者と共にあり、他者との関係性によって、幸せだったりそうで無かったりと価値が変わっている様に感じる。自分の未来はわからないことが多いが、就職や結婚など自分が選んだ道は少なくとも、そうした未来を決定づけるイベントとして、自己の責任の上に成り立っている。時には失敗と感じる方もいるだろうが、そこで人生が終わるわけではないので、その後の人生に深みを持たせられる人間関係を築くのは、またこれも自分次第である。 人が生きていく上で他者と共にあるのは当然だが(どんなに田舎に閉じこもっても、地球上の最後の1人になる事は考えられない)、より深みがあり、充実した幸せな人生だったと最後の瞬間に思える様、今何を選択していくかは、自分次第だ。

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2023/04/23

難しいテーマを平易に描いてる。はずだがそれでも私には難しい。 統計学的人間観はとても大切。だが取り扱い方が上手い人は少ない。長生きすれば幸せなのか、には答えられないので。 正しく恐れる、って時に弊害生むのね 自分らしさ、は周囲の環境があって初めて決まる。観測するから、何が他者に比...

難しいテーマを平易に描いてる。はずだがそれでも私には難しい。 統計学的人間観はとても大切。だが取り扱い方が上手い人は少ない。長生きすれば幸せなのか、には答えられないので。 正しく恐れる、って時に弊害生むのね 自分らしさ、は周囲の環境があって初めて決まる。観測するから、何が他者に比べユニークかがわかる

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2023/01/22

ここでは「医療」をテーマに論じられているけれど、 この「医療」を「心理学」に置き換えても本書の議論は通じる。 著者とは近い問題意識を持っているように思える。 人を「数」で捉えることはどこまで可能なのか、 他から切り離された個人は存在し得るのか、 人類学的な視点からの考察、大...

ここでは「医療」をテーマに論じられているけれど、 この「医療」を「心理学」に置き換えても本書の議論は通じる。 著者とは近い問題意識を持っているように思える。 人を「数」で捉えることはどこまで可能なのか、 他から切り離された個人は存在し得るのか、 人類学的な視点からの考察、大変勉強になりました。

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2022/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自動車事故を恐れるからといって自動車を禁止しない。 アルコール依存症が問題になるからといって禁止しない。 何をリスクとみるのかは何を基準にするべきか。 心房細動と抗血栓療法。出血のリスクを引き受けても抗血栓薬を飲み続けるべきである。飲まなければ必ず心房細動を起こすわけではない。皮下出血を起こしやすくなる。しかし血液サラサラの言葉に惹かれて薬を飲む。血液サラサラは、試してガッテンが最初に使った。 HIVやBSEは、合理性を欠いたパニックがみられた。 ゴンドラ猫の実験=自由に動けない猫は、ゴンドラを降りた後あちこちにぶつかる。=身体体験がないまま情報体験に反応して生きることは生命たりうる所以を骨抜きにする。情報発信者の意図のままに想像力が操作される。 震災時には、仮葬として土葬し、2週間後に掘り起こして火葬にした。冷たい土の中に閉じ込めておくことが耐え難かった。遺体を運ぶ車はトラックではなく、新車を含む10台の霊柩車らしく改造された車をつかった。 コロナのときは、有名人の死が、恐怖をあおるために報道された。 万が一、という留保が過剰反応を作り出している。万が一の連鎖が痛ましい死を作り出す。 大衆は、暴力的な事件を記号として喜んで消費する=ほどよい室温になったワインのように供されるのなら、大衆はそれを好んで飲む。 スマホ脳とファクトフルネス。どちらも狩猟採集民族である人類が今でも残っていることを主張の根拠としている。糖質制限食も同じ。=石器時代への幻想。パレオファンタジー。 農耕開始から1万年は十分な時間であるという主張もある。高地で生活したり、乳製品を効率よく消化する能力はここ数千年である。『私たちは今でも進化しているのか』マーリーン・ズック 平均人の病いの語り。=一般化可能性がある、が客観的事実として認識されやすい。 どんなときも。世界に一つだけの花、=自分らしく、自分らしさ、が強調された。 自分らしさ、を説明するとトートロジーになりやすい。 =大勢がそのようなもの、に対して抵抗すること。内発的に動機づけられていること。しかし、社会の規範を超えない範囲であること。 自殺は、自分らしいとは言われない。死ぬことは、家族との関係性の中で起こること。 統計学的人間観=平均人という概念を支える。 個人主義的人間観と関係論的人間観。 宇宙人と交流することは可能か。関係性をもつことができるか。 共存の枠=互いの間に規則性が生成される。挨拶はその規則性にはめるためのきっかけになる。

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2022/10/30

この本の素晴らしさは後書きにあると思う。本書を購入された際に後書きを見てほしいが、ここでは簡単なサマリを備忘録的に残しておく。 人は相互理解をスムーズにするために共通規範を導入し、お互いの意思疎通で齟齬が生じないように調整している。例えば、ビジネスメールでは「いつもお世話になっ...

この本の素晴らしさは後書きにあると思う。本書を購入された際に後書きを見てほしいが、ここでは簡単なサマリを備忘録的に残しておく。 人は相互理解をスムーズにするために共通規範を導入し、お互いの意思疎通で齟齬が生じないように調整している。例えば、ビジネスメールでは「いつもお世話になっております」と冒頭に書くのがマナーになっているが、この一文があるだけで「私はちゃんとビジネスマナーを分かってますよ」と相手に伝えるシグナルになり、相互理解を円滑にするきっかけになっている。そして、共通規範はコミュニケーションの予測可能性を与える。ビジネスメールのフォーマットが決まっているから、読み手は簡単に内容を理解できる。もし、自由なフォーマットで全員がビジネスメールを書けば、コミュニケーションのコストは膨大になる。 一方で、共通規範だけではコミュニケーションは取れないし、相互理解を深めることができない。なぜなら、共通規範にない偶然の出来事は必ず起き、その時の最善マニュアルは存在しないからだ。例えば、受験に失敗した浪人生に掛ける最適な励ましは、浪人生ごとに違うはずだ。 だからこそ、相互理解の根幹にあるのは、愛と信頼に基づく投射である。投射とは、過去・現在・未来を線形に予測するのではなく、偶然性に自ら足を踏み入れ、相手に伝えることだ。偶然性は不確実性を持つので、自分の考えを伝えることは相手を傷付けるリスクを背負う。それでも、精一杯の愛と信頼をベースに、相手を傷つけてしまうかもしれない畏れを持ちながら、自分からの投げかけが相互関係を変えるかも知れないと思いコミュニケーションを取る。

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2022/10/23

第一部のリスクの手ざわりは、非常にわかりやすく、少数民族の長年培われてきたリスクの伝え方や、予防医学の中の抗血栓療法で多用されている元巨人の長嶋さんのレトリック。HIV,BSE、新型コロナでの志村けんさんや岡江久美子さんの報道とどんどん腹落ちする内容。一方、第二部の狩猟採集民、自...

第一部のリスクの手ざわりは、非常にわかりやすく、少数民族の長年培われてきたリスクの伝え方や、予防医学の中の抗血栓療法で多用されている元巨人の長嶋さんのレトリック。HIV,BSE、新型コロナでの志村けんさんや岡江久美子さんの報道とどんどん腹落ちする内容。一方、第二部の狩猟採集民、自分らしさの後からは一気に難しかった。統計学的人間観、関係論的人間観あたり。読み返し要。

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